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本編
Girls side27話~縁結びの女神ロヴン~
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ヴァナヘイムは、かつての戦地だった頃の面影をほぼ失っていた。
近親婚や近親相姦と言った人間界では禁忌とされるものについても、現在ではほぼありえないものとして認識されている様だ。
それもこれも、愛の都として栄えたことがきっかけになっていることは明確である。
何故なら。
「……これは目に毒だな」
「私たちも同じ様にしてれば気にならないんじゃない?」
そこかしこで、人間界で言うナンパやプロポーズ、既に成立しているカップルに関しては抱擁や接吻と言った行為が行われている。
中には見られることを楽しむ趣向の者もいるのか、着衣のまま本番に及ぼうという輩までいる。
ここではそれが当たり前だし、特に成立しているカップルであれば、見せ付けることこそ愛の証と言う風潮すらある。
「早いところロヴンを探そう。こんなところに長くいたら私たちもおかしなことになってしまいそうだ」
「同感だな。私はまださすがに見せ付けてやりたいとまでは思わないし……」
和歌さんは人一倍羞恥心の強い人間でもあるので、見るのもあまり気が進まない様だった。
「私ならここにいるぞ」
背後から声がかかり、振り返ると医者や研究者の白衣の様な物に身を包んだロヴンが立っていた。
相変わらずのお堅い服装だ。
「オーディン様から連絡を受けたのでな、非常に不本意ではあるがここで待っていた」
用件があるなら早く言え、と顔に書いてある。
もっとも用件だってオーディンから聞いてるんだろうし、さっさと済ませてくれればこっちとしても楽なのに。
「久しぶりだね。じゃあ早速だけど、冥界で私が滅ぼしたフレイヤの魂を元に戻してほしい。出来る?」
「何だその用件は……というか滅ぼしたとはどういうことだ?それに何故人間がここにいるのか。一からの説明を要求する」
ああ、出た。
本当に鬱陶しい物言いだ。
これが嫌で私は気が進まなかったのだ。
「ごめんね、ロヴン。言葉が足りなかったのは謝るから。実はね――」
ノルンが私に代わって事情を説明する。
私ではイラ立ってしまって話にならないと判断されたに違いない。
「何だか細かそうな人だな」
「細かいね。あと、やたらお堅い。堅物女の代名詞みたいな女だよ」
ノルンが説明している間、私はロヴンについて簡単に説明する。
「過去に何か確執でもあったの?」
「いや……単に私とは正反対の性格ってだけだと思うけどね。反発してたことは確かかも、お互いにね」
真面目であることは否定しない。
だが、視野が狭いことに関しては私はよしとしない。
視野を狭めるということは、結局見えない部分を見捨てて切り捨ててしまうことと同義ではないか。
しかし、彼女の言い分としては、視野が狭いのではなく、目の前のことに集中するということだという。
あれもこれもと手を伸ばすのでは、それこそ見えていても拾い逃すこともある。
その時に傷つくのは自分だけではないのだと。
どちらの意見も間違っているとは思わないが、私は素直にロヴンの言い分を肯定する気にはなれなかった。
「大体の事情はわかった。冥界と言ったが、今も冥界に魂はあるのか?」
私の方を向き直り、ロヴンが尋ねる。
霧散した魂が移動したかどうかまで確認はしていないが、どうだろう。
「わからない。その時はそれどころじゃなかったからな」
「お話にならないな……いいか、まずはありかを確かめてもらおう。それからじゃないと私とて動くことはできないのだからな」
「確かめるって、もう一回冥界に行けということかしら?」
明日香がさすがにげんなりとしてロヴンを見た。
無理もない、もう一回などと人間の精神でおいそれと行ける場所ではない。
今回は大輝のこともなく、ただついでで助けようという様なものなのだ。
「当然だ。それに、フレイヤの魂を砕いたのはそこの筋肉女だろう。別におかしいことは何もないと思うが」
「おーおー、鉄の処女膜女さんは言うことが違うねぇ」
「何だと?私は私に見合った相手を合理的に選んでいるだけだ。それがたまたま今も続いているだけで」
「それがもう何千年になってるわけ?そのままトゲトゲの処女膜になって今度は錆びちゃうんじゃないの?」
「貴様……言ってはならんことを言ったな……私の処女はまだ錆びてもいなければ蜘蛛の巣が張ったりもしていない!」
「私、そこまでは言ってないんだけど……」
「どうせ言うつもりだったのだろう?だから代弁を……ぐすっ」
自分で言って傷ついて泣いてやがる……。
「あー、あの……」
横から声をかけてきた者がいる。
「あ、フレイだ」
「フレイ?さっきオーディン様が言ってた、フレイヤの双子の兄の……?」
「話は聞かせてもらったよ。うちの愚妹が、迷惑かけたみたいで申し訳ない」
フレイは深々と頭を下げた。
フレイヤと双子だけあって、美しい顔をしている。
フレイヤと違って、思慮深い性格でもある様だ。
「横からすまないね。フレイヤのことなんだけど、僕なら感じることができるよ」
「本当に?」
「それは助かる……」
和歌さんも、さすがにもう一回という気にはならなかったのだろう。
私も正直行きたいとは思わなかったし、この鉄壁女の言う通りにするのも何だか癪だ。
「フレイヤの魂はもう冥界にはいないみたいだ。というか、粒子の状態のままスルーズ、君にまとわりついているみたいだけど」
「!?」
寒気がした。
今すぐにでもシャワーを浴びたい気分だ。
「まとわりついてるって……埃や粉塵の様にってこと?」
「そうなるね。ただし目視で確認できるレベルじゃないくらい細かいけどね。復活させたら全部取れると思うけど」
よりによって何で私に……気持ち悪い。
だが、冥界に行くことなく復活させられるのであれば、それはそれでありがたいことだ。
「だとさ。聞いたかい、ロヴン……いつまで泣いてんのよ……」
また処女膜の話をすると話がループしそうなので、敢えて名前を呼ぶ。
自分で言ったことが思いのほか心に堪えた様で、ロヴンはまだ泣きじゃくっていた。
「どうせ私のことなんか、みんなめんどくさい鉄処女鉄面皮とか思っているに違いないんだ……このまま私は誰の目にも留まることなく……この処女だってそのうちさっきスルーズが言った様に、蜘蛛の巣が生えたりして、蜘蛛に食われて……ああ、それで非処女を名乗れるのであればそれも一興か……」
「ねぇ、私それ言ってないよね?」
蜘蛛に処女膜食われて喪失とか、どんだけマニアックな思考してんのよこいつ……でも本当、めんどくさい。
いっそ大輝にでも抱かせてしまおうか。
幸い女神を名乗るだけあって見た目は悪くないし。
「おい睦月、今何考えた?」
「えっ」
何でわかったんだろう。
以心伝心って言うやつだろうか。
やだ、少し恥ずかしい。
「何となくわかるんだよ。俺に宛がうつもりだっただろ。そもそも今こんな姿でどうやって……」
「いやぁ……でもさ、めんどくさいかなって……」
「だからって、何で俺なんだよ!嫌だよ!!」
「そうか、私みたいなめんどくさい無愛想な鉄面女は嫌だよな……わかるよ……」
「あっ……」
ずーん、と音が聞こえそうなほど落ち込むロヴン。
ついボリュームを気にせず喋ってしまった。
「あ、あのですね、ロヴンさんが嫌ってわけじゃなくて……」
「いいんだ、わかっているんだ……私のめんどくささは折り紙つきだから……」
そこまでわかっているなら直す努力くらいしたらいいのに。
いや、努力はしなかったわけじゃないのだろう。
だが彼女はきっと、男を色眼鏡で見る癖がついてしまっていて、それが現在に繋がっている。
「ああ、もう!!今はそんなこと考えてる場合じゃないんだってば!!」
私が地面に膝をついて崩れているロヴンを立たせる。
さすがに時間が惜しい。
こうなったら仕方ない、奥の手を出すか。
「ロヴン。まずはフレイヤの魂を元に戻して。そしたら……あんたの願いを叶えてやってもいい」
「願い……?男を紹介してくれるの?」
何だこいつ、急にしおらしくなりやがって。
しかも男って言ったときのあの目のキラキラ具合。
多重人格か何かじゃないだろうな。
「そうだ。紹介してやる。そこにいる大輝だ。あいつはそりゃもう、大した男で……」
「お、おい勝手にそんなこと……」
「そうよ!何勝手に決めてるのよ!!」
大輝を含めた四人からブーイングが上がる。
だがもうそんなことに構っている場合ではない。
「いいか、そんな大輝を一晩貸してやる。そうしたらお前だって今より自信つけることができるんじゃないの?」
「私……」
「何だ?」
「私は、脳筋女他数名のせいで汚れた男に汚されたくない」
「あんだと……こっちが下手に出てやれば、こいつ……」
やはりと言うべきか、イライラしてきた。
こっちは断腸の思いで大輝を貸してやるって言ってるのに。
仲間のブーイングも無視して決意したってのに!
「大体、その大輝と言う元人間がどれほどのものだというのだ。情事に明るいからと言って、この私が簡単に処女を渡すとでも思ったか。私をそこにいる女どもと同列に扱ってもらっては困る」
「……そんなこと言ってるから、男が寄ってこないんじゃん」
ノルンが、頭にきたのか痛烈な一言を放つ。
「そうね、そんなお高く留まっている女、男からしたら面倒なだけだわ。当然のごとく他の女がよく見えてしまうわね。かませ犬にすらなれてないってわけよ」
明日香もなかなか辛辣だ。
「私も一歩間違えていればこんな風になっていたのか……大輝がいなかったらと思うと、ゾッとするな」
和歌さんがトドメを刺す。
それぞれの一言に、ロヴンが石の様になって固まった。
「まぁ、蜘蛛の巣でも何でも張ったらいいんじゃない?彼女自身が招いてる結果に、大輝まで付き合わせるのは不憫ってものだよ」
「な、何だと!?私が自分で今を招いているというのか!?思ったことを言っているに過ぎないのだぞ!」
「それが良くないって言ってるんだって。何でも思ったまま言えばいいってもんでもないし、大体思ったことだって建前でしょ」
「た、建前!?何を根拠に、そんな……」
「じゃあ、本当にそれが素直な言葉だって言うわけ?本当に?嘘偽りない?縁結びの女神の二つ名に誓える?」
子どものケンカみたいな言い合いになってきているが、ノルンの言い分もわからないではない。
素直になれないことが、彼女の出会いを著しく阻害している。
誰から見ても、それは明らかだった。
「あの、俺当事者なのに蚊帳の外なんですが……」
「大輝はちょっと黙ってて。この堅物女に少し、わからせてやらないといけないんだから」
「いや、待ってくださいって。俺にだって一応意思はあるんですから」
そう言って大輝はロヴンを見る。
目が合ってロヴンが、さっとその目を逸らした。
顔が赤い。
「ロヴンさん、みんなが勝手なこと言ってすみません。でも、一ついいですか?」
「何だ……」
「ロヴンさん。俺……」
「…………」
「俺も、あなたみたいなめんどくさい女はちょっと、ごめんなさい」
まばゆいほどの笑顔で、大輝は言う。
こいつ……悪魔か……。
落雷の直撃でも受けたかの様な表情になり、再びロヴンが崩れ落ちる。
「た、大輝……」
「それはちょっとひどすぎると思うわ……」
まぁ見てろ、と言いたげに大輝はウィンクをする。
そのウィンクを、当然ロヴンは見てなどいない。
「って言うのはまぁ冗談なんですけどね、ロヴンさん」
くわっ!!とロヴンが目を見開いて大輝を睨む。
その睨みを受けても、大輝は怯まなかった。
「ロヴンさん、俺なんかでよかったら、あなたの苦悩を解消してあげたいと思ってるんですよ」
「……嘘だ」
「嘘じゃないですって」
大輝は笑顔を崩さない。
「ここにいる女たちは、自分たちの意思で俺についてきてくれていますが、ロヴンさんから見て彼女たちはどう見えますか?不幸そうですか?」
「その質問に、何の意味がある……」
「出来れば答えてほしいんですけど」
「……正直、楽しそうだ。妬ましい。幸せそうなのが羨ましい。私よりも不幸でないのが許し難い……私よりももっと、下が見たい……」
最悪だ、こいつ。
「ま、まぁ最後のは置いといて、楽しそうだとか幸せそうだって見えるんだったら、その感想は正しいんだと思います。俺もそう思いますから」
「…………」
「確かに、最初見た時はめんどくさそうだって思いました」
「やっぱり、めんどくさいんじゃないか……」
「聞いてくださいよ。けど、そのめんどくささもロヴンさん自身の寂しさからきてるんじゃないかって、俺は思ったんです」
「……わかった風なことを……」
「まだそんなこと言うんだ?」
「……ノルンさん。すみませんね、でもみんなもきっと、ロヴンさんのこと何とかしたいって思ってるんだと思うんです」
ロヴンが私やノルン、和歌さんや明日香をそれぞれ見る。
フレイはいつの間にか何処かに消えている様だ。
「縁結びの神様だからとか、そういうのは別に関係ないですよ。俺は、一人の女性としてあなたを放っておけないんです。それじゃ足りませんか?」
「どうして、そこまで言ってくれるんだ?お前に何の得があるんだ?私の相手などしているよりも、もっと有意義な時間を過ごす方が大事じゃないのか?」
「だって、もうあなたとあなたを取り巻く環境を知ってしまいましたから」
大輝は少し困った様な笑顔で言う。
この笑顔に、大体の女はやられてしまうのだろう。
それはこのロヴンにしても同じ様で、大輝の熱はロヴンの心に張った氷を溶かした様だった。
「……私は、甘えてしまってもいいのか」
「ダメだったらこんなこと言いませんよ」
「…………」
ロヴンが大輝に縋り、肩を震わせた。
「だが、そういうことは女の姿ではなく男に戻ってから言って貰いたい。フレイヤの魂を戻してやるから、すぐ人間界に戻れ。近いうちに私から出向こう」
「!!じゃあ……」
「今言ったとおりだ。約束だからな。絶対だぞ。違えることがあれば……」
「そんなことしませんよ。何なら、ここで頭金じゃないですけど……先払いしときますか?」
「何だそれは……先払い?」
「こういうことです」
そう言って大輝は、ロヴンの顎を掴んで口付けた。
百合だ!百合プレイだ!
おお、と息を呑む声が聞こえる。
「な、な、何を……」
「今は女の姿ですけど、今度は男の姿でお相手しますから」
色々あったが、とにかくこれで人間界に戻れる。
ロヴンは私にまとわりついたフレイヤの魂を集めてくれて、そのまま修復作業に入った。
和歌さんや明日香は何か言いたげだったが、飲み込んだ様だ。
問題は、人間界で留守番をしている三人にどう話すかだが……。
なる様にしかならないだろう。
まずはオーディンに礼を言いに行かなくては。
「そうか、上手く行った様で何よりじゃの」
「本当に、生きた心地がしなかったけどね」
オーディンのすぐ側に、ロキがいた。
「お前が何で、ここに?」
ついトゲのある言葉が出てしまう。
「オーディン様がね、君の力が消えてすぐ元に戻してくれたのさ。フレイヤと違って、魂は無傷だったから」
「そうかい、そりゃ何よりだ。大輝に礼を言うんだね。大輝がああ言わなかったら、あんたは今もあの壁の中なんだから」
「そうだね。大輝、感謝するよ」
「いや、俺の方こそ……みんなが、誤解だったとは言え結構ひどいことしたみたいで……」
「まぁ、久しぶりにスルーズの力が見たかったっていうのがあったし、丁度良かったよ。めちゃくちゃ痛かったけどね」
「何?あんたマゾなの?気持ち悪い……」
「そういうのはさすがに心にくるから控えめに頼むよ……」
マゾでないなら、あんなのを見たいなんて変わってるってレベルじゃないだろう。
結局手のひらで転がされた様なものだったし、何だか釈然としない。
「もうじき、フレイヤの魂も戻ることじゃろうて。待っておる者もおるのじゃろう?戻ったほうがいいと思うぞ」
こうして、神界での事件は一旦の解決を見た。
舞台は再び人間界に戻ることとなる。
いずれロヴンが大輝を求めて人間界にくるだろう。
その時は仕方ない、歓迎してやるとするか。
朋美たちにする説明を、考えておかなければ……。
近親婚や近親相姦と言った人間界では禁忌とされるものについても、現在ではほぼありえないものとして認識されている様だ。
それもこれも、愛の都として栄えたことがきっかけになっていることは明確である。
何故なら。
「……これは目に毒だな」
「私たちも同じ様にしてれば気にならないんじゃない?」
そこかしこで、人間界で言うナンパやプロポーズ、既に成立しているカップルに関しては抱擁や接吻と言った行為が行われている。
中には見られることを楽しむ趣向の者もいるのか、着衣のまま本番に及ぼうという輩までいる。
ここではそれが当たり前だし、特に成立しているカップルであれば、見せ付けることこそ愛の証と言う風潮すらある。
「早いところロヴンを探そう。こんなところに長くいたら私たちもおかしなことになってしまいそうだ」
「同感だな。私はまださすがに見せ付けてやりたいとまでは思わないし……」
和歌さんは人一倍羞恥心の強い人間でもあるので、見るのもあまり気が進まない様だった。
「私ならここにいるぞ」
背後から声がかかり、振り返ると医者や研究者の白衣の様な物に身を包んだロヴンが立っていた。
相変わらずのお堅い服装だ。
「オーディン様から連絡を受けたのでな、非常に不本意ではあるがここで待っていた」
用件があるなら早く言え、と顔に書いてある。
もっとも用件だってオーディンから聞いてるんだろうし、さっさと済ませてくれればこっちとしても楽なのに。
「久しぶりだね。じゃあ早速だけど、冥界で私が滅ぼしたフレイヤの魂を元に戻してほしい。出来る?」
「何だその用件は……というか滅ぼしたとはどういうことだ?それに何故人間がここにいるのか。一からの説明を要求する」
ああ、出た。
本当に鬱陶しい物言いだ。
これが嫌で私は気が進まなかったのだ。
「ごめんね、ロヴン。言葉が足りなかったのは謝るから。実はね――」
ノルンが私に代わって事情を説明する。
私ではイラ立ってしまって話にならないと判断されたに違いない。
「何だか細かそうな人だな」
「細かいね。あと、やたらお堅い。堅物女の代名詞みたいな女だよ」
ノルンが説明している間、私はロヴンについて簡単に説明する。
「過去に何か確執でもあったの?」
「いや……単に私とは正反対の性格ってだけだと思うけどね。反発してたことは確かかも、お互いにね」
真面目であることは否定しない。
だが、視野が狭いことに関しては私はよしとしない。
視野を狭めるということは、結局見えない部分を見捨てて切り捨ててしまうことと同義ではないか。
しかし、彼女の言い分としては、視野が狭いのではなく、目の前のことに集中するということだという。
あれもこれもと手を伸ばすのでは、それこそ見えていても拾い逃すこともある。
その時に傷つくのは自分だけではないのだと。
どちらの意見も間違っているとは思わないが、私は素直にロヴンの言い分を肯定する気にはなれなかった。
「大体の事情はわかった。冥界と言ったが、今も冥界に魂はあるのか?」
私の方を向き直り、ロヴンが尋ねる。
霧散した魂が移動したかどうかまで確認はしていないが、どうだろう。
「わからない。その時はそれどころじゃなかったからな」
「お話にならないな……いいか、まずはありかを確かめてもらおう。それからじゃないと私とて動くことはできないのだからな」
「確かめるって、もう一回冥界に行けということかしら?」
明日香がさすがにげんなりとしてロヴンを見た。
無理もない、もう一回などと人間の精神でおいそれと行ける場所ではない。
今回は大輝のこともなく、ただついでで助けようという様なものなのだ。
「当然だ。それに、フレイヤの魂を砕いたのはそこの筋肉女だろう。別におかしいことは何もないと思うが」
「おーおー、鉄の処女膜女さんは言うことが違うねぇ」
「何だと?私は私に見合った相手を合理的に選んでいるだけだ。それがたまたま今も続いているだけで」
「それがもう何千年になってるわけ?そのままトゲトゲの処女膜になって今度は錆びちゃうんじゃないの?」
「貴様……言ってはならんことを言ったな……私の処女はまだ錆びてもいなければ蜘蛛の巣が張ったりもしていない!」
「私、そこまでは言ってないんだけど……」
「どうせ言うつもりだったのだろう?だから代弁を……ぐすっ」
自分で言って傷ついて泣いてやがる……。
「あー、あの……」
横から声をかけてきた者がいる。
「あ、フレイだ」
「フレイ?さっきオーディン様が言ってた、フレイヤの双子の兄の……?」
「話は聞かせてもらったよ。うちの愚妹が、迷惑かけたみたいで申し訳ない」
フレイは深々と頭を下げた。
フレイヤと双子だけあって、美しい顔をしている。
フレイヤと違って、思慮深い性格でもある様だ。
「横からすまないね。フレイヤのことなんだけど、僕なら感じることができるよ」
「本当に?」
「それは助かる……」
和歌さんも、さすがにもう一回という気にはならなかったのだろう。
私も正直行きたいとは思わなかったし、この鉄壁女の言う通りにするのも何だか癪だ。
「フレイヤの魂はもう冥界にはいないみたいだ。というか、粒子の状態のままスルーズ、君にまとわりついているみたいだけど」
「!?」
寒気がした。
今すぐにでもシャワーを浴びたい気分だ。
「まとわりついてるって……埃や粉塵の様にってこと?」
「そうなるね。ただし目視で確認できるレベルじゃないくらい細かいけどね。復活させたら全部取れると思うけど」
よりによって何で私に……気持ち悪い。
だが、冥界に行くことなく復活させられるのであれば、それはそれでありがたいことだ。
「だとさ。聞いたかい、ロヴン……いつまで泣いてんのよ……」
また処女膜の話をすると話がループしそうなので、敢えて名前を呼ぶ。
自分で言ったことが思いのほか心に堪えた様で、ロヴンはまだ泣きじゃくっていた。
「どうせ私のことなんか、みんなめんどくさい鉄処女鉄面皮とか思っているに違いないんだ……このまま私は誰の目にも留まることなく……この処女だってそのうちさっきスルーズが言った様に、蜘蛛の巣が生えたりして、蜘蛛に食われて……ああ、それで非処女を名乗れるのであればそれも一興か……」
「ねぇ、私それ言ってないよね?」
蜘蛛に処女膜食われて喪失とか、どんだけマニアックな思考してんのよこいつ……でも本当、めんどくさい。
いっそ大輝にでも抱かせてしまおうか。
幸い女神を名乗るだけあって見た目は悪くないし。
「おい睦月、今何考えた?」
「えっ」
何でわかったんだろう。
以心伝心って言うやつだろうか。
やだ、少し恥ずかしい。
「何となくわかるんだよ。俺に宛がうつもりだっただろ。そもそも今こんな姿でどうやって……」
「いやぁ……でもさ、めんどくさいかなって……」
「だからって、何で俺なんだよ!嫌だよ!!」
「そうか、私みたいなめんどくさい無愛想な鉄面女は嫌だよな……わかるよ……」
「あっ……」
ずーん、と音が聞こえそうなほど落ち込むロヴン。
ついボリュームを気にせず喋ってしまった。
「あ、あのですね、ロヴンさんが嫌ってわけじゃなくて……」
「いいんだ、わかっているんだ……私のめんどくささは折り紙つきだから……」
そこまでわかっているなら直す努力くらいしたらいいのに。
いや、努力はしなかったわけじゃないのだろう。
だが彼女はきっと、男を色眼鏡で見る癖がついてしまっていて、それが現在に繋がっている。
「ああ、もう!!今はそんなこと考えてる場合じゃないんだってば!!」
私が地面に膝をついて崩れているロヴンを立たせる。
さすがに時間が惜しい。
こうなったら仕方ない、奥の手を出すか。
「ロヴン。まずはフレイヤの魂を元に戻して。そしたら……あんたの願いを叶えてやってもいい」
「願い……?男を紹介してくれるの?」
何だこいつ、急にしおらしくなりやがって。
しかも男って言ったときのあの目のキラキラ具合。
多重人格か何かじゃないだろうな。
「そうだ。紹介してやる。そこにいる大輝だ。あいつはそりゃもう、大した男で……」
「お、おい勝手にそんなこと……」
「そうよ!何勝手に決めてるのよ!!」
大輝を含めた四人からブーイングが上がる。
だがもうそんなことに構っている場合ではない。
「いいか、そんな大輝を一晩貸してやる。そうしたらお前だって今より自信つけることができるんじゃないの?」
「私……」
「何だ?」
「私は、脳筋女他数名のせいで汚れた男に汚されたくない」
「あんだと……こっちが下手に出てやれば、こいつ……」
やはりと言うべきか、イライラしてきた。
こっちは断腸の思いで大輝を貸してやるって言ってるのに。
仲間のブーイングも無視して決意したってのに!
「大体、その大輝と言う元人間がどれほどのものだというのだ。情事に明るいからと言って、この私が簡単に処女を渡すとでも思ったか。私をそこにいる女どもと同列に扱ってもらっては困る」
「……そんなこと言ってるから、男が寄ってこないんじゃん」
ノルンが、頭にきたのか痛烈な一言を放つ。
「そうね、そんなお高く留まっている女、男からしたら面倒なだけだわ。当然のごとく他の女がよく見えてしまうわね。かませ犬にすらなれてないってわけよ」
明日香もなかなか辛辣だ。
「私も一歩間違えていればこんな風になっていたのか……大輝がいなかったらと思うと、ゾッとするな」
和歌さんがトドメを刺す。
それぞれの一言に、ロヴンが石の様になって固まった。
「まぁ、蜘蛛の巣でも何でも張ったらいいんじゃない?彼女自身が招いてる結果に、大輝まで付き合わせるのは不憫ってものだよ」
「な、何だと!?私が自分で今を招いているというのか!?思ったことを言っているに過ぎないのだぞ!」
「それが良くないって言ってるんだって。何でも思ったまま言えばいいってもんでもないし、大体思ったことだって建前でしょ」
「た、建前!?何を根拠に、そんな……」
「じゃあ、本当にそれが素直な言葉だって言うわけ?本当に?嘘偽りない?縁結びの女神の二つ名に誓える?」
子どものケンカみたいな言い合いになってきているが、ノルンの言い分もわからないではない。
素直になれないことが、彼女の出会いを著しく阻害している。
誰から見ても、それは明らかだった。
「あの、俺当事者なのに蚊帳の外なんですが……」
「大輝はちょっと黙ってて。この堅物女に少し、わからせてやらないといけないんだから」
「いや、待ってくださいって。俺にだって一応意思はあるんですから」
そう言って大輝はロヴンを見る。
目が合ってロヴンが、さっとその目を逸らした。
顔が赤い。
「ロヴンさん、みんなが勝手なこと言ってすみません。でも、一ついいですか?」
「何だ……」
「ロヴンさん。俺……」
「…………」
「俺も、あなたみたいなめんどくさい女はちょっと、ごめんなさい」
まばゆいほどの笑顔で、大輝は言う。
こいつ……悪魔か……。
落雷の直撃でも受けたかの様な表情になり、再びロヴンが崩れ落ちる。
「た、大輝……」
「それはちょっとひどすぎると思うわ……」
まぁ見てろ、と言いたげに大輝はウィンクをする。
そのウィンクを、当然ロヴンは見てなどいない。
「って言うのはまぁ冗談なんですけどね、ロヴンさん」
くわっ!!とロヴンが目を見開いて大輝を睨む。
その睨みを受けても、大輝は怯まなかった。
「ロヴンさん、俺なんかでよかったら、あなたの苦悩を解消してあげたいと思ってるんですよ」
「……嘘だ」
「嘘じゃないですって」
大輝は笑顔を崩さない。
「ここにいる女たちは、自分たちの意思で俺についてきてくれていますが、ロヴンさんから見て彼女たちはどう見えますか?不幸そうですか?」
「その質問に、何の意味がある……」
「出来れば答えてほしいんですけど」
「……正直、楽しそうだ。妬ましい。幸せそうなのが羨ましい。私よりも不幸でないのが許し難い……私よりももっと、下が見たい……」
最悪だ、こいつ。
「ま、まぁ最後のは置いといて、楽しそうだとか幸せそうだって見えるんだったら、その感想は正しいんだと思います。俺もそう思いますから」
「…………」
「確かに、最初見た時はめんどくさそうだって思いました」
「やっぱり、めんどくさいんじゃないか……」
「聞いてくださいよ。けど、そのめんどくささもロヴンさん自身の寂しさからきてるんじゃないかって、俺は思ったんです」
「……わかった風なことを……」
「まだそんなこと言うんだ?」
「……ノルンさん。すみませんね、でもみんなもきっと、ロヴンさんのこと何とかしたいって思ってるんだと思うんです」
ロヴンが私やノルン、和歌さんや明日香をそれぞれ見る。
フレイはいつの間にか何処かに消えている様だ。
「縁結びの神様だからとか、そういうのは別に関係ないですよ。俺は、一人の女性としてあなたを放っておけないんです。それじゃ足りませんか?」
「どうして、そこまで言ってくれるんだ?お前に何の得があるんだ?私の相手などしているよりも、もっと有意義な時間を過ごす方が大事じゃないのか?」
「だって、もうあなたとあなたを取り巻く環境を知ってしまいましたから」
大輝は少し困った様な笑顔で言う。
この笑顔に、大体の女はやられてしまうのだろう。
それはこのロヴンにしても同じ様で、大輝の熱はロヴンの心に張った氷を溶かした様だった。
「……私は、甘えてしまってもいいのか」
「ダメだったらこんなこと言いませんよ」
「…………」
ロヴンが大輝に縋り、肩を震わせた。
「だが、そういうことは女の姿ではなく男に戻ってから言って貰いたい。フレイヤの魂を戻してやるから、すぐ人間界に戻れ。近いうちに私から出向こう」
「!!じゃあ……」
「今言ったとおりだ。約束だからな。絶対だぞ。違えることがあれば……」
「そんなことしませんよ。何なら、ここで頭金じゃないですけど……先払いしときますか?」
「何だそれは……先払い?」
「こういうことです」
そう言って大輝は、ロヴンの顎を掴んで口付けた。
百合だ!百合プレイだ!
おお、と息を呑む声が聞こえる。
「な、な、何を……」
「今は女の姿ですけど、今度は男の姿でお相手しますから」
色々あったが、とにかくこれで人間界に戻れる。
ロヴンは私にまとわりついたフレイヤの魂を集めてくれて、そのまま修復作業に入った。
和歌さんや明日香は何か言いたげだったが、飲み込んだ様だ。
問題は、人間界で留守番をしている三人にどう話すかだが……。
なる様にしかならないだろう。
まずはオーディンに礼を言いに行かなくては。
「そうか、上手く行った様で何よりじゃの」
「本当に、生きた心地がしなかったけどね」
オーディンのすぐ側に、ロキがいた。
「お前が何で、ここに?」
ついトゲのある言葉が出てしまう。
「オーディン様がね、君の力が消えてすぐ元に戻してくれたのさ。フレイヤと違って、魂は無傷だったから」
「そうかい、そりゃ何よりだ。大輝に礼を言うんだね。大輝がああ言わなかったら、あんたは今もあの壁の中なんだから」
「そうだね。大輝、感謝するよ」
「いや、俺の方こそ……みんなが、誤解だったとは言え結構ひどいことしたみたいで……」
「まぁ、久しぶりにスルーズの力が見たかったっていうのがあったし、丁度良かったよ。めちゃくちゃ痛かったけどね」
「何?あんたマゾなの?気持ち悪い……」
「そういうのはさすがに心にくるから控えめに頼むよ……」
マゾでないなら、あんなのを見たいなんて変わってるってレベルじゃないだろう。
結局手のひらで転がされた様なものだったし、何だか釈然としない。
「もうじき、フレイヤの魂も戻ることじゃろうて。待っておる者もおるのじゃろう?戻ったほうがいいと思うぞ」
こうして、神界での事件は一旦の解決を見た。
舞台は再び人間界に戻ることとなる。
いずれロヴンが大輝を求めて人間界にくるだろう。
その時は仕方ない、歓迎してやるとするか。
朋美たちにする説明を、考えておかなければ……。
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