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本編
Girls side28話~対話~
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「で、もう一人増えそうって、どういうことかな?」
人間界に戻ってきて、お互いの無事を喜び合っていたのも束の間。
事の経緯を話し、全てはロキの手のひらの上だったことも全部話して、大輝の母親が太陽の女神だった話もして、ロキとフレイヤを復活させるのに苦労した話もした。
フレイヤの復活の話をしていた時に、ついうっかりと私はロヴンとのことも話してしまった。
あの時の大輝とノルンの顔は忘れられないだろう。
和歌さんと明日香に関しては、疲労が激しかった様で今も眠っている。
一度は起きて会話に加わろうとしたのだが、話し始めてすぐに船を漕いでいたので、ノルンから無理しない様に言われてそのまま布団に入った。
大輝は人間界に戻り、どういうわけか人間の男……つまり本来の大輝に戻っていた。
女神に変身するにあたって、何か条件の様なものがあるのかもしれない。
朋美などは、女神の大輝も見てみたかったという。
大輝自身も、トイレの作法とか聞いておきたかった、と言って残念がっていた。
そもそも神の体であればトイレの作法も何も必要ないわけだが、興味があったのか。
話を戻すと、ロヴンの事を聞いた朋美ら三人は、当然ながらいい顔をしなかった。
宝探しなどと同じ様なもので、自分たちの取り分が減る、というのはやはりいい気分ではない。
かくいう私だって、断腸の思いでロヴンに提案したのだ。
気持ちはよくわかる。
しかし、怒りの矛先は大輝だけでなく私にも向いていた。
「えっと……大輝の願いを叶える為に致し方なく、と言いますか……」
「どう仕方なかったの?」
朋美は満面の笑みで大輝を詰問していた。
時折こちらをチラチラと見て、睨みを利かせてくる。
再会したときの悪夢再びである。
「そもそもさ、自分の縁も結べねぇ癖に何で縁結びの女神とか名乗ってんの?名前負けしてんじゃん」
ごもっともである。
私も過去に、それについては何度か追求したことがある。
その度ケンカになった。
誰しも、つつかれたくないところはあるものなのだ。
「まぁその……フレイヤとロキは結果として、俺の恩人になったわけで……」
「だから?」
「その二人のうち一人は、ロヴンさんの力が必要で……」
「うん、それで?」
これは……聞き入れる気皆無の態度。
「ごめんなさい」
大輝は頭を下げた。
せっかく無事帰ってこれたのに、いきなりお説教というこの仕打ち。
「じゃあ、今からでも断れるよね?」
バッサリと大輝の今までの説明をぶった切る朋美。
「それは出来ない。もう、約束しているし……」
「じゃあ大輝は、私たちよりもロヴンっていう人が大事なの?」
ほぼ最強に近い力を手に入れた大輝も、こうなっては形無しである。
「ねぇ睦月、何か自分は関係ない、みたいな顔してるけど、そもそも提案したの、睦月なんだよね?」
やばい、火の粉が飛んできた。
けど……あのときはああするしかなかった。
だが、それについては散々大輝が説明してこの現状だ。
私が何を言っても、状況が好転する気がしない。
「大体、もうそのフレイヤっていう人も復活できたんでしょ?なら今からでもすっぽかしちゃえばいいじゃん」
桜子がとんでもないことを言い出した。
大輝にそれができるのであれば、私も最初からそのつもりで提案していた。
嘘をつくのが下手だけど、一生懸命だからロヴンも惹かれるのだろう、そう思ったから大輝をけしかけたというのに。
仮にすっぽかすことになったとしたら、大輝は罪の意識で長いこと思い悩むだろう。
大輝はそういう人間だ。
それこそ、私たちの目を盗んで約束を果たしに行こうとするに違いない。
「それができるなら、苦労しないよ。大輝がそういうことする人間だと、本気で思ってる?」
ノルンが大輝を援護する。
「そういうことする大輝を、みんなは見てみたい?私はちょっと嫌だな」
正直な話、ロヴンは大輝からすっぽかされることも覚悟はしてるのではないかと思う。
何故なら、ロヴンとしてはフレイヤの復活という、今回の報酬を先払いする必要はなかったはずなのだ。
大輝に約束通り抱かれて、その報酬として復活させる、という手段を取ることだってできた。
もちろん、大輝にいきなりちゅっちゅされて気が動転していた可能性も考えられるが、約束事に関してあの堅物がそんな手抜かりをするとも考え難い。
純粋に大輝が自分を真っ直ぐ見てくれたことが嬉しかったのではないかと思う。
いけすかないやつではあるが、そういう相手に裏切られるなどという経験をさせたいとまでは思わない。
「確かに、大輝はそういうことしないと思う。けど……」
「大輝がこういう真っ直ぐな人間だから、みんなも好きになったんじゃないの?私は少なくとも、そうなんだけど」
ノルンも加わっての説得は、まだ続いていた様だ。
ノルン、頑張れ!
大輝の命運はノルンにかかっていると言っても過言じゃないよ!
「スルーズだって、そうだよね?」
ノルンが私のモノローグを読んだのか、私に話を振ってきた。
このタイミングで振ってくるのか……。
「も、もちろんだよ。大輝は今までもこれからも、きっと誰かの為にって動くんだと思うし」
「何か話聞いたり今までのこと思い出したりするとさ、大輝は動物とか拾ってきそうなイメージしかしねぇんだよな」
愛美さんが言ったことに、大輝は不思議そうな顔をした。
「いや、俺動物なんか拾いませんよ」
「は?どう考えても見捨てられなかったから、って子犬とか拾ってきちゃった風だろうが、今」
「いや、だって俺動物アレルギーだし」
「…………」
「な、何ですかその顔……」
果てしなく意外だった。
それはみんなも同じ様だが、大輝は分け隔てなくどんなものにも愛情を、っていうタイプだと思っていた。
動物にしても何にしても、そういう姿勢なのだと勝手に決め付けていたのだ。
「てっきり、女も犬猫感覚で拾ってきてるのかと思ってたよ」
「そ、それはひどい……俺、さすがにみんなをそんな風に見たことないですよ……」
「それはそれとして」
朋美が流れを斬る。
「じゃあ、大輝はどうするの?そのロヴンさん?と約束を果たして、その後は?」
「認めてくれるのか?」
「もう、仕方ないじゃん。大輝にそんな残酷な真似しろって言ったって、絶対できないのわかったもん」
朋美はここへきて大輝の本質を認めた様だった。
認めたくないというよりは、大輝の行動の結果、女が増えていくのだということを理解したということか。
大輝はそもそも女を作ろうという思いで動いているわけではない。
もちろん、大輝の言動や行動に相手を勘違いさせる様な内容が全くないとも思わないが、大輝は意識してそれをしているわけではない。
だが、大輝は自分の行動や言動が、相手に気を持たせてしまっているということも理解はしているのだろう。
だから、全てに責任を取りたがる。
その責任を果たすために犠牲が出るのであれば、その犠牲者にも責任を、と凄まじいまでの無限ループになりそうだが、それが宇堂大輝という人間だと私は思っている。
きっと大輝は、責任を果たすのに一生かかるのであれば一生かけて責任を取る、などと思っているんだろう。
そういう意味では激しく我が儘だと思う。
そうしなければ自分自身が納得できない。
そんなしょうがない子だから、みんなついてくる。
「これ以上責めたら、私が我が儘言ってるみたいになっちゃうからね」
「ありがとう、感謝するよ」
「けど!納得したわけじゃないからね。それについてはどうしてくれるの?」
「それなんだけど……」
大輝は何と、驚くべきことにみんなで神界へ日帰りで旅行などどうだろうかと提案した。
償いになるのかはわからないが、神界が綺麗な場所でもあるので、その綺麗な場所を観光させてやりたい、と大輝は考えた様だ。
みんなを連れて行くとなると、さっきの明日香や和歌さんの様に、魂をある程度はがしたりという作業が必要になる。
大輝にも手伝ってもらう必要が出てきそうな話だ。
「神界か、興味はあったんだよね。明日香とか和歌さんがちょっと羨ましいって思ったし」
あの二人は大輝救出やらでそれどころじゃなかったと思うけど。
今も眠っているあの二人の疲労は、下手をしたら二日か三日くらいは完全回復までにかかるのではないかと思う。
観光程度ならそこまで精神を磨耗させることもないだろうが、何が起こるかわからない。
主催者が巻き込まれ体質の大輝だから、その心配は一層大きなものになる。
「大輝のお母さんってのも見てみたいよな。綺麗な人だったか?」
「綺麗だと思いますよ。俺の顔が似てるって言ってたけど、そうなのかな、睦月」
「ああ、言われるまではそう思ってなかったけど、二人並んだら似てるかもしれないね」
大輝は親子で似てると言われるのが新鮮なのか、少し照れていた。
「何だ大輝、お前母親にも欲情できるのか」
「違いますよ!何でそう下方向に持って行こうとするんですか、全く……」
愛美さんもわかってて言ったんだろう。
母親に会えたというのが、きっと自分のことの様に嬉しいに違いない。
「じゃあ、いつ連れてってくれる?明日香と和歌さんが万全になってからだよね」
「そうなるよな。さすがに留守番してろってわけにも行かないし」
「まぁ、あまりにも治り具合が遅かったら私たちで何とかするよ」
そんなわけで、大輝は自らの力の秘密を探らなければいけなくなった。
どんな状況でなら女神になれるのか。
また、どういうことがきっかけで元に戻るのか。
それらを掴んでおかなくては、みんなを神界に連れて行くというのは夢物語で終わってしまう。
「意識がなかった時、何かなかったの?」
「何かか……何かあったっけな……」
大輝は考えたが、特に思い当たることがなかった様だ。
ならば、私たちが思いつくことを一個ずつ実践していくまでだ。
まずは、大輝を追い込めるだけ追い込むことから始める。
「じゃ、大輝……セックスしよ!」
昔のドラマの様に、大輝を誘う。
「ちょっと、ずるいよ!私だってしたいのに!」
「おいおい、そういう抜け駆けはちょっと卑怯じゃねぇの?」
ということで、明日香と和歌さん以外のみんなで大輝から搾り取れるだけ搾り取った。
「どう?」
ツヤツヤしている私たちとは対照的に、大輝は半分干からびて見えた。
長い一日だったせいか、大輝の体が恋しくもあったのだが、ちょっとやりすぎただろうか。
「だ、ダメみたいだ……色々な意味で……」
「これはダメだったか……だとすると……」
次は、限界まで飲み食いさせる。
栄養素が足りないせいだ、ということになって、ピザを十枚Lサイズで注文する。
他にもチキンやサラダと言ったサイドメニューも忘れない。
デブのお友達、コーラも大量に注文しておいた。
「何か、すごい存在感だな、ピザ……」
さすがにこれ全部を大輝一人で食べるのは無謀なので、みんなも一緒に晩御飯にする。
こんなに美味しそうな匂いがしているのに起きてこない二人は、本当に疲れているんだなと思う。
「ごえっぷ……」
元々そんなに食べない大輝が、割と頑張ってピザを食べる。
いつかの寿司の時ほどではないが、なかなか頑張ったのではないかと思う。
「今度はどう?」
「神力よりも、何か違うもんが出そう……」
仕方ないので、食べ切れなかった分はラップをして冷蔵庫へ。
和歌さんなどはこの程度じゃ食べたりないだろうから、後で何か作ってあげないと。
「じゃあ、次は……」
「ちょ、ちょっと待った。何か絶対これ迷走してるだろ。こんなんで女神になれるなら、和歌さん辺りはもう女神だって」
確かに。
こうなってくると、方向性とか色々見直しが必要な気もしてくる。
「そんな風にして大輝をいじめたら、可哀想よ」
淫靡な匂いと共に、声がした。
この匂いは、あいつしかいない。
「フレイヤさん?」
「大輝、ありがとうね。おかげさまでこの通り、復活できたわよ。お姉さんがお礼に、いい事してあげましょうか」
「いや、俺もうすっからかんなんで……」
「すっからかんじゃなかったら、やるつもりなんだ?」
朋美の目がギラリと鈍い輝きを灯すのを見て、大輝が震え上がった。
「大体お姉さんって歳じゃないでしょうが……」
「な!?失礼ね!!」
「まぁまぁ……それで、何しにきたの、フレイヤ」
「ああ、そうそう。大輝の女神化についてすったもんだしてるのよね、今」
「そうだけど、何か妙案でもあるの?」
フレイヤは、大輝の女神化について語った。
人間や神は、気をめぐらせたり溜めたりできる場所が決まっていて、そこから全身に気を送り込んだりする。
その場所は、下腹部にある丹田と呼ばれるところだ。
まずはそこを調べることになった。
「んー……今大体五十パーセントってところかしら」
「あ、そういうことか」
ノルンはわかった様だ。
ノルンが大輝の下腹部に手を当てる。
そして意識を集中させた。
「おお?」
「なるほど、大輝はまだ充電型なのか」
つまり、大輝の神力は携帯の充電みたいなもので、使えば減っていく。
通常は空気中の気を吸収したりっていう動作を神の気でオートでしてくれるのだが、大輝の場合それをすることがまだできない。
経験不足というだけなので、女神化が簡単に出来る段階になればおそらくはそれも簡単になる。
それこそ、寝ていても大気中の気を吸収して、いつでも神力を取り込める様になるのだ。
ついさっき女神になったばかりの大輝は、これを何度も繰り返して体に覚えこませる必要がある。
「五十パーセントって言ってたけど、ゼロになるとどうなるんです?」
「ゼロになることはまずほとんどないと思うんだけど、仮にそうなると……多分しばらく動けなくなるよね。手動で充電が必要な状態だから、かなりきついと思うよ」
「なら、どうしたら……」
「自動での充電のやり方を、覚えてしまう方が早いし安全よね」
フレイヤは簡単に言ったが、これは正直そう簡単なものではない。
人間の感覚で言えば、本当の意味で自然と一体化するとか、そういうことをいつでも出来る状態にする必要があるのだ。
一朝一夕で出来るとは到底思えない。
「それを可能にするのが、このやり方よ」
何と、フレイヤが懐から取り出したのはちょっと懐かしい忍者漫画だった。
今はこれの主人公の息子が主役の漫画が連載しているはずだ。
「カ○シ先生はすごいわよね。この発想はなかなかできないもの」
「何か俗物っぽくなったね、フレイヤ……」
フレイヤの提案としては、私とノルンとフレイヤとで、大輝の体から分身体を作り出す。
その分身体に、神力を均等に振り分けて、ひたすら女神化させると言ったものだった。
神力がゼロに近くなったところで大輝を元に戻して、その経験値を何倍にもするというものだった。
「そう上手く行くものかなぁ」
「カ○シ先生は天才よ?絶対上手く行くわ」
カ○シ先生大絶賛だな。
フィクションの人物にここまでのリスペクトをできるフレイヤはオタクの才能も豊かなのかもしれない。
しかし、フレイヤの……いやカ○シ先生の提案は、実際に大輝の成長を何倍も早くした。
「大輝のことは好きだけど、これはきめぇ」
分身体を見た愛美さんはそんなことを言っていたが、徐々に大輝は自動充電のやり方を掴みつつあった。
カ○シ先生すげぇ。
カ○シ先生もすごいが、実際このめちゃくちゃな特訓についてきている大輝もなかなかすごい。
だが、そろそろ限界が近そうに見える。
「フレイヤ、そろそろ……」
「了解。大輝、休憩だけど休んでいる間も今の感覚覚えておいてね」
「う、ああ……」
寄って集って大輝をいじめている様に見えなくもないが、大分いい感じに大輝は成長している。
「さっき晩御飯食べてたし、もし疲れちゃってダメそうなら、そろそろ眠っちゃってもいいかもね」
「いや、もう少しやっておきたい……何か掴めそうな感じなんだ」
高校受験の受験勉強の時にも少し感じていたことだが、大輝はどうも感覚型の人間な気がする。
頭で理解するよりも、体に覚えさせるタイプ。
理屈は後々理解できるが、体がより早くそれを覚えるタイプだ。
繰り返しそれを行うことで、体に染み込ませて行ける。
大輝は自分の為にしかならないことは基本やらないタイプで、誰かの為になることだと率先してやりたがる。
今回の特訓もその傾向が強く、朋美たちの為に身につけたいというのが行動原理になっている様だ。
結局、この日は夜中の三時頃まで特訓が続いた。
翌朝、十時を過ぎても大輝はおきてこなかった。
これはなかなか珍しいことだ。
大輝は眠りが浅いタイプで、割とちょっとしたことでも起きてしまう。
アラーム等をセットしなくても大体朝六時から八時の間には起きている。
「相当疲れてるみたいねぇ。今日も特訓できそうなのかしら」
「大丈夫でしょ。本人が折れない限りは」
「それより、フレイヤは何でこんなに協力的なの?少し気持ち悪いんだけど」
「気持ち悪いって、ひどくない?」
「だって事実だし」
「…………」
「ああ、そうそう。お兄さんのフレイ、昨日何処に消えちゃったの?」
「兄さんは神出鬼没だから。多分今も何処かでフラフラしてるんだと思うけど」
「大輝がお礼言いたがってたからさ。会うことがあったら伝えておいてよ」
そんな会話が為されているうちに、和歌さんが起きてきた。
「おはよう……まだ何か体が重い気がする」
「おはよう。人間の精神であれだけ頑張ったからね。辛かったら言ってね、緩和させることはできると思うから」
「少し休んだら多分大丈夫だろう。それより何か食べるものはないか?」
和歌さんに食事を用意し、明日香の様子を見ようとすると、明日香も起きてきた様だ。
二人で食事をして、そのあとシャワーを浴びる。
時間は昼前に差し掛かって、ようやく大輝は起きてきた。
「もうこんな時間なのか……」
「おはよう、って時間でもないけどね。今日も特訓できそう?」
「今日はバイトあるからな。そこまでじっくりはできないかもしれないけど、支障のない範囲でやっておきたいかも」
「ああ、そうか。愛美さんもだっけ?」
「そうだったと思う。ちょっとシャワー浴びてくるわ」
そう言って大輝はバスルームへ。
あれ、今二人がバスルームに……。
「あ、大輝……」
声をかけようとしたが既に遅かった。
「お、お前朝から何発情して……!」
「ち、違う!誤解ですって!」
「早く出てよ!!こんながっつり洗ってるとこ見せたくないから!!」
「わ、わかったからシャワーこっち向けないでくれ!!」
「……毎日こんな感じなの?」
「いや、今夏休みだから……和歌さんは多分もうすぐ仕事に行くと思うけど」
「楽しそうでいいわねぇ。私も混ぜてもらおうかしら」
「それ、本気で言ってる?朋美の前で言ったら大変なことになると思うんだけど」
朋美は今、桜子と井原さんと久しぶりに三人で出かけている。
せっかく東京に戻ったから、ということで旧友に会っておきたいと言っていた。
ノルンは神界での事務処理が少し溜まっているということで、夜まで戻らないらしい。
風呂場を追い出された大輝は、バスタオルを巻いて別の部屋にこもってしまった。
「朋美ねぇ……あの子、大輝に大分お熱の様ね」
「ここにいるメンバーはノルンも含めて全員そうだよ。もうすぐロヴンも加わるかもだけど」
「ロヴンか、あの堅物をあそこまで軟化させるって、なかなかできないわよね」
「そうだね。大輝はどう考えてるかわからないけど、ロヴンにとっては僥倖ってやつなんじゃない?」
「神を三人も攻略するなんてね。あ、私も含めたら四人かな」
「え、本気なの?」
「ま、私のことはともかく朋美は多分、人の愛し方がよくわかってないから、自分の感情をただぶつけてしまう傾向にあるんだと思うわ。私ならもしかしたら、もう少し柔軟にしてあげられると思うのよね」
「ふむ……フレイヤ、あんたも朋美の出自やら知ってるとは思うけど……」
「わかってるわよ。だからこそなの。ちゃんと人間としてやっていく為に、絶対必要になる部分ではあるじゃない?」
フレイヤの言うことももっともではある。
この先あの調子では、社会に出てから苦労する部分も出てくるだろうし。
フレイヤが何とかできるというなら任せてしまうのもありかもしれない。
それに、この夏休みを通して朋美が人間として成長できればあのタコ坊主も嬉しいんじゃないかと思った。
「私個人としては反対はしない。あとは朋美にでも聞いてみるんだね」
「そうするわ。帰りは何時頃になるのかしら」
「どうだろう。何時って明言はしてなかったかな、そういえば」
「ここで待っていてもいいんでしょう?大輝の特訓もあるし」
「そうだね、ノルンがいないからさすがに私一人じゃ骨が折れる」
大輝がバイトに出かけて、少しして朋美と桜子が帰宅した。
井原さんはそのまま良平くんとデートだとかで、早めに別れたらしい。
そして大輝のバイト終わりよりも少し早いくらいの時間に、ロヴンから念による連絡がきた。
『スルーズ、聞こえるか?』
『聞こえてるけどさ、こんばんはくらい言えないの?がっついてると大輝に愛想尽かされるよ』
『……こんばんは』
ふてくされた様な声になった。
案外可愛いところもあるじゃないか。
『まぁ用件はわかってるけど、今大輝なら出かけてるよ。あと大輝は今女神化が解けてしまってる』
『なるほど、だから念が通じなかったのか』
『そういうことだね。どうする?もうすぐ用事は終わって帰ってくると思うけど』
『どうするか……』
「どうしたの、睦月。難しい顔してない?」
そうだった、今は朋美もいるんだった。
「あ、いやその……ロヴンから連絡が」
「……昨日言ってた人だよね。私も話したいんだけど」
嫌な予感しかしない。
桜子も話してみたいと言い始めて、ならば私もと、明日香が乗ってくる。
『あー、ロヴン?あのね、大輝の彼女その二とその三とその四もロヴンと話したいって言ってるんだけど』
『は?何故そうなる。あとそんな呼び方していいのか?』
『呼び方はともかく、その四は昨日ロヴンも会ってるよ。後ろで髪結わいてた子』
『ああ、あの少し堅そうな子か』
明日香だってお前にだけは言われたくないだろうよ。
『その二はちょっと感情のふり幅が大きい感じ。その三は……可愛いやつだよ』
『何だその雑な紹介は。本人たちに聞かれたらどうするんだ?』
「ねぇ、話せるの?」
「あ、ああ、えっと今本人に了解を……」
「いいから話させてよ。繋げるんでしょ?」
「わかった、くれぐれもいきなり噛み付いたりしないでね」
「人を猛犬か何かと勘違いしてない?」
あまり気乗りはしないが、朋美と桜子、明日香に念の通話に参加してもらうことになった。
フレイヤが黙って聞いていたので、接続を手伝わせる。
『というわけで、彼女たちにも参加してもらったから』
『いきなりだな……』
『桜井朋美といいます。よろしくお願いします』
『野口桜子です。お噂はかねがね……』
『昨日会ったわよね、宮本明日香よ』
『ロヴンだ。縁結びの神の二つ名をもらっている』
それぞれが自己紹介をする。
顔が見えないのでロヴンの様子はわからないが、焦ったりしている様子はなかった。
『君たちの言いたいことは大体わかってる。大輝と私がその……ああいうことをするにあたってのことだろう?』
『ああいうことって……』
『ロヴン、カマトトぶって許されるのは、人間界だとせいぜい二十歳くらいまでだよ』
『う、うるさい!慣れていないんだ、お前と違って……』
『まぁ、今は表現のことはいいです』
朋美が話を遮る。
せっかく雰囲気だけでも明るくしとこうかと思ったのに。
怒っている様子ではないが、朋美はやや真剣な面持ちだった。
『ロヴンさんに、聞いておきたいことがあるんです』
スリーサイズでも聞くつもりなんだろうか。
ロヴンはそこそこスタイル良かったと思うが。
『何でも聞いてくれ。答えられる範囲で答えようと思う』
ロヴンは太っ腹だ。
本来であれば私と大輝が勝手にした約束なのだし、答える義務などないだろうに。
『私たちの関係を、ロヴンさんはどういうものだと思っていますか?』
『どういうもの、か。難しい質問だな。正直、最初に話を聞いたときは、人間界によくある大学の乱交サークルみたいなものかと思っていた』
何でロヴンがそんなものを知っているのか、たまに人間界を覗き見でもしていたのだろうか。
『人間には、そういう趣味嗜好の者も多くいると聞くからな。だが、実際大輝と話してからは……』
朋美は黙っている。
明日香と桜子も、言葉を発することなく見守っていた。
『集まるべくして集まったのだな、と感じた』
なるほど。
きっとロヴンには大輝や、それを取り巻く私たちの関係が眩しく映ったのだろう。
『わかりました、ありがとうございます。次に大輝のことを、どう思っていますか?今後、どうなりたいっていう明確なビジョンの様なものはありますか?』
まるで面接みたいだ。
この話し合いを通じてロヴンの性格やらを見極めたいのだろうか。
実際に会ったら印象が変わるなんてことはよくある話だが、それでも聞いておきたいということか。
『大輝に対する感情は、おそらく恩義の様なものが一番大きいのではないかと思う。私の様なめんどくさい女でも、ちゃんと一人として向き合ってくれたから。だから、私は大輝にどう扱われても構わないとさえ思っている。もちろん大輝が雑な扱いをするとは考えていないが、そうされても後悔はない、という意味だ』
『愛情とか、恋心の様なものではないんですか?』
『正直、恋愛感情というものがどういうものなのか、私にはよくわからない。だが、彼を思うとき、胸の奥が温かなもやの様なものに包まれているのを感じる。これが恋だというのであれば、私はそれを否定するつもりはない』
今までが出会いに恵まれなかったのだから、当然と言えば当然か。
私たちは幸運だったのだと改めて思う。
『今後どうなりたいかについては……正直、大輝を支えていければと思うが、私も縁結びの女神としての仕事が暇なわけではないから……大輝が私を望んでくれるなら、それに沿える様にしたい』
思っていたよりもちゃんと考えていたのだなと思う。
目先の魅力に捉われたとか、そういうものではないことが窺える。
朋美から見てもそれは同じだった様で、既に険しい表情ではなくなっていた。
『本当、大輝は仕方ないなぁ……けど、それが大輝なんだなって最近はちょっと思える様になってきたんです、私』
『君たちの言い分は、わからないでもない。いきなり現れた女が割り込もうとしているのだから、心中穏やかでないであろうことも想像ができる』
『昨日までは、そうでした。けど、今はもう、そういうわだまかりみたいなものはなくなってきてるんです。寧ろ私も、ロヴンさんに会ってみたいって思ってます』
『その、いいのか……?』
ロヴンは驚きを隠せない様子だ。
正直私も少し驚いている。
盗み聞いていたフレイヤも同様だった様で、私に丸い目をして見せた。
『いいも悪いも、大輝を慕って集まっているんですから。いつこっちに来られるんですか?ついでと言っては何ですが、女子会でもしたいですね。知ってます?女子会』
こうしてロヴンは朋美からも認められ、二人は話に花を咲かせた。
後から明日香や桜子も話に入り、とても賑やかな通話になっていた。
帰宅した大輝が、通話後の三人を見て不思議そうな顔をしていたが、三人は何も語らずただ微笑んでいるのを、ぽかんとした表情で大輝は見つめる。
ロヴンがこっちに来るのは、三日ほど後になるという。
人間界に戻ってきて、お互いの無事を喜び合っていたのも束の間。
事の経緯を話し、全てはロキの手のひらの上だったことも全部話して、大輝の母親が太陽の女神だった話もして、ロキとフレイヤを復活させるのに苦労した話もした。
フレイヤの復活の話をしていた時に、ついうっかりと私はロヴンとのことも話してしまった。
あの時の大輝とノルンの顔は忘れられないだろう。
和歌さんと明日香に関しては、疲労が激しかった様で今も眠っている。
一度は起きて会話に加わろうとしたのだが、話し始めてすぐに船を漕いでいたので、ノルンから無理しない様に言われてそのまま布団に入った。
大輝は人間界に戻り、どういうわけか人間の男……つまり本来の大輝に戻っていた。
女神に変身するにあたって、何か条件の様なものがあるのかもしれない。
朋美などは、女神の大輝も見てみたかったという。
大輝自身も、トイレの作法とか聞いておきたかった、と言って残念がっていた。
そもそも神の体であればトイレの作法も何も必要ないわけだが、興味があったのか。
話を戻すと、ロヴンの事を聞いた朋美ら三人は、当然ながらいい顔をしなかった。
宝探しなどと同じ様なもので、自分たちの取り分が減る、というのはやはりいい気分ではない。
かくいう私だって、断腸の思いでロヴンに提案したのだ。
気持ちはよくわかる。
しかし、怒りの矛先は大輝だけでなく私にも向いていた。
「えっと……大輝の願いを叶える為に致し方なく、と言いますか……」
「どう仕方なかったの?」
朋美は満面の笑みで大輝を詰問していた。
時折こちらをチラチラと見て、睨みを利かせてくる。
再会したときの悪夢再びである。
「そもそもさ、自分の縁も結べねぇ癖に何で縁結びの女神とか名乗ってんの?名前負けしてんじゃん」
ごもっともである。
私も過去に、それについては何度か追求したことがある。
その度ケンカになった。
誰しも、つつかれたくないところはあるものなのだ。
「まぁその……フレイヤとロキは結果として、俺の恩人になったわけで……」
「だから?」
「その二人のうち一人は、ロヴンさんの力が必要で……」
「うん、それで?」
これは……聞き入れる気皆無の態度。
「ごめんなさい」
大輝は頭を下げた。
せっかく無事帰ってこれたのに、いきなりお説教というこの仕打ち。
「じゃあ、今からでも断れるよね?」
バッサリと大輝の今までの説明をぶった切る朋美。
「それは出来ない。もう、約束しているし……」
「じゃあ大輝は、私たちよりもロヴンっていう人が大事なの?」
ほぼ最強に近い力を手に入れた大輝も、こうなっては形無しである。
「ねぇ睦月、何か自分は関係ない、みたいな顔してるけど、そもそも提案したの、睦月なんだよね?」
やばい、火の粉が飛んできた。
けど……あのときはああするしかなかった。
だが、それについては散々大輝が説明してこの現状だ。
私が何を言っても、状況が好転する気がしない。
「大体、もうそのフレイヤっていう人も復活できたんでしょ?なら今からでもすっぽかしちゃえばいいじゃん」
桜子がとんでもないことを言い出した。
大輝にそれができるのであれば、私も最初からそのつもりで提案していた。
嘘をつくのが下手だけど、一生懸命だからロヴンも惹かれるのだろう、そう思ったから大輝をけしかけたというのに。
仮にすっぽかすことになったとしたら、大輝は罪の意識で長いこと思い悩むだろう。
大輝はそういう人間だ。
それこそ、私たちの目を盗んで約束を果たしに行こうとするに違いない。
「それができるなら、苦労しないよ。大輝がそういうことする人間だと、本気で思ってる?」
ノルンが大輝を援護する。
「そういうことする大輝を、みんなは見てみたい?私はちょっと嫌だな」
正直な話、ロヴンは大輝からすっぽかされることも覚悟はしてるのではないかと思う。
何故なら、ロヴンとしてはフレイヤの復活という、今回の報酬を先払いする必要はなかったはずなのだ。
大輝に約束通り抱かれて、その報酬として復活させる、という手段を取ることだってできた。
もちろん、大輝にいきなりちゅっちゅされて気が動転していた可能性も考えられるが、約束事に関してあの堅物がそんな手抜かりをするとも考え難い。
純粋に大輝が自分を真っ直ぐ見てくれたことが嬉しかったのではないかと思う。
いけすかないやつではあるが、そういう相手に裏切られるなどという経験をさせたいとまでは思わない。
「確かに、大輝はそういうことしないと思う。けど……」
「大輝がこういう真っ直ぐな人間だから、みんなも好きになったんじゃないの?私は少なくとも、そうなんだけど」
ノルンも加わっての説得は、まだ続いていた様だ。
ノルン、頑張れ!
大輝の命運はノルンにかかっていると言っても過言じゃないよ!
「スルーズだって、そうだよね?」
ノルンが私のモノローグを読んだのか、私に話を振ってきた。
このタイミングで振ってくるのか……。
「も、もちろんだよ。大輝は今までもこれからも、きっと誰かの為にって動くんだと思うし」
「何か話聞いたり今までのこと思い出したりするとさ、大輝は動物とか拾ってきそうなイメージしかしねぇんだよな」
愛美さんが言ったことに、大輝は不思議そうな顔をした。
「いや、俺動物なんか拾いませんよ」
「は?どう考えても見捨てられなかったから、って子犬とか拾ってきちゃった風だろうが、今」
「いや、だって俺動物アレルギーだし」
「…………」
「な、何ですかその顔……」
果てしなく意外だった。
それはみんなも同じ様だが、大輝は分け隔てなくどんなものにも愛情を、っていうタイプだと思っていた。
動物にしても何にしても、そういう姿勢なのだと勝手に決め付けていたのだ。
「てっきり、女も犬猫感覚で拾ってきてるのかと思ってたよ」
「そ、それはひどい……俺、さすがにみんなをそんな風に見たことないですよ……」
「それはそれとして」
朋美が流れを斬る。
「じゃあ、大輝はどうするの?そのロヴンさん?と約束を果たして、その後は?」
「認めてくれるのか?」
「もう、仕方ないじゃん。大輝にそんな残酷な真似しろって言ったって、絶対できないのわかったもん」
朋美はここへきて大輝の本質を認めた様だった。
認めたくないというよりは、大輝の行動の結果、女が増えていくのだということを理解したということか。
大輝はそもそも女を作ろうという思いで動いているわけではない。
もちろん、大輝の言動や行動に相手を勘違いさせる様な内容が全くないとも思わないが、大輝は意識してそれをしているわけではない。
だが、大輝は自分の行動や言動が、相手に気を持たせてしまっているということも理解はしているのだろう。
だから、全てに責任を取りたがる。
その責任を果たすために犠牲が出るのであれば、その犠牲者にも責任を、と凄まじいまでの無限ループになりそうだが、それが宇堂大輝という人間だと私は思っている。
きっと大輝は、責任を果たすのに一生かかるのであれば一生かけて責任を取る、などと思っているんだろう。
そういう意味では激しく我が儘だと思う。
そうしなければ自分自身が納得できない。
そんなしょうがない子だから、みんなついてくる。
「これ以上責めたら、私が我が儘言ってるみたいになっちゃうからね」
「ありがとう、感謝するよ」
「けど!納得したわけじゃないからね。それについてはどうしてくれるの?」
「それなんだけど……」
大輝は何と、驚くべきことにみんなで神界へ日帰りで旅行などどうだろうかと提案した。
償いになるのかはわからないが、神界が綺麗な場所でもあるので、その綺麗な場所を観光させてやりたい、と大輝は考えた様だ。
みんなを連れて行くとなると、さっきの明日香や和歌さんの様に、魂をある程度はがしたりという作業が必要になる。
大輝にも手伝ってもらう必要が出てきそうな話だ。
「神界か、興味はあったんだよね。明日香とか和歌さんがちょっと羨ましいって思ったし」
あの二人は大輝救出やらでそれどころじゃなかったと思うけど。
今も眠っているあの二人の疲労は、下手をしたら二日か三日くらいは完全回復までにかかるのではないかと思う。
観光程度ならそこまで精神を磨耗させることもないだろうが、何が起こるかわからない。
主催者が巻き込まれ体質の大輝だから、その心配は一層大きなものになる。
「大輝のお母さんってのも見てみたいよな。綺麗な人だったか?」
「綺麗だと思いますよ。俺の顔が似てるって言ってたけど、そうなのかな、睦月」
「ああ、言われるまではそう思ってなかったけど、二人並んだら似てるかもしれないね」
大輝は親子で似てると言われるのが新鮮なのか、少し照れていた。
「何だ大輝、お前母親にも欲情できるのか」
「違いますよ!何でそう下方向に持って行こうとするんですか、全く……」
愛美さんもわかってて言ったんだろう。
母親に会えたというのが、きっと自分のことの様に嬉しいに違いない。
「じゃあ、いつ連れてってくれる?明日香と和歌さんが万全になってからだよね」
「そうなるよな。さすがに留守番してろってわけにも行かないし」
「まぁ、あまりにも治り具合が遅かったら私たちで何とかするよ」
そんなわけで、大輝は自らの力の秘密を探らなければいけなくなった。
どんな状況でなら女神になれるのか。
また、どういうことがきっかけで元に戻るのか。
それらを掴んでおかなくては、みんなを神界に連れて行くというのは夢物語で終わってしまう。
「意識がなかった時、何かなかったの?」
「何かか……何かあったっけな……」
大輝は考えたが、特に思い当たることがなかった様だ。
ならば、私たちが思いつくことを一個ずつ実践していくまでだ。
まずは、大輝を追い込めるだけ追い込むことから始める。
「じゃ、大輝……セックスしよ!」
昔のドラマの様に、大輝を誘う。
「ちょっと、ずるいよ!私だってしたいのに!」
「おいおい、そういう抜け駆けはちょっと卑怯じゃねぇの?」
ということで、明日香と和歌さん以外のみんなで大輝から搾り取れるだけ搾り取った。
「どう?」
ツヤツヤしている私たちとは対照的に、大輝は半分干からびて見えた。
長い一日だったせいか、大輝の体が恋しくもあったのだが、ちょっとやりすぎただろうか。
「だ、ダメみたいだ……色々な意味で……」
「これはダメだったか……だとすると……」
次は、限界まで飲み食いさせる。
栄養素が足りないせいだ、ということになって、ピザを十枚Lサイズで注文する。
他にもチキンやサラダと言ったサイドメニューも忘れない。
デブのお友達、コーラも大量に注文しておいた。
「何か、すごい存在感だな、ピザ……」
さすがにこれ全部を大輝一人で食べるのは無謀なので、みんなも一緒に晩御飯にする。
こんなに美味しそうな匂いがしているのに起きてこない二人は、本当に疲れているんだなと思う。
「ごえっぷ……」
元々そんなに食べない大輝が、割と頑張ってピザを食べる。
いつかの寿司の時ほどではないが、なかなか頑張ったのではないかと思う。
「今度はどう?」
「神力よりも、何か違うもんが出そう……」
仕方ないので、食べ切れなかった分はラップをして冷蔵庫へ。
和歌さんなどはこの程度じゃ食べたりないだろうから、後で何か作ってあげないと。
「じゃあ、次は……」
「ちょ、ちょっと待った。何か絶対これ迷走してるだろ。こんなんで女神になれるなら、和歌さん辺りはもう女神だって」
確かに。
こうなってくると、方向性とか色々見直しが必要な気もしてくる。
「そんな風にして大輝をいじめたら、可哀想よ」
淫靡な匂いと共に、声がした。
この匂いは、あいつしかいない。
「フレイヤさん?」
「大輝、ありがとうね。おかげさまでこの通り、復活できたわよ。お姉さんがお礼に、いい事してあげましょうか」
「いや、俺もうすっからかんなんで……」
「すっからかんじゃなかったら、やるつもりなんだ?」
朋美の目がギラリと鈍い輝きを灯すのを見て、大輝が震え上がった。
「大体お姉さんって歳じゃないでしょうが……」
「な!?失礼ね!!」
「まぁまぁ……それで、何しにきたの、フレイヤ」
「ああ、そうそう。大輝の女神化についてすったもんだしてるのよね、今」
「そうだけど、何か妙案でもあるの?」
フレイヤは、大輝の女神化について語った。
人間や神は、気をめぐらせたり溜めたりできる場所が決まっていて、そこから全身に気を送り込んだりする。
その場所は、下腹部にある丹田と呼ばれるところだ。
まずはそこを調べることになった。
「んー……今大体五十パーセントってところかしら」
「あ、そういうことか」
ノルンはわかった様だ。
ノルンが大輝の下腹部に手を当てる。
そして意識を集中させた。
「おお?」
「なるほど、大輝はまだ充電型なのか」
つまり、大輝の神力は携帯の充電みたいなもので、使えば減っていく。
通常は空気中の気を吸収したりっていう動作を神の気でオートでしてくれるのだが、大輝の場合それをすることがまだできない。
経験不足というだけなので、女神化が簡単に出来る段階になればおそらくはそれも簡単になる。
それこそ、寝ていても大気中の気を吸収して、いつでも神力を取り込める様になるのだ。
ついさっき女神になったばかりの大輝は、これを何度も繰り返して体に覚えこませる必要がある。
「五十パーセントって言ってたけど、ゼロになるとどうなるんです?」
「ゼロになることはまずほとんどないと思うんだけど、仮にそうなると……多分しばらく動けなくなるよね。手動で充電が必要な状態だから、かなりきついと思うよ」
「なら、どうしたら……」
「自動での充電のやり方を、覚えてしまう方が早いし安全よね」
フレイヤは簡単に言ったが、これは正直そう簡単なものではない。
人間の感覚で言えば、本当の意味で自然と一体化するとか、そういうことをいつでも出来る状態にする必要があるのだ。
一朝一夕で出来るとは到底思えない。
「それを可能にするのが、このやり方よ」
何と、フレイヤが懐から取り出したのはちょっと懐かしい忍者漫画だった。
今はこれの主人公の息子が主役の漫画が連載しているはずだ。
「カ○シ先生はすごいわよね。この発想はなかなかできないもの」
「何か俗物っぽくなったね、フレイヤ……」
フレイヤの提案としては、私とノルンとフレイヤとで、大輝の体から分身体を作り出す。
その分身体に、神力を均等に振り分けて、ひたすら女神化させると言ったものだった。
神力がゼロに近くなったところで大輝を元に戻して、その経験値を何倍にもするというものだった。
「そう上手く行くものかなぁ」
「カ○シ先生は天才よ?絶対上手く行くわ」
カ○シ先生大絶賛だな。
フィクションの人物にここまでのリスペクトをできるフレイヤはオタクの才能も豊かなのかもしれない。
しかし、フレイヤの……いやカ○シ先生の提案は、実際に大輝の成長を何倍も早くした。
「大輝のことは好きだけど、これはきめぇ」
分身体を見た愛美さんはそんなことを言っていたが、徐々に大輝は自動充電のやり方を掴みつつあった。
カ○シ先生すげぇ。
カ○シ先生もすごいが、実際このめちゃくちゃな特訓についてきている大輝もなかなかすごい。
だが、そろそろ限界が近そうに見える。
「フレイヤ、そろそろ……」
「了解。大輝、休憩だけど休んでいる間も今の感覚覚えておいてね」
「う、ああ……」
寄って集って大輝をいじめている様に見えなくもないが、大分いい感じに大輝は成長している。
「さっき晩御飯食べてたし、もし疲れちゃってダメそうなら、そろそろ眠っちゃってもいいかもね」
「いや、もう少しやっておきたい……何か掴めそうな感じなんだ」
高校受験の受験勉強の時にも少し感じていたことだが、大輝はどうも感覚型の人間な気がする。
頭で理解するよりも、体に覚えさせるタイプ。
理屈は後々理解できるが、体がより早くそれを覚えるタイプだ。
繰り返しそれを行うことで、体に染み込ませて行ける。
大輝は自分の為にしかならないことは基本やらないタイプで、誰かの為になることだと率先してやりたがる。
今回の特訓もその傾向が強く、朋美たちの為に身につけたいというのが行動原理になっている様だ。
結局、この日は夜中の三時頃まで特訓が続いた。
翌朝、十時を過ぎても大輝はおきてこなかった。
これはなかなか珍しいことだ。
大輝は眠りが浅いタイプで、割とちょっとしたことでも起きてしまう。
アラーム等をセットしなくても大体朝六時から八時の間には起きている。
「相当疲れてるみたいねぇ。今日も特訓できそうなのかしら」
「大丈夫でしょ。本人が折れない限りは」
「それより、フレイヤは何でこんなに協力的なの?少し気持ち悪いんだけど」
「気持ち悪いって、ひどくない?」
「だって事実だし」
「…………」
「ああ、そうそう。お兄さんのフレイ、昨日何処に消えちゃったの?」
「兄さんは神出鬼没だから。多分今も何処かでフラフラしてるんだと思うけど」
「大輝がお礼言いたがってたからさ。会うことがあったら伝えておいてよ」
そんな会話が為されているうちに、和歌さんが起きてきた。
「おはよう……まだ何か体が重い気がする」
「おはよう。人間の精神であれだけ頑張ったからね。辛かったら言ってね、緩和させることはできると思うから」
「少し休んだら多分大丈夫だろう。それより何か食べるものはないか?」
和歌さんに食事を用意し、明日香の様子を見ようとすると、明日香も起きてきた様だ。
二人で食事をして、そのあとシャワーを浴びる。
時間は昼前に差し掛かって、ようやく大輝は起きてきた。
「もうこんな時間なのか……」
「おはよう、って時間でもないけどね。今日も特訓できそう?」
「今日はバイトあるからな。そこまでじっくりはできないかもしれないけど、支障のない範囲でやっておきたいかも」
「ああ、そうか。愛美さんもだっけ?」
「そうだったと思う。ちょっとシャワー浴びてくるわ」
そう言って大輝はバスルームへ。
あれ、今二人がバスルームに……。
「あ、大輝……」
声をかけようとしたが既に遅かった。
「お、お前朝から何発情して……!」
「ち、違う!誤解ですって!」
「早く出てよ!!こんながっつり洗ってるとこ見せたくないから!!」
「わ、わかったからシャワーこっち向けないでくれ!!」
「……毎日こんな感じなの?」
「いや、今夏休みだから……和歌さんは多分もうすぐ仕事に行くと思うけど」
「楽しそうでいいわねぇ。私も混ぜてもらおうかしら」
「それ、本気で言ってる?朋美の前で言ったら大変なことになると思うんだけど」
朋美は今、桜子と井原さんと久しぶりに三人で出かけている。
せっかく東京に戻ったから、ということで旧友に会っておきたいと言っていた。
ノルンは神界での事務処理が少し溜まっているということで、夜まで戻らないらしい。
風呂場を追い出された大輝は、バスタオルを巻いて別の部屋にこもってしまった。
「朋美ねぇ……あの子、大輝に大分お熱の様ね」
「ここにいるメンバーはノルンも含めて全員そうだよ。もうすぐロヴンも加わるかもだけど」
「ロヴンか、あの堅物をあそこまで軟化させるって、なかなかできないわよね」
「そうだね。大輝はどう考えてるかわからないけど、ロヴンにとっては僥倖ってやつなんじゃない?」
「神を三人も攻略するなんてね。あ、私も含めたら四人かな」
「え、本気なの?」
「ま、私のことはともかく朋美は多分、人の愛し方がよくわかってないから、自分の感情をただぶつけてしまう傾向にあるんだと思うわ。私ならもしかしたら、もう少し柔軟にしてあげられると思うのよね」
「ふむ……フレイヤ、あんたも朋美の出自やら知ってるとは思うけど……」
「わかってるわよ。だからこそなの。ちゃんと人間としてやっていく為に、絶対必要になる部分ではあるじゃない?」
フレイヤの言うことももっともではある。
この先あの調子では、社会に出てから苦労する部分も出てくるだろうし。
フレイヤが何とかできるというなら任せてしまうのもありかもしれない。
それに、この夏休みを通して朋美が人間として成長できればあのタコ坊主も嬉しいんじゃないかと思った。
「私個人としては反対はしない。あとは朋美にでも聞いてみるんだね」
「そうするわ。帰りは何時頃になるのかしら」
「どうだろう。何時って明言はしてなかったかな、そういえば」
「ここで待っていてもいいんでしょう?大輝の特訓もあるし」
「そうだね、ノルンがいないからさすがに私一人じゃ骨が折れる」
大輝がバイトに出かけて、少しして朋美と桜子が帰宅した。
井原さんはそのまま良平くんとデートだとかで、早めに別れたらしい。
そして大輝のバイト終わりよりも少し早いくらいの時間に、ロヴンから念による連絡がきた。
『スルーズ、聞こえるか?』
『聞こえてるけどさ、こんばんはくらい言えないの?がっついてると大輝に愛想尽かされるよ』
『……こんばんは』
ふてくされた様な声になった。
案外可愛いところもあるじゃないか。
『まぁ用件はわかってるけど、今大輝なら出かけてるよ。あと大輝は今女神化が解けてしまってる』
『なるほど、だから念が通じなかったのか』
『そういうことだね。どうする?もうすぐ用事は終わって帰ってくると思うけど』
『どうするか……』
「どうしたの、睦月。難しい顔してない?」
そうだった、今は朋美もいるんだった。
「あ、いやその……ロヴンから連絡が」
「……昨日言ってた人だよね。私も話したいんだけど」
嫌な予感しかしない。
桜子も話してみたいと言い始めて、ならば私もと、明日香が乗ってくる。
『あー、ロヴン?あのね、大輝の彼女その二とその三とその四もロヴンと話したいって言ってるんだけど』
『は?何故そうなる。あとそんな呼び方していいのか?』
『呼び方はともかく、その四は昨日ロヴンも会ってるよ。後ろで髪結わいてた子』
『ああ、あの少し堅そうな子か』
明日香だってお前にだけは言われたくないだろうよ。
『その二はちょっと感情のふり幅が大きい感じ。その三は……可愛いやつだよ』
『何だその雑な紹介は。本人たちに聞かれたらどうするんだ?』
「ねぇ、話せるの?」
「あ、ああ、えっと今本人に了解を……」
「いいから話させてよ。繋げるんでしょ?」
「わかった、くれぐれもいきなり噛み付いたりしないでね」
「人を猛犬か何かと勘違いしてない?」
あまり気乗りはしないが、朋美と桜子、明日香に念の通話に参加してもらうことになった。
フレイヤが黙って聞いていたので、接続を手伝わせる。
『というわけで、彼女たちにも参加してもらったから』
『いきなりだな……』
『桜井朋美といいます。よろしくお願いします』
『野口桜子です。お噂はかねがね……』
『昨日会ったわよね、宮本明日香よ』
『ロヴンだ。縁結びの神の二つ名をもらっている』
それぞれが自己紹介をする。
顔が見えないのでロヴンの様子はわからないが、焦ったりしている様子はなかった。
『君たちの言いたいことは大体わかってる。大輝と私がその……ああいうことをするにあたってのことだろう?』
『ああいうことって……』
『ロヴン、カマトトぶって許されるのは、人間界だとせいぜい二十歳くらいまでだよ』
『う、うるさい!慣れていないんだ、お前と違って……』
『まぁ、今は表現のことはいいです』
朋美が話を遮る。
せっかく雰囲気だけでも明るくしとこうかと思ったのに。
怒っている様子ではないが、朋美はやや真剣な面持ちだった。
『ロヴンさんに、聞いておきたいことがあるんです』
スリーサイズでも聞くつもりなんだろうか。
ロヴンはそこそこスタイル良かったと思うが。
『何でも聞いてくれ。答えられる範囲で答えようと思う』
ロヴンは太っ腹だ。
本来であれば私と大輝が勝手にした約束なのだし、答える義務などないだろうに。
『私たちの関係を、ロヴンさんはどういうものだと思っていますか?』
『どういうもの、か。難しい質問だな。正直、最初に話を聞いたときは、人間界によくある大学の乱交サークルみたいなものかと思っていた』
何でロヴンがそんなものを知っているのか、たまに人間界を覗き見でもしていたのだろうか。
『人間には、そういう趣味嗜好の者も多くいると聞くからな。だが、実際大輝と話してからは……』
朋美は黙っている。
明日香と桜子も、言葉を発することなく見守っていた。
『集まるべくして集まったのだな、と感じた』
なるほど。
きっとロヴンには大輝や、それを取り巻く私たちの関係が眩しく映ったのだろう。
『わかりました、ありがとうございます。次に大輝のことを、どう思っていますか?今後、どうなりたいっていう明確なビジョンの様なものはありますか?』
まるで面接みたいだ。
この話し合いを通じてロヴンの性格やらを見極めたいのだろうか。
実際に会ったら印象が変わるなんてことはよくある話だが、それでも聞いておきたいということか。
『大輝に対する感情は、おそらく恩義の様なものが一番大きいのではないかと思う。私の様なめんどくさい女でも、ちゃんと一人として向き合ってくれたから。だから、私は大輝にどう扱われても構わないとさえ思っている。もちろん大輝が雑な扱いをするとは考えていないが、そうされても後悔はない、という意味だ』
『愛情とか、恋心の様なものではないんですか?』
『正直、恋愛感情というものがどういうものなのか、私にはよくわからない。だが、彼を思うとき、胸の奥が温かなもやの様なものに包まれているのを感じる。これが恋だというのであれば、私はそれを否定するつもりはない』
今までが出会いに恵まれなかったのだから、当然と言えば当然か。
私たちは幸運だったのだと改めて思う。
『今後どうなりたいかについては……正直、大輝を支えていければと思うが、私も縁結びの女神としての仕事が暇なわけではないから……大輝が私を望んでくれるなら、それに沿える様にしたい』
思っていたよりもちゃんと考えていたのだなと思う。
目先の魅力に捉われたとか、そういうものではないことが窺える。
朋美から見てもそれは同じだった様で、既に険しい表情ではなくなっていた。
『本当、大輝は仕方ないなぁ……けど、それが大輝なんだなって最近はちょっと思える様になってきたんです、私』
『君たちの言い分は、わからないでもない。いきなり現れた女が割り込もうとしているのだから、心中穏やかでないであろうことも想像ができる』
『昨日までは、そうでした。けど、今はもう、そういうわだまかりみたいなものはなくなってきてるんです。寧ろ私も、ロヴンさんに会ってみたいって思ってます』
『その、いいのか……?』
ロヴンは驚きを隠せない様子だ。
正直私も少し驚いている。
盗み聞いていたフレイヤも同様だった様で、私に丸い目をして見せた。
『いいも悪いも、大輝を慕って集まっているんですから。いつこっちに来られるんですか?ついでと言っては何ですが、女子会でもしたいですね。知ってます?女子会』
こうしてロヴンは朋美からも認められ、二人は話に花を咲かせた。
後から明日香や桜子も話に入り、とても賑やかな通話になっていた。
帰宅した大輝が、通話後の三人を見て不思議そうな顔をしていたが、三人は何も語らずただ微笑んでいるのを、ぽかんとした表情で大輝は見つめる。
ロヴンがこっちに来るのは、三日ほど後になるという。
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