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本編
大輝編36話~アイドル~
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「アイドル?」
「そう」
睦月が街でスカウトされた、と言って名刺を俺に見せてくる。
とある休日のことだったが、彼女は食料品の買出しやらで出かけていたらしい。
特に急ぐこともなく、何かあってもすぐに対処できるから、という理由で話を聞くだけ、ということで近くにあった事務所にいってみたのだという。
実際に今売り出し中のアイドルユニットで、テレビでも見かける様なグループのプロデュースなんかをしている事務所らしく、何で睦月に目を留めたのかと言うと、何か光るものがあったから、と言っていたそうだ。
また何か下らない能力でも使ったんじゃ、と思ったがそんな様子は全くない。
「やってみたいの?」
「うーん……興味がない、ということもないんだけどね」
「まぁ、売れるかはわからんけど、売れなかったからって何かペナルティがあったりってわけじゃないんだろ?」
「それについては、売れなかったとしたらそれはこちらの営業努力の足りない部分だって言ってた」
「ふむ……」
正直、現実味が無い。
睦月がアイドル。
歌えるのか?
というかデビューシングルが、デスボイスやシャウト満載のアイドルらしからぬ曲になったりしたら、俺は笑い死ぬ自信がある。
「でも、どうせやるならみんなでやりたい」
「は?みんなって……和歌さんとか愛美さんもか?」
「うん。まだ二十代だし、やれないことはないと思うんだけど」
「いやいや、二人とも仕事あるから……」
それに、某アイドルグループの初期メンバーみたいに歳の差ありすぎておかしなことになったりしないだろうか、という懸念もある。
もちろんそんなこと、本人たちには言えない訳だが。
「じゃあ、桜子とか明日香とか朋美とかは?大輝も女神化してもらって……」
「は?やだよ。大体アイドルって営業とかで忙しいんだろ?そんな長時間女神化してらんないぞ、普通に」
「じゃあ、四人で……」
「いや勝手に決めたらダメだろ……」
まぁ、正直あの三人は乗り気になるかって言われたらちょっと想像がつかない。
桜子あたりはノリノリでやりそうではあるが……。
何はともあれ、和歌さんや愛美さん含めみんなに聞いてみないと何とも言えない。
俺一人で決めていい話ではないと思うし。
「アイドル……ねぇ」
愛美さんは浮かない顔をした。
冒険できる歳でもない、というのが一番の理由の様だった。
「わ、私はテレビなんかで人前に出るのはちょっと……」
和歌さんは恥ずかしいというのが一番の理由。
「お父さんが絶対反対するわ……」
朋美は父親が……まぁあの親父なら反対してもおかしくはない。
「私も家のこと探られたりするとちょっと……」
明日香は家の事情で。
「私は……やってみたいとは思うけど、こんなつるぺたでちんちくりんのアイドルとか……」
いや、需要は多分あると思うぞ。
恋愛禁止とか、処女じゃないとダメ、とか言われたらさすがにお手上げだけど。
ていうか自分でつるぺただの言ってへこむのやめようぜ。
俺は別にそんなの気にしたことないしな。
「どうしよう」
「睦月はどうなんだ?やってみたいって気持ちがあるのか?」
睦月の迷いに対し、和歌さんが確認を取る。
確かに、本人がどうしたいのか、というのが一番大事なところではあると思う。
「うーん……でも、私の歌……」
「…………」
「…………」
誰か、何とか言ってやれよ。
俺はちょっと突っ込みづらいぞ、これに関しては。
「お、踊りは?ダンスとか」
朋美が言うと、睦月は七十年代に流行った?とでも言いたくなる様なダンスを踊る。
ツイストって言うんだっけ、これ。
「何でそのダンスをチョイスしたんだ……」
「だって、パッと思い浮かんだのがこれだったから」
さすがに古い。
テレビに出てきたアイドルがデスボイスで歌いながらツイスト踊ってたら、笑わないわけがない。
だが話題性はあるかもしれない。
見た目も綺麗ではあるから、ある意味で映えるかもしれないが。
「やってみたいのかどうか、というのが大事だと聞いたことがあるぞ」
和歌さんもそういうの、憧れたことがあるのだろうか。
まぁ、女性だし一度は憧れることがあってもおかしくはない。
「大輝は?私がアイドルになったら、どう思う?」
「どうって……」
どう思うんだろう。
お茶の間をにぎわす予感はする。
良い方向に作用するのかは別にして、売れる要素はありそうにも思える。
「そういうこと聞いてるんじゃないんだけどな……」
睦月がややむくれ気味になって、俺から視線を外す。
俺、何か変なこと言ったのだろうか。
睦月以外のメンバーも、俺を怖い目で見る。
「え、何?率直な感想だったんだけど」
「本当、朴念仁だね、大輝くんは……」
桜子が残念そうに俺を見た。
朴念仁って……割と俺はみんなの機微に敏感なつもりでいただけに少しショックだ。
「まぁ、やってみたらいいんじゃない?その時になって慌てたらいいんだよ、大輝は」
朋美が冷たく言い放つ。
慌てるって、何をだ……やりたくてやるなら、成功したら嬉しくならないのか?
そう思うのはおかしいことだったりするのだろうか。
みんなの考えていることが、俺には理解できなかった。
数日後、睦月は再度事務所に赴いて正式に契約をしてきたらしい。
レッスンの為の費用等は自分で払えるだけのお金があったとかで、ぽんと払ってきたとのことだった。
この日から、睦月はレッスンや営業やらで一気に忙しくなる。
歌に関しては、斬新だと評価され、そのまま行こうということになったのだとか。
本当に大丈夫なのか?
ダンスはさすがにツイストじゃ……ということになって、歌よりもダンスを重点的にレッスンすることになったと言っていた。
割と楽しんでやっている様に見えたし、俺は心から睦月を応援していた。
売れて目的が達せられたら嬉しいだろうし、俺もきっと喜ばしい。
みんなだって、同じ思いでいるはず、と俺は思っていた。
そんな俺を、みんなは冷ややかな視線で見る。
何故なのか。
「本当、後で慌てても遅いと思うけどね。大輝にはいい薬かもしれないね」
朋美はまたこんなことを言う。
最近当たり強いな、こいつ……。
こないだのこと、まだ根に持ってるんだろうか。
更に数日が経過。
睦月と会う回数は激減した。
学校にも忙しくて来られないことが多くなる。
忙しいということは、売れる目途でも立ったのかもしれない。
俺は密かに睦月のデビューを心待ちにしていた。
「デビュー、決まったよ」
睦月からの電話でそう聞いたのは、最初にスカウトの話を聞いてから三週間ほど経ったころだった。
デビューシングルは、二週間後くらいに発売とのことで、俺はちょっと応援するために沢山買ってもいいかな、なんて思っていた。
睦月はこの頃には既に、一週間に一度帰ってくるかどうかくらいの頻度でしか帰ってこなくなっている。
朋美が空いている日に迎えに行くのは専ら俺の仕事になって、その度に朋美には冷ややかな視線を浴びせられた。
一体何だというのか。
睦月がデビューをいち早く教えてくれたのだって、応援してほしいということなんじゃないのだろうか。
それをあんなに仏頂面で……水を差したいのだろうか。
一緒にやりたかったのであれば、そう言えば良かったのに。
俺は朋美に対して、そんなことを思う様になっていた。
これが見当はずれの的外れであることを知るのは、もう少し後のことだった。
睦月のデビューが決まり、その宣伝の為に彼女はテレビに出ることが決まった。
そのことはメールで教えてもらった。
忙しいのか、電話ですらなくなった。
睦月にはもう、一ヶ月近く会っていない。
こんなこと、今まであっただろうか。
バラエティ番組の番組終わり辺りまでは、ゲストで期待の新鋭、とか何とか言われて色々聞かれて、笑顔で答える。
終わり辺りになってデビューシングルの告知の機会が与えられた。
『三日後に発売になります、デビューシングル、「クリスマスキャンドル」是非みなさん買ってみてください』
こんな様なことを笑顔で言う睦月。
こんなのは俺の知ってる睦月じゃない……。
何だこの違和感は。
そんなことを考えていたら、桜子と明日香が真面目な顔で俺を見た。
「本当に、このままでいいの?朋美には甘やかすなって言われたけど……」
「いいの、って……上手くいってるんだったら、反対する理由なんて……」
「本当に?理由がない?大輝くん、それは本気で言っているのかしら」
明日香がキッとこちらを睨む。
何故だかその目を正面から見返すことが出来ない。
「何故目を逸らしたの?言いたいことがあるなら言ってみてはどう?」
言いたいこと……そんなものは無い。
無いはずだ。
だって、睦月が望んでやっていることで。
それが成功の兆しを見せていて。
こうしてテレビに出るまでになっている。
デビューシングルのタイトルと睦月の歌い方がイマイチ結びつかないのを除けば、俺がどうこう言える様な話ではない。
「一つだけ、ヒントをあげる。大輝くん、あなたは自分に嘘をついている。私から言えるのはここまで。あとは自分で気づくしかないわ」
明日香はそれだけ言って、部屋を出た。
送っていくと言ったが、結構よ、と一言で追い返されてしまった。
「…………」
「大輝くん、明日香ちゃんは悪気があってあんなこと言ってるわけじゃないと思うよ?」
「わかってる……そんなことするやつじゃないし」
「ならいいけど……明日香ちゃんの言ったこと、ちゃんと考えてね?私も、帰るから。今日は送ってくれなくていいや」
一人睦月の部屋に残される。
こんなことは今までなかったと思う。
こんなに広い家だったんだな。
睦月がどんな思いで、俺に相談してきたのか。
応援してほしい、ってこと以外に何があるというのか。
考えても考えてもわからない。
それは、睦月のことを何でも知っている様に思っていたのに、実は何もわかっていなかった、ということになるのだろうか。
まさか、止めてほしかった?
そんなはずは……ないと言い切れるのか?
長い夜の、自問自答は終わらない。
こんな日に限ってバイトは休みだし、誰もきやしない。
仮に止めてほしかったとしたら、どうして?
俺は最近、ちゃんとあいつを見ていたのだろうか。
テレビや雑誌などでちらりと見て、頑張ってるなって。
すごいなって。
それしか思って居なかった?
ますます頭が混乱してくる。
そんな時、玄関からドアが開いた音がする。
誰かきた様だ。
「おう、何だその顔……辛気臭ぇなぁ」
少し酔っているのか、愛美さんが頬を赤く染めて部屋に入ってきた。
「辛気臭いって……みんなから立て続けに意味もわからず責め立てられたらこうもなりますって」
「ああ?まだそのこと言われてんのかよ」
「……言われてますよ」
本当、いつでもズケズケと物を言う人だ。
「あのな……何かこのままだとめんどくさい方向にこじらせそうだから言っとくけど」
「何ですか、めんどくさい方向って……」
「お前、睦月のこと好きじゃねぇの?」
心臓が勢い良く跳ねた。
何を今更……好きに決まってる。
じゃなかったら、こんなに長い間一緒にいない。
一緒に……今はいない。
「少し、わかったって顔してんな。それで、お前はどうしたいわけ?」
俺は……睦月に、会いたい。
今までみたいに、側にいてほしい。
それが当たり前だった。
いて当然だった。
だから気づかなかったのかもしれない。
会えなくなって、こんなにも心に穴が空いた様な感覚になっているのに。
いつでも会える、なんて楽観もいいところだった。
「お前さ、自分で自分の気持ちに蓋してたんだよ。……まだ十六やそこらで、そんなに聞き分けの良いいい子演じる必要なんかないだろ。そう思わねぇか?」
「だけど、あいつが自分からやりたいって言って……ならあいつがいない環境にも慣れなきゃって。応援してやらなきゃって……」
愛美さんは、うんうんと話を聞いていた。
しかし、ふと真顔になった。
「なら、何でお前そんな辛そうな顔してんだ?応援って、そんな顔でするもんなの?そんな悲しい顔で応援された人間は、頑張れるもんなのかね?」
何でそんな煽る様な言い方するのか……少しは労わってくれても……。
「お前、その顔鏡で見てこいよ。すげぇ顔してるから」
「見なくても大体、わかりますよ……」
「そうか、まぁそれはいいや。ただな、あたしから言えるとすれば」
そう前置いて愛美さんは冷蔵庫に缶チューハイを取りに行く。
「あたしから言えるとすれば、そうだな……あたしらみんな、お前が好きで一緒にいる。だけどな」
「だけど……?」
「お前がいつも見てたのは、睦月だった、ってことかな。もちろん、あたしらだって、お前に対する気持ちで負けてるつもりはねぇよ。けど……勝てもしねぇんだよなぁ」
メンバーに優劣や順位などつけたことはない。
全員を平等に、俺はずっとそう思っていた。
だが、愛美さんがこう言うということは、他のメンバーも同じ様に感じているということなのだろうか。
「あたしだけがこう思ってる、とは思わない。多分、みんな同じ様に思ってる。だから、みんなああ言ったんだ」
愛美さんは俺の考えを見透かしたかの様に言う。
「お前はあたしたちのこともすげぇ大事にしてくれてる。それは十分伝わってる。だけど、それ以上に大事なのが睦月だってことだな」
「…………」
「心外って顔してるな。まぁ、深層心理って言うんだっけか。そういうのって、本人にはわからないことが多いんだろ?」
俺の中で、睦月の存在が大きくないはずがない。
だけど。
みんなのことだって、大事だ。
それ以上に、俺は睦月を大事に思ってきたってことなのだろうか。
「今まで一緒にいるのが当たり前だったかもしれない。だけど、このまま行けば間違いなく、手の届かない人間になっちまうぞ」
金槌か何かで頭をフルスイングされた様な、とてつもない衝撃が俺を襲った。
何で、その結論に至らなかったのか。
簡単なことだ。
俺が、そんなことになったら、なんてことから目を背けていたからに他ならない。
俺は考えなければならなかった。
あいつが大事なら尚更。
考えて、その上であいつの気持ちを汲んでやるのが正解だったのだ。
それを、俺は楽観して逃げていた。
このままじゃ、愛美さんの言う通り本当にあいつは手の届かないところへ……。
それはそうだろう。
売れていけばまず、簡単に近づくことは出来なくなる。
連絡だって、そんなに頻繁に取れるはずがない。
「愛美さん、俺……」
「やっとわかったか。仕方ないやつだな、本当に……でも、そんなお前だからみんな、ついてきてんだぞ?なぁ?」
愛美さんが呼びかけると、いつの間にか睦月以外の全員がそこにいた。
どうやって……いや、ノルンさんやフレイヤが力を貸してくれたんだろう。
「大輝、悔しいけど、愛美さんの言う通りなの。だけどね、睦月のことを見なくなった大輝を、きっと私たちは愛せない」
朋美が悲痛な面持ちで言う。
「大輝くん、私たち、別に一番じゃなくていいんだよ?そんなつまらないことで意地張って、本当に大事なものを見失う様なことはしないで」
桜子も泣きそうな表情で言う。
「睦月がいたから、私たちは出会えたのよ。なのに睦月を差し置いて、なんて真似ができるはずないじゃない」
明日香は先ほどの怒った様な顔で言う。
「大輝、私たちは……お前が睦月をちゃんと見て、自分の気持ちを伝えられる人間だと信じている」
和歌さんは、俺にどんだけの信頼を寄せてくれているのか……少しの曇りもない表情で言う。
「大輝、君と私たちが切っても切れない縁で結ばれている様に、君とスルーズの縁も、まだ切れていないよ。ちゃんと、向き合わなきゃ」
ノルンさんが、拳を突き出して言う。
「大輝、私はお前に変えてもらった。今度は、私が力を貸す番だ。そうだな?」
ロヴンさんが、俺の肩に手を添えて言う。
「私は、あなたに無限の快楽を教えてあげられる。だけど、本当に大切なものは、私の力だけじゃ教えてあげられないの」
フレイヤが妖艶な笑みを湛えて言う。
「お前には、これだけの仲間がいる。お前を愛してくれる人間が、神が、ついてる。お前はどうするんだ?」
愛美さんが、俺をしっかりと見据えて言う。
こんな俺に、こんなにも力強い仲間がいる。
こんな俺を愛してくれる人たちがいる。
だったら俺は――。
「みんな、俺に力を貸してくれないか?」
次回に続きます。
「そう」
睦月が街でスカウトされた、と言って名刺を俺に見せてくる。
とある休日のことだったが、彼女は食料品の買出しやらで出かけていたらしい。
特に急ぐこともなく、何かあってもすぐに対処できるから、という理由で話を聞くだけ、ということで近くにあった事務所にいってみたのだという。
実際に今売り出し中のアイドルユニットで、テレビでも見かける様なグループのプロデュースなんかをしている事務所らしく、何で睦月に目を留めたのかと言うと、何か光るものがあったから、と言っていたそうだ。
また何か下らない能力でも使ったんじゃ、と思ったがそんな様子は全くない。
「やってみたいの?」
「うーん……興味がない、ということもないんだけどね」
「まぁ、売れるかはわからんけど、売れなかったからって何かペナルティがあったりってわけじゃないんだろ?」
「それについては、売れなかったとしたらそれはこちらの営業努力の足りない部分だって言ってた」
「ふむ……」
正直、現実味が無い。
睦月がアイドル。
歌えるのか?
というかデビューシングルが、デスボイスやシャウト満載のアイドルらしからぬ曲になったりしたら、俺は笑い死ぬ自信がある。
「でも、どうせやるならみんなでやりたい」
「は?みんなって……和歌さんとか愛美さんもか?」
「うん。まだ二十代だし、やれないことはないと思うんだけど」
「いやいや、二人とも仕事あるから……」
それに、某アイドルグループの初期メンバーみたいに歳の差ありすぎておかしなことになったりしないだろうか、という懸念もある。
もちろんそんなこと、本人たちには言えない訳だが。
「じゃあ、桜子とか明日香とか朋美とかは?大輝も女神化してもらって……」
「は?やだよ。大体アイドルって営業とかで忙しいんだろ?そんな長時間女神化してらんないぞ、普通に」
「じゃあ、四人で……」
「いや勝手に決めたらダメだろ……」
まぁ、正直あの三人は乗り気になるかって言われたらちょっと想像がつかない。
桜子あたりはノリノリでやりそうではあるが……。
何はともあれ、和歌さんや愛美さん含めみんなに聞いてみないと何とも言えない。
俺一人で決めていい話ではないと思うし。
「アイドル……ねぇ」
愛美さんは浮かない顔をした。
冒険できる歳でもない、というのが一番の理由の様だった。
「わ、私はテレビなんかで人前に出るのはちょっと……」
和歌さんは恥ずかしいというのが一番の理由。
「お父さんが絶対反対するわ……」
朋美は父親が……まぁあの親父なら反対してもおかしくはない。
「私も家のこと探られたりするとちょっと……」
明日香は家の事情で。
「私は……やってみたいとは思うけど、こんなつるぺたでちんちくりんのアイドルとか……」
いや、需要は多分あると思うぞ。
恋愛禁止とか、処女じゃないとダメ、とか言われたらさすがにお手上げだけど。
ていうか自分でつるぺただの言ってへこむのやめようぜ。
俺は別にそんなの気にしたことないしな。
「どうしよう」
「睦月はどうなんだ?やってみたいって気持ちがあるのか?」
睦月の迷いに対し、和歌さんが確認を取る。
確かに、本人がどうしたいのか、というのが一番大事なところではあると思う。
「うーん……でも、私の歌……」
「…………」
「…………」
誰か、何とか言ってやれよ。
俺はちょっと突っ込みづらいぞ、これに関しては。
「お、踊りは?ダンスとか」
朋美が言うと、睦月は七十年代に流行った?とでも言いたくなる様なダンスを踊る。
ツイストって言うんだっけ、これ。
「何でそのダンスをチョイスしたんだ……」
「だって、パッと思い浮かんだのがこれだったから」
さすがに古い。
テレビに出てきたアイドルがデスボイスで歌いながらツイスト踊ってたら、笑わないわけがない。
だが話題性はあるかもしれない。
見た目も綺麗ではあるから、ある意味で映えるかもしれないが。
「やってみたいのかどうか、というのが大事だと聞いたことがあるぞ」
和歌さんもそういうの、憧れたことがあるのだろうか。
まぁ、女性だし一度は憧れることがあってもおかしくはない。
「大輝は?私がアイドルになったら、どう思う?」
「どうって……」
どう思うんだろう。
お茶の間をにぎわす予感はする。
良い方向に作用するのかは別にして、売れる要素はありそうにも思える。
「そういうこと聞いてるんじゃないんだけどな……」
睦月がややむくれ気味になって、俺から視線を外す。
俺、何か変なこと言ったのだろうか。
睦月以外のメンバーも、俺を怖い目で見る。
「え、何?率直な感想だったんだけど」
「本当、朴念仁だね、大輝くんは……」
桜子が残念そうに俺を見た。
朴念仁って……割と俺はみんなの機微に敏感なつもりでいただけに少しショックだ。
「まぁ、やってみたらいいんじゃない?その時になって慌てたらいいんだよ、大輝は」
朋美が冷たく言い放つ。
慌てるって、何をだ……やりたくてやるなら、成功したら嬉しくならないのか?
そう思うのはおかしいことだったりするのだろうか。
みんなの考えていることが、俺には理解できなかった。
数日後、睦月は再度事務所に赴いて正式に契約をしてきたらしい。
レッスンの為の費用等は自分で払えるだけのお金があったとかで、ぽんと払ってきたとのことだった。
この日から、睦月はレッスンや営業やらで一気に忙しくなる。
歌に関しては、斬新だと評価され、そのまま行こうということになったのだとか。
本当に大丈夫なのか?
ダンスはさすがにツイストじゃ……ということになって、歌よりもダンスを重点的にレッスンすることになったと言っていた。
割と楽しんでやっている様に見えたし、俺は心から睦月を応援していた。
売れて目的が達せられたら嬉しいだろうし、俺もきっと喜ばしい。
みんなだって、同じ思いでいるはず、と俺は思っていた。
そんな俺を、みんなは冷ややかな視線で見る。
何故なのか。
「本当、後で慌てても遅いと思うけどね。大輝にはいい薬かもしれないね」
朋美はまたこんなことを言う。
最近当たり強いな、こいつ……。
こないだのこと、まだ根に持ってるんだろうか。
更に数日が経過。
睦月と会う回数は激減した。
学校にも忙しくて来られないことが多くなる。
忙しいということは、売れる目途でも立ったのかもしれない。
俺は密かに睦月のデビューを心待ちにしていた。
「デビュー、決まったよ」
睦月からの電話でそう聞いたのは、最初にスカウトの話を聞いてから三週間ほど経ったころだった。
デビューシングルは、二週間後くらいに発売とのことで、俺はちょっと応援するために沢山買ってもいいかな、なんて思っていた。
睦月はこの頃には既に、一週間に一度帰ってくるかどうかくらいの頻度でしか帰ってこなくなっている。
朋美が空いている日に迎えに行くのは専ら俺の仕事になって、その度に朋美には冷ややかな視線を浴びせられた。
一体何だというのか。
睦月がデビューをいち早く教えてくれたのだって、応援してほしいということなんじゃないのだろうか。
それをあんなに仏頂面で……水を差したいのだろうか。
一緒にやりたかったのであれば、そう言えば良かったのに。
俺は朋美に対して、そんなことを思う様になっていた。
これが見当はずれの的外れであることを知るのは、もう少し後のことだった。
睦月のデビューが決まり、その宣伝の為に彼女はテレビに出ることが決まった。
そのことはメールで教えてもらった。
忙しいのか、電話ですらなくなった。
睦月にはもう、一ヶ月近く会っていない。
こんなこと、今まであっただろうか。
バラエティ番組の番組終わり辺りまでは、ゲストで期待の新鋭、とか何とか言われて色々聞かれて、笑顔で答える。
終わり辺りになってデビューシングルの告知の機会が与えられた。
『三日後に発売になります、デビューシングル、「クリスマスキャンドル」是非みなさん買ってみてください』
こんな様なことを笑顔で言う睦月。
こんなのは俺の知ってる睦月じゃない……。
何だこの違和感は。
そんなことを考えていたら、桜子と明日香が真面目な顔で俺を見た。
「本当に、このままでいいの?朋美には甘やかすなって言われたけど……」
「いいの、って……上手くいってるんだったら、反対する理由なんて……」
「本当に?理由がない?大輝くん、それは本気で言っているのかしら」
明日香がキッとこちらを睨む。
何故だかその目を正面から見返すことが出来ない。
「何故目を逸らしたの?言いたいことがあるなら言ってみてはどう?」
言いたいこと……そんなものは無い。
無いはずだ。
だって、睦月が望んでやっていることで。
それが成功の兆しを見せていて。
こうしてテレビに出るまでになっている。
デビューシングルのタイトルと睦月の歌い方がイマイチ結びつかないのを除けば、俺がどうこう言える様な話ではない。
「一つだけ、ヒントをあげる。大輝くん、あなたは自分に嘘をついている。私から言えるのはここまで。あとは自分で気づくしかないわ」
明日香はそれだけ言って、部屋を出た。
送っていくと言ったが、結構よ、と一言で追い返されてしまった。
「…………」
「大輝くん、明日香ちゃんは悪気があってあんなこと言ってるわけじゃないと思うよ?」
「わかってる……そんなことするやつじゃないし」
「ならいいけど……明日香ちゃんの言ったこと、ちゃんと考えてね?私も、帰るから。今日は送ってくれなくていいや」
一人睦月の部屋に残される。
こんなことは今までなかったと思う。
こんなに広い家だったんだな。
睦月がどんな思いで、俺に相談してきたのか。
応援してほしい、ってこと以外に何があるというのか。
考えても考えてもわからない。
それは、睦月のことを何でも知っている様に思っていたのに、実は何もわかっていなかった、ということになるのだろうか。
まさか、止めてほしかった?
そんなはずは……ないと言い切れるのか?
長い夜の、自問自答は終わらない。
こんな日に限ってバイトは休みだし、誰もきやしない。
仮に止めてほしかったとしたら、どうして?
俺は最近、ちゃんとあいつを見ていたのだろうか。
テレビや雑誌などでちらりと見て、頑張ってるなって。
すごいなって。
それしか思って居なかった?
ますます頭が混乱してくる。
そんな時、玄関からドアが開いた音がする。
誰かきた様だ。
「おう、何だその顔……辛気臭ぇなぁ」
少し酔っているのか、愛美さんが頬を赤く染めて部屋に入ってきた。
「辛気臭いって……みんなから立て続けに意味もわからず責め立てられたらこうもなりますって」
「ああ?まだそのこと言われてんのかよ」
「……言われてますよ」
本当、いつでもズケズケと物を言う人だ。
「あのな……何かこのままだとめんどくさい方向にこじらせそうだから言っとくけど」
「何ですか、めんどくさい方向って……」
「お前、睦月のこと好きじゃねぇの?」
心臓が勢い良く跳ねた。
何を今更……好きに決まってる。
じゃなかったら、こんなに長い間一緒にいない。
一緒に……今はいない。
「少し、わかったって顔してんな。それで、お前はどうしたいわけ?」
俺は……睦月に、会いたい。
今までみたいに、側にいてほしい。
それが当たり前だった。
いて当然だった。
だから気づかなかったのかもしれない。
会えなくなって、こんなにも心に穴が空いた様な感覚になっているのに。
いつでも会える、なんて楽観もいいところだった。
「お前さ、自分で自分の気持ちに蓋してたんだよ。……まだ十六やそこらで、そんなに聞き分けの良いいい子演じる必要なんかないだろ。そう思わねぇか?」
「だけど、あいつが自分からやりたいって言って……ならあいつがいない環境にも慣れなきゃって。応援してやらなきゃって……」
愛美さんは、うんうんと話を聞いていた。
しかし、ふと真顔になった。
「なら、何でお前そんな辛そうな顔してんだ?応援って、そんな顔でするもんなの?そんな悲しい顔で応援された人間は、頑張れるもんなのかね?」
何でそんな煽る様な言い方するのか……少しは労わってくれても……。
「お前、その顔鏡で見てこいよ。すげぇ顔してるから」
「見なくても大体、わかりますよ……」
「そうか、まぁそれはいいや。ただな、あたしから言えるとすれば」
そう前置いて愛美さんは冷蔵庫に缶チューハイを取りに行く。
「あたしから言えるとすれば、そうだな……あたしらみんな、お前が好きで一緒にいる。だけどな」
「だけど……?」
「お前がいつも見てたのは、睦月だった、ってことかな。もちろん、あたしらだって、お前に対する気持ちで負けてるつもりはねぇよ。けど……勝てもしねぇんだよなぁ」
メンバーに優劣や順位などつけたことはない。
全員を平等に、俺はずっとそう思っていた。
だが、愛美さんがこう言うということは、他のメンバーも同じ様に感じているということなのだろうか。
「あたしだけがこう思ってる、とは思わない。多分、みんな同じ様に思ってる。だから、みんなああ言ったんだ」
愛美さんは俺の考えを見透かしたかの様に言う。
「お前はあたしたちのこともすげぇ大事にしてくれてる。それは十分伝わってる。だけど、それ以上に大事なのが睦月だってことだな」
「…………」
「心外って顔してるな。まぁ、深層心理って言うんだっけか。そういうのって、本人にはわからないことが多いんだろ?」
俺の中で、睦月の存在が大きくないはずがない。
だけど。
みんなのことだって、大事だ。
それ以上に、俺は睦月を大事に思ってきたってことなのだろうか。
「今まで一緒にいるのが当たり前だったかもしれない。だけど、このまま行けば間違いなく、手の届かない人間になっちまうぞ」
金槌か何かで頭をフルスイングされた様な、とてつもない衝撃が俺を襲った。
何で、その結論に至らなかったのか。
簡単なことだ。
俺が、そんなことになったら、なんてことから目を背けていたからに他ならない。
俺は考えなければならなかった。
あいつが大事なら尚更。
考えて、その上であいつの気持ちを汲んでやるのが正解だったのだ。
それを、俺は楽観して逃げていた。
このままじゃ、愛美さんの言う通り本当にあいつは手の届かないところへ……。
それはそうだろう。
売れていけばまず、簡単に近づくことは出来なくなる。
連絡だって、そんなに頻繁に取れるはずがない。
「愛美さん、俺……」
「やっとわかったか。仕方ないやつだな、本当に……でも、そんなお前だからみんな、ついてきてんだぞ?なぁ?」
愛美さんが呼びかけると、いつの間にか睦月以外の全員がそこにいた。
どうやって……いや、ノルンさんやフレイヤが力を貸してくれたんだろう。
「大輝、悔しいけど、愛美さんの言う通りなの。だけどね、睦月のことを見なくなった大輝を、きっと私たちは愛せない」
朋美が悲痛な面持ちで言う。
「大輝くん、私たち、別に一番じゃなくていいんだよ?そんなつまらないことで意地張って、本当に大事なものを見失う様なことはしないで」
桜子も泣きそうな表情で言う。
「睦月がいたから、私たちは出会えたのよ。なのに睦月を差し置いて、なんて真似ができるはずないじゃない」
明日香は先ほどの怒った様な顔で言う。
「大輝、私たちは……お前が睦月をちゃんと見て、自分の気持ちを伝えられる人間だと信じている」
和歌さんは、俺にどんだけの信頼を寄せてくれているのか……少しの曇りもない表情で言う。
「大輝、君と私たちが切っても切れない縁で結ばれている様に、君とスルーズの縁も、まだ切れていないよ。ちゃんと、向き合わなきゃ」
ノルンさんが、拳を突き出して言う。
「大輝、私はお前に変えてもらった。今度は、私が力を貸す番だ。そうだな?」
ロヴンさんが、俺の肩に手を添えて言う。
「私は、あなたに無限の快楽を教えてあげられる。だけど、本当に大切なものは、私の力だけじゃ教えてあげられないの」
フレイヤが妖艶な笑みを湛えて言う。
「お前には、これだけの仲間がいる。お前を愛してくれる人間が、神が、ついてる。お前はどうするんだ?」
愛美さんが、俺をしっかりと見据えて言う。
こんな俺に、こんなにも力強い仲間がいる。
こんな俺を愛してくれる人たちがいる。
だったら俺は――。
「みんな、俺に力を貸してくれないか?」
次回に続きます。
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