手の届く存在

スカーレット

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本編

大輝編39話~エロ動画騒動~

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「ねぇ大輝、パコパコ動画って何?」

睦月とともに帰宅するや否や、俺は朋美に詰め寄られていた。
何故その名前を……。

「しかも、何パコパコ生放送って。生で何を放送してるの?今時のエロサイトって、生配信する様なのが出てきてるわけ?」
「あ、いやそれはただの動画のコンセプトというか……」

普通に考えて、生であんなの配信したらモザイクの類がつけられないから大変なことになると思う。
即配信停止になるだろう。
だが朋美が言いたいのはそういうことではない様だ。

「こないだも何か、エロいの見てたよね」
「あ、あれとはまた違うけど……てか何でお前がその名前知ってんだよ」
「大輝、パソコンには検索履歴っていうのがあるんだよ?」

睦月がパソコンを弄りながら言う。

「ほら」

画面を見ると、見事にパコパコ動画のトップページで、今日のピックアップ!とかやってる。
これってもしかして、閲覧履歴なんかも……。

「ほー……大輝、こういうの好きなんだ」

俺のお気に入りの女優、悠美ちゃんが男の上で腰を振っているダイジェスト動画が流れる。
何これ、新手の拷問か何か?
何でみんなでこんなエロサイト昼間から見てんの。

「ふぅん、ロリで巨乳でほんわか系で、最中も敬語」

じっとりとした目で朋美が俺を見る。
まるで汚物か何かを見る様な目だ。
断じて彼氏を見る目ではない。

「……汚らわしい」
「おい待て。なら俺たちのしてることは何だ?それこそ大乱〇フィニッシュブラザースじゃないか」
「……誰が上手いこと言えって言ったのよ」

動画のウィンドウを閉じて、朋美が俺を見た。
ホント、でかくなったよなぁこいつの胸。

「何処見てるわけ?大輝、前も言ったよね、私。動画見るのは何?私たちに飽きたっていう意思表示か何か?」
「ば、バカ言え。俺だってこないだ言っただろ、ごちそうばっかじゃなくてたまにはファーストフードとかジャンクフードも食べたくなるんだって」
「ご馳走ね。薄味だからたまには濃い味がいい、と?」
「そ、そんなこと言ってないだろ?」
「二人とも、落ち着いて……」

和歌さんが止めに入る。
いつもの様に……と言ってもいつも殺気立ってるわけじゃないが、朋美は殺気立っている様子ではない。
割と本気でうんざりし始めている様に思えた。

「私は別に、大輝がこういうの見ててもいいかなって思うけど」

睦月が特に気にする様子もなく言う。
愛美さんも同意見の様だ。

「私は……まぁ、たまにその、私も見ることはあるが……」
「私もたまに見るよ」

和歌さんと桜子も興味はあるみたいだった。

「私は……正直ちょっと嫌かしらね。何だか私たちが軽く見られてる気分になる」

明日香はなんと言うか、らしい意見だ。
見た目どおりというか、イメージ通り。

「別に、そんなの見たからって浮気するとかじゃないんだし、特に目くじら立てる様なものでもないと思うけど」

フレイヤはこれまた彼女らしい意見。

「人を殺して食ってるとか、そういう猟奇的なものでもないのであれば、別に気にしない。この手の、卑猥な動画を見るくらいならな。最終的に私たちのところへ戻ってくるんだろう?」

ロヴンさんも特に反対する様子はない。
てか猟奇的な動画を人の目を盗んでみるとか、もう異常者の類じゃないのか。
割と手遅れだと思うんだが。
ノルンさんは動画を見て少し顔を赤くしていた。

「じゃ、じゃあ……私がその……ああいうの見て一人でしてたらど、どうなの?嫌じゃないの?」
「んー……あの口ぶりからすると和歌さんとか桜子はそうしてたりするんじゃないのか?」
「そ、そうだけどそんなはっきり言わなくてもいいと思う。一応私だって女なのに」
「いや、悪い。責めてるとかじゃないから。ただの事実確認だよ」

ふくれっつらになった桜子の頭を撫でて、朋美に向き直ると、朋美が少し顔を赤くした。

「な、何よ」
「てかお前、ああいうの見ても少しも興奮しないの?」
「はぁ!?」
「い、いや落ち着け。ただの質問だろ」
「し、していい質問と悪い質問があるでしょ」
「って言うことは、お前だって興奮するんだろ?まさか我慢してんの?」
「ば、バカじゃないの!?」

朋美は顔を真っ赤にして部屋から出て行ってしまった。
俺、悪い事言ったかな。

「朋美はなんていうか、恋愛に幻想を持ってるのかもしれないね」
「んー……今更だと思うんだけどな」
「恋愛とか、セックスに対して綺麗なイメージを持ってる人ってああなりやすい気がする」
「そういうもんか?俺にはちょっとわからん」
「それに、こういうのはある程度の妥協線を決めて双方が歩み寄らないと解決は難しいんじゃないか?」
「べっつにスカ○ロ動画とか見てよだれ垂らしてるわけじゃなし、よくね?」

愛美さんの口からすごい発言が飛び出した。
さすがにそういうのは興味ない。
寧ろちょっと、その辺は敬遠したい。

「まぁ、その辺は至ってノーマルだって自信はあるかな。さっき見てたのだって、普通にくんずほぐれつしてただけだったろ?」
「また馴染みのない表現を……」
「くんずほぐれつって……」

とにかく今は朋美を何とかしなければ。
今日はこれからパーティだというのに、何でこんなことになってるのか。
とりあえず、朋美を説得する為に部屋を出る。

「私、幻想なんか持って無いもん」
「そ、そうだな」
「でも!ああいうのは許せないの!!」
「うーん……」

どうしたらいいのか。

「朋美は、大輝にどうしてほしいの?」
「どうって……私たち、何の為にいるの?大輝がそういうことしたいときにそういう用途で使ってくれないなら……」
「用途って、物じゃないんだから……いや、ほら……ガス抜きって言うのかね。一人でささっと済ませたいときって、無いか?」
「無い。あっても、一人じゃ面白くないもん」
「やっぱしてるんじゃん……」
「してないなんて言ってないでしょ!?してたよそりゃ!ええ、してました!!だったら何?はしたないとでも!?」
「言ってないだろ、そんなこと……」

人間なんだからそれくらい、別におかしいことでも何でもない。
むしろ、してません、なんて言うやつの方が俺からしたら信じられない。
本当にしてないってやつも中にはいるのかもしれないが、正直人間味が薄い気がしなくもない。
否定までするつもりはないが……。

「大輝は、一人で済ませたいって言うけど、それってそういう時に誰かとって言うのが面倒ってこと?」
「そうじゃないって……けど、たとえば誰かを相手にするほどの時間はないけど、ってこともさ」
「いいじゃない、肉○器として使えば」

何処の蜻様だよ。
挨拶も変えないとダメだろ、それだと……。
おはよう我が肉〇器たちよ!
なんて言ったら俺タコ殴りにされそうだけどな。

「俺、お前たちのことそんな風に扱うのはちょっと嫌だな」
「何よ!じゃあちゃんと女として見てるって言うの?」
「言うよ。女としても人間としても一応、俺なりに尊重してるつもりだぞ?」
「だったらあんなの見ないで私を使ってよ」
「それはちょっと……自由の侵害ってやつじゃないか?」
「だって!何か負けてる気がして嫌なんだもん!!」

なるほど、朋美が感じているのは劣等感みたいなものなのかもしれない。
女優に感じる技術的なものだったり、俺がその女優を優先している様に感じたりと。
そこまでのことが連想できるってある意味で凄いとは思うが、ちょっと度が過ぎている気がしないでもない。

「なら朋美、一緒に見るか?」
「何言ってんの?」
「だって、一緒に見れば別に俺が一人で、とかないしさ」
「そ、そうだけど」
「それに一緒に見て気分を盛り上げて、なんてカップルも結構いるらしいぞ?」
「それは聞いたことあるけど……」

とりあえず俺は、全員集まっているし、ということでリビングでエロ動画の大上映会を敢行することにした。

「ねぇ、本当にやるの?」
「何だよ、ここまで来て。どんなのがいい?日本人ものか?それとも洋モノか?」
「どうせなら無修正のにしようぜ」

愛美さんがノリノリだ。
和歌さんは色々検索しておお、とか言ってる。

「こ、これなんかどうだ?」

和歌さんが指差した先にあるのは、女が縛られて電マ責めされているもので一時間くらいに及ぶ長さのものだった。
最終的には多分普通のプレイに移行するんだと思うが。

「和歌さん、そういうのされたい願望でもあるんですか?」
「いや……というか初めて会ったとき、似た様なことを……」
「ちょ、ちょっとやめてください。俺電マなんか使ってないですから」
「それはそうだが……抵抗できない状態で……」
「いや、手も足も空いてたじゃないですか。誤解を生む様な発言は慎んでもらっていいですか?」

その動画を再生することにして、全員で着席する。
いきなり全裸で縛られた女優が、複数の男に囲まれている。
縛り方がまた絶妙で、手と膝が密着する様に縛られていて、どう足掻いても丸見えになるというものだった。

「い、いきなりハードね」
「うん……」

朋美と桜子がやや引いた顔をしている。
桜子、お前さっき散々見てるって言ってなかったか?
明日香はじっと見入っている。
やがて男の一人が電マを持ってきて、秘所に当て始める。

「お、おお……すごいよがってる……」
「話によれば、電マは凄まじいらしいからな」
「大輝、やけに詳しいね」

電マで刺激し続け、女が絶叫とともに盛大にスプラッシュ……潮を吹く。
ここで本番にでも移行するのかと思っていたら、もうひと捻りがあった。

「えっ?」

電動ドリルのドリルの部分に、男性器の模型の様なものがついた装置を持ち出した男がいる。
十分すぎるほどびしょびしょになった部分にそれを挿入して、何と出力全開でスイッチを入れた。

「うわ……」

女の中で暴れまわる模型。
ディ〇ドーとか言うんだっけか、これ。
女はもはや半分正気を失った表情になっていて、だらしなく舌を出して白目を剥いて放心しながら体をビクンビクンさせていた。

「こ、これ最後まで見るの?」
「何かいきなりマニアックすぎる様な気がするな」
「さすがにこれは体験したいと思わないな……」
「完全に抵抗できない状態でこんなにされるってさすがにきつそう……」

俺は動画を止めた。
みんなが、あっ、って顔で俺を見る。
お前ら続き見たかったの?

「うん、違うのにしようぜ」

さわやかな笑顔でサムズアップして、俺は違う動画を漁り始める。
……てか何でクリスマスイブの日中からこんなエロ動画鑑賞会なんかやってるんだろ、俺たち。

「あ、これ気になる」

やや顔色が戻った桜子が指差したのは、温泉ものだった。
混浴の温泉に旅行にきたカップルがイチャつきながらそのまま本番に、というものらしい。
今度のは二十分程度で終わる様だ。

「今度はちゃんと、ストーリー仕立てなんだね」
「みたいだな……まぁ、最終的にはどうせがっつりやって、ってなるんだろうけど」

二人で取った宿に到着して、旅館の中を見回るカップル。
序盤は本当にただ見回って土産の話なんかをしていて、平和なものだ。
そして、何の脈絡もなくいきなり温泉に入ろう、と言い出す男優。
もう少し何かなかったのか、と心の中で呟くが、温泉に入りたくて仕方なかったのかもしれない。

「今混浴の温泉って、普通にあるの?」
「あるみたいだね。まぁ男女で入ってるところってあんまりないって聞くけど」

そして混浴の温泉に入るカップル。
ちゃんと前流してから入ってる辺りは、撮影とは言えマナーをちゃんと守ってるなと感心する。
そこに、地元の男と思われる男優たちが数人乱入する。

女優が慌てて肌を隠すも、いいじゃねぇか、とか言いながら男の一人が女の手をどけようとしていた。
そこに彼氏役の男優が止めに入るが、他の男どもに押さえつけられて彼氏役の男優はタオルなどで縛られて猿轡を噛まされている。
これからどうなるのか、と思うが当然のごとく、彼氏役の目の前で彼女役の女優が輪姦される。

「えっと……シチュエーションがちょっときつくない?」
「ネトラレって言うんだっけ、こういうの……」
「俺あんま好きじゃないんだよな、ネトラレ……」
「大輝はこういう状況になったら興奮するの?」
「いや、多分女神の力使ってでもこいつら滅するわ」

そういわれると、見ていて怒りが湧いてくる。
胸糞悪くなって、乱暴にその動画を止めた。

「いや、さすがに女神の力使って殺しちゃダメでしょ……」

俺の発言に対する批判が始まって、俺はブラウザごとパコパコ動画のページを閉じた。

「じゃあお前ら、俺以外の男に輪姦されてひいひい言わされたい願望でもあるのか?」

全員に目を向けて、俺は言い放つ。
何故かイライラが収まらない。

「そんなの、ないけど……」
「でも、女神の力とかチートだし……それに女神の力使って殺したら存在ごと消えてなくなっちゃうんでしょ?」
「そんなことする様なやつらは、消滅させてやればいいんだ」

普段の俺からは想像できない発言が飛び出し、自分でも少しびっくりする。

「大輝、落ち着け。誰もそんなことされたいなんて言ってないから」

ロヴンさんが俺を宥めに入る。
俺って想像力が豊かな方なのか?
何かあの動画を見ていて胸の辺りがムカムカしてきて、気づいたらあんなことを言っていた。

「大輝が感じる怒り、もっともだと思う。私の気持ち、少しはわかってくれた?」

朋美が得意げに、少々イラっとくる様なドヤ顔を向ける。
何となく癪ではあるが、これは認めざるを得ない様だ。

「はぁ、わかった、悪かったよ。確かにムカつくな、ああいうの!」
「でしょ?わかってくれたらいいの。ちゃんと考えてくれたらそれでいいから」

俺はもうエロ動画を見るのはやめようと思った。
リアルでこんなにも沢山の女がいて、贅沢だと思い直す。

「たまになら、そりゃ仕方ないかなって思うけど……」
「いやもう見ない」
「へ?」
「だから、見ない。何かもう、ああいうの見て腹立たしい気持ちになるのが嫌だ」
「き、極端じゃない?」
「いいんだよ、俺にはお前らがいるんだから」


かくして、今回のエロ動画騒動が幕を閉じた。
夕方になって、クリスマスパーティが始まって、色とりどりのチキンが……チキン?
色とりどりの?
……何だこれは。

「ちょっと趣向を変えてみました」

絵の具でも塗ったのか?という様なチキン。

「絵の具じゃないから安心して。野菜のペースト混ぜた衣つけたフライドチキンだから」

ブロッコリーとかの緑、紫キャベツとかの紫、にんじんのオレンジ。
別々にしてサラダにでもしたら良かったんじゃ……。

「あ、割と美味しい」

好奇心旺盛代表の桜子が、そのチキンを頬張って感想を述べる。
ならば、と口にしてみると、意外なことにいける。
キャベツだけはちょっと癖が強い様に思えるが、こういうものだと思いながら食べる。
体には良さそうかな。

そして食後に出てきたのは、青いケーキ。
何で青いのこれ……。
見た目から美味しくなさそうなんだけど……。

「ブルーハワイのシロップをクリームに混ぜてみた」

味は何というか、ブルーハワイ。
クリームの滑らかさとかそういうのの前にガツンと主張してくるブルーハワイ。
スポンジにはリキュールが入っているらしく、意外にもクリームと合う。

「これ全部みんなの手作りなのか」
「まぁね。たまには冒険してみてもいいかなって」

今回はたまたま上手く行ったからよかったものの、失敗してたらと思うと少し肝が冷えた。
年末年始が近いことだし、年越しくらいは普通にしたいものだ。

「さて大輝、今回はどの動画のシチュエーションで楽しもうか」

もう動画はこりごりだよ。
俺はそう心の中で呟いて、ベッドルームに向かった。
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