85 / 144
本編
大輝編51話~将来の目標~
しおりを挟む
俺と睦月は、この日春喜さんに呼ばれて姫沢邸にきていた。
相変わらずでかい家だな、と思う。
こんな広い家を、一人で飽きもせず管理している秀美さんはすごいと改めて思う。
今回の呼び出しの趣旨は不明だが、どうも機嫌伺いだけで済む様には思えない。
何となく重要な話がある、ということを匂わせてきていたからだ。
「久しぶりに来るよね、そういえば」
「だなぁ。お前が睦月に転生してすぐの頃以来か」
チャイムを鳴らして、返事を待つ。
すぐに秀美さんが出てきて、俺たちを出迎えてくれた。
「いらっしゃい。久しぶりねぇ」
「ご無沙汰してます、秀美さん」
「長い間来られなくてごめんね」
「いいのよ、去年のクリスマスイブに一度顔は見てるから」
あの時のことは、今思い出しても恥ずかしいの一言に尽きる。
日本中で俺の名前が認識される様な事態になるなんて、誰が想像できただろうか。
しかし睦月の存在の重要性を再認識できた、非常に有意義な出来事でもあったので、不満ばかりではないのだが。
「パパももういるの?」
「いるわよ。さ、どうぞどうぞ」
秀美さんはスリッパを出して、俺たちに履く様促した。
「おお、いらっしゃい」
「ご無沙汰してます、春喜さん」
「久しぶり、パパ」
リビングに通されて、春喜さんと向かい合って座る。
人数分のお茶を用意して、秀美さんも席についた。
何だか穏やかとは言い難い雰囲気だ。
「早速なんだけどね、大輝くん」
「はい」
本当に早速だな、と思う。
もちろんこの人たちには恩しかないので、そんなことは間違っても口にしないわけだが。
「うちの会社を、継ぐ気はないか?」
「は?」
「いやね、有能な跡継ぎって言うのを、そろそろ視野に入れておきたいかなって思うんだよ」
「はぁ……えらく急な話ですね」
「そうでもないさ。僕みたいに忙しくしてる人間は、いつどこでどうなるかなんてわからないからね。そういうのを探しておくに越したことはない」
まぁ、言いたいことはわかる。
けど、俺は血縁でもなければ睦月と結婚したわけでもない。
それを、いきなり後継者になりませんか、とか言われてもイマイチ実感が湧かないのも確かだ。
「まぁでも、話自体が急であることは認めるよ。ただね、ふざけ半分とかお遊びでこんな話をしてるんじゃないってことは理解してもらいたい」
「ふむ……」
姫沢グループはかなりでかい規模で、様々な事業を展開している、と聞いている。
俺も正直全部は知らないけど、相当手広くやっていると聞いている。
収入が安定するのであれば、将来的な不安もなくなってはくるだろう。
だが、経営学だとか、そういうものは俺の知識にはない。
会社を潰す様な結果になったらどうしよう、という気持ちが断然強いのが正直なところ。
そんな風にビビってしまっている俺に、春喜さんが悪魔の様に囁く。
「大輝くん、君は特別なんだ。もちろん、わが社としても君を全面バックアップさせてもらう。ゲスな話をするなら、まずお金に関しては一切心配ないよ」
「そ、そうですか……」
春喜さんが言ってる意味がイマイチ理解できない。
お金の面ってことは、大学とかそういうこともだろうか。
「大学はもちろん、その交通費だとか、生活費に関しても面倒を見ることを約束するよ。更に言うのであれば、君がかかえている女性陣についても、養えるだけの報酬を支払うことを約束する」
「随分大きく出ましたね。俺に、そこまでの価値があると本当にお考えで?」
「あるとも。もちろん、睦月も他のメンバーも……君のコネクションはすごいものだと思う。力を貸してもらえるのであれば、そう言った部分に関してもどうにでもできる」
「コネクション……まぁ、彼女たちをそういう目で見たことはないですけど、みんな素晴らしい人たちだと思ってますよ」
「確かに、大輝くんの性格的にそういう風に見ることはないだろうね。でも、彼女らを引き寄せているのは、間違いなく君の力だ」
そんなこと言われても実感はない。
というか、ほとんど睦月の力な気がするのは気のせいか?
「春喜さん、要望があるなら今のうちに明らかにしておきませんか?俺の持つそのコネクションが必要なんです?それとも俺自身が必要なんです?」
「ふむ、なるほど。少し誤解させてしまったみたいで申し訳ない。大輝くんが俺の元で働いてくれるという場合、やはり心の拠り所的な意味で、彼女たちは必要だろう、って意味さ」
「…………」
「もちろん、君たちのその超常的な力は何をするにも役に立つんだろうと思う。だが、それを随時行使していたらこの世はたちまちおかしなことになってしまう。そうだね?」
「範囲にもよるかもしれませんが、概ねその認識で合ってると思います」
俺は睦月を見る。
睦月は俺を見てうなづいた。
「春喜さんの言う、超常的な力は何も睦月だけのものではないですよ」
「どういうことだい?」
「俺も、その力を身に着けたんです」
「ほう……それは睦月と同種の?」
「ええ。もし、俺の力が必要だと考えたのであれば、この力も込みで考えてもらって構わないですよ」
「それは、俺に条件を出したいという考えがありそうな感じに見えるね」
「さすがですね、話が早い。俺には現状九人……いや、一時的に十二人の女がいます。……そんな顔しないでください。三人は期間限定なんで。話を戻しますけど、俺にはその全員を養いたいという願望があります」
「まぁ、家族だったとしても十二人……いや十人くらいになるんだっけ。それら全員を養うとなると相当大変だと思うが」
「そうですね。ただ、俺が力を貸すってことは神が会社の力になるのと同じことです。もちろん常時使えるってわけじゃ、今のところないんですけど」
「まぁ、睦月が神なんだから同じ力を持つのであれば、そういうことになるか。で、何が望みだい?」
「いくつかあるんですけど……この件に巻き込むのは俺だけにしてもらいたいんです」
「ほう、大輝くんらしい考えだね」
春喜さんが秀美さんを見ると、秀美さんは頷いて台所に消えた。
「ああ、すまないね。こういう話をしているとたばこがほしくなるんだ。たばこ、吸っても大丈夫かい?」
「私はパパのたばこの吸い方、割と好きだよ」
「そうか、ありがとう。大輝くんは大丈夫か?」
「俺も、特には嫌ったりしてないですね」
「そうか、なら安心だ。ああ、秀美ありがとう」
たばこを受け取って、春喜さんが火をつける。
俺はたばこを吸ったことがないからわからないが、大人になると吸いたくなったりすることもあるんだろうか。
「たばこなんて、吸わないで済むならその方がいいさ。俺はやめられなくて、こうして吸ってしまっているけどね」
「そういうものですか。で、俺以外の人間を巻き込まないって話はどうなりますか?」
「ああ、そうだったね。それが大輝くんの意志であるなら、それでいいと思う。何しろこちらは頼んでいる側だからね」
「そう言ってもらえると助かります」
「ほかにもある様だったけど?」
「全員を養うと仮定して、それだけの稼ぎが得られるかどうかを知りたいです」
「なるほど。まぁ、それは大輝くん次第ということになるんだけど……まぁ、大輝くんが持っている力を行使するのであれば、初任給でこれくらいは出せると思う」
春喜さんがスマホを取り出して、電卓アプリで計算を始めた。
その提示金額を見て、俺は目を丸くする。
正直、漫画とかドラマなんかで見る様な、途方もない額であったことだけは確かだ。
実際にみたことがあるかと言われると……修学旅行で睦月が持ってきた金額に近い。
しかもそれが初任給って……。
「そうだねぇ、あとは大輝くんが頑張ってくれるなら、査定とかでここに上乗せされていく感じにはなるよ」
あんまりにも美味い話過ぎて、ちょっと疑いたくなる様な提案だ。
しかし睦月が口をはさんでこないということは、特に嘘をついていたりということはないのだろう。
騙す意思も特に感じられない。
何か隠しているのであれば、睦月も気づいて何か言う……と思う。
「あとはもう、信じてもらうしかないよね」
「…………」
「パパ、それって大輝一人じゃないとダメなの?」
「どういうことだ?」
「私は手伝ったり、できないのかなって」
「それは、大輝くんが拒否してる話だからな。それに、たとえば子どもができたりした場合に、どうするかって話も出てくる」
「会社に託児所みたいなの、ないの?」
「本社にはあるよ。だけど、利用するにはいくつか規定があるからね」
子どもか、まだ先の話だと思ってあんまり考えてなかったけど……そういう問題もいずれは直面することになるのか。
「ああ、そうそうそれで思い出した。子どもは、いつ頃作る予定なんだい?こっちの様子はどう?」
春喜さんが、左手で輪を作って、そこに人差し指を抜き差しするジェスチャーをする。
何というか、直接的な表現をされるよりもゲスい気がするんだが……。
「えっと……」
「パパ、気になるのはわかるけどそういうの聞くのはさすがにどうかと思う」
「ああ、ごめんごめん。もし仮に今子どもができたとしても、バックアップできるよってことを言いたかっただけなんだ」
頭を軽く掻いて、春喜さんが困った様な顔をする。
あんなことする人だったっけ……。
「一応言っとくと、まだ作る予定はないよ。できない様に力も使ってるしね。でも、いつ頃なら、って考えてはいる」
「ほう、そうなのか?」
「いえ、俺は初耳なんですけど」
いつの間にそんな話が……。
俺、知らない間にパパになってたりするわけ?
さすがに知らない間っていうのだけは、勘弁してほしい。
せめて予告くらいは……。
「あとね、一つだけ条件というか、お願いがあるんだ」
「お願い、ですか?」
「まぁ、本当に個人的というか……これは秀美の願いでもある」
何だろう、改まって……別に春喜さんのお願いなら、聞かないってことはないんだけどな。
睦月は何となくわかっていそうな顔をしている。
「お願いというのはね、俺たちを親だと思ってほしいってことなんだ」
「そんなことでいいんですか?俺、とっくにそう思ってましたけど」
これは嘘ではない。
元々俺にあれだけ世話を焼いてくれて、恩に感じないわけがないし名前で呼ぶ様にしてるのは、血縁でもないし、というただそれだけのこと。
ただの俺の中の線引きみたいなものだ。
「大輝くんがそう思ってくれてるのはわかってるし、素直に嬉しい。だけど、そういうことじゃないんだ」
「というと?」
「呼び方かな。あと、大輝くんの意識」
なるほど、俺に父さん母さんと呼んでほしい、ということか。
母親はいることはいるんだが……父は確か何万年も前に死んだんだっけ。
「呼び方と意識だけでいいのであれば、お安い御用ですが……俺、今のメンバーの誰とも結婚をするつもりはないんです。それでもいいですか?」
「え?」
「彼女たちの中には、既に適齢期の女性も二人いるんですが、その人たちの人生も俺は背負っていかないといけません。だから、誰とも結婚はしない。これが俺のけじめです」
「じゃあ、睦月とも?」
「ええ、そのつもりです。結婚しないと一緒にいられない世の中でもありませんし、ああいう人たちの人生を、俺の為に費やしてもらっているんです。なら、俺も応えるべきだと考えています」
「なるほど……」
春喜さんと秀美さんが顔を見合わせる。
仕方ないか、という顔をして、二人は笑い合った。
「大輝くん、君の決意はわかった。それが固いのであろうことも。だけど、それを知った上で俺たちは君にお願いしたい」
「……本当に、いいんですか?」
「いいも悪いもないさ。俺たちは大輝くんだから、お願いしてる。もちろん、大輝くんが嫌だと言うのであれば……もしくはほかにやりたいことがある、というのであれば断ってもらって構わないよ」
「なら……早速で恐縮ですけど、父さん、それから母さん。俺みたいなので良かったら、よろしくお願いします」
俺は座ったまま、深々と頭を下げた。
見ると睦月も頭を下げている。
こいつが、こんなことするなんて……。
秀美さんはよほどうれしかったのか、目尻に涙を浮かべていた。
春喜さんも嬉しいらしく、俺と睦月を両手に抱いて、大いに喜んだ。
「で、どこの大学に行きたいとか決めてるのかい?」
「いえ、まだ……というか、元々は高校出たら働くつもりでいましたから」
こんなところで甘えていいものか、という迷いはあるもののここでちゃんと大学を出ておけば将来的な苦労も多少は軽減されるのではないかと思った。
俺一人のためじゃなく、みんなの未来を背負うというのであれば、手段を選んでいる場合でもないだろう。
「高校卒業と同時に働くのもありだけどね、俺としては、今しかない学生時代を楽しんでもらいたいって思いも強いんだ」
「ですけど、俺の財力じゃないですし……」
「いいんだって。だって、卒業したら俺のところで仕事で返してもらうんだから。もちろん給料から引いたりなんかしないよ?」
「俺、物凄く甘やかされてま、すね……。でも、今回だけ……みんなの為にお言葉に甘えさせてもらいます」
行きたい大学の希望は、まとまったらまた連絡すると告げて俺たちは姫沢邸を出た。
「大輝、良かったね」
「あー……なぁ、本当によかったのかな」
「何で?本人たちが大輝の世話焼きたくて仕方ないんだよ。金も持て余してるんだし、好きな様にさせてやったらいいよ」
「そういうもんかねぇ……あの人たちが思うほど、俺有能じゃないぞ」
「そんなことないよ。大輝が手に入れた力はもう、大輝のものなんだから。どう使うかは大輝次第でしょ。仮に大輝が煩わしいこと全部力で解決するんだとしても、それはそれで一つの経験だろうし。でも、それじゃいけないって思うのも大輝なんだから」
「随分信用されてんなぁ、俺。まぁ、俺が間違えそうだったら、お前は止めてくれるんだろ?」
「んー……どうだろ、一緒に間違える道を選ぶかもしれない。だって、間違いを正すことで一緒にいられなくなるんだったら、私にとっては何の意味もないから」
こういうことを平然と言ってのける。
本当、敵わないと思う。
俺にそこまでのことが言えるだろうか。
あらゆる部分で俺は、こいつに勝てないんだなぁ、と思い知った。
「で、どうだったの?話し合い」
「ん、まぁ……俺の将来の一部が確定したかな」
朋美と桜子、明日香と和歌さんが俺の話を聞こうと残っていた様だった。
愛美さんは今日、会社の飲み会で……飲み会ばっか行ってんな、あの人。
「それって、婿養子とかそういう?」
「いや、違うよ。前にも言ったけど、俺は誰とも結婚しない。それも伝えて、その上で大学行かせてくれて会社で迎えてくれるんだって」
「すごいな……そこまでさせるなんて、本当」
「俺は、みんなを養いたいって目標ありますからね。高校出てすぐ仕事、でもよかったんだけどそれだと何処かで無理が出てきたかな、って思ってはいたから……正直助かりましたね。でも、期待されてるのは半分、俺の力の方かもですけど」
「値段なんかつけようがない力だからなぁ……けど、そこらの新卒よりもいい給料もらえそうじゃないか」
「まぁ、具体的な金額は伏せますけど……女神勢除いてのメンバーなら軽く養えると思います」
「そ、そんなに……」
みんな、俺が高校卒業と同時にヒモにでもなるとかまだ思ってたんだろうか。
あんなのは睦月の冗談に決まっているのに。
「ねぇ大輝」
「ん?」
「私が養ってあげる予定だったんだけど……」
「お前、本気で言ってたの?」
「そうだよ。なのにいつの間にか私たちは巻き込むなとか大人みたいなこと言っちゃって……」
「ま、マジだったのか、それは何て言うか……ごめん」
「でも、少しかっこよかった」
「割と俺、心臓バクバクだったけどな。でも、ちゃんと結果につながったから安心はしてる。戸籍上は変わらないけど父や母と呼べる人もできたし」
やっぱり結婚するのか、などと詰め寄られたが、俺はそれはないと回避した。
将来のことなんて何も考えてなかった俺だけど、こういう機会できちんと考えるきっかけを作ってくれた父さんには感謝しないといけないな。
う遠くないうちにまた、挨拶にでも行こう。
その時はみんなを連れて。
相変わらずでかい家だな、と思う。
こんな広い家を、一人で飽きもせず管理している秀美さんはすごいと改めて思う。
今回の呼び出しの趣旨は不明だが、どうも機嫌伺いだけで済む様には思えない。
何となく重要な話がある、ということを匂わせてきていたからだ。
「久しぶりに来るよね、そういえば」
「だなぁ。お前が睦月に転生してすぐの頃以来か」
チャイムを鳴らして、返事を待つ。
すぐに秀美さんが出てきて、俺たちを出迎えてくれた。
「いらっしゃい。久しぶりねぇ」
「ご無沙汰してます、秀美さん」
「長い間来られなくてごめんね」
「いいのよ、去年のクリスマスイブに一度顔は見てるから」
あの時のことは、今思い出しても恥ずかしいの一言に尽きる。
日本中で俺の名前が認識される様な事態になるなんて、誰が想像できただろうか。
しかし睦月の存在の重要性を再認識できた、非常に有意義な出来事でもあったので、不満ばかりではないのだが。
「パパももういるの?」
「いるわよ。さ、どうぞどうぞ」
秀美さんはスリッパを出して、俺たちに履く様促した。
「おお、いらっしゃい」
「ご無沙汰してます、春喜さん」
「久しぶり、パパ」
リビングに通されて、春喜さんと向かい合って座る。
人数分のお茶を用意して、秀美さんも席についた。
何だか穏やかとは言い難い雰囲気だ。
「早速なんだけどね、大輝くん」
「はい」
本当に早速だな、と思う。
もちろんこの人たちには恩しかないので、そんなことは間違っても口にしないわけだが。
「うちの会社を、継ぐ気はないか?」
「は?」
「いやね、有能な跡継ぎって言うのを、そろそろ視野に入れておきたいかなって思うんだよ」
「はぁ……えらく急な話ですね」
「そうでもないさ。僕みたいに忙しくしてる人間は、いつどこでどうなるかなんてわからないからね。そういうのを探しておくに越したことはない」
まぁ、言いたいことはわかる。
けど、俺は血縁でもなければ睦月と結婚したわけでもない。
それを、いきなり後継者になりませんか、とか言われてもイマイチ実感が湧かないのも確かだ。
「まぁでも、話自体が急であることは認めるよ。ただね、ふざけ半分とかお遊びでこんな話をしてるんじゃないってことは理解してもらいたい」
「ふむ……」
姫沢グループはかなりでかい規模で、様々な事業を展開している、と聞いている。
俺も正直全部は知らないけど、相当手広くやっていると聞いている。
収入が安定するのであれば、将来的な不安もなくなってはくるだろう。
だが、経営学だとか、そういうものは俺の知識にはない。
会社を潰す様な結果になったらどうしよう、という気持ちが断然強いのが正直なところ。
そんな風にビビってしまっている俺に、春喜さんが悪魔の様に囁く。
「大輝くん、君は特別なんだ。もちろん、わが社としても君を全面バックアップさせてもらう。ゲスな話をするなら、まずお金に関しては一切心配ないよ」
「そ、そうですか……」
春喜さんが言ってる意味がイマイチ理解できない。
お金の面ってことは、大学とかそういうこともだろうか。
「大学はもちろん、その交通費だとか、生活費に関しても面倒を見ることを約束するよ。更に言うのであれば、君がかかえている女性陣についても、養えるだけの報酬を支払うことを約束する」
「随分大きく出ましたね。俺に、そこまでの価値があると本当にお考えで?」
「あるとも。もちろん、睦月も他のメンバーも……君のコネクションはすごいものだと思う。力を貸してもらえるのであれば、そう言った部分に関してもどうにでもできる」
「コネクション……まぁ、彼女たちをそういう目で見たことはないですけど、みんな素晴らしい人たちだと思ってますよ」
「確かに、大輝くんの性格的にそういう風に見ることはないだろうね。でも、彼女らを引き寄せているのは、間違いなく君の力だ」
そんなこと言われても実感はない。
というか、ほとんど睦月の力な気がするのは気のせいか?
「春喜さん、要望があるなら今のうちに明らかにしておきませんか?俺の持つそのコネクションが必要なんです?それとも俺自身が必要なんです?」
「ふむ、なるほど。少し誤解させてしまったみたいで申し訳ない。大輝くんが俺の元で働いてくれるという場合、やはり心の拠り所的な意味で、彼女たちは必要だろう、って意味さ」
「…………」
「もちろん、君たちのその超常的な力は何をするにも役に立つんだろうと思う。だが、それを随時行使していたらこの世はたちまちおかしなことになってしまう。そうだね?」
「範囲にもよるかもしれませんが、概ねその認識で合ってると思います」
俺は睦月を見る。
睦月は俺を見てうなづいた。
「春喜さんの言う、超常的な力は何も睦月だけのものではないですよ」
「どういうことだい?」
「俺も、その力を身に着けたんです」
「ほう……それは睦月と同種の?」
「ええ。もし、俺の力が必要だと考えたのであれば、この力も込みで考えてもらって構わないですよ」
「それは、俺に条件を出したいという考えがありそうな感じに見えるね」
「さすがですね、話が早い。俺には現状九人……いや、一時的に十二人の女がいます。……そんな顔しないでください。三人は期間限定なんで。話を戻しますけど、俺にはその全員を養いたいという願望があります」
「まぁ、家族だったとしても十二人……いや十人くらいになるんだっけ。それら全員を養うとなると相当大変だと思うが」
「そうですね。ただ、俺が力を貸すってことは神が会社の力になるのと同じことです。もちろん常時使えるってわけじゃ、今のところないんですけど」
「まぁ、睦月が神なんだから同じ力を持つのであれば、そういうことになるか。で、何が望みだい?」
「いくつかあるんですけど……この件に巻き込むのは俺だけにしてもらいたいんです」
「ほう、大輝くんらしい考えだね」
春喜さんが秀美さんを見ると、秀美さんは頷いて台所に消えた。
「ああ、すまないね。こういう話をしているとたばこがほしくなるんだ。たばこ、吸っても大丈夫かい?」
「私はパパのたばこの吸い方、割と好きだよ」
「そうか、ありがとう。大輝くんは大丈夫か?」
「俺も、特には嫌ったりしてないですね」
「そうか、なら安心だ。ああ、秀美ありがとう」
たばこを受け取って、春喜さんが火をつける。
俺はたばこを吸ったことがないからわからないが、大人になると吸いたくなったりすることもあるんだろうか。
「たばこなんて、吸わないで済むならその方がいいさ。俺はやめられなくて、こうして吸ってしまっているけどね」
「そういうものですか。で、俺以外の人間を巻き込まないって話はどうなりますか?」
「ああ、そうだったね。それが大輝くんの意志であるなら、それでいいと思う。何しろこちらは頼んでいる側だからね」
「そう言ってもらえると助かります」
「ほかにもある様だったけど?」
「全員を養うと仮定して、それだけの稼ぎが得られるかどうかを知りたいです」
「なるほど。まぁ、それは大輝くん次第ということになるんだけど……まぁ、大輝くんが持っている力を行使するのであれば、初任給でこれくらいは出せると思う」
春喜さんがスマホを取り出して、電卓アプリで計算を始めた。
その提示金額を見て、俺は目を丸くする。
正直、漫画とかドラマなんかで見る様な、途方もない額であったことだけは確かだ。
実際にみたことがあるかと言われると……修学旅行で睦月が持ってきた金額に近い。
しかもそれが初任給って……。
「そうだねぇ、あとは大輝くんが頑張ってくれるなら、査定とかでここに上乗せされていく感じにはなるよ」
あんまりにも美味い話過ぎて、ちょっと疑いたくなる様な提案だ。
しかし睦月が口をはさんでこないということは、特に嘘をついていたりということはないのだろう。
騙す意思も特に感じられない。
何か隠しているのであれば、睦月も気づいて何か言う……と思う。
「あとはもう、信じてもらうしかないよね」
「…………」
「パパ、それって大輝一人じゃないとダメなの?」
「どういうことだ?」
「私は手伝ったり、できないのかなって」
「それは、大輝くんが拒否してる話だからな。それに、たとえば子どもができたりした場合に、どうするかって話も出てくる」
「会社に託児所みたいなの、ないの?」
「本社にはあるよ。だけど、利用するにはいくつか規定があるからね」
子どもか、まだ先の話だと思ってあんまり考えてなかったけど……そういう問題もいずれは直面することになるのか。
「ああ、そうそうそれで思い出した。子どもは、いつ頃作る予定なんだい?こっちの様子はどう?」
春喜さんが、左手で輪を作って、そこに人差し指を抜き差しするジェスチャーをする。
何というか、直接的な表現をされるよりもゲスい気がするんだが……。
「えっと……」
「パパ、気になるのはわかるけどそういうの聞くのはさすがにどうかと思う」
「ああ、ごめんごめん。もし仮に今子どもができたとしても、バックアップできるよってことを言いたかっただけなんだ」
頭を軽く掻いて、春喜さんが困った様な顔をする。
あんなことする人だったっけ……。
「一応言っとくと、まだ作る予定はないよ。できない様に力も使ってるしね。でも、いつ頃なら、って考えてはいる」
「ほう、そうなのか?」
「いえ、俺は初耳なんですけど」
いつの間にそんな話が……。
俺、知らない間にパパになってたりするわけ?
さすがに知らない間っていうのだけは、勘弁してほしい。
せめて予告くらいは……。
「あとね、一つだけ条件というか、お願いがあるんだ」
「お願い、ですか?」
「まぁ、本当に個人的というか……これは秀美の願いでもある」
何だろう、改まって……別に春喜さんのお願いなら、聞かないってことはないんだけどな。
睦月は何となくわかっていそうな顔をしている。
「お願いというのはね、俺たちを親だと思ってほしいってことなんだ」
「そんなことでいいんですか?俺、とっくにそう思ってましたけど」
これは嘘ではない。
元々俺にあれだけ世話を焼いてくれて、恩に感じないわけがないし名前で呼ぶ様にしてるのは、血縁でもないし、というただそれだけのこと。
ただの俺の中の線引きみたいなものだ。
「大輝くんがそう思ってくれてるのはわかってるし、素直に嬉しい。だけど、そういうことじゃないんだ」
「というと?」
「呼び方かな。あと、大輝くんの意識」
なるほど、俺に父さん母さんと呼んでほしい、ということか。
母親はいることはいるんだが……父は確か何万年も前に死んだんだっけ。
「呼び方と意識だけでいいのであれば、お安い御用ですが……俺、今のメンバーの誰とも結婚をするつもりはないんです。それでもいいですか?」
「え?」
「彼女たちの中には、既に適齢期の女性も二人いるんですが、その人たちの人生も俺は背負っていかないといけません。だから、誰とも結婚はしない。これが俺のけじめです」
「じゃあ、睦月とも?」
「ええ、そのつもりです。結婚しないと一緒にいられない世の中でもありませんし、ああいう人たちの人生を、俺の為に費やしてもらっているんです。なら、俺も応えるべきだと考えています」
「なるほど……」
春喜さんと秀美さんが顔を見合わせる。
仕方ないか、という顔をして、二人は笑い合った。
「大輝くん、君の決意はわかった。それが固いのであろうことも。だけど、それを知った上で俺たちは君にお願いしたい」
「……本当に、いいんですか?」
「いいも悪いもないさ。俺たちは大輝くんだから、お願いしてる。もちろん、大輝くんが嫌だと言うのであれば……もしくはほかにやりたいことがある、というのであれば断ってもらって構わないよ」
「なら……早速で恐縮ですけど、父さん、それから母さん。俺みたいなので良かったら、よろしくお願いします」
俺は座ったまま、深々と頭を下げた。
見ると睦月も頭を下げている。
こいつが、こんなことするなんて……。
秀美さんはよほどうれしかったのか、目尻に涙を浮かべていた。
春喜さんも嬉しいらしく、俺と睦月を両手に抱いて、大いに喜んだ。
「で、どこの大学に行きたいとか決めてるのかい?」
「いえ、まだ……というか、元々は高校出たら働くつもりでいましたから」
こんなところで甘えていいものか、という迷いはあるもののここでちゃんと大学を出ておけば将来的な苦労も多少は軽減されるのではないかと思った。
俺一人のためじゃなく、みんなの未来を背負うというのであれば、手段を選んでいる場合でもないだろう。
「高校卒業と同時に働くのもありだけどね、俺としては、今しかない学生時代を楽しんでもらいたいって思いも強いんだ」
「ですけど、俺の財力じゃないですし……」
「いいんだって。だって、卒業したら俺のところで仕事で返してもらうんだから。もちろん給料から引いたりなんかしないよ?」
「俺、物凄く甘やかされてま、すね……。でも、今回だけ……みんなの為にお言葉に甘えさせてもらいます」
行きたい大学の希望は、まとまったらまた連絡すると告げて俺たちは姫沢邸を出た。
「大輝、良かったね」
「あー……なぁ、本当によかったのかな」
「何で?本人たちが大輝の世話焼きたくて仕方ないんだよ。金も持て余してるんだし、好きな様にさせてやったらいいよ」
「そういうもんかねぇ……あの人たちが思うほど、俺有能じゃないぞ」
「そんなことないよ。大輝が手に入れた力はもう、大輝のものなんだから。どう使うかは大輝次第でしょ。仮に大輝が煩わしいこと全部力で解決するんだとしても、それはそれで一つの経験だろうし。でも、それじゃいけないって思うのも大輝なんだから」
「随分信用されてんなぁ、俺。まぁ、俺が間違えそうだったら、お前は止めてくれるんだろ?」
「んー……どうだろ、一緒に間違える道を選ぶかもしれない。だって、間違いを正すことで一緒にいられなくなるんだったら、私にとっては何の意味もないから」
こういうことを平然と言ってのける。
本当、敵わないと思う。
俺にそこまでのことが言えるだろうか。
あらゆる部分で俺は、こいつに勝てないんだなぁ、と思い知った。
「で、どうだったの?話し合い」
「ん、まぁ……俺の将来の一部が確定したかな」
朋美と桜子、明日香と和歌さんが俺の話を聞こうと残っていた様だった。
愛美さんは今日、会社の飲み会で……飲み会ばっか行ってんな、あの人。
「それって、婿養子とかそういう?」
「いや、違うよ。前にも言ったけど、俺は誰とも結婚しない。それも伝えて、その上で大学行かせてくれて会社で迎えてくれるんだって」
「すごいな……そこまでさせるなんて、本当」
「俺は、みんなを養いたいって目標ありますからね。高校出てすぐ仕事、でもよかったんだけどそれだと何処かで無理が出てきたかな、って思ってはいたから……正直助かりましたね。でも、期待されてるのは半分、俺の力の方かもですけど」
「値段なんかつけようがない力だからなぁ……けど、そこらの新卒よりもいい給料もらえそうじゃないか」
「まぁ、具体的な金額は伏せますけど……女神勢除いてのメンバーなら軽く養えると思います」
「そ、そんなに……」
みんな、俺が高校卒業と同時にヒモにでもなるとかまだ思ってたんだろうか。
あんなのは睦月の冗談に決まっているのに。
「ねぇ大輝」
「ん?」
「私が養ってあげる予定だったんだけど……」
「お前、本気で言ってたの?」
「そうだよ。なのにいつの間にか私たちは巻き込むなとか大人みたいなこと言っちゃって……」
「ま、マジだったのか、それは何て言うか……ごめん」
「でも、少しかっこよかった」
「割と俺、心臓バクバクだったけどな。でも、ちゃんと結果につながったから安心はしてる。戸籍上は変わらないけど父や母と呼べる人もできたし」
やっぱり結婚するのか、などと詰め寄られたが、俺はそれはないと回避した。
将来のことなんて何も考えてなかった俺だけど、こういう機会できちんと考えるきっかけを作ってくれた父さんには感謝しないといけないな。
う遠くないうちにまた、挨拶にでも行こう。
その時はみんなを連れて。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ヤクザのお嬢は25人の婚約者に迫られてるけど若頭が好き!
タタミ
恋愛
関東最大の極道組織・大蛇組組長の一人娘である大蛇姫子は、18歳の誕生日に父から「今年中に必ず結婚しろ」と命じられる。
姫子の抵抗虚しく、次から次へと夫候補の婚約者(仮)が現れては姫子と見合いをしていくことに。
しかし、姫子には子どもの頃からお目付け役として世話をしてくれている組員・望月大和に淡い恋心を抱き続けていて──?
全25人の婚約者から真実の愛を見つけることはできるのか!?今、抗争より熱い戦いの幕が上がる……!!
君への気持ちが冷めたと夫から言われたので家出をしたら、知らぬ間に懸賞金が掛けられていました
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【え? これってまさか私のこと?】
ソフィア・ヴァイロンは貧しい子爵家の令嬢だった。町の小さな雑貨店で働き、常連の男性客に密かに恋心を抱いていたある日のこと。父親から借金返済の為に結婚話を持ち掛けられる。断ることが出来ず、諦めて見合いをしようとした矢先、別の相手から結婚を申し込まれた。その相手こそ彼女が密かに思いを寄せていた青年だった。そこでソフィアは喜んで受け入れたのだが、望んでいたような結婚生活では無かった。そんなある日、「君への気持ちが冷めたと」と夫から告げられる。ショックを受けたソフィアは家出をして行方をくらませたのだが、夫から懸賞金を掛けられていたことを知る――
※他サイトでも投稿中
借りてきたカレ
しじましろ
恋愛
都合の良い存在であるはずのレンタル彼氏に振り回されて……
あらすじ
システムエンジニアの萩野みさをは、仕事中毒でゾンビのような見た目になるほど働いている。
人の良さにつけ込まれ、面倒な仕事を押しつけられたり、必要のない物を買わされたり、損ばかりしているが、本人は好きでやっていることとあまり気にしていない。
人並みに結婚願望はあるものの、三十歳過ぎても男性経験はゼロ。
しかし、レンタル彼氏・キキとの出会いが、そんな色の無いみさをの日常を大きく変えていく。
基本的にはカラッと明るいラブコメですが、生き馬の目を抜くIT企業のお仕事ものでもあるので、癖のあるサブキャラや意外な展開もお楽しみください!
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
昔好きだったお姉さんが不倫されたので落としに行ったら後輩からも好かれていた
九戸政景
恋愛
高校三年生の柴代大和は、小学校一年生の頃からの付き合いである秋田泰希の姉である夕希に恋心を抱いていたが、夕希の結婚をきっかけに恋心を諦めていた。
そして小学生の頃の夢を見た日、泰希から大和は夕希の離婚を伝えられ、それと同時にある頼みをされる。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる