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本編
Girs side40話~怒りの終着点~
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<Side T>
案内はなかったが、二人の敵の気配をノルンさんが探ってくれて俺たちは何とか睦月たちの居場所を割り出すことに成功した。
これから向かう場所は、今のメンバーの誰も行ったことのない場所だ。
怒りに震える手を必死で抑えて、俺はみんなを見た。
みんなも俺を心配そうに見ている。
「大輝、オーラが漏れているが……大丈夫か?」
「ここまで抑えるので精いっぱいなんですよ。早く見つけないと、俺自身爆発しちゃいそうです」
決して誇張した表現ではなく、俺はもう限界が近いのだと感じていた。
他の誰かに睦月を、あいをどうにかされるんじゃないかという焦りがおそらく俺をこうさせているのだと思う。
敵がそういう目的でさらったとは限らないが、何がどうなっているのかわからないこの状況では、よくない方向に考えてしまう。
「大輝、心配なのはわかるけど……ここは落ち着いて行動した方がいいんじゃ……」
「わかってるよ、フレイヤ。だけど……やっぱり何か落ち着かない。睦月があんな風に救援要請してくること自体が異常だと思うし……」
「…………」
これでもかなり落ち着かなくては、と自分を戒めているつもりではある。
それでもやはり焦ってしまうというのは、睦月やあいへの思いの表れだろうか。
今一緒にきてくれている三人に対して失礼じゃないか、なんて考えてしまうが、今はそういう場合じゃないと考え直す。
今はだれが一番とか、そういうことを考えている場合じゃない。
いち早く救出しなければならない相手が三人もいる。
「見えてきたな、どうやらあそこだ」
ロヴンさんが建物を見つけた様だ。
俺はどうも方向音痴が過ぎるので、こういうときつてきてくれる人がいると助かる。
きっと一人できてたら迷ってしまって、こんなに早く到着できなくて更に焦っていたに違いない。
「よし、じゃあ私たちがまず先制をかける。敵が出てくる様なら、大輝の出番だ」
ロヴンさんが言い、フレイヤとノルンさんとで光弾を撃ち出した。
入口のドアが爆発とともに吹き飛んで、轟音と煙に包まれた。
「さて、何が出てくるやら……」
ノルンさんが息をのんで消失した入口を見つめる。
騒ぎになるのはまぁ必然として、敵が脅威に感じるかどうかが問題だ。
「あ、出てきたみたい。あれだよね、多分」
見たこともない……人間か?
一人、建物から出てきて俺たちの姿を認める。
「スルーズの仲間ですか?」
「って聞いてくるってことは、お前があいつらをさらったのか?」
「私ともう一人いますがね。取り返しに来たんですか?なら無駄なことだと思いますが」
その一言に俺は我を失って、一瞬で気力を開放してそのまま攻撃を与える。
片方は相手の放った力を受けて吸収すると言っていたが、果たしてどれだけ耐えられるのか。
「た、大輝!!話くらい聞いても……」
「もう耐えられません。ここに犯人がいるとなれば、問答無用ですよ」
あふれ出る俺の殺気に圧されて、ノルンさんが言葉を失う。
ロキの話通りそいつは俺の攻撃を受けてどんどんと膨らんでいく。
巨大化している、と言う方が正しいのか。
「だから言ったでしょう。無駄ですよ、と」
「そうか、俺の攻撃を吸収してるんだったか……なら、そのまま吸い込み続けて見せろ」
俺の力は確かに母さんのおかげで増大しているが、俺は自分の全力を知らない。
だから、ここでまだ見ぬ俺の全力を試してしまおうと考えた。
他のメンバーは下手に手を出したら巻き込まれるとわかっているからか少し離れて見ている。
手ごたえはありそうだが、果たしてどうなるか。
俺の目論見通りであれば、こいつは倒せるはずだ。
しかし、俺の計算違いになってしまっていれば俺たちの負けが確定してしまう。
「すさまじいエネルギーですね……!」
「そうか?まだ全力じゃないぞ。吸えるんであれば、遠慮なんかするな」
「くっ……」
某戦闘漫画で、エネルギーを吸えるだけ吸わせて破裂させての勝利を収めたものがあった。
今回はそれを真似てみるくらいしか方法が思いつかない。
二人のどっちが積極的に吸収するのか、とかそういう情報が不足している状態で、近接戦闘をしかけるのも愚かしいと思ったからだ。
「ぐ……これは……」
「何だ、もう許容限界か?」
「ま、まだまだ……」
「太陽を吸い尽くせるなんて思いあがりもいいところだ。死ね」
俺はそのまま更に力を開放して、相手に注ぎ込んだ。
「ダメだ、大輝……殺しては」
「大丈夫です、殺したりはしませんよ。五体満足では生かしておきませんが」
徐々に相手の体が吸収過多になって崩壊していくのを見ながら、尚俺はまだ力を緩めない。
相手はもはや言葉も発することができない様だ。
「どうやらこいつは人間ではないみたいですね。殺すことはできませんが、身動きできない様にしてやりましょう」
俺はいつからこんなに残虐になった?
そう思わざるを得ないほどに残酷な仕打ちが頭の中に浮かんでくる。
最終的に相手は首から上だけが残った。
それでもちゃんと生きている。
その頭をオーラで包んで、徐々に焼く。
「そ、そこまでしなくても……」
「甘いですよ。こういうやつは、一度でも二度でも痛い目を見るべきなんだ」
俺のオーラをボールの様な形に加工して、その頭部を抱えて建物の中に足を踏み入れる。
大して広くない作りの建物だけに、三人を探すのには苦労しなさそうだ。
<Side M>
今、とんでもない力を感じた。
この強大な力は大輝で間違いない。
一瞬弱まった気がするが、吸収されたのだろう。
しかし再度大きくなっている。
私の考えている通りなのであれば、このまま大輝は勝利できるだろう。
相手はおそらく人間ではない。
言ってしまえば、私たちと同種のものを感じた。
なので殺してしまったりという心配はないかもしれないが、死ぬことのない相手だけに大輝がどこまで残虐性を出してくるのかが想像できない。
できれば大輝にはそんなことをしてほしくはないが、現状では大輝だけが頼りなのだ。
それに、助けてもらう側がそんなことに注文をつけることなんかできるはずもない。
周りが止められるのであれば話は別かもしれないが……望みは薄そうだ。
「どうやら敵襲の様ですね」
ヘルを伴って、アポロンが私のいる牢の前にやってきた。
「降参した方が賢明だと思うぞ。私が思っている通りの相手なんだとしたら、相手が悪すぎる。お前らも死ぬことはないのかもしれないが、それだけに苦しむ結果になるかもしれない」
「敵の心配をする余裕があるのですか、さすがですね」
「心配っていうか……まぁ、心配だな。私としてはあの子にそんな風に手を汚してほしくない」
「あなたほどの方がそこまで仰る様な相手ですか……ですが、ここで引き下がるわけにはいきません」
アポロンが私の牢を開けて私を牢から出した。
戒めは解かれていないものの、先ほどまでの窮屈さからは解放された様な気分にはなれた。
ヘルはその手に玲央を抱き、俯いている。
「ヘルに何かしたのか?」
「何もしていませんよ。会話はしましたが……」
一つの気配が、消えたわけではないが非常に弱弱しくなっているのを感じる。
アヌビスが大輝の手にかかったということか。
先ほどまでの強気なアポロンはいない。
そんなことを考えていると、入口の扉が乱暴に蹴り開けられて複数の人影を確認することができた。
「大輝……!」
「睦月……」
大輝の手に抱えられているのは……アヌビスの首か……やはり、こうなってしまったのか。
体はきっと滅ぼされてしまったのだろう。
私とヘルの衣服に乱れがないのを見て、大輝の目から怒りが少しだけ引いた様に見える。
それでも、まだ少し収まらない様子ではある。
「三人を離せ。じゃなければこのお仲間はここで消えることになる。いくら復活できるとは言っても、二人同時に消滅すれば百年単位で時間がかかるんだろう?」
「…………」
「小細工はしない方がいいな。こちらにも、感情や感覚調整のスペシャリストはいるんだ。お前らに濃厚なホモプレイをさせたりってこともできるんだからな」
まさかアポロンとアヌビスに、それをさせるつもりなのだろうか。
というか大輝の発言とも思えない様な言葉が次々に飛び出す。
ヘルもさすがに少し驚いているのか、大輝を見て驚愕の表情を浮かべている。
大輝が答えあぐねているアポロンの左腕を、視線だけで吹き飛ばした。
苦悶の表情でアポロンは大輝を見る。
「早く離すことだ。それとも、俺に力の源を絶たれて無理やり解放されるのがお望みか?」
「た、大輝落ち着いて?私たち何もされてないから……ねぇヘル?」
「う、うん……」
アポロンが呻きながらも、私の戒めを解く。
ヘルにも何かしている様だったが、ヘルには特に変わった様子はない。
「おかしなことはするなよ?こいつと仲良く首だけで生きるなんてことになりたくなかったらな」
「三人を開放したら、あなたの手の中の人をもとに戻していただけますか……」
「言える立場だと思ってるのか?黙って言われた通りにしたらそれでいい。しなければ生首が一個増えることになるだけだ」
「く……」
力の差を理解して萎縮しているアポロンは、私たちに目で大輝の元へ行く様に言ってその場に座り込んだ。
左腕を失ったアポロンが、恐怖に歪んだ表情で大輝を見た。
それを受けた大輝がアポロンの足元に生首を放り投げる。
「小細工はしてないだろうな。俺はいつでも、お前らを滅ぼせるわけだが」
「していません。意味がありませんから……」
「そうか。なら……」
大輝は私たちの無事を確かめて、アヌビスとアポロンの体を元に戻した。
二人が驚いた様に大輝を見る。
「何を驚いているんだ?そっちだって無傷で人質を解放したんだ。こうしなかったらフェアじゃないだろ」
「ですが……」
「罰は十分に与えた。だがこれ以上を望むのなら、俺としては本意じゃないが、続けてもいいぞ」
「い、いえ……」
正直今の大輝はおっかない。
私の妄想では華麗に救出にきた大輝に抱き着いて……なんてことを考えていたんだけど……とてもそんなことができる雰囲気ではない。
「さて、じゃあ戦闘はここまででいいな?なら後は、話し合いだ。そうだろ?」
「話し合い……何のですか」
「お前らは、あい……いやヘルをここの統治者に戻したい。そうだったな?」
「そ、そうです」
「だが、ヘルは戻るつもりはない、と答えた。間違いないか?」
「う、うん……だって、私には玲央を育てる義務があるし……」
「話はわかった。けど、妥協点は必要だと思う。お前らが納得できるギリギリ最低のラインで、手を打たないか?」
「というと……?」
「お前らがヘルに何をさせたいのかはわからないが、ヘルが常駐している必要はないと思う。見ての通り子持ちでもあるしな。だが、ヘルとしても一切こっちに来られないということもないはずだ」
「それは確かに……」
話をしているうちに、大輝は普段の様な落ち着きを取り戻していく様に見えた。
結局大輝が打ち出した妥協案は、必要に応じてヘルが冥界の統治をして、普段はこの二人に任せるというものだった。
二人は複雑そうな顔をしていたが、少し話してそれが妥協点であることを確認できた様だ。
「わかりました、それでお願いできますか」
「わかった。だけど、私だっていつまでもこっちでってのは難しいから……」
「我々も努力はいたします。この度は、大変申し訳ないことを……」
「もういいって。二人も、それでいいよな?」
「う、うん」
「まぁ……力も元に戻ったし……」
「困ったことがあったら言ってくれよ。ロキとか経由してくれて構わないから。二度とこんなことにはさせないから」
そう言って大輝はヘルを抱き寄せて、頭を撫でた。
くそ、うらやましい。
私だって割と屈辱的な思いをしたのに……。
「睦月、何て顔してんだよ。こっちこいって」
むくれ気味の私に気づいた大輝が、私も抱き寄せる。
「お二人とも、あなたの……?」
「あ?まぁな。そこの三人もだ。ついでに言っとくと、ヘルの子の父親は俺だ」
「じょ、女性なのにですか?」
「元々男なんだよ。訳アリでな。母は太陽神ソールだ」
「あ、あなたが!?……私たちは無謀な戦いを仕掛けていたのですね……」
「まぁ、無謀かはわからないけど……次くる様なら潰しちゃうと思う。頼むから俺にそんなことをさせないでほしい」
「勝ち目ゼロの戦いに挑むほど、私たちは愚かではないつもりです……」
ひとまず全員で神界に戻って、二人はオーディンにも謝罪をした。
オーディンが烈火のごとく怒っていたが、ヘルが玲央を抱かせると徐々にもとに戻っていった。
「とまぁ、こういう訳なんで……何とか許してやってもらえませんかね」
「まぁ、お前がそう言うのであれば、致し方ないの。お前たちも、もうこんなことはしない様に」
「申し訳ありませんでした。何なりと、罰を受けます」
「そこまでは考えてないがの……というかお前たちは、わしの管轄の神ではない様じゃからの」
どうやらこいつらは元々ギリシア地方の神で間違いない様だった。
深い追及はされなかったが、アヌビスとアポロンという名前そのものはやはりコードネームだったらしい。
オーディンが無断で裁けば、また不要ないさかいが起きることも懸念されるということで、冥界に関しては北欧の神とギリシアの神とで協力して統治するということで話がまとまった。
今度、ギリシアの神の長とオーディンとで会合がもたれることになったという。
「さて、だいぶ時間が経ってしまった様じゃが……大丈夫なのかの?」
そうだった。
私は元々、ヘルを大輝の誕生日に連れていくという目的があってここにきたんだった。
「そういえば、睦月の用事って何だったんだ?何でヘルも一緒に捕らえられてたんだ?」
「あ、えっとそれは……」
できれば内緒にしておきたかったが、こうなってしまった以上黙っているというのも感じが悪い。
さすがに話さないわけにもいかず、私たちは洗いざらい白状することにした。
「何だよ……俺なんかの為にそんな思いまでして……」
「だって、大輝が一番喜ぶかなって……」
「大輝、私たちは私たちなりに、お前の喜ぶことをしてやりたかったんだ。スルーズに全部任せてしまったのは私たちも悪いんだが……」
「怒ってるわけじゃないので……いや、まぁ今以上の被害があったらわかりませんけど」
「大輝、私も祝いに行っていいの?」
「そうしてくれるなら、嬉しいよ。本当なら会いたくなかったかもしれないけど、ごめんな」
「ううん……そうじゃないの。会ったらまた、大輝を求めておかしくなるかもしれなかったから……でも、ちゃんと今私は自分を律していられてる」
「そうか、ありがとうな。そういえばもう、そんな時期だったんだなぁ……」
大輝が十七歳になるまで、あと二日。
事の発端になった二人は大輝に礼儀正しく挨拶をして去り、私たちも一旦人間界に戻ることにした。
ヘルに関しては当日、私たちが迎えに来るということで話がついて、どうやら円満に大輝の誕生祝をすることができそうだ。
大輝が望む形にできたかはわからないが、それでも少しうれしそうな大輝を見ることができて、私は概ね満足だ。
案内はなかったが、二人の敵の気配をノルンさんが探ってくれて俺たちは何とか睦月たちの居場所を割り出すことに成功した。
これから向かう場所は、今のメンバーの誰も行ったことのない場所だ。
怒りに震える手を必死で抑えて、俺はみんなを見た。
みんなも俺を心配そうに見ている。
「大輝、オーラが漏れているが……大丈夫か?」
「ここまで抑えるので精いっぱいなんですよ。早く見つけないと、俺自身爆発しちゃいそうです」
決して誇張した表現ではなく、俺はもう限界が近いのだと感じていた。
他の誰かに睦月を、あいをどうにかされるんじゃないかという焦りがおそらく俺をこうさせているのだと思う。
敵がそういう目的でさらったとは限らないが、何がどうなっているのかわからないこの状況では、よくない方向に考えてしまう。
「大輝、心配なのはわかるけど……ここは落ち着いて行動した方がいいんじゃ……」
「わかってるよ、フレイヤ。だけど……やっぱり何か落ち着かない。睦月があんな風に救援要請してくること自体が異常だと思うし……」
「…………」
これでもかなり落ち着かなくては、と自分を戒めているつもりではある。
それでもやはり焦ってしまうというのは、睦月やあいへの思いの表れだろうか。
今一緒にきてくれている三人に対して失礼じゃないか、なんて考えてしまうが、今はそういう場合じゃないと考え直す。
今はだれが一番とか、そういうことを考えている場合じゃない。
いち早く救出しなければならない相手が三人もいる。
「見えてきたな、どうやらあそこだ」
ロヴンさんが建物を見つけた様だ。
俺はどうも方向音痴が過ぎるので、こういうときつてきてくれる人がいると助かる。
きっと一人できてたら迷ってしまって、こんなに早く到着できなくて更に焦っていたに違いない。
「よし、じゃあ私たちがまず先制をかける。敵が出てくる様なら、大輝の出番だ」
ロヴンさんが言い、フレイヤとノルンさんとで光弾を撃ち出した。
入口のドアが爆発とともに吹き飛んで、轟音と煙に包まれた。
「さて、何が出てくるやら……」
ノルンさんが息をのんで消失した入口を見つめる。
騒ぎになるのはまぁ必然として、敵が脅威に感じるかどうかが問題だ。
「あ、出てきたみたい。あれだよね、多分」
見たこともない……人間か?
一人、建物から出てきて俺たちの姿を認める。
「スルーズの仲間ですか?」
「って聞いてくるってことは、お前があいつらをさらったのか?」
「私ともう一人いますがね。取り返しに来たんですか?なら無駄なことだと思いますが」
その一言に俺は我を失って、一瞬で気力を開放してそのまま攻撃を与える。
片方は相手の放った力を受けて吸収すると言っていたが、果たしてどれだけ耐えられるのか。
「た、大輝!!話くらい聞いても……」
「もう耐えられません。ここに犯人がいるとなれば、問答無用ですよ」
あふれ出る俺の殺気に圧されて、ノルンさんが言葉を失う。
ロキの話通りそいつは俺の攻撃を受けてどんどんと膨らんでいく。
巨大化している、と言う方が正しいのか。
「だから言ったでしょう。無駄ですよ、と」
「そうか、俺の攻撃を吸収してるんだったか……なら、そのまま吸い込み続けて見せろ」
俺の力は確かに母さんのおかげで増大しているが、俺は自分の全力を知らない。
だから、ここでまだ見ぬ俺の全力を試してしまおうと考えた。
他のメンバーは下手に手を出したら巻き込まれるとわかっているからか少し離れて見ている。
手ごたえはありそうだが、果たしてどうなるか。
俺の目論見通りであれば、こいつは倒せるはずだ。
しかし、俺の計算違いになってしまっていれば俺たちの負けが確定してしまう。
「すさまじいエネルギーですね……!」
「そうか?まだ全力じゃないぞ。吸えるんであれば、遠慮なんかするな」
「くっ……」
某戦闘漫画で、エネルギーを吸えるだけ吸わせて破裂させての勝利を収めたものがあった。
今回はそれを真似てみるくらいしか方法が思いつかない。
二人のどっちが積極的に吸収するのか、とかそういう情報が不足している状態で、近接戦闘をしかけるのも愚かしいと思ったからだ。
「ぐ……これは……」
「何だ、もう許容限界か?」
「ま、まだまだ……」
「太陽を吸い尽くせるなんて思いあがりもいいところだ。死ね」
俺はそのまま更に力を開放して、相手に注ぎ込んだ。
「ダメだ、大輝……殺しては」
「大丈夫です、殺したりはしませんよ。五体満足では生かしておきませんが」
徐々に相手の体が吸収過多になって崩壊していくのを見ながら、尚俺はまだ力を緩めない。
相手はもはや言葉も発することができない様だ。
「どうやらこいつは人間ではないみたいですね。殺すことはできませんが、身動きできない様にしてやりましょう」
俺はいつからこんなに残虐になった?
そう思わざるを得ないほどに残酷な仕打ちが頭の中に浮かんでくる。
最終的に相手は首から上だけが残った。
それでもちゃんと生きている。
その頭をオーラで包んで、徐々に焼く。
「そ、そこまでしなくても……」
「甘いですよ。こういうやつは、一度でも二度でも痛い目を見るべきなんだ」
俺のオーラをボールの様な形に加工して、その頭部を抱えて建物の中に足を踏み入れる。
大して広くない作りの建物だけに、三人を探すのには苦労しなさそうだ。
<Side M>
今、とんでもない力を感じた。
この強大な力は大輝で間違いない。
一瞬弱まった気がするが、吸収されたのだろう。
しかし再度大きくなっている。
私の考えている通りなのであれば、このまま大輝は勝利できるだろう。
相手はおそらく人間ではない。
言ってしまえば、私たちと同種のものを感じた。
なので殺してしまったりという心配はないかもしれないが、死ぬことのない相手だけに大輝がどこまで残虐性を出してくるのかが想像できない。
できれば大輝にはそんなことをしてほしくはないが、現状では大輝だけが頼りなのだ。
それに、助けてもらう側がそんなことに注文をつけることなんかできるはずもない。
周りが止められるのであれば話は別かもしれないが……望みは薄そうだ。
「どうやら敵襲の様ですね」
ヘルを伴って、アポロンが私のいる牢の前にやってきた。
「降参した方が賢明だと思うぞ。私が思っている通りの相手なんだとしたら、相手が悪すぎる。お前らも死ぬことはないのかもしれないが、それだけに苦しむ結果になるかもしれない」
「敵の心配をする余裕があるのですか、さすがですね」
「心配っていうか……まぁ、心配だな。私としてはあの子にそんな風に手を汚してほしくない」
「あなたほどの方がそこまで仰る様な相手ですか……ですが、ここで引き下がるわけにはいきません」
アポロンが私の牢を開けて私を牢から出した。
戒めは解かれていないものの、先ほどまでの窮屈さからは解放された様な気分にはなれた。
ヘルはその手に玲央を抱き、俯いている。
「ヘルに何かしたのか?」
「何もしていませんよ。会話はしましたが……」
一つの気配が、消えたわけではないが非常に弱弱しくなっているのを感じる。
アヌビスが大輝の手にかかったということか。
先ほどまでの強気なアポロンはいない。
そんなことを考えていると、入口の扉が乱暴に蹴り開けられて複数の人影を確認することができた。
「大輝……!」
「睦月……」
大輝の手に抱えられているのは……アヌビスの首か……やはり、こうなってしまったのか。
体はきっと滅ぼされてしまったのだろう。
私とヘルの衣服に乱れがないのを見て、大輝の目から怒りが少しだけ引いた様に見える。
それでも、まだ少し収まらない様子ではある。
「三人を離せ。じゃなければこのお仲間はここで消えることになる。いくら復活できるとは言っても、二人同時に消滅すれば百年単位で時間がかかるんだろう?」
「…………」
「小細工はしない方がいいな。こちらにも、感情や感覚調整のスペシャリストはいるんだ。お前らに濃厚なホモプレイをさせたりってこともできるんだからな」
まさかアポロンとアヌビスに、それをさせるつもりなのだろうか。
というか大輝の発言とも思えない様な言葉が次々に飛び出す。
ヘルもさすがに少し驚いているのか、大輝を見て驚愕の表情を浮かべている。
大輝が答えあぐねているアポロンの左腕を、視線だけで吹き飛ばした。
苦悶の表情でアポロンは大輝を見る。
「早く離すことだ。それとも、俺に力の源を絶たれて無理やり解放されるのがお望みか?」
「た、大輝落ち着いて?私たち何もされてないから……ねぇヘル?」
「う、うん……」
アポロンが呻きながらも、私の戒めを解く。
ヘルにも何かしている様だったが、ヘルには特に変わった様子はない。
「おかしなことはするなよ?こいつと仲良く首だけで生きるなんてことになりたくなかったらな」
「三人を開放したら、あなたの手の中の人をもとに戻していただけますか……」
「言える立場だと思ってるのか?黙って言われた通りにしたらそれでいい。しなければ生首が一個増えることになるだけだ」
「く……」
力の差を理解して萎縮しているアポロンは、私たちに目で大輝の元へ行く様に言ってその場に座り込んだ。
左腕を失ったアポロンが、恐怖に歪んだ表情で大輝を見た。
それを受けた大輝がアポロンの足元に生首を放り投げる。
「小細工はしてないだろうな。俺はいつでも、お前らを滅ぼせるわけだが」
「していません。意味がありませんから……」
「そうか。なら……」
大輝は私たちの無事を確かめて、アヌビスとアポロンの体を元に戻した。
二人が驚いた様に大輝を見る。
「何を驚いているんだ?そっちだって無傷で人質を解放したんだ。こうしなかったらフェアじゃないだろ」
「ですが……」
「罰は十分に与えた。だがこれ以上を望むのなら、俺としては本意じゃないが、続けてもいいぞ」
「い、いえ……」
正直今の大輝はおっかない。
私の妄想では華麗に救出にきた大輝に抱き着いて……なんてことを考えていたんだけど……とてもそんなことができる雰囲気ではない。
「さて、じゃあ戦闘はここまででいいな?なら後は、話し合いだ。そうだろ?」
「話し合い……何のですか」
「お前らは、あい……いやヘルをここの統治者に戻したい。そうだったな?」
「そ、そうです」
「だが、ヘルは戻るつもりはない、と答えた。間違いないか?」
「う、うん……だって、私には玲央を育てる義務があるし……」
「話はわかった。けど、妥協点は必要だと思う。お前らが納得できるギリギリ最低のラインで、手を打たないか?」
「というと……?」
「お前らがヘルに何をさせたいのかはわからないが、ヘルが常駐している必要はないと思う。見ての通り子持ちでもあるしな。だが、ヘルとしても一切こっちに来られないということもないはずだ」
「それは確かに……」
話をしているうちに、大輝は普段の様な落ち着きを取り戻していく様に見えた。
結局大輝が打ち出した妥協案は、必要に応じてヘルが冥界の統治をして、普段はこの二人に任せるというものだった。
二人は複雑そうな顔をしていたが、少し話してそれが妥協点であることを確認できた様だ。
「わかりました、それでお願いできますか」
「わかった。だけど、私だっていつまでもこっちでってのは難しいから……」
「我々も努力はいたします。この度は、大変申し訳ないことを……」
「もういいって。二人も、それでいいよな?」
「う、うん」
「まぁ……力も元に戻ったし……」
「困ったことがあったら言ってくれよ。ロキとか経由してくれて構わないから。二度とこんなことにはさせないから」
そう言って大輝はヘルを抱き寄せて、頭を撫でた。
くそ、うらやましい。
私だって割と屈辱的な思いをしたのに……。
「睦月、何て顔してんだよ。こっちこいって」
むくれ気味の私に気づいた大輝が、私も抱き寄せる。
「お二人とも、あなたの……?」
「あ?まぁな。そこの三人もだ。ついでに言っとくと、ヘルの子の父親は俺だ」
「じょ、女性なのにですか?」
「元々男なんだよ。訳アリでな。母は太陽神ソールだ」
「あ、あなたが!?……私たちは無謀な戦いを仕掛けていたのですね……」
「まぁ、無謀かはわからないけど……次くる様なら潰しちゃうと思う。頼むから俺にそんなことをさせないでほしい」
「勝ち目ゼロの戦いに挑むほど、私たちは愚かではないつもりです……」
ひとまず全員で神界に戻って、二人はオーディンにも謝罪をした。
オーディンが烈火のごとく怒っていたが、ヘルが玲央を抱かせると徐々にもとに戻っていった。
「とまぁ、こういう訳なんで……何とか許してやってもらえませんかね」
「まぁ、お前がそう言うのであれば、致し方ないの。お前たちも、もうこんなことはしない様に」
「申し訳ありませんでした。何なりと、罰を受けます」
「そこまでは考えてないがの……というかお前たちは、わしの管轄の神ではない様じゃからの」
どうやらこいつらは元々ギリシア地方の神で間違いない様だった。
深い追及はされなかったが、アヌビスとアポロンという名前そのものはやはりコードネームだったらしい。
オーディンが無断で裁けば、また不要ないさかいが起きることも懸念されるということで、冥界に関しては北欧の神とギリシアの神とで協力して統治するということで話がまとまった。
今度、ギリシアの神の長とオーディンとで会合がもたれることになったという。
「さて、だいぶ時間が経ってしまった様じゃが……大丈夫なのかの?」
そうだった。
私は元々、ヘルを大輝の誕生日に連れていくという目的があってここにきたんだった。
「そういえば、睦月の用事って何だったんだ?何でヘルも一緒に捕らえられてたんだ?」
「あ、えっとそれは……」
できれば内緒にしておきたかったが、こうなってしまった以上黙っているというのも感じが悪い。
さすがに話さないわけにもいかず、私たちは洗いざらい白状することにした。
「何だよ……俺なんかの為にそんな思いまでして……」
「だって、大輝が一番喜ぶかなって……」
「大輝、私たちは私たちなりに、お前の喜ぶことをしてやりたかったんだ。スルーズに全部任せてしまったのは私たちも悪いんだが……」
「怒ってるわけじゃないので……いや、まぁ今以上の被害があったらわかりませんけど」
「大輝、私も祝いに行っていいの?」
「そうしてくれるなら、嬉しいよ。本当なら会いたくなかったかもしれないけど、ごめんな」
「ううん……そうじゃないの。会ったらまた、大輝を求めておかしくなるかもしれなかったから……でも、ちゃんと今私は自分を律していられてる」
「そうか、ありがとうな。そういえばもう、そんな時期だったんだなぁ……」
大輝が十七歳になるまで、あと二日。
事の発端になった二人は大輝に礼儀正しく挨拶をして去り、私たちも一旦人間界に戻ることにした。
ヘルに関しては当日、私たちが迎えに来るということで話がついて、どうやら円満に大輝の誕生祝をすることができそうだ。
大輝が望む形にできたかはわからないが、それでも少しうれしそうな大輝を見ることができて、私は概ね満足だ。
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