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第5章 村の形成と恋の芽生え
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獣人たちを受け入れてから一ヶ月が経った。噂はさらに広がり、西の村から新たな獣人が次々と逃れてくるようになった。
アーレンたちは彼ら全員を受け入れ、フロートとミストの力を借りて、次々と新しい家を建てていった。森の中心部には小さな広場も作られ、コミュニティの中心となっていった。
「アーレン様、新しい避難民が到着しました」
管理人となったミラが報告に来た。彼女はまだ少し緊張気味だったが、以前より自信を持って話せるようになっていた。
「何人ですか?」アーレンは作業の手を止めて尋ねた。
「五人です。狼の獣人一家です」
「分かりました。すぐに迎えに行きましょう」
アーレンはミラと共に、森の入り口へと向かった。そこには疲れた様子の狼獣人の家族が立っていた。夫婦と三人の子供たち。彼らは警戒心を抱きながらも、希望の眼差しでアーレンを見つめていた。
「こんにちは、私はアーレン・グレイヘイブンです。この森の領主です」
「ルーク・シルバーハウンドと申します」男性が一歩前に出て挨拶した。彼は筋肉質で、銀灰色の毛を持つ威厳ある狼獣人だった。「噂を聞いて参りました。こちらでは獣人も安心して暮らせると」
「はい、その通りです」アーレンは微笑んだ。「ここには既に二十人ほどの獣人が暮らしています。差別も迫害もありません」
ルークの妻が安堵の表情を見せた。「本当に感謝します。子供たちのために、安全な場所を探し回っていたのです」
「こちらへどうぞ」アーレンは彼らを村へと案内した。「到着したばかりですから、しばらくは共同の宿舎で過ごしていただき、その間に新しい家を建てましょう」
「自分たちで建てます」ルークは毅然と言った。「ただ材料と場所をお貸しいただければ」
「もちろん」アーレンは彼の自立心を尊重した。「何か必要なことがあれば、いつでも言ってください」
村に着くと、既に住んでいる獣人たちが新しい仲間を温かく迎え入れた。リーシャが食事を用意し、他の者たちが宿舎を案内する。
アーレンはそんな光景を眺めながら、深い満足感を覚えた。かつての呪われた森は、今や希望の村へと変わりつつあった。
「アーレン様」リーシャが近づいてきた。彼女は優しい微笑みを浮かべ、手作りのパンを差し出した。「お昼です。休憩してください」
「ありがとう、リーシャ」アーレンはパンを受け取り、微笑んだ。「君のパンはいつも美味しいね」
「嬉しいです」リーシャの頬が少し赤くなった。「アーレン様のために焼いたので」
アーレンも顔を赤らめた。リーシャの好意は明らかだった。彼女は寡婦となり、今は一人で暮らしている。彼女の優しさと強さは、アーレンの心を惹きつけていた。
「リーシャ」アーレンは勇気を出して言った。「今日の夕方、散歩でもしないか?森の中に素敵な場所を見つけたんだ。君に見せたいんだけど」
リーシャの目が輝いた。「はい!喜んで」
その会話を聞いていたエリアが、茂みから飛び出してきた。「デートですね!応援します!」
「え、エリア!」アーレンは慌てた。「盗み聞きはよくないよ」
「盗み聞きじゃありません!偶然通りかかっただけです!」エリアは尻尾を振りながら言い訳した。
リーシャはくすくす笑った。「エリアさんはいつも元気ですね」
「ごめんね、リーシャ」アーレンは申し訳なさそうに言った。「彼女たちは私の家族みたいなものだから、ちょっと干渉してくるんだ」
「素敵なことですよ」リーシャは優しく言った。「守護獣たちとそんな絆で結ばれているアーレン様だからこそ、私は…」
彼女は言葉を途中で止めたが、その意味はアーレンにも伝わった。彼女はアーレンを単なる領主としてではなく、一人の男性として見ていたのだ。
「じゃあ、夕方に」アーレンは微笑んだ。「家に迎えに行くよ」
リーシャは嬉しそうに頷き、その場を去った。彼女の歩き方には、いつもより弾むような軽やかさがあった。
エリアはアーレンの足元で喜びの舞を踊っていた。「アーレン様、リーシャさんと結婚するんですか?」
「ちょっと待って!」アーレンは慌てて言った。「まだただの散歩だよ。結婚なんてそんな…」
「でも好きなんでしょう?」エリアは鋭く指摘した。
アーレンはため息をついた。「…うん、好きかもしれない。彼女の強さと優しさ、そして子供たちへの愛情…素晴らしいと思う」
「よかった!正直に認めましたね!」エリアは喜んで跳ねた。「私たちも応援します!」
「君たちは…応援してくれるの?」
「もちろんです!」エリアは確信を持って言った。「アーレン様が幸せならそれでいいんです!私たちはアーレン様の家族ですから」
アーレンは感動して、エリアを抱き上げた。「ありがとう、エリア」
夕方、アーレンはリーシャの家を訪ねた。彼女は髪を綺麗に整え、清潔な服を着ていた。普段よりも化粧をしたようで、顔色が明るく見えた。
「綺麗だね」アーレンは心からの言葉を口にした。
「ありがとうございます」リーシャは顔を赤らめた。「久しぶりに女性らしくしてみました」
二人は森の中を歩き始めた。初夏の夕暮れ時、森は魔法のような美しさを帯びていた。木漏れ日が地面に落とす模様は、まるで輝く宝石のよう。森の香りと鳥のさえずりが、二人を包み込んでいた。
「この森は本当に美しいですね」リーシャは感嘆の声を上げた。「最初に来た時は恐ろしい場所だと思っていましたが、今は天国のように感じます」
「僕もそう思うよ」アーレンは微笑んだ。「この森には特別な魔力があるんだ。守護獣たちと共に、少しずつその魔力を回復させてきたんだけど」
彼らは小さな丘を登り、頂上に着いた。そこからは森全体を見渡すことができた。夕日に照らされた森は、まるで炎のように輝いていた。
「ここが見せたかった場所だよ」アーレンは言った。「夕日が沈む頃が一番美しいんだ」
「素晴らしい…」リーシャはため息をついた。「こんな美しい景色、見たことがありません」
二人は並んで座り、夕日が沈むのを眺めていた。肩が触れ合うほど近く、その温もりが心地よかった。
「リーシャ」アーレンは勇気を出して言った。「君と出会えて本当に良かった」
「私こそです」リーシャは静かに答えた。「アーレン様に出会わなければ、私たちはどうなっていたか…」
「アーレン様ではなく、アーレンでいいよ」彼は優しく言った。「少なくとも二人きりの時は」
リーシャは嬉しそうに頷いた。「アーレン…」
名前を呼ばれるだけで、彼の心は躍った。
「実は、私…」アーレンは言葉を探した。「前世でも今世でも、こういう経験があまりなくて…女性と二人きりで…」
「私も…」リーシャは小さく笑った。「夫とは政略結婚でした。愛情はありましたが、こんな…胸がドキドキするような関係は初めてです」
「そうなんだ」アーレンは少し安心した。「僕も同じだよ。だから、もし変なことを言ったり、ヘンな行動をしたら許してほしい」
「大丈夫です」リーシャは優しく微笑んだ。「あなたはそのままで十分素敵です」
夕日が完全に沈み、星空が広がり始めた頃、アーレンは思い切ってリーシャの手を取った。彼女は驚いたように彼を見たが、すぐに柔らかく手を握り返した。
「帰らないと暗くなるね」アーレンは言ったが、実は帰りたくない気持ちでいっぱいだった。
「はい…」リーシャも名残惜しそうだった。
彼らは手をつないだまま、ゆっくりと村へと歩き始めた。帰り道、リーシャは勇気を出して、アーレンの腕に自分の腕を絡めた。より近い距離で、彼女の柔らかな体温と香りを感じることができた。
リーシャの家に着くと、二人は名残惜しそうに向かい合った。
「今日はありがとう」アーレンは静かに言った。「とても楽しかったよ」
「私もです」リーシャは目を輝かせた。「また…お誘いいただけますか?」
「もちろん」アーレンは嬉しそうに答えた。「明日は忙しいけど、明後日はどうかな?」
「はい、喜んで」
別れ際、リーシャはそっとつま先立ちになり、アーレンの頬にキスをした。今回は「感謝」ではなく、もっと深い感情が込められていることは明らかだった。
アーレンも思い切って、彼女の髪に軽くキスを返した。その瞬間、リーシャの耳がピクリと動き、彼女の顔が真っ赤になった。獣人の耳は感情や気持ちがよく表れる部分だということを、アーレンは知っていた。
「おやすみなさい…アーレン」
「おやすみ、リーシャ」
彼女が家に入っていく姿を見送った後、アーレンは自分の家に向かった。心は喜びと興奮で一杯だった。
家に戻ると、守護獣たちが待ち構えていた。
「どうでしたか?」エリアが真っ先に飛びついてきた。「キスしました?結婚の約束はしました?」
「え、エリア!」アーレンは慌てた。「そんなに急ぐことじゃないよ」
「でも、幸せそうな顔をしているわ」セレナが静かに言った。
「うん…」アーレンは照れくさそうに認めた。「とても素敵な時間だった」
守護獣たちは喜んで、それぞれの方法でアーレンを祝福した。エリアは幻術で小さな花火を打ち上げ、セレナは祝福の水を振りかけ、ミストは部屋中に花を咲かせ、フロートは大地の恵みの石を贈り、ルミアは優しい風と輝く星を部屋の中に作り出した。
「みんな、ありがとう」アーレンは心から言った。「君たちがいなかったら、こんな幸せはなかったよ」
その夜、アーレンは守護獣たちに囲まれながらも、リーシャの柔らかな唇の感触と、彼女の香りを思い出していた。新しい感情の芽生えに、彼の心は暖かく満たされていた。
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翌日、アーレンは村の拡張計画を進めていた。獣人たちの数が増えるにつれ、より整備された村が必要になってきたのだ。
「ここに井戸を掘り、この辺りに共同の浴場を作りましょう」アーレンは獣人たちに説明していた。「フロートの力で地下水脈を見つけ、セレナの浄化能力で清潔な水を確保できます」
ルークが頷いた。「素晴らしい計画です。私たちも全力で協力します」
彼は昨日到着したばかりだが、すでに村の一員として積極的に参加していた。彼の力強さと率直さは、他の獣人たちからも一目置かれていた。
「ルークさん、あなたは何か特技はありますか?」アーレンは尋ねた。
「私は以前、護衛の仕事をしていました」ルークは答えた。「剣術と格闘技に長けています。もし許されるなら、村の警備を担当したいと思います」
「それは素晴らしい!」アーレンは喜んだ。「ぜひお願いしたい。エリアの幻術だけでは限界がありますから」
ちょうどその時、ミラが急いでやってきた。彼女の表情には緊張が浮かんでいた。
「アーレン様!村の入り口に見知らぬ商人が来ています!」
「商人?」アーレンは驚いた。これまで人間が自主的に訪ねてくることはなかった。
「はい。二台の馬車に護衛をつけています」
アーレンはルークと共に、村の入り口へと向かった。他の獣人たちには念のため警戒するよう伝え、エリアには幻術の準備をするよう指示した。
村の入り口には、確かに豪華な馬車と、十名ほどの護衛が待っていた。馬車から降りたのは、中年の立派な服装をした男性だった。
「こんにちは」男性は丁寧に挨拶した。「私はマーカスと申します。王都から来た商人です」
「アーレン・グレイヘイブンです。この森の領主です」アーレンは毅然と名乗った。「何の用件でしょうか?」
「この辺りで素晴らしい品質の鉱物や薬草が産出されているとの噂を聞きまして」マーカスは笑顔で言った。「特に『竜脈石』と呼ばれる魔石に興味があります」
アーレンは驚いた。確かにフロートが発見した中に、強い魔力を帯びた青い石があった。それが「竜脈石」と呼ばれる貴重な魔石だとは知らなかった。
「竜脈石…確かに少量ありますが」アーレンは慎重に答えた。「どうしてそれをご存じなのですか?」
「商人の勘です」マーカスはウインクした。「実は竜脈石は魔術師たちの間で大変な需要があるのです。高値で取引されています」
アーレンは考えを巡らせた。商取引を始めれば、村の発展につながる。だが、見知らぬ人間を簡単に信用するわけにもいかない。
「少し相談させてください」アーレンはマーカスに言い、ルークと少し離れた場所で話し合った。
「どう思いますか?」アーレンはルークに尋ねた。
「警戒はすべきですが、商売の機会は逃すべきではないでしょう」ルークは冷静に答えた。「私たちの村を発展させるには、外部との取引は避けられません」
アーレンは頷き、マーカスのもとに戻った。
「取引に興味はありますが、一つ条件があります」
「なんでしょう?」マーカスは好奇心いっぱいに尋ねた。
「この村には獣人が多く住んでいます。彼らへの差別や侮辱は一切認めません」
マーカスは一瞬驚いたような表情を見せたが、すぐに理解したように頷いた。
「もちろんです。私は商人。利益のためなら種族など関係ありません。むしろ、獣人の職人技は素晴らしいものが多いと聞いております」
実利的な答えではあったが、誠実さは感じられた。アーレンはマーカスを村へと招き入れた。
「では少しだけ村を案内します。その後、取引の詳細を話し合いましょう」
マーカスは興味深そうに村を見回した。獣人たちは最初は警戒していたが、アーレンが共にいることで少しずつ安心し始めた。
「素晴らしい村ですね」マーカスは感心した。「呪われた森と聞いていましたが、まるで楽園のようです」
「最近まで本当に呪われていたんです」アーレンは説明した。「私と守護獣たちが浄化してきました」
「守護獣?」マーカスは興味を示した。
その瞬間、エリアが飛び出してきた。「私たちのことです!」
マーカスは驚いて後ずさりした。「な、なんと…話す魔獣?」
「守護獣です」アーレンは訂正した。「彼らはこの森の元々の住人です」
他の守護獣たちも順番に姿を現した。セレナの優雅な佇まい、ミストの静かな存在感、フロートの威厳ある姿、ルミアの愛らしい翼。マーカスは目を見開いて、彼らを見つめていた。
「これは…驚くべきことだ」マーカスは畏敬の念を込めて言った。「古い伝説で聞いたことがありますが、実在するとは」
「私たちは実在します」セレナが優雅に言った。「そして、アーレン様と共にこの森を守っています」
マーカスはエリアに近づき、一礼した。「初めまして、私はマーカスと申します。商人です」
エリアはアーレンの方を見て、彼が頷くのを確認してから答えた。「私はエリア!火の守護獣です!」
マーカスの眼差しが変わった。畏怖と興味が入り混じった表情だ。
「守護獣と契約できるとは…グレイヘイブン様、あなたは並外れた方なのですね」
「いえ、ただの運命です」アーレンは謙虚に答えた。
彼らは村の広場に設けられた簡素なテーブルに座り、取引の詳細を話し合った。マーカスは竜脈石だけでなく、薬草や手工芸品にも興味を示した。そして見返りに、村では手に入らない道具や種、布、書物などを提供すると申し出た。
「定期的に訪問させていただきたい」マーカスは言った。「月に一度くらいの頻度で」
「構いませんが」アーレンは条件を付けた。「常に村のルールを守っていただきたい。そして、この村の場所を悪意ある者に漏らさないでほしい」
「もちろんです」マーカスは真剣に約束した。「私もこの取引で利益を得たいのです。村に害をなすことは私の利益にもなりません」
契約が成立し、マーカスは初回の取引品として、様々な書物、工具、種子、布地を贈った。アーレンたちは少量の竜脈石と、ミストが育てた薬草を交換した。
マーカスが去った後、村は賑わった。外部との交易が始まることで、村の可能性が大きく広がったのだ。
「これで村の発展がさらに加速するでしょう」ルークが満足げに言った。
リーシャもアーレンに近づいてきた。「素晴らしい判断でした、アーレン」
二人は昨日のデート以来、より親しい間柄になっていた。周囲の獣人たちも、二人の関係に気づき始めているようだった。
「ありがとう」アーレンは微笑んだ。「君たちの協力があってこそだよ」
その夜、アーレンは守護獣たちと共に今後の計画を話し合った。
「商人の来訪は、村にとって大きなチャンスです」セレナが言った。「しかし、同時に注目を集めることにもなります」
「うん」アーレンは頷いた。「これからは村の防衛も考えないといけないね」
「私たちがいれば大丈夫です!」エリアが自信満々に言った。
「そうだね」アーレンは微笑んだ。「でも、人間の力も必要だ。ルークの提案通り、村の警備隊を作ろう」
「アーレン様」ミストが小さな声で言った。「村の名前を決めませんか?」
「名前?」アーレンは驚いた。確かに、今まで特に名前をつけていなかった。
「そうですね」セレナも賛成した。「正式な村として認められるためには、名前も必要でしょう」
「どんな名前がいいかな?」アーレンは考え始めた。
「もふもふ村!」エリアが即座に提案した。
「え?」アーレンは笑った。「そんな名前で大丈夫かな?」
「とても良い名前だと思います」ルミアが真剣に言った。「アーレン様のもふもふテイマーとしての能力を象徴していますし、この村の特徴をよく表しています」
フロートも頷いた。「シンプルだが覚えやすい」
アーレンは考えた。確かに「もふもふ村」は独特だが、悪くない響きだ。何より、守護獣たちとの絆を表す名前として意味がある。
「分かった」アーレンは決断した。「この村の名前は『もふもふ村』に決定だ」
守護獣たちは喜んで鳴いたり、跳ねたりした。
翌日、村の広場で全員を集めて、村の名前が発表された。獣人たちは最初は驚いたが、すぐに笑顔になった。その名前には温かさと親しみやすさがあった。
「『もふもふ村』…素敵な名前ですね」リーシャはアーレンの隣で微笑んだ。
「守護獣たちが考えたんだ」アーレンは照れくさそうに言った。「変かな?」
「いいえ、とても素敵です」リーシャは彼の手を取った。「親しみやすくて、温かい。この村にぴったりです」
ミラもどこか嬉しそうに、耳をピクピクさせていた。「もふもふ…いい響きです」
こうして「もふもふ村」は正式に誕生した。獣人たちの安住の地であり、守護獣たちの聖域でもある場所として。
アーレンはリーシャの手を握りながら、新たな決意を胸に抱いた。この村をもっと発展させ、誰もが安心して暮らせる場所にするという決意を。そして、彼の心には新たな感情も芽生えていた。
リーシャへの想い。
それは日に日に強くなっていくものだった。
アーレンたちは彼ら全員を受け入れ、フロートとミストの力を借りて、次々と新しい家を建てていった。森の中心部には小さな広場も作られ、コミュニティの中心となっていった。
「アーレン様、新しい避難民が到着しました」
管理人となったミラが報告に来た。彼女はまだ少し緊張気味だったが、以前より自信を持って話せるようになっていた。
「何人ですか?」アーレンは作業の手を止めて尋ねた。
「五人です。狼の獣人一家です」
「分かりました。すぐに迎えに行きましょう」
アーレンはミラと共に、森の入り口へと向かった。そこには疲れた様子の狼獣人の家族が立っていた。夫婦と三人の子供たち。彼らは警戒心を抱きながらも、希望の眼差しでアーレンを見つめていた。
「こんにちは、私はアーレン・グレイヘイブンです。この森の領主です」
「ルーク・シルバーハウンドと申します」男性が一歩前に出て挨拶した。彼は筋肉質で、銀灰色の毛を持つ威厳ある狼獣人だった。「噂を聞いて参りました。こちらでは獣人も安心して暮らせると」
「はい、その通りです」アーレンは微笑んだ。「ここには既に二十人ほどの獣人が暮らしています。差別も迫害もありません」
ルークの妻が安堵の表情を見せた。「本当に感謝します。子供たちのために、安全な場所を探し回っていたのです」
「こちらへどうぞ」アーレンは彼らを村へと案内した。「到着したばかりですから、しばらくは共同の宿舎で過ごしていただき、その間に新しい家を建てましょう」
「自分たちで建てます」ルークは毅然と言った。「ただ材料と場所をお貸しいただければ」
「もちろん」アーレンは彼の自立心を尊重した。「何か必要なことがあれば、いつでも言ってください」
村に着くと、既に住んでいる獣人たちが新しい仲間を温かく迎え入れた。リーシャが食事を用意し、他の者たちが宿舎を案内する。
アーレンはそんな光景を眺めながら、深い満足感を覚えた。かつての呪われた森は、今や希望の村へと変わりつつあった。
「アーレン様」リーシャが近づいてきた。彼女は優しい微笑みを浮かべ、手作りのパンを差し出した。「お昼です。休憩してください」
「ありがとう、リーシャ」アーレンはパンを受け取り、微笑んだ。「君のパンはいつも美味しいね」
「嬉しいです」リーシャの頬が少し赤くなった。「アーレン様のために焼いたので」
アーレンも顔を赤らめた。リーシャの好意は明らかだった。彼女は寡婦となり、今は一人で暮らしている。彼女の優しさと強さは、アーレンの心を惹きつけていた。
「リーシャ」アーレンは勇気を出して言った。「今日の夕方、散歩でもしないか?森の中に素敵な場所を見つけたんだ。君に見せたいんだけど」
リーシャの目が輝いた。「はい!喜んで」
その会話を聞いていたエリアが、茂みから飛び出してきた。「デートですね!応援します!」
「え、エリア!」アーレンは慌てた。「盗み聞きはよくないよ」
「盗み聞きじゃありません!偶然通りかかっただけです!」エリアは尻尾を振りながら言い訳した。
リーシャはくすくす笑った。「エリアさんはいつも元気ですね」
「ごめんね、リーシャ」アーレンは申し訳なさそうに言った。「彼女たちは私の家族みたいなものだから、ちょっと干渉してくるんだ」
「素敵なことですよ」リーシャは優しく言った。「守護獣たちとそんな絆で結ばれているアーレン様だからこそ、私は…」
彼女は言葉を途中で止めたが、その意味はアーレンにも伝わった。彼女はアーレンを単なる領主としてではなく、一人の男性として見ていたのだ。
「じゃあ、夕方に」アーレンは微笑んだ。「家に迎えに行くよ」
リーシャは嬉しそうに頷き、その場を去った。彼女の歩き方には、いつもより弾むような軽やかさがあった。
エリアはアーレンの足元で喜びの舞を踊っていた。「アーレン様、リーシャさんと結婚するんですか?」
「ちょっと待って!」アーレンは慌てて言った。「まだただの散歩だよ。結婚なんてそんな…」
「でも好きなんでしょう?」エリアは鋭く指摘した。
アーレンはため息をついた。「…うん、好きかもしれない。彼女の強さと優しさ、そして子供たちへの愛情…素晴らしいと思う」
「よかった!正直に認めましたね!」エリアは喜んで跳ねた。「私たちも応援します!」
「君たちは…応援してくれるの?」
「もちろんです!」エリアは確信を持って言った。「アーレン様が幸せならそれでいいんです!私たちはアーレン様の家族ですから」
アーレンは感動して、エリアを抱き上げた。「ありがとう、エリア」
夕方、アーレンはリーシャの家を訪ねた。彼女は髪を綺麗に整え、清潔な服を着ていた。普段よりも化粧をしたようで、顔色が明るく見えた。
「綺麗だね」アーレンは心からの言葉を口にした。
「ありがとうございます」リーシャは顔を赤らめた。「久しぶりに女性らしくしてみました」
二人は森の中を歩き始めた。初夏の夕暮れ時、森は魔法のような美しさを帯びていた。木漏れ日が地面に落とす模様は、まるで輝く宝石のよう。森の香りと鳥のさえずりが、二人を包み込んでいた。
「この森は本当に美しいですね」リーシャは感嘆の声を上げた。「最初に来た時は恐ろしい場所だと思っていましたが、今は天国のように感じます」
「僕もそう思うよ」アーレンは微笑んだ。「この森には特別な魔力があるんだ。守護獣たちと共に、少しずつその魔力を回復させてきたんだけど」
彼らは小さな丘を登り、頂上に着いた。そこからは森全体を見渡すことができた。夕日に照らされた森は、まるで炎のように輝いていた。
「ここが見せたかった場所だよ」アーレンは言った。「夕日が沈む頃が一番美しいんだ」
「素晴らしい…」リーシャはため息をついた。「こんな美しい景色、見たことがありません」
二人は並んで座り、夕日が沈むのを眺めていた。肩が触れ合うほど近く、その温もりが心地よかった。
「リーシャ」アーレンは勇気を出して言った。「君と出会えて本当に良かった」
「私こそです」リーシャは静かに答えた。「アーレン様に出会わなければ、私たちはどうなっていたか…」
「アーレン様ではなく、アーレンでいいよ」彼は優しく言った。「少なくとも二人きりの時は」
リーシャは嬉しそうに頷いた。「アーレン…」
名前を呼ばれるだけで、彼の心は躍った。
「実は、私…」アーレンは言葉を探した。「前世でも今世でも、こういう経験があまりなくて…女性と二人きりで…」
「私も…」リーシャは小さく笑った。「夫とは政略結婚でした。愛情はありましたが、こんな…胸がドキドキするような関係は初めてです」
「そうなんだ」アーレンは少し安心した。「僕も同じだよ。だから、もし変なことを言ったり、ヘンな行動をしたら許してほしい」
「大丈夫です」リーシャは優しく微笑んだ。「あなたはそのままで十分素敵です」
夕日が完全に沈み、星空が広がり始めた頃、アーレンは思い切ってリーシャの手を取った。彼女は驚いたように彼を見たが、すぐに柔らかく手を握り返した。
「帰らないと暗くなるね」アーレンは言ったが、実は帰りたくない気持ちでいっぱいだった。
「はい…」リーシャも名残惜しそうだった。
彼らは手をつないだまま、ゆっくりと村へと歩き始めた。帰り道、リーシャは勇気を出して、アーレンの腕に自分の腕を絡めた。より近い距離で、彼女の柔らかな体温と香りを感じることができた。
リーシャの家に着くと、二人は名残惜しそうに向かい合った。
「今日はありがとう」アーレンは静かに言った。「とても楽しかったよ」
「私もです」リーシャは目を輝かせた。「また…お誘いいただけますか?」
「もちろん」アーレンは嬉しそうに答えた。「明日は忙しいけど、明後日はどうかな?」
「はい、喜んで」
別れ際、リーシャはそっとつま先立ちになり、アーレンの頬にキスをした。今回は「感謝」ではなく、もっと深い感情が込められていることは明らかだった。
アーレンも思い切って、彼女の髪に軽くキスを返した。その瞬間、リーシャの耳がピクリと動き、彼女の顔が真っ赤になった。獣人の耳は感情や気持ちがよく表れる部分だということを、アーレンは知っていた。
「おやすみなさい…アーレン」
「おやすみ、リーシャ」
彼女が家に入っていく姿を見送った後、アーレンは自分の家に向かった。心は喜びと興奮で一杯だった。
家に戻ると、守護獣たちが待ち構えていた。
「どうでしたか?」エリアが真っ先に飛びついてきた。「キスしました?結婚の約束はしました?」
「え、エリア!」アーレンは慌てた。「そんなに急ぐことじゃないよ」
「でも、幸せそうな顔をしているわ」セレナが静かに言った。
「うん…」アーレンは照れくさそうに認めた。「とても素敵な時間だった」
守護獣たちは喜んで、それぞれの方法でアーレンを祝福した。エリアは幻術で小さな花火を打ち上げ、セレナは祝福の水を振りかけ、ミストは部屋中に花を咲かせ、フロートは大地の恵みの石を贈り、ルミアは優しい風と輝く星を部屋の中に作り出した。
「みんな、ありがとう」アーレンは心から言った。「君たちがいなかったら、こんな幸せはなかったよ」
その夜、アーレンは守護獣たちに囲まれながらも、リーシャの柔らかな唇の感触と、彼女の香りを思い出していた。新しい感情の芽生えに、彼の心は暖かく満たされていた。
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翌日、アーレンは村の拡張計画を進めていた。獣人たちの数が増えるにつれ、より整備された村が必要になってきたのだ。
「ここに井戸を掘り、この辺りに共同の浴場を作りましょう」アーレンは獣人たちに説明していた。「フロートの力で地下水脈を見つけ、セレナの浄化能力で清潔な水を確保できます」
ルークが頷いた。「素晴らしい計画です。私たちも全力で協力します」
彼は昨日到着したばかりだが、すでに村の一員として積極的に参加していた。彼の力強さと率直さは、他の獣人たちからも一目置かれていた。
「ルークさん、あなたは何か特技はありますか?」アーレンは尋ねた。
「私は以前、護衛の仕事をしていました」ルークは答えた。「剣術と格闘技に長けています。もし許されるなら、村の警備を担当したいと思います」
「それは素晴らしい!」アーレンは喜んだ。「ぜひお願いしたい。エリアの幻術だけでは限界がありますから」
ちょうどその時、ミラが急いでやってきた。彼女の表情には緊張が浮かんでいた。
「アーレン様!村の入り口に見知らぬ商人が来ています!」
「商人?」アーレンは驚いた。これまで人間が自主的に訪ねてくることはなかった。
「はい。二台の馬車に護衛をつけています」
アーレンはルークと共に、村の入り口へと向かった。他の獣人たちには念のため警戒するよう伝え、エリアには幻術の準備をするよう指示した。
村の入り口には、確かに豪華な馬車と、十名ほどの護衛が待っていた。馬車から降りたのは、中年の立派な服装をした男性だった。
「こんにちは」男性は丁寧に挨拶した。「私はマーカスと申します。王都から来た商人です」
「アーレン・グレイヘイブンです。この森の領主です」アーレンは毅然と名乗った。「何の用件でしょうか?」
「この辺りで素晴らしい品質の鉱物や薬草が産出されているとの噂を聞きまして」マーカスは笑顔で言った。「特に『竜脈石』と呼ばれる魔石に興味があります」
アーレンは驚いた。確かにフロートが発見した中に、強い魔力を帯びた青い石があった。それが「竜脈石」と呼ばれる貴重な魔石だとは知らなかった。
「竜脈石…確かに少量ありますが」アーレンは慎重に答えた。「どうしてそれをご存じなのですか?」
「商人の勘です」マーカスはウインクした。「実は竜脈石は魔術師たちの間で大変な需要があるのです。高値で取引されています」
アーレンは考えを巡らせた。商取引を始めれば、村の発展につながる。だが、見知らぬ人間を簡単に信用するわけにもいかない。
「少し相談させてください」アーレンはマーカスに言い、ルークと少し離れた場所で話し合った。
「どう思いますか?」アーレンはルークに尋ねた。
「警戒はすべきですが、商売の機会は逃すべきではないでしょう」ルークは冷静に答えた。「私たちの村を発展させるには、外部との取引は避けられません」
アーレンは頷き、マーカスのもとに戻った。
「取引に興味はありますが、一つ条件があります」
「なんでしょう?」マーカスは好奇心いっぱいに尋ねた。
「この村には獣人が多く住んでいます。彼らへの差別や侮辱は一切認めません」
マーカスは一瞬驚いたような表情を見せたが、すぐに理解したように頷いた。
「もちろんです。私は商人。利益のためなら種族など関係ありません。むしろ、獣人の職人技は素晴らしいものが多いと聞いております」
実利的な答えではあったが、誠実さは感じられた。アーレンはマーカスを村へと招き入れた。
「では少しだけ村を案内します。その後、取引の詳細を話し合いましょう」
マーカスは興味深そうに村を見回した。獣人たちは最初は警戒していたが、アーレンが共にいることで少しずつ安心し始めた。
「素晴らしい村ですね」マーカスは感心した。「呪われた森と聞いていましたが、まるで楽園のようです」
「最近まで本当に呪われていたんです」アーレンは説明した。「私と守護獣たちが浄化してきました」
「守護獣?」マーカスは興味を示した。
その瞬間、エリアが飛び出してきた。「私たちのことです!」
マーカスは驚いて後ずさりした。「な、なんと…話す魔獣?」
「守護獣です」アーレンは訂正した。「彼らはこの森の元々の住人です」
他の守護獣たちも順番に姿を現した。セレナの優雅な佇まい、ミストの静かな存在感、フロートの威厳ある姿、ルミアの愛らしい翼。マーカスは目を見開いて、彼らを見つめていた。
「これは…驚くべきことだ」マーカスは畏敬の念を込めて言った。「古い伝説で聞いたことがありますが、実在するとは」
「私たちは実在します」セレナが優雅に言った。「そして、アーレン様と共にこの森を守っています」
マーカスはエリアに近づき、一礼した。「初めまして、私はマーカスと申します。商人です」
エリアはアーレンの方を見て、彼が頷くのを確認してから答えた。「私はエリア!火の守護獣です!」
マーカスの眼差しが変わった。畏怖と興味が入り混じった表情だ。
「守護獣と契約できるとは…グレイヘイブン様、あなたは並外れた方なのですね」
「いえ、ただの運命です」アーレンは謙虚に答えた。
彼らは村の広場に設けられた簡素なテーブルに座り、取引の詳細を話し合った。マーカスは竜脈石だけでなく、薬草や手工芸品にも興味を示した。そして見返りに、村では手に入らない道具や種、布、書物などを提供すると申し出た。
「定期的に訪問させていただきたい」マーカスは言った。「月に一度くらいの頻度で」
「構いませんが」アーレンは条件を付けた。「常に村のルールを守っていただきたい。そして、この村の場所を悪意ある者に漏らさないでほしい」
「もちろんです」マーカスは真剣に約束した。「私もこの取引で利益を得たいのです。村に害をなすことは私の利益にもなりません」
契約が成立し、マーカスは初回の取引品として、様々な書物、工具、種子、布地を贈った。アーレンたちは少量の竜脈石と、ミストが育てた薬草を交換した。
マーカスが去った後、村は賑わった。外部との交易が始まることで、村の可能性が大きく広がったのだ。
「これで村の発展がさらに加速するでしょう」ルークが満足げに言った。
リーシャもアーレンに近づいてきた。「素晴らしい判断でした、アーレン」
二人は昨日のデート以来、より親しい間柄になっていた。周囲の獣人たちも、二人の関係に気づき始めているようだった。
「ありがとう」アーレンは微笑んだ。「君たちの協力があってこそだよ」
その夜、アーレンは守護獣たちと共に今後の計画を話し合った。
「商人の来訪は、村にとって大きなチャンスです」セレナが言った。「しかし、同時に注目を集めることにもなります」
「うん」アーレンは頷いた。「これからは村の防衛も考えないといけないね」
「私たちがいれば大丈夫です!」エリアが自信満々に言った。
「そうだね」アーレンは微笑んだ。「でも、人間の力も必要だ。ルークの提案通り、村の警備隊を作ろう」
「アーレン様」ミストが小さな声で言った。「村の名前を決めませんか?」
「名前?」アーレンは驚いた。確かに、今まで特に名前をつけていなかった。
「そうですね」セレナも賛成した。「正式な村として認められるためには、名前も必要でしょう」
「どんな名前がいいかな?」アーレンは考え始めた。
「もふもふ村!」エリアが即座に提案した。
「え?」アーレンは笑った。「そんな名前で大丈夫かな?」
「とても良い名前だと思います」ルミアが真剣に言った。「アーレン様のもふもふテイマーとしての能力を象徴していますし、この村の特徴をよく表しています」
フロートも頷いた。「シンプルだが覚えやすい」
アーレンは考えた。確かに「もふもふ村」は独特だが、悪くない響きだ。何より、守護獣たちとの絆を表す名前として意味がある。
「分かった」アーレンは決断した。「この村の名前は『もふもふ村』に決定だ」
守護獣たちは喜んで鳴いたり、跳ねたりした。
翌日、村の広場で全員を集めて、村の名前が発表された。獣人たちは最初は驚いたが、すぐに笑顔になった。その名前には温かさと親しみやすさがあった。
「『もふもふ村』…素敵な名前ですね」リーシャはアーレンの隣で微笑んだ。
「守護獣たちが考えたんだ」アーレンは照れくさそうに言った。「変かな?」
「いいえ、とても素敵です」リーシャは彼の手を取った。「親しみやすくて、温かい。この村にぴったりです」
ミラもどこか嬉しそうに、耳をピクピクさせていた。「もふもふ…いい響きです」
こうして「もふもふ村」は正式に誕生した。獣人たちの安住の地であり、守護獣たちの聖域でもある場所として。
アーレンはリーシャの手を握りながら、新たな決意を胸に抱いた。この村をもっと発展させ、誰もが安心して暮らせる場所にするという決意を。そして、彼の心には新たな感情も芽生えていた。
リーシャへの想い。
それは日に日に強くなっていくものだった。
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