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水道
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何してんねんクソ変態非常勤がぁ!
と言わん勢いで文杜が早歩きで医院長室に乗り込むと。
ベットに、なんかシャツのボタンとか中途半端に開いた状態の真樹が俯いて座っていて、それに向かい合い、ガラ悪く真樹の顔を覗き込むようにしてデスクの椅子に座っている一之江。
しばらくすると真樹は袖で目元を拭いながら声にならない嗚咽を漏らして弱々しく一之江をぶん殴り始めるもんだから。
どう見てもなんか、無理矢理的ななんかがあったようにしか思えない。
しかし当の一之江は黙って殴られているばかりで、漸く二人を見るも、待ての合図か片手を翳す。そして白衣のポケットから何やら錠剤をいくつか取りだし、真樹に見せ、言い聞かせる。
「とにかくダメ。この薬は合ってないの、これは睡眠薬。そしてこっちは安定剤。一緒に飲んだら気絶すんの。したんだろ?当たり前なの人間でお前は小さいんだから。だから、まずはどっちもやめます。で、これ。ちょっと弱いけどこれは安定剤。これを飲みます。寝る2時間前。お前の場合はあのクソ病院でいっぱい試しすぎたから利かないかもしれない、そしたら考えます。
けど薬は飲まないほうがいい。だからちゃんと寝れる方法を考えながらまずはやってく。
どう寝れねぇ?何が不安?どう不安なの?そんなときどうなんの?それを俺に伝えてください。
最初はどの薬も慣れるまで、相性が良い薬も悪い薬も辛ぇもんなの。だから飲まない方法を考えるべきなんだからな本当は。それが今お前に出来ないから特別に俺はこれをまず出します。わかりましたか?」
真樹は首を横に振る。溜め息を押し殺した様子で一之江は取り敢えずボタンに手を伸ばして掛けてやっていた。
「いつか自律神経や、最悪脳神経に影響が出る。もっと辛くなる。
記憶が嫌ならそうだなぁ…、前頭葉。それに影響が出たらお前最悪だぞ。気絶の度に嫌な記憶出てきたりしてな。そんな患者も居たぞ」
そう言うと真樹は顔をあげ、漸く一之江をまともに見た。ボタンを留め終え、真樹の頭をがしがしと撫で、指で涙を拭ってやっている。
「その人は最終的に薬漬けになって原因不明の、脳神経の病で死んだ。最後まで記憶に苛まれた。遺族に言われたよ。『お前の父親に殺されたんだ』って。薬漬けにしやがって、おかしくなっちまったよってな。
ただその人、ずっと『これは贖罪だ』と言ってた、最期までうわ言で。何があったかもう少し聞いてやるべきだったな。その人、俺に最初に掛かったときはこの薬、“ソラナックス”だったんだよ。だからって訳じゃないけどな」
真樹は一度目をぱちくりとして、それから、恐る恐ると言ったように一之江が自分を撫でていた手を取り、その手を包んで撫で、ただ見つめていた。
「だからわかった?嫌なんだよエゴだけど。一応俺も医者であり人だからなこう見えて。
さて、ほら、二人とも来てるぞ。
お待たせ。悪かったな。こいつがあまりにもワガママなんで」
「いやぁ…」
「あんた、すげぇな…」
真樹は二人を漸く確認。
二人は素直に感心してしまった。
あのバカチビを手懐けた。なんだこいつは。
「さて。帰るぞ野郎共。
お前らも来るか?俺ん家。まぁお前らに見せようと思ってんの愛人用別宅だけどな。高いところが苦手なら低い階でもいいけど?」
なにそれ。
その感じこいつもしや、高層マンション的なとこに住ませようとしてねぇか?
てかなに愛人用って。最低。
「ごめんついていけないっす」
「家賃とかだって」
「てか愛人じゃねぇけど」
「まぁ見て気に入らなかったらいい。たまたま空きが多くてな。家賃は3万でいいよちなみに防音だぜ?引っ越しなんてどーせてめぇら鞄一個だろ。
あ、こいつは一ヶ月くらい俺と住むから、んな訳で」
「は?」
「何?」
「入院は?」
「はぁ?どこまでバカなのお前ら死ねよ。する意味ねぇって言ったのわかんねぇの?国語学んでこいよ最低限だろ」
「いや言ってねぇだろ!」
「わかんないよねぇ、あんたお花畑じゃないの頭の中」
それには真樹も頷いていた。それを見て「はいはいうんそう、早く来いよ」
と、わりと強引にそれから三人が連れて行かれたのは病院の真隣の高層マンションだった。
全オートロック。見た目黄色というか黄金というか高級そう。何十階建てかわからない。人の気なし。
ここが3万とか頭多分おかしすぎる。親切を通り越しておかしいこいつ。騙される気がするだってあり得ない。ギブソン3000円って言われちゃった並の衝撃。絶対オプションつけてくるっしょ、これ。
だって俺たち住んでるとこ1ルームユニットバスで4畳半の築50年だもん。窓開けたら外れるもん。それで2万5千円だもん。それを、
「間取りは1LDK、2LDKどっちもある。バストイレ別。一昨年建てた。あ、ただ窓は開けると死ねるから飾り。一部屋8畳」
とかしれっと言っちゃう。
待て、待て、二人で住んだら6、三人なら9の計算がまずアバウト。お前なにそれ。え?いくらなんでも最早危なくない?
そんな感想だった。
「じゃ、俺5階だから。
おらチビ行くぞ」
「待てい!」
「うん待てぃ!」
「は?」
「せめて真樹返して!」
「はぁ?」
物凄く不愉快そう。お互いなぜだ。理解しあえない。
「いや流石に今日はダメだな。多分暴れるから」
「はぁ?」
「薬だよ。まぁ色々あんだよ。
気が狂うから病院やだっつぅから引き取ってんだ、引き下がれ。大丈夫だよ明日俺学校いるから」
と言わん勢いで文杜が早歩きで医院長室に乗り込むと。
ベットに、なんかシャツのボタンとか中途半端に開いた状態の真樹が俯いて座っていて、それに向かい合い、ガラ悪く真樹の顔を覗き込むようにしてデスクの椅子に座っている一之江。
しばらくすると真樹は袖で目元を拭いながら声にならない嗚咽を漏らして弱々しく一之江をぶん殴り始めるもんだから。
どう見てもなんか、無理矢理的ななんかがあったようにしか思えない。
しかし当の一之江は黙って殴られているばかりで、漸く二人を見るも、待ての合図か片手を翳す。そして白衣のポケットから何やら錠剤をいくつか取りだし、真樹に見せ、言い聞かせる。
「とにかくダメ。この薬は合ってないの、これは睡眠薬。そしてこっちは安定剤。一緒に飲んだら気絶すんの。したんだろ?当たり前なの人間でお前は小さいんだから。だから、まずはどっちもやめます。で、これ。ちょっと弱いけどこれは安定剤。これを飲みます。寝る2時間前。お前の場合はあのクソ病院でいっぱい試しすぎたから利かないかもしれない、そしたら考えます。
けど薬は飲まないほうがいい。だからちゃんと寝れる方法を考えながらまずはやってく。
どう寝れねぇ?何が不安?どう不安なの?そんなときどうなんの?それを俺に伝えてください。
最初はどの薬も慣れるまで、相性が良い薬も悪い薬も辛ぇもんなの。だから飲まない方法を考えるべきなんだからな本当は。それが今お前に出来ないから特別に俺はこれをまず出します。わかりましたか?」
真樹は首を横に振る。溜め息を押し殺した様子で一之江は取り敢えずボタンに手を伸ばして掛けてやっていた。
「いつか自律神経や、最悪脳神経に影響が出る。もっと辛くなる。
記憶が嫌ならそうだなぁ…、前頭葉。それに影響が出たらお前最悪だぞ。気絶の度に嫌な記憶出てきたりしてな。そんな患者も居たぞ」
そう言うと真樹は顔をあげ、漸く一之江をまともに見た。ボタンを留め終え、真樹の頭をがしがしと撫で、指で涙を拭ってやっている。
「その人は最終的に薬漬けになって原因不明の、脳神経の病で死んだ。最後まで記憶に苛まれた。遺族に言われたよ。『お前の父親に殺されたんだ』って。薬漬けにしやがって、おかしくなっちまったよってな。
ただその人、ずっと『これは贖罪だ』と言ってた、最期までうわ言で。何があったかもう少し聞いてやるべきだったな。その人、俺に最初に掛かったときはこの薬、“ソラナックス”だったんだよ。だからって訳じゃないけどな」
真樹は一度目をぱちくりとして、それから、恐る恐ると言ったように一之江が自分を撫でていた手を取り、その手を包んで撫で、ただ見つめていた。
「だからわかった?嫌なんだよエゴだけど。一応俺も医者であり人だからなこう見えて。
さて、ほら、二人とも来てるぞ。
お待たせ。悪かったな。こいつがあまりにもワガママなんで」
「いやぁ…」
「あんた、すげぇな…」
真樹は二人を漸く確認。
二人は素直に感心してしまった。
あのバカチビを手懐けた。なんだこいつは。
「さて。帰るぞ野郎共。
お前らも来るか?俺ん家。まぁお前らに見せようと思ってんの愛人用別宅だけどな。高いところが苦手なら低い階でもいいけど?」
なにそれ。
その感じこいつもしや、高層マンション的なとこに住ませようとしてねぇか?
てかなに愛人用って。最低。
「ごめんついていけないっす」
「家賃とかだって」
「てか愛人じゃねぇけど」
「まぁ見て気に入らなかったらいい。たまたま空きが多くてな。家賃は3万でいいよちなみに防音だぜ?引っ越しなんてどーせてめぇら鞄一個だろ。
あ、こいつは一ヶ月くらい俺と住むから、んな訳で」
「は?」
「何?」
「入院は?」
「はぁ?どこまでバカなのお前ら死ねよ。する意味ねぇって言ったのわかんねぇの?国語学んでこいよ最低限だろ」
「いや言ってねぇだろ!」
「わかんないよねぇ、あんたお花畑じゃないの頭の中」
それには真樹も頷いていた。それを見て「はいはいうんそう、早く来いよ」
と、わりと強引にそれから三人が連れて行かれたのは病院の真隣の高層マンションだった。
全オートロック。見た目黄色というか黄金というか高級そう。何十階建てかわからない。人の気なし。
ここが3万とか頭多分おかしすぎる。親切を通り越しておかしいこいつ。騙される気がするだってあり得ない。ギブソン3000円って言われちゃった並の衝撃。絶対オプションつけてくるっしょ、これ。
だって俺たち住んでるとこ1ルームユニットバスで4畳半の築50年だもん。窓開けたら外れるもん。それで2万5千円だもん。それを、
「間取りは1LDK、2LDKどっちもある。バストイレ別。一昨年建てた。あ、ただ窓は開けると死ねるから飾り。一部屋8畳」
とかしれっと言っちゃう。
待て、待て、二人で住んだら6、三人なら9の計算がまずアバウト。お前なにそれ。え?いくらなんでも最早危なくない?
そんな感想だった。
「じゃ、俺5階だから。
おらチビ行くぞ」
「待てい!」
「うん待てぃ!」
「は?」
「せめて真樹返して!」
「はぁ?」
物凄く不愉快そう。お互いなぜだ。理解しあえない。
「いや流石に今日はダメだな。多分暴れるから」
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「薬だよ。まぁ色々あんだよ。
気が狂うから病院やだっつぅから引き取ってんだ、引き下がれ。大丈夫だよ明日俺学校いるから」
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