17 / 20
17
しおりを挟む
あぁなるほど。
つまり、この人はなんにも知らないのか。
「ふざけんじゃねぇよ…」
なんだそれ。
なんだ、それ。
気付けば僕は色々押し飛ばしていて、中塚の元まで行って一発ぶん殴り、倒れたところを馬乗りになっていた。
「てめぇこのっ…、」
言葉が出ていかないがこれは多分憎しみだ。この情けないクソみてぇなアホ面、ぶん殴って超絶イケメンにしてやらぁ。
「17人の命を、てめぇ何だと思って政治家やってんだよこのクソったれが…!
何が知らなかっただ、こっちは、こっちは下手すりゃ国を信じてやってたんだよ、僕や師匠みたいな半端モンですら何かを信じて、自分を信じて潜水艦に乗って軍人やって来てたんだよ、それを、それをてめぇ、税金使って何やってやがんだこのっ…、」
ぶん殴る拳が取られた。
振り向けば樹実が僕の拳を取っていて、脱力してしまった。
「こんなクソ殴ったってなんも埋まらないよ。虚しいだけだ。
こいつらに人の命を預けなきゃならねぇ俺たちが悪いんだよ。大切なものは、自分で守るしかないのさ、雨」
「樹実…、」
「俺たちが言いてぇのはそんだけだよ。悪いな。胸くそ悪かったんで来たんだよ。テロ紛いまでしてな。
星川さんこれでいいかい?あんたは何をしてくれるんだ」
「そうだねぇ、ご苦労さん」
そう言うと薄ら笑いで星川匠は立ち上がった。そして僕は星川匠に手を差し延べられたが借りずに中塚から退くと、星川匠はしゃがんで、中塚の顔を見下ろした。
中塚を見る星川匠の目は、最早汚物でも見るような目で、しかし口元だけは皮肉を込めて笑っていた。
「世代交代って言葉、知ってる?あんたが一生そうやって寝ていられるように、俺がこの国を守ってやるよ、おっさん」
「ふん、貴様が言えた口か星川」
「少なくとも俺は理解して書類に判子は押せますよ。座って議会で寝てるだけじゃ退屈すぎて吐き気がするからな」
「貴様はめやがったな」
「冗談よしてよ。全部自分でやったことでしょ。忘れちゃったの?リピートします?」
星川匠はスーツからボイスレコーダーを取り出し、嫌らしく笑った。
「て、てめぇぇぇ!」
起き上がろうとする体脂肪に、星川は一発蹴りをかました。
「やめてくださいよ、気色悪い。
君達には感謝だ。一つ、政府から粗大ゴミが減ったよ」
「あんた、良い性格してんのな」
「君ほどじゃないよ、茅沼くん。
熱海くん。君にも礼を一つ。そして、謝罪も一つ。
これからもよろしく」
「…はぁ」
胸クソ悪ぃ。
「君らの素直さが、いずれ日本を変えるといいな。
あぁそうそう安西くん。君は解任だ。有給消化だけちゃんとしといてくれ。職務ご苦労様」
「なっ、」
「てわけでこの基地に赤十字の支援はいりませんので。隠蔽してるみたいだし」
「なんで、どうして…」
「はぁ、君ね。
ゴミの日わかんない?一緒に出さないと関東の、東京は持って行ってくんないんだよ」
さて、僕らの用は済んだ。
樹実も同じ事を思ったらしい。目が合ったので僕たちはそのままその部屋を去ろうとした。
「帰るの?」
しかし星川匠の声が掛かる。樹実は振り向かず、歯を食い縛ったように「あぁ」と言い、部屋を出た。
扉を閉めた瞬間、樹実が思いっきりその扉をぶん殴ったので、拳を取る。
「そんな顔しないでください」
「うぅ、」
多分「うん」って言いたかったんだろうな。
「大丈夫、信じて生きましょう」
そう僕が言えば樹実は、驚いた顔で僕を見た。そして一瞬泣きそうになったかと思えば、やっぱり子供のような笑顔で笑ったのだった。
つまり、この人はなんにも知らないのか。
「ふざけんじゃねぇよ…」
なんだそれ。
なんだ、それ。
気付けば僕は色々押し飛ばしていて、中塚の元まで行って一発ぶん殴り、倒れたところを馬乗りになっていた。
「てめぇこのっ…、」
言葉が出ていかないがこれは多分憎しみだ。この情けないクソみてぇなアホ面、ぶん殴って超絶イケメンにしてやらぁ。
「17人の命を、てめぇ何だと思って政治家やってんだよこのクソったれが…!
何が知らなかっただ、こっちは、こっちは下手すりゃ国を信じてやってたんだよ、僕や師匠みたいな半端モンですら何かを信じて、自分を信じて潜水艦に乗って軍人やって来てたんだよ、それを、それをてめぇ、税金使って何やってやがんだこのっ…、」
ぶん殴る拳が取られた。
振り向けば樹実が僕の拳を取っていて、脱力してしまった。
「こんなクソ殴ったってなんも埋まらないよ。虚しいだけだ。
こいつらに人の命を預けなきゃならねぇ俺たちが悪いんだよ。大切なものは、自分で守るしかないのさ、雨」
「樹実…、」
「俺たちが言いてぇのはそんだけだよ。悪いな。胸くそ悪かったんで来たんだよ。テロ紛いまでしてな。
星川さんこれでいいかい?あんたは何をしてくれるんだ」
「そうだねぇ、ご苦労さん」
そう言うと薄ら笑いで星川匠は立ち上がった。そして僕は星川匠に手を差し延べられたが借りずに中塚から退くと、星川匠はしゃがんで、中塚の顔を見下ろした。
中塚を見る星川匠の目は、最早汚物でも見るような目で、しかし口元だけは皮肉を込めて笑っていた。
「世代交代って言葉、知ってる?あんたが一生そうやって寝ていられるように、俺がこの国を守ってやるよ、おっさん」
「ふん、貴様が言えた口か星川」
「少なくとも俺は理解して書類に判子は押せますよ。座って議会で寝てるだけじゃ退屈すぎて吐き気がするからな」
「貴様はめやがったな」
「冗談よしてよ。全部自分でやったことでしょ。忘れちゃったの?リピートします?」
星川匠はスーツからボイスレコーダーを取り出し、嫌らしく笑った。
「て、てめぇぇぇ!」
起き上がろうとする体脂肪に、星川は一発蹴りをかました。
「やめてくださいよ、気色悪い。
君達には感謝だ。一つ、政府から粗大ゴミが減ったよ」
「あんた、良い性格してんのな」
「君ほどじゃないよ、茅沼くん。
熱海くん。君にも礼を一つ。そして、謝罪も一つ。
これからもよろしく」
「…はぁ」
胸クソ悪ぃ。
「君らの素直さが、いずれ日本を変えるといいな。
あぁそうそう安西くん。君は解任だ。有給消化だけちゃんとしといてくれ。職務ご苦労様」
「なっ、」
「てわけでこの基地に赤十字の支援はいりませんので。隠蔽してるみたいだし」
「なんで、どうして…」
「はぁ、君ね。
ゴミの日わかんない?一緒に出さないと関東の、東京は持って行ってくんないんだよ」
さて、僕らの用は済んだ。
樹実も同じ事を思ったらしい。目が合ったので僕たちはそのままその部屋を去ろうとした。
「帰るの?」
しかし星川匠の声が掛かる。樹実は振り向かず、歯を食い縛ったように「あぁ」と言い、部屋を出た。
扉を閉めた瞬間、樹実が思いっきりその扉をぶん殴ったので、拳を取る。
「そんな顔しないでください」
「うぅ、」
多分「うん」って言いたかったんだろうな。
「大丈夫、信じて生きましょう」
そう僕が言えば樹実は、驚いた顔で僕を見た。そして一瞬泣きそうになったかと思えば、やっぱり子供のような笑顔で笑ったのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
悪役令嬢、休職致します
碧井 汐桜香
ファンタジー
そのキツい目つきと高飛車な言動から悪役令嬢として中傷されるサーシャ・ツンドール公爵令嬢。王太子殿下の婚約者候補として、他の婚約者候補の妨害をするように父に言われて、実行しているのも一因だろう。
しかし、ある日突然身体が動かなくなり、母のいる領地で療養することに。
作中、主人公が精神を病む描写があります。ご注意ください。
作品内に登場する医療行為や病気、治療などは創作です。作者は医療従事者ではありません。実際の症状や治療に関する判断は、必ず医師など専門家にご相談ください。
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
愛想を尽かした女と尽かされた男
火野村志紀
恋愛
※全16話となります。
「そうですか。今まであなたに尽くしていた私は側妃扱いで、急に湧いて出てきた彼女が正妃だと? どうぞ、お好きになさって。その代わり私も好きにしますので」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる