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第三話
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予定はまず、袋はこのままにして真里の家に行き荷物を運ぶ。その中で、売る物(衣類だろう)をまとめ、次に姉貴への菓子折りを買いそのまま小夜を迎えに行き、帰りにリサイクルショップに寄り、袋の中の物売る。と言う流れになった。
その旨を姉貴にメールして、夕方までには迎えに行く、行くとき電話すると伝えた。姉貴からのメールは一言、「わかった」だけだった。
家から駅まで歩き、そこから電車に乗る。真里の家はバイト先から意外と近く、3駅くらいの駅で降りた。
「あれ、もしやあん時さ」
わざわざ俺が起きるまで、乗っててくれたのか?
「え?」
「いや…」
こいつ、どんだけ良いやつなんだよ…。
申し訳なくなってやり場がなくなった。取り敢えず手を伸ばして雑に頭をわしゃわしゃ撫でてやる。
「え?何?」
「クソ、こんな時長身に阻まれるな」
「え?何?ちょっと可愛くない?」
「あぁ?」
「うん、それは可愛くないわ」
駅から10分くらい歩いたところに、人目を引くほど敷地が広い一軒家があった。そこに向かって真里は歩いて行く。
まさかと思うが真里、そこ、お前の家なのか。
「あれだよ俺んち」
その一軒家を指差して真里は平然と言った。ビンゴだった。
いくら郊外とはいえ、庭と家が同じくらいの広さだし。なんか、いかにも田舎にありそうな、縁側付きって感じの家だ。これ、絶対本家だろ。
こんなとこの息子が家を出るなんて言っちゃっていいのか?ましてや友達と住むとか言って敷居跨いだら俺、ぶち殺されるんじゃないか?
という俺のもやし根性を尻目に、真里はずんずんと歩いて行ってしまった。
この状況、一人取り残される方が嫌だ。
「待った、待った!」
「え?」
「親御さんにはさ、その…どう説明してあるわけ?」
常識的に考えたらこの状況、俺わりと非常識なんじゃないかな。
「てか、説明したのか?」
「うん、それは勿論。
『板前の修行をするから先輩のとこにしばらく世話になる』って」
なんじゃその嘘は。
「何それ」
「いけるっしょ。俺将来そっち系の仕事就きたいって言ってあるし」
「確かにお前、そう言えば調理師の勉強してたよな」
「そ。だからなんか親から話振られたら、そんな感じで合わせといて」
「わ、わかった…」
なんか壮大な嘘に付き合わされたな。
いやまぁ確かになんとか話は合わせられるけども…。
きっと真里なりに、俺が合わせやすい嘘を選んだのだろうが…。
「あっ!」
すると真里は、突然何かに気付く。それに思わず俺のび肩がびくっと動いてしまう。
「っなんだよ!」
「じいちゃん帰ってきてる!」
真里が指差した先を見ると、凄く派手で真っ黄色な移動販売車を発見した。その隣に停まる真っ黒なワゴン車。
あれかぁ…。
色のチョイスにとても違和感を感じる。なんか風景に馴染めてないし。
「じいちゃん!」
駐車場の奥からおじいさんが出てきたのを見て真里はまるで子供のように走って行った。じいさんに抱きつく真里を見てると、体格差がある。じいさん折れちゃいそうだ。ただ、じいさんって言うわりには、身長差が気にならない。果たして身長はいくつくらいだろう。
近付いてみて、納得した。
白髪だから遠目だとわかりにくいかったが、少し堀が深くて青目、つまりじいさんは日本人ではないのだ、多分。
それにしては身長以外は日本人体型だな。目を見ないとわからないかもしれない。
「あれ?嫁貰ったんかい」
しかも日本語、流暢だし。
「じいちゃん、友達だよ!つか男だから!」
「どうも、真里くんの友人の志摩です」
取り敢えず、笑顔で挨拶しとこう。
じいさんは俺を物珍しそうに見ている。だがなんだか納得したように頷いた。
「あぁ、ホントだ。背、同じくらいだ」
納得ポイントそこか…。
「じいちゃん、そんな見たら失礼だよ!」
「いやー、すまん!あんた綺麗な顔してるなー男前だ!モテるだろ!」
なんか可愛いじいさんだな。人柄に思わず笑ってしまった。
「いえいえ。ちょっとですわ」
とか冗談をこちらが返せば、じいさんは爆笑して小突いてきた。
「真里も負けてられんな。
志摩くん言うたっけ?」
「志摩は苗字で光也が名前です」
「おぉ、シマって三重のか?」
「そうそう」
「ちょうど今三重の帰りだわ!
あ、申し遅れてすまないな!神崎フレデリックと申します。こんな名前だけど英語は喋れん!」
「名前かっこいいですねおじいちゃん」
「フレッドって呼んでくれ!そだ、カレー作ったる!待ってな!」
そう言うとフレッドさんは笑顔でそそくさと奥へ引っ込んでしまった。
その旨を姉貴にメールして、夕方までには迎えに行く、行くとき電話すると伝えた。姉貴からのメールは一言、「わかった」だけだった。
家から駅まで歩き、そこから電車に乗る。真里の家はバイト先から意外と近く、3駅くらいの駅で降りた。
「あれ、もしやあん時さ」
わざわざ俺が起きるまで、乗っててくれたのか?
「え?」
「いや…」
こいつ、どんだけ良いやつなんだよ…。
申し訳なくなってやり場がなくなった。取り敢えず手を伸ばして雑に頭をわしゃわしゃ撫でてやる。
「え?何?」
「クソ、こんな時長身に阻まれるな」
「え?何?ちょっと可愛くない?」
「あぁ?」
「うん、それは可愛くないわ」
駅から10分くらい歩いたところに、人目を引くほど敷地が広い一軒家があった。そこに向かって真里は歩いて行く。
まさかと思うが真里、そこ、お前の家なのか。
「あれだよ俺んち」
その一軒家を指差して真里は平然と言った。ビンゴだった。
いくら郊外とはいえ、庭と家が同じくらいの広さだし。なんか、いかにも田舎にありそうな、縁側付きって感じの家だ。これ、絶対本家だろ。
こんなとこの息子が家を出るなんて言っちゃっていいのか?ましてや友達と住むとか言って敷居跨いだら俺、ぶち殺されるんじゃないか?
という俺のもやし根性を尻目に、真里はずんずんと歩いて行ってしまった。
この状況、一人取り残される方が嫌だ。
「待った、待った!」
「え?」
「親御さんにはさ、その…どう説明してあるわけ?」
常識的に考えたらこの状況、俺わりと非常識なんじゃないかな。
「てか、説明したのか?」
「うん、それは勿論。
『板前の修行をするから先輩のとこにしばらく世話になる』って」
なんじゃその嘘は。
「何それ」
「いけるっしょ。俺将来そっち系の仕事就きたいって言ってあるし」
「確かにお前、そう言えば調理師の勉強してたよな」
「そ。だからなんか親から話振られたら、そんな感じで合わせといて」
「わ、わかった…」
なんか壮大な嘘に付き合わされたな。
いやまぁ確かになんとか話は合わせられるけども…。
きっと真里なりに、俺が合わせやすい嘘を選んだのだろうが…。
「あっ!」
すると真里は、突然何かに気付く。それに思わず俺のび肩がびくっと動いてしまう。
「っなんだよ!」
「じいちゃん帰ってきてる!」
真里が指差した先を見ると、凄く派手で真っ黄色な移動販売車を発見した。その隣に停まる真っ黒なワゴン車。
あれかぁ…。
色のチョイスにとても違和感を感じる。なんか風景に馴染めてないし。
「じいちゃん!」
駐車場の奥からおじいさんが出てきたのを見て真里はまるで子供のように走って行った。じいさんに抱きつく真里を見てると、体格差がある。じいさん折れちゃいそうだ。ただ、じいさんって言うわりには、身長差が気にならない。果たして身長はいくつくらいだろう。
近付いてみて、納得した。
白髪だから遠目だとわかりにくいかったが、少し堀が深くて青目、つまりじいさんは日本人ではないのだ、多分。
それにしては身長以外は日本人体型だな。目を見ないとわからないかもしれない。
「あれ?嫁貰ったんかい」
しかも日本語、流暢だし。
「じいちゃん、友達だよ!つか男だから!」
「どうも、真里くんの友人の志摩です」
取り敢えず、笑顔で挨拶しとこう。
じいさんは俺を物珍しそうに見ている。だがなんだか納得したように頷いた。
「あぁ、ホントだ。背、同じくらいだ」
納得ポイントそこか…。
「じいちゃん、そんな見たら失礼だよ!」
「いやー、すまん!あんた綺麗な顔してるなー男前だ!モテるだろ!」
なんか可愛いじいさんだな。人柄に思わず笑ってしまった。
「いえいえ。ちょっとですわ」
とか冗談をこちらが返せば、じいさんは爆笑して小突いてきた。
「真里も負けてられんな。
志摩くん言うたっけ?」
「志摩は苗字で光也が名前です」
「おぉ、シマって三重のか?」
「そうそう」
「ちょうど今三重の帰りだわ!
あ、申し遅れてすまないな!神崎フレデリックと申します。こんな名前だけど英語は喋れん!」
「名前かっこいいですねおじいちゃん」
「フレッドって呼んでくれ!そだ、カレー作ったる!待ってな!」
そう言うとフレッドさんは笑顔でそそくさと奥へ引っ込んでしまった。
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