ノスタルジック・エゴイスト

二色燕𠀋

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Prologue

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 しかしあの頃は。

「…結局鎮圧というより、壊滅させただけで全員捕らえることは出来なかった」
「そうだな…」

 何故ならその頃のエレボスを取り扱っていた特殊捜査部隊が解散に追い込まれてしまったからだ。

「…誠に恐縮ながらその事件に関して警視庁には全く持って情報がありません。故に、お聞きしたいところではありますが…」

 猪越さんは俺と潤と政宗の顔を見比べる。

「まぁ、あれは国家最大の秘密事項だっただろうからね」
「…確か隊長さんが殉職なされてますよね…」
「はい。俺が射殺しました」

 そう俺が言ってしまえば一同、黙り混んだ。空気が張り詰めた。

「…そーゆーことです。今回の件だけならこの話は首を出来るだけ突っ込まないほうがいいが、今回の組織構造が正直わからない。もしかするとここで過去を掘り起こさないと完全なる鎮圧にはならないかもしれませんね。
 俺と潤の読みはここだけの話ですが、バックにこちら側の人間がついてるんじゃないかと疑っています。でなければ死刑囚が脱獄出来たこと、今回の立て籠りでの警備体勢の落とし穴、また、官僚イベントやこちらの行動がバレていること。全てに納得がいきません。
 俺と潤は現場に向かう際、何者かに狙撃されました。しかも…」

 俺は取っておいた銃弾を見せた。

「…ライフル弾。射撃距離や一発目から二発目の時間を考えると、まぁなんて言うんでしょうね、軍用ライフルってやつで距離もなんとなく測定して場所も把握し、局長に電話をしました。
 おおよそのメーカーを予想すると、技術者を送り込んだと見えます。ですが、もしもただの警官一人撃ち殺すならそんな必要はない。
 つまり、我々FBIが加勢するとわかっていた人物ではないかと予想できるわけですよ。
 そうなってくると絞り込めてきますね。多分反応を見る限り現場の人間すら我々が今日加勢すると知らなかった。我々も命じられてすぐに現場急行ですから…」
「すげぇ」
「ん?」

 先程のチビ助が感嘆のような声を漏らした。少々喋り過ぎたと気付く。

「確かにあんたすげぇ、変態だ」
「は?」
「くっ…!」

 どうやら潤にはツボらしい。

「相変わらず元気そうでなによりだ、流星。ここんとこ消息不明だったから正直死んだと思ってたんだ。
 頼りになりそうだな。取り敢えず納得した。
 今回はその場の全員引っ捕らえる方向で行くか、どうするかってとこだな。
場合によっちゃウチは損するが内部犯なら…」
「あぁ。ぶっちゃけ全員ぶっ殺した方が上は喜ぶだろうな。ただ、明日会合があるのは事実だし…ここで銃撃戦を繰り広げてしまって果たしていいのか」
「まぁだから3つが合わせての捜査なんでしょうね」
「…しかしお前らは連邦、他は全員日本国家の元だ」
「…だとしたら。
 やはり引っ捕らえるのが得策だろうな、一人残らず」
「最悪パターンはこっちが局長に電話して明日は場所を移してもらったらいいんじゃない?どうせ大した会合でもないんだし」
「潤、言葉を選べ。面白いけどな。
 まあね。無茶苦茶言ってんのは上だし。最早自分の命を最終的には守りましょーか」

 全員が団結した。

「さて、行く前に。
 現在相手は何人?」
「なんとも言えません。取引も謎に包まれています。なんせ表であんだけ派手にやられてますからね。
 一応これが大使館内部の見取り図です」

 猪越さんからパソコンを見せられる。ある程度の間取りは把握した。

「じゃぁ行くか。ウチからは俺と伊緒で行く。無線は潤が預かってくれ」
「あら。お前はいつからそんなお人好しになったの?」
「うるせぇ。
 再確認。マトリからは政宗とチ…えっと早坂くん?だよね」
「明らかにチビって言おうとしたな」

口が滑ったんだよ。

「…警視庁からは黒田くんかな?」
「はい」
「4で行ける?」
「まぁホントは潤も欲しいとこだが二人とも死んだら元も子もない。要請したら来てくれ」
「仕方ねぇな、了解」
「よし」

 作戦会議が終了したところで。
 いざ、出陣。
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