223 / 376
The 16th episode
6
しおりを挟む
「捜査員が医療大に行くのは、敵方も重々ご承知だろう。
ちなみにウチは帝都をマークしていた。こちらも相手方は重々承知だ。だがもし、お宅の捜査員が端から、外れだったとしたらどうだ。
しかし、掠っている。例えば、さっき言ったように帝都と帝都医療大が繋がっている、とかな」
「最悪っすねそれ」
「最近めっきり帝都については上がってきていない。しかしこの頃医療大から帝都に移動した医者がやけに多いだろこの資料。多分これはあれ以来だな潤。やはり読みは外れてないかもな。
帝都から目を背けたい、その為に、ウチを警戒して研究拠点だけは医療大へ移したか。だとしたら俺達が今から行くのがバレたら俺達もろともやられるかもな」
「あり得るねぇ最近のテロパターン」
「だからこそ俺たちの名前で、マトリと合同捜査と称して騙されたフリをして帝都を中心に目が行ったと見せかけなければならない。医療大が研究拠点とこちらが気付いてしまったとバレれば、副部長を生かしておく意味はないし、技術さえ持ち去れば監禁場所やヤバい証拠だけを医療大に残したまま医療大を潰せばいい。帝都に目が向いている今の医療大なら闇取引もしやすいな。そうだな、隠し地下室とか?
しかしあくまで研究拠点。んなものはデータや資料があればまぁ大学なんて帝都でも出来る。むしろまた帝都に戻る感覚だな。
まぁつまり、やつらの不意をつけなければ犬死にだなこれ」
「ただリュウ。それには穴があると思うよ」
珍しくユミルが申し立てる。
そんな大きなことか。
「もしもテイトに監禁されていた場合、その筋書きは全て覆る」
確かに。
「合同捜査はアリかもしれないけどね。勢力が二分割している。だからフェイクのテイトに流星が捜査令状、監禁の流れでマトリ?が医療大へ捜査令状からの捜査スタート、ウチも荷担していたから合同捜査。強引だけど出来なくはない。ただテイトに副部長が監禁されていた場合、恐らく全てはテイトに残されている可能性がある。そのまま医療大を消せば、医療大は闇に葬られる形になるな」
「ぶっちゃけまぁ、それはないと踏んでいる。しかしまぁ、これであっさり済むとも思っていない」
「医療大にはなんと言って入り込むんですか、壽美田部長」
キリッとした様子で辻井に言われた。
さすが潜入捜査慣れしてるだけある部署だ、聞くことがまず違うな。
「令状も何もないゼロからスタートだからな。自由にできる。まぁ我々の仕事は監禁場所を探して彼女を見付け出すのが先決だ。そうだなぁ…まぁ捜査員だと相手にバレなければいいからなぁ…」
そんなときだった。
慌ただしくマトリの連絡係、先程忙しなかった田中が走るようにやってきた。そして。
「た、大変です!」
見りゃぁわかる。
「医療大、立て籠られました。人質は、里中さんです!」
早いな。
「マジか田中」
そして吉川、辻井が俺を信じられないものを見るような目で見た。
「そうきましたかー」
「つぅことは、流星」
「はい皆これで堂々と正面対決。そして読みは外れました。
田中くん、落ち着いて連絡してください。
帝都に向かった捜査員に、第一にテロ対策だということは秘密裏にすることを命じ、まぁ荒川政宗に一言、「そちらが大筋だ」と伝えてください。そちらに麻薬関連資料の大半が帝都に残されているだろう。それを伝えてください」
「わ、わかりました」
それだけ言うと田中は去っていった。
「さぁ急げお前ら。ただこれぶっ殺されるぞマジで。
ユミル、お前悪いが爆弾処理係。吉川くんと辻井くんは副部長確保。瞬と諒斗は全体的に援助、潤と俺は全体的にぶっ殺す係。
こうなってくると最早フェイクはこちらだ。取引やらなにやらがあるなら帝都だろう、死なないようにやるぞ、なんせこちらは捨て駒だ」
早足で全員部署を出ながら指示。止まっている暇がない。
「なんすかその配置は」
「確保?」
「まぁあれだね。二人でじゃんけんで決めて、例えば捉えられてる状況下で犯人がいそうなら片方がそいつぶっ殺して片方が救助とかさ」
「アバウト…」
「こいつ大体こんなんよ。君ら二人は犯人の場所がわかり次第そっち優先ねってだけの話。ダメなら援助係もいるからインカムで呼んで。まぁ最悪俺らもいるが俺らは大体このパターン、ボス元、資料集めだよな流星」
「長いだけあるな」
「ダメなら援助係呼ぶけどまぁ大丈夫っしょ」
「僕は一人ダイナマイトをぶっ壊すんだネー」
「可哀想にな。しかしお前が一番慣れてるじゃん?」
「死なないでネ。死んだらどーする?」
「うーん、サイコキャットには言わないでおいてねリュウ。まぁ言っても変わんないけどネー」
あぁ、ケリーか。日本支部の潤だけピンと来てないようだが、まぁサイコキャットと言えばわかるようで、「高田のライバルか」と言う。
「そーそー。潤ちゃんはアメリカ行かないからネぇ。ピンと来ないか。ルイジアナとか色々を総括してる高田さんだヨ」
「あ、そんな人だったの?え、それガチなやつやん」
「そーそーガチTKD。本物の方」
会話が不穏当になって参りました。やっぱこの二人一緒にしちゃダメだ、ノリが女子高生だわ。
「俺の上司なんだけどさー、日本人嫌いなんだヨ潤ちゃんー。この前まで僕テキサスまでわざわざ選挙に呼び出したんだヨ?勝手に投票してくれたらイーじゃないネー。
『娘政治家に入れないととレミントンで射殺する』とか言って。
もうね、『当たり前だわんなババ抜きしねぇわサイコキャット』って言ったら凄いなんかジロッて見られちゃってレアリー?とか言って。笑っちゃったヨ。したらもうfuck up?みたいな。
これ日本人情緒大切にしてやろうと思って目の前で脱いでやったらもー、待ってのポーズで両手挙げて『Oh,your sexy angel.and...cryzy.』っつって熱い一夜を」
うわぁ。
あの金髪の擦れた神父服が目に浮かぶ。あの人本気で頭おかしい。
そしてその話絶対祥真にしたら不穏当になる。
ちなみにウチは帝都をマークしていた。こちらも相手方は重々承知だ。だがもし、お宅の捜査員が端から、外れだったとしたらどうだ。
しかし、掠っている。例えば、さっき言ったように帝都と帝都医療大が繋がっている、とかな」
「最悪っすねそれ」
「最近めっきり帝都については上がってきていない。しかしこの頃医療大から帝都に移動した医者がやけに多いだろこの資料。多分これはあれ以来だな潤。やはり読みは外れてないかもな。
帝都から目を背けたい、その為に、ウチを警戒して研究拠点だけは医療大へ移したか。だとしたら俺達が今から行くのがバレたら俺達もろともやられるかもな」
「あり得るねぇ最近のテロパターン」
「だからこそ俺たちの名前で、マトリと合同捜査と称して騙されたフリをして帝都を中心に目が行ったと見せかけなければならない。医療大が研究拠点とこちらが気付いてしまったとバレれば、副部長を生かしておく意味はないし、技術さえ持ち去れば監禁場所やヤバい証拠だけを医療大に残したまま医療大を潰せばいい。帝都に目が向いている今の医療大なら闇取引もしやすいな。そうだな、隠し地下室とか?
しかしあくまで研究拠点。んなものはデータや資料があればまぁ大学なんて帝都でも出来る。むしろまた帝都に戻る感覚だな。
まぁつまり、やつらの不意をつけなければ犬死にだなこれ」
「ただリュウ。それには穴があると思うよ」
珍しくユミルが申し立てる。
そんな大きなことか。
「もしもテイトに監禁されていた場合、その筋書きは全て覆る」
確かに。
「合同捜査はアリかもしれないけどね。勢力が二分割している。だからフェイクのテイトに流星が捜査令状、監禁の流れでマトリ?が医療大へ捜査令状からの捜査スタート、ウチも荷担していたから合同捜査。強引だけど出来なくはない。ただテイトに副部長が監禁されていた場合、恐らく全てはテイトに残されている可能性がある。そのまま医療大を消せば、医療大は闇に葬られる形になるな」
「ぶっちゃけまぁ、それはないと踏んでいる。しかしまぁ、これであっさり済むとも思っていない」
「医療大にはなんと言って入り込むんですか、壽美田部長」
キリッとした様子で辻井に言われた。
さすが潜入捜査慣れしてるだけある部署だ、聞くことがまず違うな。
「令状も何もないゼロからスタートだからな。自由にできる。まぁ我々の仕事は監禁場所を探して彼女を見付け出すのが先決だ。そうだなぁ…まぁ捜査員だと相手にバレなければいいからなぁ…」
そんなときだった。
慌ただしくマトリの連絡係、先程忙しなかった田中が走るようにやってきた。そして。
「た、大変です!」
見りゃぁわかる。
「医療大、立て籠られました。人質は、里中さんです!」
早いな。
「マジか田中」
そして吉川、辻井が俺を信じられないものを見るような目で見た。
「そうきましたかー」
「つぅことは、流星」
「はい皆これで堂々と正面対決。そして読みは外れました。
田中くん、落ち着いて連絡してください。
帝都に向かった捜査員に、第一にテロ対策だということは秘密裏にすることを命じ、まぁ荒川政宗に一言、「そちらが大筋だ」と伝えてください。そちらに麻薬関連資料の大半が帝都に残されているだろう。それを伝えてください」
「わ、わかりました」
それだけ言うと田中は去っていった。
「さぁ急げお前ら。ただこれぶっ殺されるぞマジで。
ユミル、お前悪いが爆弾処理係。吉川くんと辻井くんは副部長確保。瞬と諒斗は全体的に援助、潤と俺は全体的にぶっ殺す係。
こうなってくると最早フェイクはこちらだ。取引やらなにやらがあるなら帝都だろう、死なないようにやるぞ、なんせこちらは捨て駒だ」
早足で全員部署を出ながら指示。止まっている暇がない。
「なんすかその配置は」
「確保?」
「まぁあれだね。二人でじゃんけんで決めて、例えば捉えられてる状況下で犯人がいそうなら片方がそいつぶっ殺して片方が救助とかさ」
「アバウト…」
「こいつ大体こんなんよ。君ら二人は犯人の場所がわかり次第そっち優先ねってだけの話。ダメなら援助係もいるからインカムで呼んで。まぁ最悪俺らもいるが俺らは大体このパターン、ボス元、資料集めだよな流星」
「長いだけあるな」
「ダメなら援助係呼ぶけどまぁ大丈夫っしょ」
「僕は一人ダイナマイトをぶっ壊すんだネー」
「可哀想にな。しかしお前が一番慣れてるじゃん?」
「死なないでネ。死んだらどーする?」
「うーん、サイコキャットには言わないでおいてねリュウ。まぁ言っても変わんないけどネー」
あぁ、ケリーか。日本支部の潤だけピンと来てないようだが、まぁサイコキャットと言えばわかるようで、「高田のライバルか」と言う。
「そーそー。潤ちゃんはアメリカ行かないからネぇ。ピンと来ないか。ルイジアナとか色々を総括してる高田さんだヨ」
「あ、そんな人だったの?え、それガチなやつやん」
「そーそーガチTKD。本物の方」
会話が不穏当になって参りました。やっぱこの二人一緒にしちゃダメだ、ノリが女子高生だわ。
「俺の上司なんだけどさー、日本人嫌いなんだヨ潤ちゃんー。この前まで僕テキサスまでわざわざ選挙に呼び出したんだヨ?勝手に投票してくれたらイーじゃないネー。
『娘政治家に入れないととレミントンで射殺する』とか言って。
もうね、『当たり前だわんなババ抜きしねぇわサイコキャット』って言ったら凄いなんかジロッて見られちゃってレアリー?とか言って。笑っちゃったヨ。したらもうfuck up?みたいな。
これ日本人情緒大切にしてやろうと思って目の前で脱いでやったらもー、待ってのポーズで両手挙げて『Oh,your sexy angel.and...cryzy.』っつって熱い一夜を」
うわぁ。
あの金髪の擦れた神父服が目に浮かぶ。あの人本気で頭おかしい。
そしてその話絶対祥真にしたら不穏当になる。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
灰かぶりの姉
吉野 那生
恋愛
父の死後、母が連れてきたのは優しそうな男性と可愛い女の子だった。
「今日からあなたのお父さんと妹だよ」
そう言われたあの日から…。
* * *
『ソツのない彼氏とスキのない彼女』のスピンオフ。
国枝 那月×野口 航平の過去編です。
あまりさんののっぴきならない事情
菱沼あゆ
キャラ文芸
強引に見合い結婚させられそうになって家出し、憧れのカフェでバイトを始めた、あまり。
充実した日々を送っていた彼女の前に、驚くような美形の客、犬塚海里《いぬづか かいり》が現れた。
「何故、こんなところに居る? 南条あまり」
「……嫌な人と結婚させられそうになって、家を出たからです」
「それ、俺だろ」
そーですね……。
カフェ店員となったお嬢様、あまりと常連客となった元見合い相手、海里の日常。
黄金の魔族姫
風和ふわ
恋愛
「エレナ・フィンスターニス! お前との婚約を今ここで破棄する! そして今から僕の婚約者はこの現聖女のレイナ・リュミエミルだ!」
「エレナ様、婚約者と神の寵愛をもらっちゃってごめんね? 譲ってくれて本当にありがとう!」
とある出来事をきっかけに聖女の恩恵を受けれなくなったエレナは「罪人の元聖女」として婚約者の王太子にも婚約破棄され、処刑された──はずだった!
──え!? どうして魔王が私を助けてくれるの!? しかも娘になれだって!?
これは、婚約破棄された元聖女が人外魔王(※実はとっても優しい)の娘になって、チートな治癒魔法を極めたり、地味で落ちこぼれと馬鹿にされていたはずの王太子(※実は超絶美形)と恋に落ちたりして、周りに愛されながら幸せになっていくお話です。
──え? 婚約破棄を取り消したい? もう一度やり直そう? もう想い人がいるので無理です!
※拙作「皆さん、紹介します。こちら私を溺愛するパパの“魔王”です!」のリメイク版。
※表紙は自作ではありません。
ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!
クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。
ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。
しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。
ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。
そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。
国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。
樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。
初恋
藍沢咲良
青春
高校3年生。
制服が着られる最後の年に、私達は出会った。
思った通りにはなかなかできない。
もどかしいことばかり。
それでも、愛おしい日々。
※素敵な表紙をポリン先生に描いて頂きました。ポリン先生の作品↓
https://www.comico.jp/articleList.nhn?titleNo=31039&f=a
※この作品は「小説家になろう」「エブリスタ」でも連載しています。
8/28公開分で完結となります。
最後まで御愛読頂けると嬉しいです。
※エブリスタにてスター特典「初恋〜それから〜」「同窓会」を公開しております。「初恋」の続編です。
愛のかたち
凛子
恋愛
プライドが邪魔をして素直になれない夫(白藤翔)。しかし夫の気持ちはちゃんと妻(彩華)に伝わっていた。そんな夫婦に訪れた突然の別れ。
ある人物の粋な計らいによって再会を果たした二人は……
情けない男の不器用な愛。
27歳女子が婚活してみたけど何か質問ある?
藍沢咲良
恋愛
一色唯(Ishiki Yui )、最近ちょっと苛々しがちの27歳。
結婚適齢期だなんて言葉、誰が作った?彼氏がいなきゃ寂しい女確定なの?
もう、みんな、うるさい!
私は私。好きに生きさせてよね。
この世のしがらみというものは、20代後半女子であっても放っておいてはくれないものだ。
彼氏なんていなくても。結婚なんてしてなくても。楽しければいいじゃない。仕事が楽しくて趣味も充実してればそれで私の人生は満足だった。
私の人生に彩りをくれる、その人。
その人に、私はどうやら巡り合わないといけないらしい。
⭐︎素敵な表紙は仲良しの漫画家さんに描いて頂きました。著作権保護の為、無断転載はご遠慮ください。
⭐︎この作品はエブリスタでも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる