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The 19th episode
7
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布団にくるまった環が俺を見ていた。
「おやすみ」
と告げ、寝ようとソファに寝転がるも、「流星さん…」と弱々しく言われた。
なんだろ。
まさか。
「どうした?具合でも…」
「あの…。
さ、寒くないんですか?」
「え?」
あ、そういえば俺。
いまブランケットしかねぇ。
これ、寒いかもしれない。
「あ、まぁ、うん。大丈」
「私、なんだか、落ち着かないの、です」
「え?」
何?
いや、まぁね。状況がね。わからんでもないよ、ここは野郎の家だし。
「…伊緒の部屋に」
「いえ、その…。
ベッド、広くて」
「あ、あぁ…」
アメリカ慣れしたワガママ樹実用に、確かにそれ、ダブルだわ。違和感なく俺も使ってたがそうか、広いよな日本人には。
「あの…」
「どうしようか、明日から伊緒の部屋に…」
「一緒に、寝ませんか」
「…へ?」
えっ。
なっ。
まっ。
「え、えええっ!?」
「嫌、ですよね…」
「いや、あの、」
どちらかと言えば。
めちゃくちゃ嬉しいけど困惑。なにそれ俺ってなんか試されてる?道徳とか貞操観念とかなんか男としてとか。
「え、だって、環、」
「…なんとなく、さっき。
一緒に、いて、落ち着いたので…。
やっぱり、ですよね…」
「いや、あの~…」
「病院とかでは、あまり、なんか、そういう温もり、なかった…から」
「あ、あぁ…」
そうか。
「…寂しかったの?」
「…おかしい、ですよね」
「いや、」
まぁ。
樹実も寝れないとき、ぶっちゃけ一緒に寝たしな。わからんでもないけど。
俺、異性だよ?男だよ?野郎だよ?健全な28歳だよ?
「…その…。
俺、男だから」
「はい…おかしい、でしょうか」
「ん?」
「いつも、誰か、寝るまで、いたので…」
はぁ。
なるほど。
「いいの?気持ち悪くない?」
「何故ですか?」
あぁ。
ははー。
なんか見えたぞ。
君、わりと樹実的な、人類愛派なのね。
「…いいよ」
それわりと勇気いるけどさ。
だよねぇ、勇気いるはずなんだけど。
あまりに純粋に言ってくるからもう、
俺何を考えてんのって、なっちゃうじゃん。
でも嬉しい。
そこまで気は許せるように、なったんだ、人に。
仕方がないのでベッドの、壁際まで行く。
布団に入れば環はそっと目の前に手を伸ばしてきた。
だから俺はその手を取り、「手を握ればいい?」と聞けば、静かに目を閉じて頷いた。
鼓動が痛い。
はっきり言って、気付かれてないくらいの距離ですが、そりゃ、勃ちましたよ。
けどなんか。
安らかな寝息が聞こえてきたら不思議とそれも収まり、ただただとめどなく、暖かい想いが胸を占める。手を離して頬を撫でたら加速した。
もう、よかったなって、それだけ。
環、ごめん。
ちょっと引き寄せるように、うつ伏せの肩に腕をまわして。
あぁ、なんだろう。
伝わる熱と鼓動がどうしてこんなに泣きたくなるんだ。わかる気もしてきた。人類愛。
だってただこれだけで、もう、温かくて。
俺、君の7年を見て。
やっぱ純粋でも純粋じゃなくても。
もう、君が。
静かに俺も目を閉じた。
落ち着いた。ぼんやりと。
ちょっと朝勃ち許されないなしばらく。頭の片隅にそれは置いた。
でもいま凄く、泣きたいくらいに自分が満ち足りていることに、気が付いた。
「おやすみ」
と告げ、寝ようとソファに寝転がるも、「流星さん…」と弱々しく言われた。
なんだろ。
まさか。
「どうした?具合でも…」
「あの…。
さ、寒くないんですか?」
「え?」
あ、そういえば俺。
いまブランケットしかねぇ。
これ、寒いかもしれない。
「あ、まぁ、うん。大丈」
「私、なんだか、落ち着かないの、です」
「え?」
何?
いや、まぁね。状況がね。わからんでもないよ、ここは野郎の家だし。
「…伊緒の部屋に」
「いえ、その…。
ベッド、広くて」
「あ、あぁ…」
アメリカ慣れしたワガママ樹実用に、確かにそれ、ダブルだわ。違和感なく俺も使ってたがそうか、広いよな日本人には。
「あの…」
「どうしようか、明日から伊緒の部屋に…」
「一緒に、寝ませんか」
「…へ?」
えっ。
なっ。
まっ。
「え、えええっ!?」
「嫌、ですよね…」
「いや、あの、」
どちらかと言えば。
めちゃくちゃ嬉しいけど困惑。なにそれ俺ってなんか試されてる?道徳とか貞操観念とかなんか男としてとか。
「え、だって、環、」
「…なんとなく、さっき。
一緒に、いて、落ち着いたので…。
やっぱり、ですよね…」
「いや、あの~…」
「病院とかでは、あまり、なんか、そういう温もり、なかった…から」
「あ、あぁ…」
そうか。
「…寂しかったの?」
「…おかしい、ですよね」
「いや、」
まぁ。
樹実も寝れないとき、ぶっちゃけ一緒に寝たしな。わからんでもないけど。
俺、異性だよ?男だよ?野郎だよ?健全な28歳だよ?
「…その…。
俺、男だから」
「はい…おかしい、でしょうか」
「ん?」
「いつも、誰か、寝るまで、いたので…」
はぁ。
なるほど。
「いいの?気持ち悪くない?」
「何故ですか?」
あぁ。
ははー。
なんか見えたぞ。
君、わりと樹実的な、人類愛派なのね。
「…いいよ」
それわりと勇気いるけどさ。
だよねぇ、勇気いるはずなんだけど。
あまりに純粋に言ってくるからもう、
俺何を考えてんのって、なっちゃうじゃん。
でも嬉しい。
そこまで気は許せるように、なったんだ、人に。
仕方がないのでベッドの、壁際まで行く。
布団に入れば環はそっと目の前に手を伸ばしてきた。
だから俺はその手を取り、「手を握ればいい?」と聞けば、静かに目を閉じて頷いた。
鼓動が痛い。
はっきり言って、気付かれてないくらいの距離ですが、そりゃ、勃ちましたよ。
けどなんか。
安らかな寝息が聞こえてきたら不思議とそれも収まり、ただただとめどなく、暖かい想いが胸を占める。手を離して頬を撫でたら加速した。
もう、よかったなって、それだけ。
環、ごめん。
ちょっと引き寄せるように、うつ伏せの肩に腕をまわして。
あぁ、なんだろう。
伝わる熱と鼓動がどうしてこんなに泣きたくなるんだ。わかる気もしてきた。人類愛。
だってただこれだけで、もう、温かくて。
俺、君の7年を見て。
やっぱ純粋でも純粋じゃなくても。
もう、君が。
静かに俺も目を閉じた。
落ち着いた。ぼんやりと。
ちょっと朝勃ち許されないなしばらく。頭の片隅にそれは置いた。
でもいま凄く、泣きたいくらいに自分が満ち足りていることに、気が付いた。
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