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The 31st episode
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宗教臭ぇな、なんかこの空気。当たり前だけど。
教会に入る瞬間に祥ちゃんは左手でなんとなく、銃を確認するような仕草をした気がした。
しかし案外、全員殺気は殺している気がする。そりゃそうか。こんな宗教厳粛雰囲気、近付いただけで殺気なんてバレるよな。
扉の真横に立っていた、長いコートみたいな黒服のいかにもな十字架を首から下げたヨーロッパ系の男が「Oh, Welcome back.」と、声のトーンのわりには露骨に迷惑そうに目を反らして左口角をあげる。 へぇ、白くないんだ衣装。
何も言わずに背中を向けたヨーロッパ系に、俺達は無言で自然に着いていく。多分、案内係なんだろう。
精神科病棟のような教会の雰囲気。正直早く帰りたい。そんな様が顔に出ていたのか、ヨーロッパ系がふと横を見た流れで俺の顔を凝視した。
器用だなぁお前。普通それ歩けない、キモーい。
「This is cute isn't it?」
祥ちゃんが胡散臭~い笑顔でそう言うと、ヨーロッパ系は気まずそうにまた前を向く。それくらいわかるぞ、仮FBIだし。「可愛いだろ?」ってやつ。誰かに確か教わったよそのくらいのスラング。
「Don't stare at, Mother-Fucker.」
超わかるわそれ悪口なの。でも笑顔。こっちは苦笑だよ嫌な奴感すげぇよ祥ちゃん。
流星もユミルもちらっと祥ちゃんを見たのでこっそり、「今の悪口なのめっちゃわかるけど」と二人に振ってみた。
「見てんじゃねぇよクソ野郎ってとこだな」
「日本語ってそんなんで片付くからいいよネ…」
とかユミルが言った直後にマザーファッカーと言われてしまったヨーロッパ系がピタッと止まり、舌打ちをして祥ちゃんに振り向いた。
うわぁ災害。俺は見られることも敵わないらしいぜヨーロピアン。
ヨーロッパ系が何か言おうと口を開こうとした瞬間に「Stop.」と流星が割って入る。これ俺凄い過去に見覚えあるぞマジで。
また舌打ちをするも取り敢えずは不服そうにまた前を向いたヨーロッパ系に、見てわかるくらい流星がほっとした瞬間に
「Dumbass.(低俗が)」
と呟いた。
流星が即座に「Hun?」と返してしんとなる。
出た「はぁん?」。
いい加減胃が痛いんだが火付けの祥ちゃんは「ふはっ、喧嘩っ早いな流星!」とウケている。多分流星、スッゴい祥ちゃんには言われたくないと思うよいまは。
「お前のせいだろこの野郎…」
「あー怖いパス。嫌だ嫌だ教会だよ?あんたら。ねーユミル」
「振らないでホントに振らないで僕スゴく怖い」
「潤ちゃん?」
「わかんないけどめんどい」
俺たちの、最早男子大学生かよみたいなノリにヨーロッパ系は溜め息を吐いて黙って案内を再開。
男子大学生を終了し大人の雰囲気満載で進む。一気にセンチメンタルになったこいつらに少し気を引き締めなければ殺されるかもなと思った。いや、教会だから正直マフィアのボスとか信じてない節がある俺。
まぁでもエレボスだって宗教団体だよな、胡散臭ぇってか虚像だけど。俺あんくらいのを想像してたからマジな教会に若干ビビりを越えて「言うてお前ら大袈裟なんだろ」とか思い始めている。アメリカってでけぇしオーバーだし。
とか思っているうちに講堂に着いたようで、ヨーロッパ系が扉を開けた瞬間に流星も祥ちゃんも、ユミルですら引き締まったのがわかった。
「Dear Father, I’ll take you.
(神父様、お連れ致しました)」
ヨーロッパ系の声が反響するチャペル。
奥には祈りを捧げている、案内してきたヨーロッパ系+ポンチョみたいなやつを被った、フランシスコ・ザビエルみたいな格好をしたヤツが振り向いた。
白人だろうな。金髪と言うより白髪だなぁ、伸び放題感。胡散臭い。そこまでしか遠目にはわからん。
神父はヨーロッパ系にしっしと手を振り下がるよう命じて歩いてきた。ヨーロッパ系はその指示に従い扉を閉めるのが背後でわかった。
講堂の真ん中くらいまで歩いて止まり、腕組んで仁王立ち、見下すように傾けたその顔は、こちらも明らかなるヨーロッパ系。目も青いしめっちゃ白い。そして金髪はどうやら激しく白髪交じりらしい。
そりゃ、光の加減では全部白いよな。だから黒衣装なのかなとか下らないことを考えていたら、手をあげ「やぁケリー」とか言いながら祥ちゃんが前に歩いていく気配がした。
待って、こいつはもう間違いない。「Fuck Kelly」なんだろ?大丈夫なのかそのラフさ。
「でぃあマイ、ソン」
え、英語がクソほどなクセにめっちゃクールフェイスだけどケリー、とか唖然として眺めていると。
ケリーは突然、衣裳の左側のどこかからゴツくて黒い、特殊部隊が持ちそうな拳銃を祥ちゃんに突き付け
「Why did you come fuck you.」
と、突然冷淡に“Fuck”の“F”に力を込めたネイティブスラング感で顔を歪めて祥ちゃんに言うのだった。
これって「何しに来たんだクソ野郎」かな、「ぶっ殺す」かな、日本語って不便だけどどちらにしても超怖ぇ。
教会に入る瞬間に祥ちゃんは左手でなんとなく、銃を確認するような仕草をした気がした。
しかし案外、全員殺気は殺している気がする。そりゃそうか。こんな宗教厳粛雰囲気、近付いただけで殺気なんてバレるよな。
扉の真横に立っていた、長いコートみたいな黒服のいかにもな十字架を首から下げたヨーロッパ系の男が「Oh, Welcome back.」と、声のトーンのわりには露骨に迷惑そうに目を反らして左口角をあげる。 へぇ、白くないんだ衣装。
何も言わずに背中を向けたヨーロッパ系に、俺達は無言で自然に着いていく。多分、案内係なんだろう。
精神科病棟のような教会の雰囲気。正直早く帰りたい。そんな様が顔に出ていたのか、ヨーロッパ系がふと横を見た流れで俺の顔を凝視した。
器用だなぁお前。普通それ歩けない、キモーい。
「This is cute isn't it?」
祥ちゃんが胡散臭~い笑顔でそう言うと、ヨーロッパ系は気まずそうにまた前を向く。それくらいわかるぞ、仮FBIだし。「可愛いだろ?」ってやつ。誰かに確か教わったよそのくらいのスラング。
「Don't stare at, Mother-Fucker.」
超わかるわそれ悪口なの。でも笑顔。こっちは苦笑だよ嫌な奴感すげぇよ祥ちゃん。
流星もユミルもちらっと祥ちゃんを見たのでこっそり、「今の悪口なのめっちゃわかるけど」と二人に振ってみた。
「見てんじゃねぇよクソ野郎ってとこだな」
「日本語ってそんなんで片付くからいいよネ…」
とかユミルが言った直後にマザーファッカーと言われてしまったヨーロッパ系がピタッと止まり、舌打ちをして祥ちゃんに振り向いた。
うわぁ災害。俺は見られることも敵わないらしいぜヨーロピアン。
ヨーロッパ系が何か言おうと口を開こうとした瞬間に「Stop.」と流星が割って入る。これ俺凄い過去に見覚えあるぞマジで。
また舌打ちをするも取り敢えずは不服そうにまた前を向いたヨーロッパ系に、見てわかるくらい流星がほっとした瞬間に
「Dumbass.(低俗が)」
と呟いた。
流星が即座に「Hun?」と返してしんとなる。
出た「はぁん?」。
いい加減胃が痛いんだが火付けの祥ちゃんは「ふはっ、喧嘩っ早いな流星!」とウケている。多分流星、スッゴい祥ちゃんには言われたくないと思うよいまは。
「お前のせいだろこの野郎…」
「あー怖いパス。嫌だ嫌だ教会だよ?あんたら。ねーユミル」
「振らないでホントに振らないで僕スゴく怖い」
「潤ちゃん?」
「わかんないけどめんどい」
俺たちの、最早男子大学生かよみたいなノリにヨーロッパ系は溜め息を吐いて黙って案内を再開。
男子大学生を終了し大人の雰囲気満載で進む。一気にセンチメンタルになったこいつらに少し気を引き締めなければ殺されるかもなと思った。いや、教会だから正直マフィアのボスとか信じてない節がある俺。
まぁでもエレボスだって宗教団体だよな、胡散臭ぇってか虚像だけど。俺あんくらいのを想像してたからマジな教会に若干ビビりを越えて「言うてお前ら大袈裟なんだろ」とか思い始めている。アメリカってでけぇしオーバーだし。
とか思っているうちに講堂に着いたようで、ヨーロッパ系が扉を開けた瞬間に流星も祥ちゃんも、ユミルですら引き締まったのがわかった。
「Dear Father, I’ll take you.
(神父様、お連れ致しました)」
ヨーロッパ系の声が反響するチャペル。
奥には祈りを捧げている、案内してきたヨーロッパ系+ポンチョみたいなやつを被った、フランシスコ・ザビエルみたいな格好をしたヤツが振り向いた。
白人だろうな。金髪と言うより白髪だなぁ、伸び放題感。胡散臭い。そこまでしか遠目にはわからん。
神父はヨーロッパ系にしっしと手を振り下がるよう命じて歩いてきた。ヨーロッパ系はその指示に従い扉を閉めるのが背後でわかった。
講堂の真ん中くらいまで歩いて止まり、腕組んで仁王立ち、見下すように傾けたその顔は、こちらも明らかなるヨーロッパ系。目も青いしめっちゃ白い。そして金髪はどうやら激しく白髪交じりらしい。
そりゃ、光の加減では全部白いよな。だから黒衣装なのかなとか下らないことを考えていたら、手をあげ「やぁケリー」とか言いながら祥ちゃんが前に歩いていく気配がした。
待って、こいつはもう間違いない。「Fuck Kelly」なんだろ?大丈夫なのかそのラフさ。
「でぃあマイ、ソン」
え、英語がクソほどなクセにめっちゃクールフェイスだけどケリー、とか唖然として眺めていると。
ケリーは突然、衣裳の左側のどこかからゴツくて黒い、特殊部隊が持ちそうな拳銃を祥ちゃんに突き付け
「Why did you come fuck you.」
と、突然冷淡に“Fuck”の“F”に力を込めたネイティブスラング感で顔を歪めて祥ちゃんに言うのだった。
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