331 / 376
The 31st episode
5
しおりを挟む
祥ちゃんは少しケリーから顔を反らしながら舌打ちをする。黒い笑顔だ。
仕方ないとばかりに左手でコンバットを抜く、
と思いきや器用にタバコを一本出して咥え、面倒臭そうに火をつける。
ケリーがそれに少し眉を潜めたのを見るや、「わふれれらな(訳:忘れてたな?かな?)」と言い、タバコを咥えたままコンバットを抜き、
「ただいまクソジジイ」
とモゴモゴしながらもはっきり言った。
「てめえ、私が嫌煙家なの知っとるよな殺されたいんかクソガキ」
えっ、
「I love cigarettes,kill you」
俺訳、祥ちゃんの声が聞こえるようだ…「俺は愛煙家だねっ!殺すぞてめぇ」が…。
「面倒だなニホンゴ使えんだろ喧嘩売ってんかすっ飛ばすぞゴラぁ」
えっ、
ケリーは更に眉間に皺を寄せてカシャッと、ゴツい銃のスライドを引く。祥ちゃんも祥ちゃんで煙を吐き出しながら「どっちが早いかな」とか言っている。
待てよ待てよ。
ちらっと流星を見れば「多分長いぞあれ」と呟く。
「待ってぇ…どっからさぁ…」
「言いたいことはわかるケドね、黙ってた方が」
「てめぇのツレはどれだショウマ」
「えっ」
「見てわかんないの、あ、タバコ落ちただろぉ、1本20円、」
「ふざけんなや教会燃やす気か使えねぇ、口に手榴弾突っ込むぞこん、能無しがぁ、」
ケリー、祥ちゃんに歩み寄ろうと(撃とうと)する、ついでに足で鎮火。祥ちゃん手を伸ばす。俺予感的に次飛び火しそうなんだけど。
ケリーと目が合う。
やっぱぜってぇこれくる嫌だ。
「あれか」
「どれだよよそ見とか」
「真ん中の金髪、君ちょっとこっち来ぃ、」
「え゛っ」
「来なくてい~よ、いま殺すから」
「なっ、」
「殺すだとぉ、てめぇこの私によく片腕で言ったな」
「片腕で充分だろ、神父様ならねっ、」
やべぇ。
どーしたらいいの俺と流星もユミルも見るけど目は合わせてくれない。明らかに二人とも能面のような顔をして断固姿勢だ。何故だ戦地に味方がいない。このまま出てったら即死してしまうだろうが薄情者め。それでも日本人かコラ。
「おいそこの混じりハイエナぁ」
ケリーの低いドスの利いたヤクザのような声に「いっ、」とユミルが怯える。変化球だ、ピッチャー、デッドボール。
俺は絶対に助けてやれないからねユミル。ケリーは拳銃を祥ちゃんの左腕に押し付けたままユミルを睨む。
「てめぇストレスで医者掛かるとかなんだぁ?殺すぞこのチビ」
「いぃぃ…」
「んで、リュウセイ。君、その箱はなんだってんだい」
「…弔って頂けないかなと」
「ふんっ、」
またクールな鉄面皮に戻ったケリーは銃を祥ちゃんから離して右手にぶら下げ、
目を合わせた瞬間に祥ちゃんが「ごふっ、」と、漫画のように踞った。鳩尾にパンチを食らったらしい。コンバットも落ちた。危ない暴発しちゃう。
いまや俺の頭は「ホントに死んでもここ教会だ」と、目の前から離れていくのが保身だった。
しかしもれなく全員を見下すように眺めたケリーの長い沈黙は、場に似合わず殺伐としていた。
「ざまぁねぇなジャパニーズ、全員ファック。死んでから来いよバーカ」
なにっ、その
すげぇ頭悪そうなセンスねぇ罵倒。
けど言えねぇ、それなりに腹立つが殺気だけは半端ない。高田と同類だ、イライラだけで人を殺せそう。
神父じゃない、これ、間違いなく神父じゃない。
ケリーはそれから足元で「てめぇ」と痛そうに唸った祥ちゃんへしゃがみ、「でぇ?」と、ラリった覚束ない口調で言い捨て前髪を鷲掴む。
「どの面下げて来やがったショウマ」
マジな殺気低音でケリーは言った。
仕方ないとばかりに左手でコンバットを抜く、
と思いきや器用にタバコを一本出して咥え、面倒臭そうに火をつける。
ケリーがそれに少し眉を潜めたのを見るや、「わふれれらな(訳:忘れてたな?かな?)」と言い、タバコを咥えたままコンバットを抜き、
「ただいまクソジジイ」
とモゴモゴしながらもはっきり言った。
「てめえ、私が嫌煙家なの知っとるよな殺されたいんかクソガキ」
えっ、
「I love cigarettes,kill you」
俺訳、祥ちゃんの声が聞こえるようだ…「俺は愛煙家だねっ!殺すぞてめぇ」が…。
「面倒だなニホンゴ使えんだろ喧嘩売ってんかすっ飛ばすぞゴラぁ」
えっ、
ケリーは更に眉間に皺を寄せてカシャッと、ゴツい銃のスライドを引く。祥ちゃんも祥ちゃんで煙を吐き出しながら「どっちが早いかな」とか言っている。
待てよ待てよ。
ちらっと流星を見れば「多分長いぞあれ」と呟く。
「待ってぇ…どっからさぁ…」
「言いたいことはわかるケドね、黙ってた方が」
「てめぇのツレはどれだショウマ」
「えっ」
「見てわかんないの、あ、タバコ落ちただろぉ、1本20円、」
「ふざけんなや教会燃やす気か使えねぇ、口に手榴弾突っ込むぞこん、能無しがぁ、」
ケリー、祥ちゃんに歩み寄ろうと(撃とうと)する、ついでに足で鎮火。祥ちゃん手を伸ばす。俺予感的に次飛び火しそうなんだけど。
ケリーと目が合う。
やっぱぜってぇこれくる嫌だ。
「あれか」
「どれだよよそ見とか」
「真ん中の金髪、君ちょっとこっち来ぃ、」
「え゛っ」
「来なくてい~よ、いま殺すから」
「なっ、」
「殺すだとぉ、てめぇこの私によく片腕で言ったな」
「片腕で充分だろ、神父様ならねっ、」
やべぇ。
どーしたらいいの俺と流星もユミルも見るけど目は合わせてくれない。明らかに二人とも能面のような顔をして断固姿勢だ。何故だ戦地に味方がいない。このまま出てったら即死してしまうだろうが薄情者め。それでも日本人かコラ。
「おいそこの混じりハイエナぁ」
ケリーの低いドスの利いたヤクザのような声に「いっ、」とユミルが怯える。変化球だ、ピッチャー、デッドボール。
俺は絶対に助けてやれないからねユミル。ケリーは拳銃を祥ちゃんの左腕に押し付けたままユミルを睨む。
「てめぇストレスで医者掛かるとかなんだぁ?殺すぞこのチビ」
「いぃぃ…」
「んで、リュウセイ。君、その箱はなんだってんだい」
「…弔って頂けないかなと」
「ふんっ、」
またクールな鉄面皮に戻ったケリーは銃を祥ちゃんから離して右手にぶら下げ、
目を合わせた瞬間に祥ちゃんが「ごふっ、」と、漫画のように踞った。鳩尾にパンチを食らったらしい。コンバットも落ちた。危ない暴発しちゃう。
いまや俺の頭は「ホントに死んでもここ教会だ」と、目の前から離れていくのが保身だった。
しかしもれなく全員を見下すように眺めたケリーの長い沈黙は、場に似合わず殺伐としていた。
「ざまぁねぇなジャパニーズ、全員ファック。死んでから来いよバーカ」
なにっ、その
すげぇ頭悪そうなセンスねぇ罵倒。
けど言えねぇ、それなりに腹立つが殺気だけは半端ない。高田と同類だ、イライラだけで人を殺せそう。
神父じゃない、これ、間違いなく神父じゃない。
ケリーはそれから足元で「てめぇ」と痛そうに唸った祥ちゃんへしゃがみ、「でぇ?」と、ラリった覚束ない口調で言い捨て前髪を鷲掴む。
「どの面下げて来やがったショウマ」
マジな殺気低音でケリーは言った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
光のもとで2
葉野りるは
青春
一年の療養を経て高校へ入学した翠葉は「高校一年」という濃厚な時間を過ごし、
新たな気持ちで新学期を迎える。
好きな人と両思いにはなれたけれど、だからといって順風満帆にいくわけではないみたい。
少し環境が変わっただけで会う機会は減ってしまったし、気持ちがすれ違うことも多々。
それでも、同じ時間を過ごし共に歩めることに感謝を……。
この世界には当たり前のことなどひとつもなく、あるのは光のような奇跡だけだから。
何か問題が起きたとしても、一つひとつ乗り越えて行きたい――
(10万文字を一冊として、文庫本10冊ほどの長さです)
魔力を持たずに生まれてきた私が帝国一の魔法使いと婚約することになりました
ふうか
恋愛
レティシアは魔力を持つことが当たり前の世界でただ一人、魔力を持たずに生まれてきた公爵令嬢である。
そのために、家族からは冷遇されて育った彼女は10歳のデビュタントで一人の少年と出会った。その少年の名はイサイアス。皇弟の息子で、四大公爵の一つアルハイザー公爵家の嫡男である。そしてイサイアスは周囲に影響を与えてしまうほど多くの魔力を持つ少年だった。
イサイアスとの出会いが少しづつレティシアの運命を変え始める。
これは魔力がないせいで冷遇されて来た少女が幸せを掴むための物語である。
※1章完結※
追記 2020.09.30
2章結婚編を加筆修正しながら更新していきます。
27歳女子が婚活してみたけど何か質問ある?
藍沢咲良
恋愛
一色唯(Ishiki Yui )、最近ちょっと苛々しがちの27歳。
結婚適齢期だなんて言葉、誰が作った?彼氏がいなきゃ寂しい女確定なの?
もう、みんな、うるさい!
私は私。好きに生きさせてよね。
この世のしがらみというものは、20代後半女子であっても放っておいてはくれないものだ。
彼氏なんていなくても。結婚なんてしてなくても。楽しければいいじゃない。仕事が楽しくて趣味も充実してればそれで私の人生は満足だった。
私の人生に彩りをくれる、その人。
その人に、私はどうやら巡り合わないといけないらしい。
⭐︎素敵な表紙は仲良しの漫画家さんに描いて頂きました。著作権保護の為、無断転載はご遠慮ください。
⭐︎この作品はエブリスタでも投稿しています。
愛のかたち
凛子
恋愛
プライドが邪魔をして素直になれない夫(白藤翔)。しかし夫の気持ちはちゃんと妻(彩華)に伝わっていた。そんな夫婦に訪れた突然の別れ。
ある人物の粋な計らいによって再会を果たした二人は……
情けない男の不器用な愛。
スキル「糸」を手に入れた転生者。糸をバカにする奴は全員ぶっ飛ばす
Gai
ファンタジー
人を助けた代わりにバイクに轢かれた男、工藤 英二
その魂は異世界へと送られ、第二の人生を送ることになった。
侯爵家の三男として生まれ、順風満帆な人生を過ごせる……とは限らない。
裕福な家庭に生まれたとしても、生きていいく中で面倒な壁とぶつかることはある。
そこで先天性スキル、糸を手に入れた。
だが、その糸はただの糸ではなく、英二が生きていく上で大いに役立つスキルとなる。
「おいおい、あんまり糸を嘗めるんじゃねぇぞ」
少々強気な性格を崩さず、英二は己が生きたい道を行く。
妹がいなくなった
アズやっこ
恋愛
妹が突然家から居なくなった。
メイドが慌ててバタバタと騒いでいる。
お父様とお母様の泣き声が聞こえる。
「うるさくて寝ていられないわ」
妹は我が家の宝。
お父様とお母様は妹しか見えない。ドレスも宝石も妹にだけ買い与える。
妹を探しに出掛けたけど…。見つかるかしら?
貴族令嬢に生まれたからには念願のだらだらニート生活したい。
譚音アルン
ファンタジー
ブラック企業に勤めてたのがいつの間にか死んでたっぽい。気がつくと異世界の伯爵令嬢(第五子で三女)に転生していた。前世働き過ぎだったから今世はニートになろう、そう決めた私ことマリアージュ・キャンディの奮闘記。
※この小説はフィクションです。実在の国や人物、団体などとは関係ありません。
※2020-01-16より執筆開始。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる