F.G.A.B

二色燕𠀋

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ファソラシ

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 ケリーの元で過ごすうちに、ケリーはアメリカの「連邦捜査局」の中でも結構偉い、元ソビエト軍人だということを知った。

 ケリーの元に来て数ヵ月、俺の名前は「お前」か「君」で、密かな護身と軍事訓練という名目でケリー直々に訓練をちょっとだけ受けた。

「まぁお前には向かんけどね」

 ケリーは始めそう言って、自ら所持していた「スチェッキンマシンピストル」という、元ソビエト軍支給のオートマチックを俺に握らせたのだった。

 始めは確かに、死ぬかと思った。
 威力にまず身が持たずに肩は脱臼しかけるし、普通に後ろにすっ転ぶし、手にマメは出来まくるし、これぞまさしく悪魔だと思った。

 しかしそれも数週間でなんとか形になれば漸く、「これでわかるだろ」と、俺が宗教施設から持ち出した拳銃、モデル19を返してくれたのだった。

「…すげぇ、次元」

 ケリーはどうやら、日本文化が大好きだったのだが、基本的には「ファックイエローモンキー」と顔を歪めて言うような、そんなクソみたいな神父だった。

「…ねぇでもさぁ、君。ふつーこんな位置から撃てないと思わん?次元もルパンも片手だよ?スゴくない?」

 俺とユミルは「ファックの自国文化でも学んでおけ」と、暇なときには何故だか“ルパン三世”のアニメを見せられていた。
 そんな時期があった。

「んー、でもこれ面白いなぁ。ルパンは死んでも死んでないし」
「そだネー、僕たちみたいだネー」
「こんにゃくって切れないなら撃ち飛ばせるのかなぁ」
「確かにネっ!君、そんなにイイなら名前はジゲンにしたら?」
「うーん、それもいいねぇ。
 ユミルはなんでユミルで千種なの?」
「元々ユミルと言われて生きてきて、チクサはよくわからないの。ケリーが突然つけた。生まれ変わりなさいって」
「…そゆとこあるんだ、ケリー」
「うんそう。意外にネ」

 共に突然「兄弟」となった兄、千種ユミルは、たまにとんでもなく一人でペラペラ喋りだしうるさいこと、逆にとんでもなく落ち込んでよくわからないタイミングで大号泣する瞬間があるのだが、こうして話していれば基本的には無害で何の問題もないやつだった。

 ユミルの薬漬けというのがどの程度かはわからないが、精神疾患だとケリーから聞いた。俺のは恐らく一時的なものだろう、とも。

 そのせいか俺は確かに、その宗教団体に関して記憶もそれなりにあり、かなり有力な情報を与えていたと、後に聞いた。

「っはっはっは!でもさ、でもさ、だったらゴエモンでもイーと思うんだよネ、どう?俺刀見たことないけど君使える?使えない?あれ長いよネっ!」

 ゴエモンは刀が折れたショックで引きこもり、何の役にも立たなくなったシーンでペラペラペラペラ笑いながらユミルは言った。今日はどうやら機嫌が良いらしい。

「俺も見たことないなぁ。大日本帝国よりも昔らしいよ、あれが主流だったのって」
「ソレってなぁに?」
「いま勉強中のとこ、うーん1800年くらいだって。コルトより前。12歳の勉強単位はこれくらいなんだってさ」
「…でもさぁ聞いたヨ、ケリーから。日本人って6歳から22歳まで勉強あるんでしょ。君はここに来て3ヶ月じゃない」
「…寝る間もなく」
「…鬼だねぇ。君もスゴいけど」
「なんか…あんまなんもなかったのかもね。頭にバンバン入ってくる感じで」
「英語も覚えた?」
「ちょっと。ユミルはもう少し日本語覚えて欲しいな」
「話せるからよくない?」
「That looks good.」
「あはははは!グッジョブ!」

 と言いつつもユミルは、実は英語が案外ポンコツだということも一緒に過ごしてわかった。ユミルが過ごしたところが日本人収容施設だったからなのか、というのはいまいちわからないけれど。

 そんな中ふと、高速コンコンコンの後に乱暴に部屋のドアが開かれる。
 
「やってるなベンキョー!!ふははははVery nice!」

 その日のケリーはえらく酒臭く、「ファッキンイングリッシュ」を饒舌に使っていた。
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