BLUE SKY

二色燕𠀋

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kick

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「だから、海江田さんの話も聞いて、自分の話もしてあげてね?
 でも、結構ふたりは…いい感じに周っているように見えるよ、俺には、なんとなく」
「慧くん…」
「あとは、勇気かなぁ…なんてね」
「ありがとう…。
 まだまだだね、俺も。もっと、もっとって、実はいつでも待ってるんだよ?透花」
「…はい」
「それはすぐには出来ないことだよね、お互いさ…。
 二人ともありがとう。取り乱してごめん。
 透花、スーパー行かなきゃ」
「あ!」
「あ、俺もだ」
「一緒に行く?」
「いえ、あの人自分で値引きシール探すの好きなんで」
「……ははは、そうなんだ」
「…なんか、すません」

 少ししょんぼりした波瀬に「いや、ありがとうね」と…頭をわしゃわしゃしたが…。

「あ、やめてくださいワックス落ちるんで、マジで」
「…わかりましたよ。
 じゃあ…また何かの時に礼をさせて。慧くんも…まぁ、あの人そういうの嫌がりそうだけど、よかったら」
「はい、伝えます」
「行こっか」

 そう言われ「はい」と、ぴょんと椅子から降りる。

 軽く手を振り店を出れば…あぁ多分車あるなぁ、江崎のだろう…。
 見えるかはわからないが、安慈が頭を軽く下げたのでそれに倣う。

「アンジさん」
「…ん?」
「僕さっき、ユリシスを抑えましたよ」
「…マジか」
「マジです。この子は…きっと僕に良いこと悪いことをするけど、」
「…うん、」

 それだけの優しさもある。
 全てを知りたいけど、知り尽くしたら面白くないし、何も感じなくなってしまうのなら。

 一生は短いものかもしれないけど、だからこそ、一瞬一瞬を大切にしたい。

「病める時も健やかなる時も…ですね」
「…今日も疲れた?」
「はい。でも最近…無料ゲームはめっきりお料理とポイントカードになりました」
「それはゲームじゃないな、最早」

 はは、と笑ってくれる。
 そっちの方が、ずっといい。

「……慧くんも、大変だったんだね」
「みんなそんなもんだって、波瀬さんに今日、言われましたよ」
「確かに、そうかも」
「アンジさんも大変だったんじゃないですか?」
「……覚えてんのかー…いやまぁ大変ではなかったよ、君らに比べたらこんなこと」
「比べなくても、それぞれあるんじゃないですかね?」
「それも、確かに」
「…アンジさんに出会ってすぐ、言われましたよ?まだ若いだけだから、そのうち追い付くって」
「っはは、自分が言ったこと、返ってきちゃったなぁ」
「入院中サトイさんに言われました。ありがとう、とかは施しではなく、自分に返ってくるというか、自分のものだって」
「……あの子いいこと言うよね、マジで」

 そういえば…と安慈は思い出したがまず、「ごめんね透花」と謝る。

「……まぁ、でも…さっき言ったように、気にしても仕方ないし…」
「いや、まず体調は?今日は絶対に付き添うべきだったんだ。例え仕事だとしても」
「……叶実さんのお弁当、美味しかったですよね」
「あ、そうだ」

 それは昨日のことだった。
 夕方二人でテレビを付けっ放しで寝てしまった際、急にピンポンが鳴りインターホンを見ると、坂下がいたのだ。

「はい…」
「よう、透花ちゃんいるか?」

 透花もぼんやり起きたようだがくいっと坂下はその場でエコバッグを出し「夕飯と明日の弁当な」と渡してくれたのだ。

「昨日運ばれたの、透花ちゃんだろ?」
「…あれ、なんで…」
「実はお前の部署で会議があってな。今日から合同になって」
「……もう!?」
「あーそうだ」

 そう言われればまず上げるわけだが、透花が起きたのを見て「大丈夫か?お邪魔しますよ」とエコバッグをテーブルに置かれた。

「カナから夕飯と、明日の昼飯預かってきた。
 …悪いね透花ちゃん、明日こいつ少しだけ出勤になって…少しだけ、の為に俺から説明な」

 そして仕事概要を聞いた。
 坂下が言っていた「研究室の人やってる」はどうやらひまわり会の件だったらしい。

「……早いっすね」
「予想以上にな、はは。
 んで、まぁ聞いた。お前が今日休んだと。休みの日に悪いが明日もほぼ休みにするために俺が今来たわけだ。所長からはいこれ今日の会議の動画。
 カナがな、今日明日はお前らキツイだろうと作ってくれたから。透花ちゃん、小松菜よかったよ」
「……あぁ。よかった…」
「てなわけで。ちゃんとゆっくり治すんだぞー。
 海江田、お前もな。他はデスクワークで行けそうってとこまで勝手に詰めたが、一応差異がないようにこれ聞いとけ。明日は顔出し程度で良い、くらいにしとくと約束したから」
「……ありがとうございます、何から何まで」
「うん。
 じゃ!俺は帰るから!」

 そうして恩恵を受けたのだ。
 本当にありがたい。

「…薬は貰いに行かなきゃなぁ。すぐらしいから送ってく。帰りも早くするから…」
「はい」

 そんなことがあったのだ。

「…お礼しなきゃな…」
「お弁当とタッパーも返さなきゃ」
「そうだな…さっき、ちょっと良い菓子折り用意したんだ」
「それは良かった」
「…透花にも買っといたんだけど…波瀬くんにもあとで…。
 …ダメだな、俺は…。透花が許してくれたとしても、今回は…言い訳になるけど明らかに俺の気持ちばかりが先行した…謝っても仕方ないかもしれないけど…なんだか…」
「…実は思ったより良い経験したんですよ?」

 嬉しそうに透花は「多分、僕の特別なやつ…です」
「…どんなこと?」
「…ふふふ…。
 あそこ、テナント全部埋まるみたいで…それが全て音楽関係でして」

 …そういえば「ライブハウス状態」なんて言っていたな…。
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