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エレクトリック・レインボー
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驚愕した。
それは休日、自宅のデスクの上での驚愕だった。
俺はその日、皆様ご存じ世界共通動画サイト、“youtube”さんにて、俺はウィンドーショッピングよろしく、動画巡りをしていたのでございます。
近頃はお日柄もよく、四季折々、まぁ、言うなればお花とか咲かない所謂クソ寒い時期でございます。
こう、27歳にして遅めの社会人2年目に差し掛かろうとしていますと、休日なんて果たして何をして時間を潰しましょうかというのがございます。
最近もっぱらの趣味はベットから天井をただただ見上げることか、こうしてyoutubeをただただ垂れ流すことでございますよ。
この趣味を先日、昔のバイト仲間の現役大学生に伝えましたら「古里さん、あんた棺桶みたいな奴だね」と、よくわからない形容をされた所存でございます。
さてそんな俺が何に驚愕したかって?
「へりんたーあいぃぃ!!」
只今この画面越しに、舌足らずなシャウトをかましてるマッシュボブな黒髪の、二重で白目剥いた、ちょっと可愛いらしい顔した黒スーツの兄ちゃんに驚愕ですよ。
画質が悪いから古い画像かもしれないしけれどもコード進行がなんだか、THEオルタナみたいな感じで、俺は最初は正直、垂れ流していたのでございます。
それが、なんじゃこれ。
えぇ?どうしたの度肝抜かれるでしょとパソコン画面に食いつきましたわ。
最初はクソつまんねぇほど静かでしかも舌足らず、何言ってるかよくわかんねぇショタ声。これ所謂最近だとゲスを極めたあいつだよねみたいな奴。
しかしまぁサイドギターが嫌いじゃないくらいトリッキーな無茶ぶり。こいつどうした。むしろ曲を間違えたのか?いや、ボーカルギターとリンクはしているしなぁ…。
からの指弾きベース。なんかエロい。
だがボーカルギターの歌がクソほどに下手クソ。掠れてるし焼けてるしでもショタ声。
大丈夫か。ギターも今まで弾けていたのにどうしてソロで弾けなくなった。間違えまくりだぞ。しかしよく見ろ、なんだかんだでこの曲、今時ない。静かな曲ほど、ないコード。
気が付いたらずっと聴いていた。からの「へりんたーあいぃぃ!」これ、NHKってマジか。誰に向けて規制をしないんだこれ。
『ぃなさんんいちわぁ、“でんにじ”のあまあきれす。よろーくおねがいしやす!』
何言ってるか全然わかんねぇ。しかしファン達(僅か)は、「あまちゃーん!」だの「好きだー!」だの言っている。
焦点定まらぬ、笑顔ともつかぬ表情でギターボーカルのそいつは一瞬笑顔を見せ、マイクから顔を背けたかと思えば、突然一点を見て『せぇ、死ね!』と言ったかと思えばギターが掻き鳴らされる。
すげぇ、なにこれハンパねぇ。
キメセクのような、本気で規制掛けちまえよレベルの瞳孔開いたラリった表情はそこまでで、次には笑顔で右隣の、さらさら短髪な目付きが不良じみた猫背なベースの兄ちゃん見つめてにやりふにゃりと手をあげる。
短髪の彼はちらっと見やればまたキメ顔でマイクを持ち、今度は挙動不審な小動物のような眼差しで優しく歌い始めた。
すかさず俺はケータイでワードを調べ始めた。でんにじ。なんだこの大人のおもちゃみたいなワード。
出てきたのは“エレクトリック・レインボー”とかいう、中学生並みネーミングセンスのバンドだった。
本当に中学校二年生で結成したバンド、現在サポートギター以外27歳。この映像はどうやらデビュー当時のものらしい。
ギターボーカル 天崎真樹 愛称あまちゃん
ベース 栗村文杜 愛称 ふみと
ギター サポート 奥田弦次 愛称 げんちゃん
ドラム 国木田ナトリ 愛称 ハゲ
現在ハコなどで細々と活動中。理由は様々だが、ボーカルがどこかの雑誌で、“広いとこでやるくらいなら身体に手榴弾仕込んで死んでやる。そんくらい対人関係無理”とほざいたらしい。
なにそれハンパねぇ。
歌詞をいくらか調べてみた。
部屋から一歩も出たくない 出たくない
空気吸ったら返せない 返せない
小銭が微妙に足りないよ 明日家賃払えない
そんなんだ。
こんな顔して。
『あいへいみゅーじっく
死にたくなっても死ねねぇし 金ねぇし いやっふぅ!』
そして繰り出されるチューニング大丈夫かよという感じの妙なリズム感。
行こう。これは生で見たい。
チケットまで発券してTwitterまで探してしまった。
来週の土曜日の予定が埋まった。
それは休日、自宅のデスクの上での驚愕だった。
俺はその日、皆様ご存じ世界共通動画サイト、“youtube”さんにて、俺はウィンドーショッピングよろしく、動画巡りをしていたのでございます。
近頃はお日柄もよく、四季折々、まぁ、言うなればお花とか咲かない所謂クソ寒い時期でございます。
こう、27歳にして遅めの社会人2年目に差し掛かろうとしていますと、休日なんて果たして何をして時間を潰しましょうかというのがございます。
最近もっぱらの趣味はベットから天井をただただ見上げることか、こうしてyoutubeをただただ垂れ流すことでございますよ。
この趣味を先日、昔のバイト仲間の現役大学生に伝えましたら「古里さん、あんた棺桶みたいな奴だね」と、よくわからない形容をされた所存でございます。
さてそんな俺が何に驚愕したかって?
「へりんたーあいぃぃ!!」
只今この画面越しに、舌足らずなシャウトをかましてるマッシュボブな黒髪の、二重で白目剥いた、ちょっと可愛いらしい顔した黒スーツの兄ちゃんに驚愕ですよ。
画質が悪いから古い画像かもしれないしけれどもコード進行がなんだか、THEオルタナみたいな感じで、俺は最初は正直、垂れ流していたのでございます。
それが、なんじゃこれ。
えぇ?どうしたの度肝抜かれるでしょとパソコン画面に食いつきましたわ。
最初はクソつまんねぇほど静かでしかも舌足らず、何言ってるかよくわかんねぇショタ声。これ所謂最近だとゲスを極めたあいつだよねみたいな奴。
しかしまぁサイドギターが嫌いじゃないくらいトリッキーな無茶ぶり。こいつどうした。むしろ曲を間違えたのか?いや、ボーカルギターとリンクはしているしなぁ…。
からの指弾きベース。なんかエロい。
だがボーカルギターの歌がクソほどに下手クソ。掠れてるし焼けてるしでもショタ声。
大丈夫か。ギターも今まで弾けていたのにどうしてソロで弾けなくなった。間違えまくりだぞ。しかしよく見ろ、なんだかんだでこの曲、今時ない。静かな曲ほど、ないコード。
気が付いたらずっと聴いていた。からの「へりんたーあいぃぃ!」これ、NHKってマジか。誰に向けて規制をしないんだこれ。
『ぃなさんんいちわぁ、“でんにじ”のあまあきれす。よろーくおねがいしやす!』
何言ってるか全然わかんねぇ。しかしファン達(僅か)は、「あまちゃーん!」だの「好きだー!」だの言っている。
焦点定まらぬ、笑顔ともつかぬ表情でギターボーカルのそいつは一瞬笑顔を見せ、マイクから顔を背けたかと思えば、突然一点を見て『せぇ、死ね!』と言ったかと思えばギターが掻き鳴らされる。
すげぇ、なにこれハンパねぇ。
キメセクのような、本気で規制掛けちまえよレベルの瞳孔開いたラリった表情はそこまでで、次には笑顔で右隣の、さらさら短髪な目付きが不良じみた猫背なベースの兄ちゃん見つめてにやりふにゃりと手をあげる。
短髪の彼はちらっと見やればまたキメ顔でマイクを持ち、今度は挙動不審な小動物のような眼差しで優しく歌い始めた。
すかさず俺はケータイでワードを調べ始めた。でんにじ。なんだこの大人のおもちゃみたいなワード。
出てきたのは“エレクトリック・レインボー”とかいう、中学生並みネーミングセンスのバンドだった。
本当に中学校二年生で結成したバンド、現在サポートギター以外27歳。この映像はどうやらデビュー当時のものらしい。
ギターボーカル 天崎真樹 愛称あまちゃん
ベース 栗村文杜 愛称 ふみと
ギター サポート 奥田弦次 愛称 げんちゃん
ドラム 国木田ナトリ 愛称 ハゲ
現在ハコなどで細々と活動中。理由は様々だが、ボーカルがどこかの雑誌で、“広いとこでやるくらいなら身体に手榴弾仕込んで死んでやる。そんくらい対人関係無理”とほざいたらしい。
なにそれハンパねぇ。
歌詞をいくらか調べてみた。
部屋から一歩も出たくない 出たくない
空気吸ったら返せない 返せない
小銭が微妙に足りないよ 明日家賃払えない
そんなんだ。
こんな顔して。
『あいへいみゅーじっく
死にたくなっても死ねねぇし 金ねぇし いやっふぅ!』
そして繰り出されるチューニング大丈夫かよという感じの妙なリズム感。
行こう。これは生で見たい。
チケットまで発券してTwitterまで探してしまった。
来週の土曜日の予定が埋まった。
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