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ドリームランド
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「バカじゃねぇの?」
昼休みの食堂、似つかわしくない叫びに似たてゆうか非難。
やはりそうきた。
わかってんだよそんな事!
あまちゃんを飼い始めました、ここは伏せて知人にした。しかし、やはりその反応。これあまちゃんって言ったらより非難されるんだろうな。
「お前そのパターン詐欺と一緒やん」
「はははは…」
「笑えな、センスなっ、」
なんだよー。
しかしお前と後輩に言われても言い返せません。何故なら自覚があるからです。
「いやでも知人ですよ…女とは言っていないですよ…」
「じゃよりタチ悪いじゃんてかなんでそれ住ませたよ」
「いやぁ…道徳観念と言いますか」
「ファックだね」
あぁぁこらこら女の子がそんなそんな。
「それあれじゃね?なんか怪しい書類とか持って来られてはーい判子ポーンで後で怖いお兄さん来るパターンにまで発展すんじゃね?」
「なにそれ流石にそれはないよ!」
「どーだか。
例えば借金取りに追われてます、でも金は用意した!だから判子だけでいいから!とか。
あとあり得そうなのあれだよね。会社立ち上げるから保証人になってとか」
「いやいやいやい」
ありえる。
借金取りありえる。なんかワードヤバかったし。
「え?なに?押しちゃったの?」
「押してないよ、押さないよ!」
「掛けようか?あたしは押す。古里さん絶対押す」
そこまで後輩にコケにされるとなんか腹立ってきたな。
「…ぜってぇ押さねぇし」
「精々頑張れし」
つくづく可愛くねぇなこいつ。
「つか土曜さ」
「あ、うん」
「じゃぁそいつの顔拝みに行ってもいい?」
それはダメですなあ。てか嫌でも拝めますなぁ。
「仕事だってよ」
「なんだよ、つまんね。じゃぁ現地ね。てか駅ね」
「わかった」
次は確か新木場だか、お台場だ。どうやって行くか検索しておかねば。
あ、てか聞くか。
ふと、ケータイを見ると、『国木田』と表示されているのが見えた。
んん?
誰だっけ国木田。この新木場だかお台場みたいな名前は。
あ、わかった。
この前連絡先を交換したでんにじのドラムだ。
「ちょっとごめん」
俺は北谷に断って席を立ち、電話に出る。北谷は上を指し、先に戻るの合図。俺は頷いて返した。
「はい、もしもし」
『もしもし、えっと、昴くんだっけ?すんません真っ昼間に。今大丈夫?』
スマホの向こうからベースやギターその他の雑音が綺麗に聞こえる。音の反響からして、もしやスタジオじゃないのかなこれ。
「はい、そうですよ。大丈夫です。
どうされました?」
『うん。
あのさぁ、ウチのボーカル知りません?』
「え、あまちゃん?」
『うん。いや知らないならいいんだけど、確か一昨日あいつ、あんたのこと送ってったような気がして』
「あぁ、はい。
もしかして家の件ですか?預かってますよ、あまちゃん」
『うわぁぁぁ。やっぱり…。
ありがとうと言うべきかすまないと言うべきか…』
「まぁ成り行きです。家行ったら空き家だったんですね?」
『はい。んで嫌な予感がして。
あいつ、いまあんたの家に?』
「いや、朝出てきましたよ?なんかしゃちょーのとこ行くって」
『え』
電話越しの雑音やらが鳴り止んだ気がした。
向こう側にげんちゃんやベースのふみとがいるのだろうか。
『あいつ、なんか言ってました?』
「…契約切るとかなんとか。でも難航するかも、朝帰りかなって」
『社長がなんでだろう…』
「え、その家しゃちょーの持ちもんで、家賃半年記念で追い出されただのしゃちょーと喧嘩して怒らせただの言ってたけど」
『なにそれ』
電話の向こう側で「どうしたの」という低い声と息を呑む音までがリアルだった。
『え待って、どゆこと?』
「…やっぱ知らなかったんだ。ちょっとおかしいと思ったんだよね。
なんかいま家なき子だとか言ってて、俺ん家で昨日、しゃちょーから電話掛かってきてなんか明日行きますって言って切ってた。
あいつが言うにはまぁ、家に帰らなかったからしゃちょーが怒って掛けてきたんじゃない?って」
『待ってつまりあそこは、社長のもんで、半年家賃を払わなかったから追い出された…。
もしや、社長名義だった、家賃は社長持ち、喧嘩したから半年払ってもらえなくて追い出された、かな?』
「あぁ…。
君って読心術あるねぇ」
『いや、なんとなくね。
え、でも帰らなかったから怒った?なんだそれは…。
半年…』
電話の向こうから「ハゲさん、あれだよ」という声が聞こえた。げんちゃんの声だ。
『あっ。
げっ、やべぇ。おい文杜、車!行くぞドリームランドに!
ありがとう昴くん。助かった!』
「え、うん。
いや待って待ってどうしたの一体」
『え?
いやぁ、その…うーん。
なんも聞いてないなら黙っててやって。
あいつ半年前まで社長の家に住んでて。追い出されたってか…ちょっと問題起こしてね』
「なにそれ気になるじゃない」
『浴槽で真っ赤になって発見された、んで、気付いたらあのアパートに住んでた』
「えっ」
『あいつ曰く社長から離れたかった、でもわかってくんないってなんかその辺で言ってたんだよ。
悪いね、ちょっと急ぐね、またあとで』
「あ、うんごめん。ぐ…グッドラック」
一体ドリームランドってどこなんだろう。
社長の家なら夢なんてクソほどないじゃないか、それって。
『l'm a loneliness 怠惰論だろ
あぁ もぅ なんかさぁ、明日やる気ねぇ
けど死ねねぇし やることないし
結局 今夜 死ぬほど Junky
I know 知らねぇ 』
ライブ会場のあまちゃんが過る。
これってなるほど、痛烈だな。
少しやりきれない気持ちで俺は部署に戻ることにする。
『いいから働けんなことできねぇ、
夢なら今さらゴミ箱行きだ』
夢を歌ってはくれない。
けどそれは、君が歌っているのか、真樹。
センスねぇとか思ってごめん。
ちょっと染みるわささくれに。
昼休みの食堂、似つかわしくない叫びに似たてゆうか非難。
やはりそうきた。
わかってんだよそんな事!
あまちゃんを飼い始めました、ここは伏せて知人にした。しかし、やはりその反応。これあまちゃんって言ったらより非難されるんだろうな。
「お前そのパターン詐欺と一緒やん」
「はははは…」
「笑えな、センスなっ、」
なんだよー。
しかしお前と後輩に言われても言い返せません。何故なら自覚があるからです。
「いやでも知人ですよ…女とは言っていないですよ…」
「じゃよりタチ悪いじゃんてかなんでそれ住ませたよ」
「いやぁ…道徳観念と言いますか」
「ファックだね」
あぁぁこらこら女の子がそんなそんな。
「それあれじゃね?なんか怪しい書類とか持って来られてはーい判子ポーンで後で怖いお兄さん来るパターンにまで発展すんじゃね?」
「なにそれ流石にそれはないよ!」
「どーだか。
例えば借金取りに追われてます、でも金は用意した!だから判子だけでいいから!とか。
あとあり得そうなのあれだよね。会社立ち上げるから保証人になってとか」
「いやいやいやい」
ありえる。
借金取りありえる。なんかワードヤバかったし。
「え?なに?押しちゃったの?」
「押してないよ、押さないよ!」
「掛けようか?あたしは押す。古里さん絶対押す」
そこまで後輩にコケにされるとなんか腹立ってきたな。
「…ぜってぇ押さねぇし」
「精々頑張れし」
つくづく可愛くねぇなこいつ。
「つか土曜さ」
「あ、うん」
「じゃぁそいつの顔拝みに行ってもいい?」
それはダメですなあ。てか嫌でも拝めますなぁ。
「仕事だってよ」
「なんだよ、つまんね。じゃぁ現地ね。てか駅ね」
「わかった」
次は確か新木場だか、お台場だ。どうやって行くか検索しておかねば。
あ、てか聞くか。
ふと、ケータイを見ると、『国木田』と表示されているのが見えた。
んん?
誰だっけ国木田。この新木場だかお台場みたいな名前は。
あ、わかった。
この前連絡先を交換したでんにじのドラムだ。
「ちょっとごめん」
俺は北谷に断って席を立ち、電話に出る。北谷は上を指し、先に戻るの合図。俺は頷いて返した。
「はい、もしもし」
『もしもし、えっと、昴くんだっけ?すんません真っ昼間に。今大丈夫?』
スマホの向こうからベースやギターその他の雑音が綺麗に聞こえる。音の反響からして、もしやスタジオじゃないのかなこれ。
「はい、そうですよ。大丈夫です。
どうされました?」
『うん。
あのさぁ、ウチのボーカル知りません?』
「え、あまちゃん?」
『うん。いや知らないならいいんだけど、確か一昨日あいつ、あんたのこと送ってったような気がして』
「あぁ、はい。
もしかして家の件ですか?預かってますよ、あまちゃん」
『うわぁぁぁ。やっぱり…。
ありがとうと言うべきかすまないと言うべきか…』
「まぁ成り行きです。家行ったら空き家だったんですね?」
『はい。んで嫌な予感がして。
あいつ、いまあんたの家に?』
「いや、朝出てきましたよ?なんかしゃちょーのとこ行くって」
『え』
電話越しの雑音やらが鳴り止んだ気がした。
向こう側にげんちゃんやベースのふみとがいるのだろうか。
『あいつ、なんか言ってました?』
「…契約切るとかなんとか。でも難航するかも、朝帰りかなって」
『社長がなんでだろう…』
「え、その家しゃちょーの持ちもんで、家賃半年記念で追い出されただのしゃちょーと喧嘩して怒らせただの言ってたけど」
『なにそれ』
電話の向こう側で「どうしたの」という低い声と息を呑む音までがリアルだった。
『え待って、どゆこと?』
「…やっぱ知らなかったんだ。ちょっとおかしいと思ったんだよね。
なんかいま家なき子だとか言ってて、俺ん家で昨日、しゃちょーから電話掛かってきてなんか明日行きますって言って切ってた。
あいつが言うにはまぁ、家に帰らなかったからしゃちょーが怒って掛けてきたんじゃない?って」
『待ってつまりあそこは、社長のもんで、半年家賃を払わなかったから追い出された…。
もしや、社長名義だった、家賃は社長持ち、喧嘩したから半年払ってもらえなくて追い出された、かな?』
「あぁ…。
君って読心術あるねぇ」
『いや、なんとなくね。
え、でも帰らなかったから怒った?なんだそれは…。
半年…』
電話の向こうから「ハゲさん、あれだよ」という声が聞こえた。げんちゃんの声だ。
『あっ。
げっ、やべぇ。おい文杜、車!行くぞドリームランドに!
ありがとう昴くん。助かった!』
「え、うん。
いや待って待ってどうしたの一体」
『え?
いやぁ、その…うーん。
なんも聞いてないなら黙っててやって。
あいつ半年前まで社長の家に住んでて。追い出されたってか…ちょっと問題起こしてね』
「なにそれ気になるじゃない」
『浴槽で真っ赤になって発見された、んで、気付いたらあのアパートに住んでた』
「えっ」
『あいつ曰く社長から離れたかった、でもわかってくんないってなんかその辺で言ってたんだよ。
悪いね、ちょっと急ぐね、またあとで』
「あ、うんごめん。ぐ…グッドラック」
一体ドリームランドってどこなんだろう。
社長の家なら夢なんてクソほどないじゃないか、それって。
『l'm a loneliness 怠惰論だろ
あぁ もぅ なんかさぁ、明日やる気ねぇ
けど死ねねぇし やることないし
結局 今夜 死ぬほど Junky
I know 知らねぇ 』
ライブ会場のあまちゃんが過る。
これってなるほど、痛烈だな。
少しやりきれない気持ちで俺は部署に戻ることにする。
『いいから働けんなことできねぇ、
夢なら今さらゴミ箱行きだ』
夢を歌ってはくれない。
けどそれは、君が歌っているのか、真樹。
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ちょっと染みるわささくれに。
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