19 / 107
ドリームランド
8
しおりを挟む
そっからまさしく、あぁ今ロンリネス状態の俺の作業効率と言えば。
書類文書を作ってはゴミ箱作ってはゴミ箱という落ち着きのなさ。もうそわそわしちゃって仕方がない。
北谷すら、
「古里さん気持ちわ…
なにどうしたんですか」
と心配される始末。ヤバい。これもう俺メンタルどうしよう。ウチの子大丈夫かしら生きてるかしら。
「きたたぃ、北谷っ、」
「噛んだ。なんすか」
「俺今日帰ってもいい?明日鬼のようにやるから帰ってもいい?」
「…あんたホントどうしたの?タバコは?」
「吸う、」
「はい、じゃぁ休憩しましょうか」
定時まであと3時間。北谷がタバコに付き合ってくれた。
しかし特に聞いてこないのが北谷の優しさである。ただ一言、落ち着いたのを見計らってか、「あんたさ」と静かに言う。
「何があったか知らんけど、またおかん発動してんでしょ」
「やっぱおかんかな」
「うん。おかん。
まぁいいけどね。帰れば?どうせ文書一個も出来ないでしょ」
「すんません北谷さん…」
「…その人?」
「え?」
「さっきの。転がり込んできた人でしょ?」
読心術パネェ。
てか、まぁわかるか。
「お人好しなんじゃないのセンパイ」
「ははは…」
「まぁいいけど。グッドラック。
あんた嘘下手だけど頑張って部長に嘘吐いてくださいね」
「はぁーい…」
それから部署に戻り。
「部長すみまおぶっ、げ、ゲロ出るんでそうたおぶぇぇ」
と、口を押さえながら渾身の誤魔化しを含めた大嘘ぶっこいてそそくさと早退。帰り際北谷は顔を伏せて肩を震わせていた。部署はその他引いていた。
しかし早退したはいいけど俺は果たしてどうしたらいいのだろう。
駅で少し途方にくれてしまった。気付いたらプレイミュージックででんにじをひたすらダウンロードしていた。そういえば曲とか持ってない。
俺、実は全然知らないんだ。
手当たり次第ダウンロードして改めて歌詞付きででんにじを聴いてみる。
静脈に流れてた 明日
空をなくした微睡みと倦怠
今更 ギブソン 捨てられない
生活感は排水溝まで
I hate music everything
I need you everytime however
I love music everyday
I hate you everybody however.
あぁなに言ってっか歌詞付きで漸くわかった。
あまちゃん、ちょっとふざけんな。
頭が漸くフル回転した。
片っ端からあまちゃん、ハゲ、げんちゃん、ふみとと掛けてみる。出ない。どいつもこいつも出やしない。
しかしなんだ、俺は。
だから、俺は何が出来て何がしたいの。
『君をほっとく道徳が俺の中にねぇっていうエゴ』
本当にそうかもしれないんだけど。
だって仕方ねぇじゃん、どうにか、つーか早退しちゃったんだもん。だって、だって…。
まだまだ何にも止まってないから
今すぐここから逃げ出したいんだ
あぁいどんのぁぁあぁぁ!
くそぅ、情けねぇ、あいどんのーじゃねぇよクソ野郎!何がアドレナリンだバカ!あまちゃんのバカ!俺はおかんか彼女かセンスねぇなバカ俺!これ歌詞どうなってんの、ハゲドラム冴えてんな、いや違う、早くしてよ誰か!もっかい!もっかい電話!
と思った瞬間に曲再生がストップ。無機質なピロピロピロが耳について秒速でボタンを押した。最早誰からかわかんなかった。
「はいぃ!」
『あぁ昴?元気ですか?』
おばぁちゃんんん!
こんな時になんだよおばあちゃん!
「あ、あぁぁおばぁちゃん?ど、どうしたの?」
『もしもし昴?』
「うん、どうしたの?」
『最近忙しいのですか?』
「うん、うん。どうしたの?」
『この前送ったお米はどうでした?』
「あぁ、10月くらいの?炊いて食べましたよ?」
ばぁちゃん大丈夫ですか。
少々ボケてませんか、こんな時間にしかもそんな内容とか。
『よかったぁ』
切れた。
え。
なにそれ死んだ?
いやいや不謹慎すぎる。ちょっと待って。
掛け直した。『はい』と、知らない女の声がした。
「あの、古里サチ子の孫の昴です。いまばあちゃん、電話掛けてきたんですけど、もしかして、ヘルパーさんですか」
『あぁ、はい。
あ、お孫さんだったんですね。突然すみません。
サチ子さん、少し目を離した隙に電話の前にいて嬉しそうだったんで、誰かに掛けちゃったかしらと思っていまして…ご心配掛けて申し訳ありません』
「いえ…。ご苦労様です、よろしくお願いいたします」
『はい、すみません』
切れた。
偉く他人行儀だなぁ。まぁ当たり前か。そんなもんか。しかしなんか、うーんいいのかあれで。
まぁ施設にいるからまだ大丈夫?だよな。
しかしまぁ80のババアのがまだ新鮮だっつーのになんなんだあの野郎は。
再びピロピロ鳴った。確認した。『天崎真樹』だった。
すかさず出た。「あ、あいっ、」思わず噛んだ。俺はあまちゃんかよ。
しかし。
『君は誰ですか一体』
知らねぇおっさんのなんか口に残るような声がした。
誰だこいつ、一体。
書類文書を作ってはゴミ箱作ってはゴミ箱という落ち着きのなさ。もうそわそわしちゃって仕方がない。
北谷すら、
「古里さん気持ちわ…
なにどうしたんですか」
と心配される始末。ヤバい。これもう俺メンタルどうしよう。ウチの子大丈夫かしら生きてるかしら。
「きたたぃ、北谷っ、」
「噛んだ。なんすか」
「俺今日帰ってもいい?明日鬼のようにやるから帰ってもいい?」
「…あんたホントどうしたの?タバコは?」
「吸う、」
「はい、じゃぁ休憩しましょうか」
定時まであと3時間。北谷がタバコに付き合ってくれた。
しかし特に聞いてこないのが北谷の優しさである。ただ一言、落ち着いたのを見計らってか、「あんたさ」と静かに言う。
「何があったか知らんけど、またおかん発動してんでしょ」
「やっぱおかんかな」
「うん。おかん。
まぁいいけどね。帰れば?どうせ文書一個も出来ないでしょ」
「すんません北谷さん…」
「…その人?」
「え?」
「さっきの。転がり込んできた人でしょ?」
読心術パネェ。
てか、まぁわかるか。
「お人好しなんじゃないのセンパイ」
「ははは…」
「まぁいいけど。グッドラック。
あんた嘘下手だけど頑張って部長に嘘吐いてくださいね」
「はぁーい…」
それから部署に戻り。
「部長すみまおぶっ、げ、ゲロ出るんでそうたおぶぇぇ」
と、口を押さえながら渾身の誤魔化しを含めた大嘘ぶっこいてそそくさと早退。帰り際北谷は顔を伏せて肩を震わせていた。部署はその他引いていた。
しかし早退したはいいけど俺は果たしてどうしたらいいのだろう。
駅で少し途方にくれてしまった。気付いたらプレイミュージックででんにじをひたすらダウンロードしていた。そういえば曲とか持ってない。
俺、実は全然知らないんだ。
手当たり次第ダウンロードして改めて歌詞付きででんにじを聴いてみる。
静脈に流れてた 明日
空をなくした微睡みと倦怠
今更 ギブソン 捨てられない
生活感は排水溝まで
I hate music everything
I need you everytime however
I love music everyday
I hate you everybody however.
あぁなに言ってっか歌詞付きで漸くわかった。
あまちゃん、ちょっとふざけんな。
頭が漸くフル回転した。
片っ端からあまちゃん、ハゲ、げんちゃん、ふみとと掛けてみる。出ない。どいつもこいつも出やしない。
しかしなんだ、俺は。
だから、俺は何が出来て何がしたいの。
『君をほっとく道徳が俺の中にねぇっていうエゴ』
本当にそうかもしれないんだけど。
だって仕方ねぇじゃん、どうにか、つーか早退しちゃったんだもん。だって、だって…。
まだまだ何にも止まってないから
今すぐここから逃げ出したいんだ
あぁいどんのぁぁあぁぁ!
くそぅ、情けねぇ、あいどんのーじゃねぇよクソ野郎!何がアドレナリンだバカ!あまちゃんのバカ!俺はおかんか彼女かセンスねぇなバカ俺!これ歌詞どうなってんの、ハゲドラム冴えてんな、いや違う、早くしてよ誰か!もっかい!もっかい電話!
と思った瞬間に曲再生がストップ。無機質なピロピロピロが耳について秒速でボタンを押した。最早誰からかわかんなかった。
「はいぃ!」
『あぁ昴?元気ですか?』
おばぁちゃんんん!
こんな時になんだよおばあちゃん!
「あ、あぁぁおばぁちゃん?ど、どうしたの?」
『もしもし昴?』
「うん、どうしたの?」
『最近忙しいのですか?』
「うん、うん。どうしたの?」
『この前送ったお米はどうでした?』
「あぁ、10月くらいの?炊いて食べましたよ?」
ばぁちゃん大丈夫ですか。
少々ボケてませんか、こんな時間にしかもそんな内容とか。
『よかったぁ』
切れた。
え。
なにそれ死んだ?
いやいや不謹慎すぎる。ちょっと待って。
掛け直した。『はい』と、知らない女の声がした。
「あの、古里サチ子の孫の昴です。いまばあちゃん、電話掛けてきたんですけど、もしかして、ヘルパーさんですか」
『あぁ、はい。
あ、お孫さんだったんですね。突然すみません。
サチ子さん、少し目を離した隙に電話の前にいて嬉しそうだったんで、誰かに掛けちゃったかしらと思っていまして…ご心配掛けて申し訳ありません』
「いえ…。ご苦労様です、よろしくお願いいたします」
『はい、すみません』
切れた。
偉く他人行儀だなぁ。まぁ当たり前か。そんなもんか。しかしなんか、うーんいいのかあれで。
まぁ施設にいるからまだ大丈夫?だよな。
しかしまぁ80のババアのがまだ新鮮だっつーのになんなんだあの野郎は。
再びピロピロ鳴った。確認した。『天崎真樹』だった。
すかさず出た。「あ、あいっ、」思わず噛んだ。俺はあまちゃんかよ。
しかし。
『君は誰ですか一体』
知らねぇおっさんのなんか口に残るような声がした。
誰だこいつ、一体。
0
あなたにおすすめの小説
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる