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ドリームランド
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「は?」
『…ドリームズファクトリーのアラシバと申します。君は誰ですか』
ドリファク。
ドリームファック。
頭で少し変換してしまった。
多分、件の社長だ。
「…古里昴です」
『そうですか。君は、ウチの真樹になんだってちょっかい出しているんですか』
「はぁ?」
『金輪際関わらないで頂き』
すると電話の向こうで「しゃちょー?」と、聞き慣れた声が聞こえた。そしてなんとなく、ケータイをテーブルに置いた音。
あぁ、真樹?
どしたのしゃちょー。
真樹、この人は何者なんだい?
その会話の後、「なにしてんのあんた…!」と言う、あまちゃんの怒りの籠った声がして。
どうせなら真樹、この若者に告げなさいよ。君は、私から離れられない。
それから雑音がして『もし…もし』と聞こえた。
「あまちゃん?」
『スバルくん?…なに、ど、はぁ、した、の』
「あまちゃん、大丈夫?」
『えぇ?ぅん、なぁに?』
「あまちゃん、ねぇ、」
『しゃちょ、殺すよマジで』
なにそのなんか。
ヤバそうな関係。
「真樹…?」
『…っ、スバルくん、』
「…いま、みんな、きっと心配して社長の所に向かっ」
『いやぁぁぁ!』
急な叫び声。
なに、どうしたの。
シャウトとも違う。
凄く泣きそうなその声と、はあはあ言ってるその動悸みたいなやつはなんなの、真樹!
「真樹ぃ!」
『っはぁ、す、スバル…くん、っぁ、あの…、っうっ、ギブソン、はぁ、あったでしょ…?』
「真樹、どうしたの、どこにいるの?なにがあったの、ねぇ!?」
『あ、あれは…、40、くらい、かなっあ、はぁ、お礼、へへっ、』
「バカバカふざけんなおい!何がだよ、お前、あれは捨てられないんだろ、あまちゃん!」
『うっ、うぅ…』
何かが叩きつけられる音。そして。
『どうせだったら聞いとくかい?通話切らないでおく?いいもんだよそーゆーのも』
「あんた何してんの」
『遊んでる。あぁ、真樹はいま床に倒れてるよおら起きろよ、ちょっと強かったか?お前銀ハルからソラナックスに変えやがったなこのバカ!だから効きすぎんだよ俺こっちの薬のが好きだからやめろっつったよな死にてぇの?キメセクっつーのも悪くねぇけどな』
「何言って…」
『ダメだな起きねぇな。ほーれ、ははっ、そんでもぴくっとしやがるな面白いもんだ。これくすぐったいんかね?ね?
あぁなに?国木田と栗村と奥田?なんだそれ。
まぁいいや。お前、ソレ俺の部屋に運んどけ。したらそいつら入れろ』
電話はそこで切れた。
再び掛けてもすぐ切られ、その後からは繋がらなかった。
なにそれ、どういうことだ。
ダメ元で国木田に最初に掛けた。ワンコールで出た。
『はい』
「あまちゃん!そこにいるよ!社長の部屋!」
『…なんだって?』
「いままで電話してた。電話中に倒れた、多分。なんかヤバそう。
場所教えて行く、警察呼ぶ、救急車も呼ぶ!」
『…メールする。ありがとう』
言いながらどんどんどんと聞こえて通話が切れた。すぐさまメール音のピロピロがあって、それはげんちゃんからのショートメール2件だった。住所と一言。
“ヤバい薬ではない。だけどマスコミとか可哀想。身寄りも複雑らしい。なので、終わったら一緒に病院付き合ってください、すみません”
そうなのか。
安心は出来ないけど少しは胸に落ちた。取り敢えず電車。それから行こう。ドリームランドに。少し距離はある。
ふと気づいた。
空をなくした微睡みは
そうかこれ。
ソラナックス。
試しに検索してみた。
なるほど、どうやら抗不安薬、つまりは精神安定剤らしい。そういうことか。しかし睡眠薬とかとあんま飲んじゃダメって。でもあまちゃん飲んでるって。
なるほどだからあいつ舌足らずなんだ、たまに。
あぁ。
やっぱセンスないじゃん!
つうことは今のあれはなんだったんだ、まぁ、なんか薬の飲み合わせ難しそうだし、飲まされたんかな何を?あいつ殺されそうになってるわけ?
怖い怖いなんか怖い。泣きそう俺泣きそう。
早く行こう、早く着いてくれ。最早音楽聴く余裕もない。
しかし悲しくなってきた。
なんだか泣きそう。でも公共だから泣かない。眼鏡うぜえ。コンタクトがいい。
なんだよギブソン40だからって。もう弾く気ないじゃんあぁぁぁ!ダメだ聴く。ギブソン聴く。じゃないと泣いちゃう。
そう思ってプレイボタン押しちゃった。イヤホン忘れてた。
まわりのみなさんごめんなさい。
泣きそう。
イヤホンして耳にダイレクト。その瞬間に聴こえた甘いショタダミ声にまた涙腺がいまロック解除。
でも。
げんちゃんからのショートメール。
これって少し、やっぱり。
俺にだって壁がある。やっぱり壁がある。けどこれはげんちゃんからのショートメールだから。
涙腺ロック。まだ泣けない。
俺いま泣いたら泣き所違う。それこそエゴだしなんならそれに至らないわ、自慰だわオナってるわクソだわ。
もういい。バカにはバカなりに返しましょう。やりたいこと見せたりましょー。伝わる伝える壁とかエゴとか関係ない。俺今行きたい。真樹と呼びたいあまちゃんを、今は。鼓膜のあまちゃんは尊敬でいい。
あぁげんちゃん、君って凄いよ。だからこのコントラストなんだよ、君ここにいた方がいいよ。
君の壁、ちょっとだけしかわかってやれないけど君は良いヤツだ、また泣きそうだ、ダメだダメだ。早く着け、着いてくれ。
『…ドリームズファクトリーのアラシバと申します。君は誰ですか』
ドリファク。
ドリームファック。
頭で少し変換してしまった。
多分、件の社長だ。
「…古里昴です」
『そうですか。君は、ウチの真樹になんだってちょっかい出しているんですか』
「はぁ?」
『金輪際関わらないで頂き』
すると電話の向こうで「しゃちょー?」と、聞き慣れた声が聞こえた。そしてなんとなく、ケータイをテーブルに置いた音。
あぁ、真樹?
どしたのしゃちょー。
真樹、この人は何者なんだい?
その会話の後、「なにしてんのあんた…!」と言う、あまちゃんの怒りの籠った声がして。
どうせなら真樹、この若者に告げなさいよ。君は、私から離れられない。
それから雑音がして『もし…もし』と聞こえた。
「あまちゃん?」
『スバルくん?…なに、ど、はぁ、した、の』
「あまちゃん、大丈夫?」
『えぇ?ぅん、なぁに?』
「あまちゃん、ねぇ、」
『しゃちょ、殺すよマジで』
なにそのなんか。
ヤバそうな関係。
「真樹…?」
『…っ、スバルくん、』
「…いま、みんな、きっと心配して社長の所に向かっ」
『いやぁぁぁ!』
急な叫び声。
なに、どうしたの。
シャウトとも違う。
凄く泣きそうなその声と、はあはあ言ってるその動悸みたいなやつはなんなの、真樹!
「真樹ぃ!」
『っはぁ、す、スバル…くん、っぁ、あの…、っうっ、ギブソン、はぁ、あったでしょ…?』
「真樹、どうしたの、どこにいるの?なにがあったの、ねぇ!?」
『あ、あれは…、40、くらい、かなっあ、はぁ、お礼、へへっ、』
「バカバカふざけんなおい!何がだよ、お前、あれは捨てられないんだろ、あまちゃん!」
『うっ、うぅ…』
何かが叩きつけられる音。そして。
『どうせだったら聞いとくかい?通話切らないでおく?いいもんだよそーゆーのも』
「あんた何してんの」
『遊んでる。あぁ、真樹はいま床に倒れてるよおら起きろよ、ちょっと強かったか?お前銀ハルからソラナックスに変えやがったなこのバカ!だから効きすぎんだよ俺こっちの薬のが好きだからやめろっつったよな死にてぇの?キメセクっつーのも悪くねぇけどな』
「何言って…」
『ダメだな起きねぇな。ほーれ、ははっ、そんでもぴくっとしやがるな面白いもんだ。これくすぐったいんかね?ね?
あぁなに?国木田と栗村と奥田?なんだそれ。
まぁいいや。お前、ソレ俺の部屋に運んどけ。したらそいつら入れろ』
電話はそこで切れた。
再び掛けてもすぐ切られ、その後からは繋がらなかった。
なにそれ、どういうことだ。
ダメ元で国木田に最初に掛けた。ワンコールで出た。
『はい』
「あまちゃん!そこにいるよ!社長の部屋!」
『…なんだって?』
「いままで電話してた。電話中に倒れた、多分。なんかヤバそう。
場所教えて行く、警察呼ぶ、救急車も呼ぶ!」
『…メールする。ありがとう』
言いながらどんどんどんと聞こえて通話が切れた。すぐさまメール音のピロピロがあって、それはげんちゃんからのショートメール2件だった。住所と一言。
“ヤバい薬ではない。だけどマスコミとか可哀想。身寄りも複雑らしい。なので、終わったら一緒に病院付き合ってください、すみません”
そうなのか。
安心は出来ないけど少しは胸に落ちた。取り敢えず電車。それから行こう。ドリームランドに。少し距離はある。
ふと気づいた。
空をなくした微睡みは
そうかこれ。
ソラナックス。
試しに検索してみた。
なるほど、どうやら抗不安薬、つまりは精神安定剤らしい。そういうことか。しかし睡眠薬とかとあんま飲んじゃダメって。でもあまちゃん飲んでるって。
なるほどだからあいつ舌足らずなんだ、たまに。
あぁ。
やっぱセンスないじゃん!
つうことは今のあれはなんだったんだ、まぁ、なんか薬の飲み合わせ難しそうだし、飲まされたんかな何を?あいつ殺されそうになってるわけ?
怖い怖いなんか怖い。泣きそう俺泣きそう。
早く行こう、早く着いてくれ。最早音楽聴く余裕もない。
しかし悲しくなってきた。
なんだか泣きそう。でも公共だから泣かない。眼鏡うぜえ。コンタクトがいい。
なんだよギブソン40だからって。もう弾く気ないじゃんあぁぁぁ!ダメだ聴く。ギブソン聴く。じゃないと泣いちゃう。
そう思ってプレイボタン押しちゃった。イヤホン忘れてた。
まわりのみなさんごめんなさい。
泣きそう。
イヤホンして耳にダイレクト。その瞬間に聴こえた甘いショタダミ声にまた涙腺がいまロック解除。
でも。
げんちゃんからのショートメール。
これって少し、やっぱり。
俺にだって壁がある。やっぱり壁がある。けどこれはげんちゃんからのショートメールだから。
涙腺ロック。まだ泣けない。
俺いま泣いたら泣き所違う。それこそエゴだしなんならそれに至らないわ、自慰だわオナってるわクソだわ。
もういい。バカにはバカなりに返しましょう。やりたいこと見せたりましょー。伝わる伝える壁とかエゴとか関係ない。俺今行きたい。真樹と呼びたいあまちゃんを、今は。鼓膜のあまちゃんは尊敬でいい。
あぁげんちゃん、君って凄いよ。だからこのコントラストなんだよ、君ここにいた方がいいよ。
君の壁、ちょっとだけしかわかってやれないけど君は良いヤツだ、また泣きそうだ、ダメだダメだ。早く着け、着いてくれ。
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