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in DIVE CITY Tokyo
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開演1時間前。
「流石に早くねぇですか先輩…」
後輩北谷を、予定より30分前に呼び出して駅で待つ。
「いやだからさぁ…」
「誰だし」
「従兄」
「だったらあたしだって連れてくりゃよかったよ弟ー!」
そう。
俺は太一も待っていた。
「ねぇでも思うよ先輩。
多分この駅改札前で待っててあげないと解りにくいよ」
「そうかなぁ…」
一応ライブ会場に入りやすい出口(改札からでて左手の物凄く分かりやすく長すぎるエレベーターを登ってすぐのところ、駅名で言えば「東京テレポート駅」にいる我々)に立っているわけだが。
電話が鳴った。
見れば『古里太一』そうか、迷ったか。
「はい、」
『昴ぅ、東京さでっけぇんあるなぁ…』
なんだそのチャイニーズじみた日本語。
ふと右側を見て目についた、目立ちすぎる、商業施設。確かにそっちの方が目立つな。“DIVE CITY”ってデカデカとあるしな。なるほど。
「太一、悪かった。そのまま動かないで」
『勝手に動く』
「エレベーターから降りたら少し通路から離れてじぃっとしてて。そだな、透明な箱の横あたりに」
『そう!これ凄え』
「はい、はーい」
通話修了。
確かにな。俺も始めてここへ来た日、実はそっちから出て迷って戻ってこの場所に辿り着いただなんて、言えないわ。
なかなか来ないじゃないかDIVE CITY Zeppe Tokyoなんて。
だってどう見たって観覧車。ライブハウスがこの下にあるようになんて思えねぇよ。
「やっぱ、あっち行っちゃったっしょ」
「あぁ…」
「こっち来たら絶対にびびっちゃうでしょ」
「安易に予想が出来るよなこれ」
仕方無い。
少し歩いて行けば、もう、おのぼりさん感満載のわりと綺麗なツナギを着たリーゼントではない太一を発見。
なんでツナギで来たんだよ。流石におかしいだろ。
「あの人?」と言ってくる北谷に、「残念ながら」と答えれば、
「あんたのおしゃれシャツ野郎よかだいぶいいわ」だこと。
なにそれ、侵害。
キョロキョロしている太一はもう、吹き出しをつけるなら心理描写「スゲェ、東京」な感じ。同郷、気持ちはわかる。
「太一ぃー!おーい!」
ちょっと近付いた所で声を掛けてみた。
すかさず気付いた太一は、はっとこっちを見て一瞬硬直。それから「はぁぁ、」と漏らし、
「昴ー!」
と突進するように走ってきた。
今度は蹴られないぞ。
ひょいっと退いたら急ブレーキをかけ、「なんでぇぇぇ!?」と驚愕していた。
ふと北谷を見て、「あぁあ」と感嘆。何故だ。
「にしゃぁ、よか子おったんか!」
目をキラキラさせていた。
「え?」と言った北谷を無視して俺は太一を一発ぶっ叩いた。
「後輩だわ仕事の!見ろこいつ!んなスニーカーにショーパンによくわかんねぇ色のTシャツ着た色気のねぇ女イヤだわ!」
「え、勝負パンツ?」
「なんだよ見事なるライブスタイルじゃん、色気はいらねぇんだよこんな時!これはどうみても虹色でしょ!
あんたの意味わかんねえ縦縞カットシャツとか引き裂かれろせめてポロシャツで来いよ!」
「アクティブやなぁ…」
太一の無意味な途中の一言は無視をした。
「へっ、サブカルクソ女子め。お前残念だったな。意外とあのバンドはそこまでアクティブじゃないんだよ!皆わりかし地蔵なんだよ!多分!」
「失神してもか」
「やめろ言うなし」
「ねぇ、てかぁ、イチャイチャはもーええねん、早ぅ行かんか?」
「イチャイチャじゃないんだよ太一」
「あ、そうそう。
太一です。昴が世話になってます。昨日久しぶりに会って急に誘われたんですよー」
笑顔で標準語挨拶。
やっぱそうだよな。お前嘘臭いねんその博多弁。
「あ、後輩の北谷愛夏です…、はい、よろしくお願いしますー」
出た、人見知り。めっちゃ発揮。
「こいつ人見知りだから。
行くか。場所確か観覧車の下だよなここ」
確か何年か前にチバ氏のバンドを観にきた時に驚愕した覚えがある。なんたるギャップやねん、と。
「え、なにそれ」と言ってる太一に、「Zeppe、福岡にもあったよな」と言えば「ああ!」と。
「うわぁ、あれ?え、あれなん?わりとデカいやんどこにあるん?ないやん。福岡みてぇに閉まったん?あっちゃ、ちゃうの?」
「いや今足元くらいにあんじゃね?」
「なにぃぃ!すんげぇ東京、でんにじ踏み潰しとるやん」
「いや古里さん、足元電車だよ。つか、もしかして先輩、DIVE CITY Zeppe Tokyoってこの人に言っちゃったの?」
「えそうだよ」
「そう聞いた」
なんとなくサブカルクソ女子とかそれっぽそうな通行人が増えてきた気がする。観覧車がある、建物の方へ。俺たちも、なんとなく話ながらそちらへ向かう。
「だからだよ。
古里さん違うよ。今行くのZeppe Tokyo。まぁ確かにDIVE CITY Tokyoとも言うよねアーティストによっては。でもね、いまあっち側、この人が出てきた方にある正真正銘の、商業施設内、DIVE CITYにZeppe Tokyoが新たに出来たから、DIVE CITY Zeppe Tokyoって言っちゃうと、あっち行ったこの人が正しいの」
「えなんで」
「いまから行くZeppe Tokyo、この人が言ったように、閉まっちゃうんだって」
「そうだったの!?」
「つかあんた、福岡だったんだね」
「そーだよ」
「でんにじと一緒やん」
「そーやで!」
「うわぁ流石親戚。息が合ってる。つか昨日行って今よくこんなピンピンしてんね、つか帰って来れたね。なんか大変だって部長が」
「だってとんぼ返りだもんほぼ。なぁ、太一。
え、てかあいつら福岡ってそんな公なの?俺めちゃくちゃストーカーしまくったけどわかんなかったよ。まあ確かにドラムの国木田がちょっとね、訛りが怪しいなと思った瞬間はあった」
「サブカルクソ女子ナメんなよ先輩。え、てかそんなお近付きかよ」
侮れないなぁ~サブカルクソ女子。
「流石に早くねぇですか先輩…」
後輩北谷を、予定より30分前に呼び出して駅で待つ。
「いやだからさぁ…」
「誰だし」
「従兄」
「だったらあたしだって連れてくりゃよかったよ弟ー!」
そう。
俺は太一も待っていた。
「ねぇでも思うよ先輩。
多分この駅改札前で待っててあげないと解りにくいよ」
「そうかなぁ…」
一応ライブ会場に入りやすい出口(改札からでて左手の物凄く分かりやすく長すぎるエレベーターを登ってすぐのところ、駅名で言えば「東京テレポート駅」にいる我々)に立っているわけだが。
電話が鳴った。
見れば『古里太一』そうか、迷ったか。
「はい、」
『昴ぅ、東京さでっけぇんあるなぁ…』
なんだそのチャイニーズじみた日本語。
ふと右側を見て目についた、目立ちすぎる、商業施設。確かにそっちの方が目立つな。“DIVE CITY”ってデカデカとあるしな。なるほど。
「太一、悪かった。そのまま動かないで」
『勝手に動く』
「エレベーターから降りたら少し通路から離れてじぃっとしてて。そだな、透明な箱の横あたりに」
『そう!これ凄え』
「はい、はーい」
通話修了。
確かにな。俺も始めてここへ来た日、実はそっちから出て迷って戻ってこの場所に辿り着いただなんて、言えないわ。
なかなか来ないじゃないかDIVE CITY Zeppe Tokyoなんて。
だってどう見たって観覧車。ライブハウスがこの下にあるようになんて思えねぇよ。
「やっぱ、あっち行っちゃったっしょ」
「あぁ…」
「こっち来たら絶対にびびっちゃうでしょ」
「安易に予想が出来るよなこれ」
仕方無い。
少し歩いて行けば、もう、おのぼりさん感満載のわりと綺麗なツナギを着たリーゼントではない太一を発見。
なんでツナギで来たんだよ。流石におかしいだろ。
「あの人?」と言ってくる北谷に、「残念ながら」と答えれば、
「あんたのおしゃれシャツ野郎よかだいぶいいわ」だこと。
なにそれ、侵害。
キョロキョロしている太一はもう、吹き出しをつけるなら心理描写「スゲェ、東京」な感じ。同郷、気持ちはわかる。
「太一ぃー!おーい!」
ちょっと近付いた所で声を掛けてみた。
すかさず気付いた太一は、はっとこっちを見て一瞬硬直。それから「はぁぁ、」と漏らし、
「昴ー!」
と突進するように走ってきた。
今度は蹴られないぞ。
ひょいっと退いたら急ブレーキをかけ、「なんでぇぇぇ!?」と驚愕していた。
ふと北谷を見て、「あぁあ」と感嘆。何故だ。
「にしゃぁ、よか子おったんか!」
目をキラキラさせていた。
「え?」と言った北谷を無視して俺は太一を一発ぶっ叩いた。
「後輩だわ仕事の!見ろこいつ!んなスニーカーにショーパンによくわかんねぇ色のTシャツ着た色気のねぇ女イヤだわ!」
「え、勝負パンツ?」
「なんだよ見事なるライブスタイルじゃん、色気はいらねぇんだよこんな時!これはどうみても虹色でしょ!
あんたの意味わかんねえ縦縞カットシャツとか引き裂かれろせめてポロシャツで来いよ!」
「アクティブやなぁ…」
太一の無意味な途中の一言は無視をした。
「へっ、サブカルクソ女子め。お前残念だったな。意外とあのバンドはそこまでアクティブじゃないんだよ!皆わりかし地蔵なんだよ!多分!」
「失神してもか」
「やめろ言うなし」
「ねぇ、てかぁ、イチャイチャはもーええねん、早ぅ行かんか?」
「イチャイチャじゃないんだよ太一」
「あ、そうそう。
太一です。昴が世話になってます。昨日久しぶりに会って急に誘われたんですよー」
笑顔で標準語挨拶。
やっぱそうだよな。お前嘘臭いねんその博多弁。
「あ、後輩の北谷愛夏です…、はい、よろしくお願いしますー」
出た、人見知り。めっちゃ発揮。
「こいつ人見知りだから。
行くか。場所確か観覧車の下だよなここ」
確か何年か前にチバ氏のバンドを観にきた時に驚愕した覚えがある。なんたるギャップやねん、と。
「え、なにそれ」と言ってる太一に、「Zeppe、福岡にもあったよな」と言えば「ああ!」と。
「うわぁ、あれ?え、あれなん?わりとデカいやんどこにあるん?ないやん。福岡みてぇに閉まったん?あっちゃ、ちゃうの?」
「いや今足元くらいにあんじゃね?」
「なにぃぃ!すんげぇ東京、でんにじ踏み潰しとるやん」
「いや古里さん、足元電車だよ。つか、もしかして先輩、DIVE CITY Zeppe Tokyoってこの人に言っちゃったの?」
「えそうだよ」
「そう聞いた」
なんとなくサブカルクソ女子とかそれっぽそうな通行人が増えてきた気がする。観覧車がある、建物の方へ。俺たちも、なんとなく話ながらそちらへ向かう。
「だからだよ。
古里さん違うよ。今行くのZeppe Tokyo。まぁ確かにDIVE CITY Tokyoとも言うよねアーティストによっては。でもね、いまあっち側、この人が出てきた方にある正真正銘の、商業施設内、DIVE CITYにZeppe Tokyoが新たに出来たから、DIVE CITY Zeppe Tokyoって言っちゃうと、あっち行ったこの人が正しいの」
「えなんで」
「いまから行くZeppe Tokyo、この人が言ったように、閉まっちゃうんだって」
「そうだったの!?」
「つかあんた、福岡だったんだね」
「そーだよ」
「でんにじと一緒やん」
「そーやで!」
「うわぁ流石親戚。息が合ってる。つか昨日行って今よくこんなピンピンしてんね、つか帰って来れたね。なんか大変だって部長が」
「だってとんぼ返りだもんほぼ。なぁ、太一。
え、てかあいつら福岡ってそんな公なの?俺めちゃくちゃストーカーしまくったけどわかんなかったよ。まあ確かにドラムの国木田がちょっとね、訛りが怪しいなと思った瞬間はあった」
「サブカルクソ女子ナメんなよ先輩。え、てかそんなお近付きかよ」
侮れないなぁ~サブカルクソ女子。
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