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in DIVE CITY Tokyo
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思ったよりもゆったりした曲で。
照明もオレンジっぽくて。
あまりあまちゃんギターは目立たず、静かなベースと、優しいドラム。
「まぃっ、 ふぇぃばりっ そーぉぉん
君の見てきたぁ全てでいーさぁ
よぉ、 ふぇぃばりっ そーぉぉぉんぐ
君の歌う唄がしゅきだかん
優しさでんなくぅ 冷たくもない
微睡んだすれが」
サビとかの抑揚がないタイプのやつ。あまちゃん残念、歌詞入ってこないけどなんとなくわかった。げんちゃん。げんちゃん。
リスペクトと、やっぱ違うんだこれ。
そして、次曲はなんとなくな終わりの空気を漂わせた、哀愁もあるような、しかし切り裂くギターはあまちゃん主導権だった。
ただ、ただその汗とか。
綺麗な瞳とか。
少し泣きそうに唄ったり空を眺める姿や、メンバーがあまちゃんを見つめるので、最後を悟った。
綺麗だ。
俯くような視線も。たまに見せる潤んだ瞳も光る汗も。ギターをなんとなく斜めに眺めるロッカー特有の唄い方も。俺、そう。君に陶酔してる。そう、リスペクトじゃなく。
切ない君もラリった君も。届かないけど届きそうな距離にいるジャンクバンド、けど違う。君、一人の人間なのに、届かないけど届きそうな位置にいたんだ。
いま何を思ってロッカーは、ねぇ君はそうやって音を、鳴らすのか。
「頭のなかぁでぇ 泣くこと、はぁなぁぁい
あなたの声がぁぁ 冷たくなっていくのだかぁら
寝れない方がぁ 綺麗な星、がぁ
ただ純粋なぁ I waiting for you now.
I waiting for You now.
I waiting for」
キーンとギターが鳴りやんで。
「エレクトリック・レインボーでした」
真っ暗になる。
泣きそうだった。
息を呑んだ。
どこかから漏れるように響いたアンコール。あぁ、そう。
パフォーマンスだろうけど。
もう、いいやって気付いたら一人の世界に陶酔してアンコールしちゃって。
しながらもどっかで、
来てくれるかなとか、来れるかなとか考えてて長く感じた。
「凄く…」
北谷もそれしか言わない。隣で太一のアンコールも見える。
俺はいま、でんにじを待っている。
そのうち袖から、またげんちゃんからの登場。どっかからのふぅ!に俺の心もふぅ!
やっぱりお辞儀。
「…アンコール、ありがとうございまっ」
明らかに売店で買ってきただろう、ジントニックっぽいやつを飲みながら言うあまちゃん。
「それどうかと思う、あまちゃん」
言うげんちゃんもやっぱりカシスっぽいのを飲んでいて。
「わりとほろ酔いなんれ、ちと違う人の曲やろ」
すると客席のどこかから、「ミッシェルターイム!」と叫ばれた。
なにそれ。それにあまちゃんも「げっ」げんちゃんも「コアだね」ふみとくん、ふと二人を見て弾き始めた。
のは、哀愁ある。
うわっ、解散近い頃の曲。わかった。しかしぴったり。げんちゃん笑って「あいーよいーよカット地味にあるやつ」
「マジかお前ら。え、ナトリは?」
振り返れば笑顔でシンバル。
「…うわぁ、言い出した俺が悪かった長ぇよ地味に。
若い子知ってる?まいーや知らなくても。ミッシェルガンエレファント、エレクトリック・サーカス」
入り出しはげんちゃんで。印象的な哀愁フレーズはあまちゃんが弾き。ぱんと、同時に入るドラムとベース。
切な気に手元を見るあまちゃんと暗い照明が綺麗で。
ああそう。
この唄、なんか思い出すんだよなぁ。
別に俺、ヤンキーではなかったけどバイク乗り回して、家出して。
なんか、死んでやるってヤケになっちゃってあの日に、学校に忍び込んで屋上で寝転がってこれ、リピートして寝たわ。朝日を迎えたわ。
青春にあるよなぁ、そんなこと。なんでそんなことしたかわかんないけど、まぁなんか悲しかったんだろうな俺。
何故かこの間奏を、げんちゃんではなくふみとくんと向かい合って合わせる真樹。
見合う二人の葛藤のような演奏に、そうかこいつらは、青春を共にしたのかと、ふと太一を見てみれば、太一は心地よさそうに演奏に見入っていた。
太一はどんな、あの頃、高校を過ごしたかを俺は知らないや。
照明もオレンジっぽくて。
あまりあまちゃんギターは目立たず、静かなベースと、優しいドラム。
「まぃっ、 ふぇぃばりっ そーぉぉん
君の見てきたぁ全てでいーさぁ
よぉ、 ふぇぃばりっ そーぉぉぉんぐ
君の歌う唄がしゅきだかん
優しさでんなくぅ 冷たくもない
微睡んだすれが」
サビとかの抑揚がないタイプのやつ。あまちゃん残念、歌詞入ってこないけどなんとなくわかった。げんちゃん。げんちゃん。
リスペクトと、やっぱ違うんだこれ。
そして、次曲はなんとなくな終わりの空気を漂わせた、哀愁もあるような、しかし切り裂くギターはあまちゃん主導権だった。
ただ、ただその汗とか。
綺麗な瞳とか。
少し泣きそうに唄ったり空を眺める姿や、メンバーがあまちゃんを見つめるので、最後を悟った。
綺麗だ。
俯くような視線も。たまに見せる潤んだ瞳も光る汗も。ギターをなんとなく斜めに眺めるロッカー特有の唄い方も。俺、そう。君に陶酔してる。そう、リスペクトじゃなく。
切ない君もラリった君も。届かないけど届きそうな距離にいるジャンクバンド、けど違う。君、一人の人間なのに、届かないけど届きそうな位置にいたんだ。
いま何を思ってロッカーは、ねぇ君はそうやって音を、鳴らすのか。
「頭のなかぁでぇ 泣くこと、はぁなぁぁい
あなたの声がぁぁ 冷たくなっていくのだかぁら
寝れない方がぁ 綺麗な星、がぁ
ただ純粋なぁ I waiting for you now.
I waiting for You now.
I waiting for」
キーンとギターが鳴りやんで。
「エレクトリック・レインボーでした」
真っ暗になる。
泣きそうだった。
息を呑んだ。
どこかから漏れるように響いたアンコール。あぁ、そう。
パフォーマンスだろうけど。
もう、いいやって気付いたら一人の世界に陶酔してアンコールしちゃって。
しながらもどっかで、
来てくれるかなとか、来れるかなとか考えてて長く感じた。
「凄く…」
北谷もそれしか言わない。隣で太一のアンコールも見える。
俺はいま、でんにじを待っている。
そのうち袖から、またげんちゃんからの登場。どっかからのふぅ!に俺の心もふぅ!
やっぱりお辞儀。
「…アンコール、ありがとうございまっ」
明らかに売店で買ってきただろう、ジントニックっぽいやつを飲みながら言うあまちゃん。
「それどうかと思う、あまちゃん」
言うげんちゃんもやっぱりカシスっぽいのを飲んでいて。
「わりとほろ酔いなんれ、ちと違う人の曲やろ」
すると客席のどこかから、「ミッシェルターイム!」と叫ばれた。
なにそれ。それにあまちゃんも「げっ」げんちゃんも「コアだね」ふみとくん、ふと二人を見て弾き始めた。
のは、哀愁ある。
うわっ、解散近い頃の曲。わかった。しかしぴったり。げんちゃん笑って「あいーよいーよカット地味にあるやつ」
「マジかお前ら。え、ナトリは?」
振り返れば笑顔でシンバル。
「…うわぁ、言い出した俺が悪かった長ぇよ地味に。
若い子知ってる?まいーや知らなくても。ミッシェルガンエレファント、エレクトリック・サーカス」
入り出しはげんちゃんで。印象的な哀愁フレーズはあまちゃんが弾き。ぱんと、同時に入るドラムとベース。
切な気に手元を見るあまちゃんと暗い照明が綺麗で。
ああそう。
この唄、なんか思い出すんだよなぁ。
別に俺、ヤンキーではなかったけどバイク乗り回して、家出して。
なんか、死んでやるってヤケになっちゃってあの日に、学校に忍び込んで屋上で寝転がってこれ、リピートして寝たわ。朝日を迎えたわ。
青春にあるよなぁ、そんなこと。なんでそんなことしたかわかんないけど、まぁなんか悲しかったんだろうな俺。
何故かこの間奏を、げんちゃんではなくふみとくんと向かい合って合わせる真樹。
見合う二人の葛藤のような演奏に、そうかこいつらは、青春を共にしたのかと、ふと太一を見てみれば、太一は心地よさそうに演奏に見入っていた。
太一はどんな、あの頃、高校を過ごしたかを俺は知らないや。
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