Eccentric Late Show

二色燕𠀋

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CRAVING【短編】

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 まさかのカナダレコーディング、『rescue me』が、アルバムCD売り上げ4週連続1位を記録してしまうという、ele ground史上初の快挙を成し遂げてしまった。

 そして色々、テレビ出演、CM曲抜擢、事務所やらなんやら、とにかく大人の複雑な事情が絡み合い、俺は流れで、というかなんというか。

 気付けば然り気無く、ele groundの正式メンバーになってしまっていた。

 きっかけは、太田がよりにもよって朝の情報番組でポロっと、「現役大学生を起用したら、これが凄くてねぇ」なぁんて、言ってしまったのが、決定的な起用要因になってしまったようだ。

 もしかすると太田の中では少し見返したかった、というのもあったのかもしれない、田中を。

 それからというもの、がらりと俺の生活は変わってしまった。

 大学とは、ぶっちゃけ一年の半分くらいが『春夏秋冬なんちゃら休み』である。単位の取り方によってはもっと暇で、正直、下手すりゃ小中高校生の方が、勉強時間はあるかもしれない。

 まず、休んでも卒業出来そうな授業はすべて自主休学することになった。4年は、太田が授業を決めた、俺の。

 それ以外はギターをひたすらに弾かされた。大学のあの、ブースのような部室で。

 そうやって残りの大学生活を過ごした。

 レコーディング期間に入れば、単位数を数え、強制合宿。フェスは大体が夏休みなので、夏休みは潰れた。無論、当時付き合っていたガールフレンドは俺の元を去っていった。

 大学出資元の親には、得意の「太田節」を炸裂させ、最早閉口(呆れやらなんやら)させ、親とは卒業まで口も利けず、また、卒業と共に勘当に近い状態まで追い込まれてしまった。

 そりゃそうである。
 だって、親にしてみりゃ、息子は趣味、サークルでギターをやっていて、一度高いギターをバイトの金を叩いて買ってきたことですら驚愕だったのだから。

 だがそれだけの犠牲を払っただけあり、卒業の頃には俺は確かに、太田剛士、CDアルバム売り上げ4週トップ1を3枚連続リリース出来る男の横でサイドギターを弾けるレベルには、到達していたかもしれなくて。

 だが疑問も、勿論あった。
 よく太田は矛盾を言っていた。

「調子こめよ、俺ら売れてんだよ」

 そしてレコーディングで俺たちのプレイに言う、「調子こいてんじゃねぇよ」と。

「俺がお前らを売ったんだ、お前ら俺の言う通りにプレイしろよ」

 と。

 しかしタカさんやノリトさんはよく太田に意見する。

「俺はGood Shapeの間奏は弦次と真骨頂を見たい」
「黙れよここはテレキャスターじゃねぇんだよ、ここは俺のギブソンでいいんだよこの曲は」
「でもこの前のライブ、その方がオーディエンスがあった、だからシンバルを」
「いいか、んなのなぁ!
 CD通りに弾けねぇアーティストはヘタクソインディーズみてぇなやつがよくやるんだよ、俺たちはスタンダードに上手さを追求する、それでいいだろうが、あぁ!?」

 果たしてそうだろうか。

『俺たちの作品は常に全力だ。ライブで手を加える意味がわからない』

 果たしてそうだろうか。

『俺たちは神だ。そうだろう?そうじゃなきゃ廃るんだ感性なんざ』

 それはそうかもしれないが。

 だから大体、フェスに行っても俺たちは常に自分たちの演奏以外を観なかった。

 では感性はどこからか。
 太田ヤツは大抵、レコーディングを海外で行い、その度に海外アーティストのライブやらなにやらに足を運んでいた。

 フェスは日本なのに。
 よくわからない感性だと俺には理解しがたい物だった。

 まぁだが。
 かの言う俺だって少し前まではJ-popなんて、と、ある一種バカにしてきたタチではあった。ある意味共鳴はする。

 だがどうだ。
 これがプロなのかと、わからなくなる。

 俺は日本で出会った、ele groundに、太田剛士に。

 だがヤツはどうやら。日本を、J-pop、Japan Rockをどう感じてJapanに滞在しRockをやっているのか。

 ちなみに俺が弾いたele groundの曲、mp3に変換してジャンルの欄を見てみれば、それによって様々で。

 Rock、Punk、World、物によってオルタナティブに変換されたりして。Rockがロックだったり、Punkがパンクだったり。これって別に大差ない、てか一緒なんだけど、多分太田が見たら「ナンセンスな媒体」とか言うだろうなぁ。とか思ったり。

 変わらないのはWorldとele groundの英語表記だけ。それの方が、凄く、ナンセンスなんじゃねぇかなぁ、とか、思うのすら言わない俺の方が遥かにセンスがないように思えて、仕方なくて。

 ふとした瞬間にそんな、必死さや渇望や、よく分からない怠惰なままの自分が爆発してしまったのは、あの日だった。
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