3 / 3
3
しおりを挟む
キスをすれば今と一緒、意図もしないのに勃起するようになって。
二人でマスターベーションを始め、それから口の使い方を教わった。
そんなとき彼は、曇るからと眼鏡を外していた。
その目は薄い水分の膜で覆われていて、時に獣のようにゆっくり咀嚼したり、逆に、咀嚼されるときが大半だが、俺の姿をじっとよく見ていて、その時の目は優しく甘く感じていた。
あの、前頭部を緩く撫でるように掴むその手はもしかすると、あと一歩の境界線だったのかもしれない。今ならそう思う。俺が、嘔吐かないようにと、そういう理性で。
毎週木曜日の高校一年生、どこから心が変容したかはわからない。
けれど、数えてみれば1年、夏休みや春休み、冬休みとあった…10ヶ月ほど。つまり単純計算で40回の10分から30分程度、1年なのに最低でも1時間に満たなかった時間を過ごしたその期間は、ずっとそうやって過ごしていた。
2年、3年と時を過ごし、毎年冬休みには不安になる、次会うとき、いや、次には会えるのだろうかと。
俺は最初の方から、セックスの仕方を調べ尽くしていた。いつか、いつかと思っていたけれど、焦れったく時は流れた。
先生は言った、「18歳までは待とうね」と。
それまではそういったセックスを一切せず、でも、だから真面目だったかと言えばそうではなかった。彼は、始終楽しそうだったからだ。
本当に18歳になった日、俺は3月生まれだ。
丁度、卒業式の前日で、覚えている。まだ桜は咲いていなくて、準備で遅くなった日の夜、先生は学校から少し遠い公園に待ち合わせ場所を指定し、その日初めて俺を抱いたのだった。
今まで、最終段階はおもちゃだった。
それは狭い車内で、駐車場の街灯、バチバチと虫が光に寄って集って死んでいた、そんな景色に今までのそれらが一気に押し寄せ、最初から最後まで泣きそうになっていた。
初めて身体に這った熱い舌や体温の重さ、何より夜でも光る先生の目が熱く、もっと、もっと欲しい、いままで何を見てきたかを知っていると舞い上がった。
指で触れる箇所一つ一つが熱かったけれど、一番は、彼が俺の中で生き、呼吸をし、「…堪らないな、」と言った熱さに痺れた。俺もここで生きている、と。
車は狭かった。だからこそぎゅっと抱き締め「もっと、もっといたいよ先生」と言った瞬間、彼はふと、乳首を掻いていた割れた爪の手も止め、腰の動きも止め、大きな手で包んでいたそれをしごくのも止めてしまった。
「……せんせ?」
余した熱に振り向けば、彼はじっと俺を眺め、「いいよ?別にね」と、急に、いままで以上の激しい動きで俺を犯し始めた。
あまりの急さと、まるで豹変した彼に呆気に取られたまま「んっああっ、」とイッてしまい、車の窓ガラスに手の後を滲ませた。
声が響くことにも驚いた。そうだ、学校では声を殺していたから。
それが、よかったのかもしれない。
しかし彼はまだ体勢を変え、「別に、いいけどさぁ、」と、まるで怒ったようにガツガツと奥を…動きにくそうに擦っていって。
「どうだ?気持ちい?」
「ん、せんせ、」
「まぁ、3年掛けた俺の、身体だし」
またイク、と思った瞬間、彼は引きちぎるように肩を噛み、「痛っ、」と萎えた。けれども動きを止めない。
「……センセ?」
「まぁ、二年掛けて考えようね?いいよ?一緒に、いこうか」
その日、立てなくなるまでまるで犯された。
あと2年、つまり20になったころ、彼は急に消えてしまった。
「…なにそれどーゆーこと?」
「…結論から言うと、彼は捕まったんだ」
「…なんだって?」
「まぁ、記事もネットニュース程度だったけど。つまり、小児性愛というか…思い出したけど彼は昔、江戸時代の男娼の話をしてた。16~18が花の盛りなんだそうで…」
「…少年を開発するのが性癖だったのか」
「そうだと思う。卒業後、熱に浮かされた俺は一緒に2年は同棲しましたが、最初以外は早くもレスったよ」
「……俺そういうの反対派だわ」
「まぁ、あんたにどう言われようと」
「そうだな。
けど……まぁ、余計なこと。俺、丸山孝介ってんだ」
「…え?」
彼は、ホテルのマッチにボールペンで電話番号を殴り書きし、「好きに使え」とだけ言った。
それ以上は、特に何も言わずに彼と共に寝起きした。
退室時間には「じゃな」と、朝日に向かって彼は素っ気なく歩いていく。
握りしめたマッチ、その現象を不思議に感じる。
俺は別にタバコなんて吸わないし、擦り方もわからないというのに。
不思議だった。そう、不思議な。
朝日をバックにして駅へ向かう自分。
何故か今日は…よくよく考えたら一晩でこんな話をした人もいままで、いなかったなぁ。
今日くらいは、朝日を眺めてみる。なんでだろう、違って見える。
そうか、まだ早いから雲すらもない、真っ青なのか。
こんな日は、殺人なんて起こらないような気分。だけど裏側にはこうして何か、必ずあるんだ、と。一度だけまた彼の方へ、振り向いた。
二人でマスターベーションを始め、それから口の使い方を教わった。
そんなとき彼は、曇るからと眼鏡を外していた。
その目は薄い水分の膜で覆われていて、時に獣のようにゆっくり咀嚼したり、逆に、咀嚼されるときが大半だが、俺の姿をじっとよく見ていて、その時の目は優しく甘く感じていた。
あの、前頭部を緩く撫でるように掴むその手はもしかすると、あと一歩の境界線だったのかもしれない。今ならそう思う。俺が、嘔吐かないようにと、そういう理性で。
毎週木曜日の高校一年生、どこから心が変容したかはわからない。
けれど、数えてみれば1年、夏休みや春休み、冬休みとあった…10ヶ月ほど。つまり単純計算で40回の10分から30分程度、1年なのに最低でも1時間に満たなかった時間を過ごしたその期間は、ずっとそうやって過ごしていた。
2年、3年と時を過ごし、毎年冬休みには不安になる、次会うとき、いや、次には会えるのだろうかと。
俺は最初の方から、セックスの仕方を調べ尽くしていた。いつか、いつかと思っていたけれど、焦れったく時は流れた。
先生は言った、「18歳までは待とうね」と。
それまではそういったセックスを一切せず、でも、だから真面目だったかと言えばそうではなかった。彼は、始終楽しそうだったからだ。
本当に18歳になった日、俺は3月生まれだ。
丁度、卒業式の前日で、覚えている。まだ桜は咲いていなくて、準備で遅くなった日の夜、先生は学校から少し遠い公園に待ち合わせ場所を指定し、その日初めて俺を抱いたのだった。
今まで、最終段階はおもちゃだった。
それは狭い車内で、駐車場の街灯、バチバチと虫が光に寄って集って死んでいた、そんな景色に今までのそれらが一気に押し寄せ、最初から最後まで泣きそうになっていた。
初めて身体に這った熱い舌や体温の重さ、何より夜でも光る先生の目が熱く、もっと、もっと欲しい、いままで何を見てきたかを知っていると舞い上がった。
指で触れる箇所一つ一つが熱かったけれど、一番は、彼が俺の中で生き、呼吸をし、「…堪らないな、」と言った熱さに痺れた。俺もここで生きている、と。
車は狭かった。だからこそぎゅっと抱き締め「もっと、もっといたいよ先生」と言った瞬間、彼はふと、乳首を掻いていた割れた爪の手も止め、腰の動きも止め、大きな手で包んでいたそれをしごくのも止めてしまった。
「……せんせ?」
余した熱に振り向けば、彼はじっと俺を眺め、「いいよ?別にね」と、急に、いままで以上の激しい動きで俺を犯し始めた。
あまりの急さと、まるで豹変した彼に呆気に取られたまま「んっああっ、」とイッてしまい、車の窓ガラスに手の後を滲ませた。
声が響くことにも驚いた。そうだ、学校では声を殺していたから。
それが、よかったのかもしれない。
しかし彼はまだ体勢を変え、「別に、いいけどさぁ、」と、まるで怒ったようにガツガツと奥を…動きにくそうに擦っていって。
「どうだ?気持ちい?」
「ん、せんせ、」
「まぁ、3年掛けた俺の、身体だし」
またイク、と思った瞬間、彼は引きちぎるように肩を噛み、「痛っ、」と萎えた。けれども動きを止めない。
「……センセ?」
「まぁ、二年掛けて考えようね?いいよ?一緒に、いこうか」
その日、立てなくなるまでまるで犯された。
あと2年、つまり20になったころ、彼は急に消えてしまった。
「…なにそれどーゆーこと?」
「…結論から言うと、彼は捕まったんだ」
「…なんだって?」
「まぁ、記事もネットニュース程度だったけど。つまり、小児性愛というか…思い出したけど彼は昔、江戸時代の男娼の話をしてた。16~18が花の盛りなんだそうで…」
「…少年を開発するのが性癖だったのか」
「そうだと思う。卒業後、熱に浮かされた俺は一緒に2年は同棲しましたが、最初以外は早くもレスったよ」
「……俺そういうの反対派だわ」
「まぁ、あんたにどう言われようと」
「そうだな。
けど……まぁ、余計なこと。俺、丸山孝介ってんだ」
「…え?」
彼は、ホテルのマッチにボールペンで電話番号を殴り書きし、「好きに使え」とだけ言った。
それ以上は、特に何も言わずに彼と共に寝起きした。
退室時間には「じゃな」と、朝日に向かって彼は素っ気なく歩いていく。
握りしめたマッチ、その現象を不思議に感じる。
俺は別にタバコなんて吸わないし、擦り方もわからないというのに。
不思議だった。そう、不思議な。
朝日をバックにして駅へ向かう自分。
何故か今日は…よくよく考えたら一晩でこんな話をした人もいままで、いなかったなぁ。
今日くらいは、朝日を眺めてみる。なんでだろう、違って見える。
そうか、まだ早いから雲すらもない、真っ青なのか。
こんな日は、殺人なんて起こらないような気分。だけど裏側にはこうして何か、必ずあるんだ、と。一度だけまた彼の方へ、振り向いた。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*不定期連載です。
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる