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5.それは、デートってことですか?
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「どうして大野くんのこと、そんなにいつまでも睨んでるの? あ、もしかして見覚えあった? クラスメートだったりとかしない?」
「しない」
ためしに聞いてみたけど、それに関してはきっぱりと否定された。
「しない、ってことは、なにか思い出したの?」
「思い出してはないけど、あの大野ってやつはクラスメートじゃないと思う」
「なんでそう思うの?」
「勘……。あと、衣奈ちゃんとちょっと仲良さそうにしてたから。きらい」
そう言って、ふいっとそっぽ向く由井くんの態度は、まるで子どもみたいだ。
「きらい、って……」
わたしと仲良さそうにしてたから……ってくらいの理由で、誰かれ構わず金縛りに合わせそうな黒いオーラを出されたら困る……。
「じゃあ、大野くん以外の人たちの中に、見覚えのある人いなかった? クラスメートだったりとか……、もしくは後輩とか……」
「……、わからない」
「うーん、そっかあ……」
さっき大野くんと一緒にいた人たちは、みんなわたしと同じ高校一年生だと思う。
その人達の顔を見ても、由井くんにピンとくるものがなかったということは……。
由井くんは、わたしよりも学年が上なのかな。
大野くんも、わたしが口にした「由井」って名前にすぐ女の子を連想したみたいだし……。
大野くんの学年には由井くんはいなかったのかもしれない。
「仕方ない。戻ろうか……」
「衣奈ちゃんとのデートは、これでおわり?」
「ううん。まだ電車に乗って、地元のスーパーで買い物するっていうプランが残ってるよ」
わたしがそう言うと、由井くんが「いいね」と不機嫌そうにしていた顔を綻ばせた。
「しない」
ためしに聞いてみたけど、それに関してはきっぱりと否定された。
「しない、ってことは、なにか思い出したの?」
「思い出してはないけど、あの大野ってやつはクラスメートじゃないと思う」
「なんでそう思うの?」
「勘……。あと、衣奈ちゃんとちょっと仲良さそうにしてたから。きらい」
そう言って、ふいっとそっぽ向く由井くんの態度は、まるで子どもみたいだ。
「きらい、って……」
わたしと仲良さそうにしてたから……ってくらいの理由で、誰かれ構わず金縛りに合わせそうな黒いオーラを出されたら困る……。
「じゃあ、大野くん以外の人たちの中に、見覚えのある人いなかった? クラスメートだったりとか……、もしくは後輩とか……」
「……、わからない」
「うーん、そっかあ……」
さっき大野くんと一緒にいた人たちは、みんなわたしと同じ高校一年生だと思う。
その人達の顔を見ても、由井くんにピンとくるものがなかったということは……。
由井くんは、わたしよりも学年が上なのかな。
大野くんも、わたしが口にした「由井」って名前にすぐ女の子を連想したみたいだし……。
大野くんの学年には由井くんはいなかったのかもしれない。
「仕方ない。戻ろうか……」
「衣奈ちゃんとのデートは、これでおわり?」
「ううん。まだ電車に乗って、地元のスーパーで買い物するっていうプランが残ってるよ」
わたしがそう言うと、由井くんが「いいね」と不機嫌そうにしていた顔を綻ばせた。
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