今日も、由井くんに憑けられています…!

碧月あめり

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7.わかったかもしれません。

10

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「先生たちはなにも言わないけど、青南学院の一部の二年生のあいだでは、由井 周の事故には中条たちが関わってるんじゃないかってウワサがあるんだって。事故が起きたのは、青南学院からは離れた駅の交差点だったみたいなんだけど……。学校帰りに中条たちに出会って絡まれた由井 周が、中条たちから慌てて逃げようとして、信号も見ずに交差点に飛び出したんじゃないか、って。もしくは……」

 アキちゃんが一度言葉を飲み込んで、それから意を決したように再び口を開く。


「あれはほんとうは事故じゃなくて、中条たちからのイジメに耐えられなくなった由井 周が自殺しようとしたんじゃないか、って……」

 その瞬間、由井くんがヒュッと喉を鳴らした。

 衝撃的な話に、わたしの顔も強張る。

 同時に、わたしの脳裏に過ったのは、駅のホームでうずくまって震えている由井くんの後ろ姿だった。


「ここからは俺の推測だけど……。衣奈がわざわざ青南学院にまで会いに行った由井 周って、衣奈が前に駅で助けたっていう高校生だよな?」

 アキちゃんの指摘にドキッとする。思わず視線を泳がせたわたしに、彼が「やっぱり」とつぶやいた。


「駅で助けたあとも、衣奈は由井 周と交流があったの?」

「そういうわけではないんだけど……」

「でも、俺や大野を通して由井 周のことをいろいろと聞いてきたのは、彼がどうしてるか気になったからだろ。そりゃ、気になるよな」

 アキちゃんが、ちょっと苦しそうに眉根を寄せる。


「アキちゃん……」

 これ以上、アキちゃんに由井くんのことを語らせてはダメだ。嫌な予感に、心音が速くなる。


「アキちゃん、違う……」

 でも、わたしのそばに由井くん本人がいることを知らないアキちゃんは、同情するような目をして言った。


「だって、衣奈が駅のホームで由井 周を助けたとき、彼は線路に飛び込もうとしてたんだろ」

って。
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