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10.ずっと、そばにいてください。
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「うー、寒い……」
下駄箱で靴に履き替えて外に出ると、肌に痛いくらいの冷たい風が正面から吹きつけてきた。
マフラーでは完全に覆いきれない顔と、スカートからのぞく膝が寒い。
校庭では、運動部員たちが活動を終えて後片付けを始めている。そのなかにはアキちゃんの姿もある。
里桜先輩といっしょにボールを片付けているアキちゃんは、楽しそうに笑っている。その様子を見ても、最近のわたしの心はチクリとも痛まない。
むしろ、仲良さそうなふたりの姿を微笑ましく思いながら、わたしはひとり、駅へと急いだ。
今日は委員会があって、いつもより帰りが遅くなってしまった。
買い物に寄っていたらごはんの準備が遅くなりそう。
念のため、妹の咲奈にラインを入れておく。
下を向いてスマホを触っていると、ふと、後ろでなにか気配がする。
「由井くん……?」
ビクッとして振り向いたけど、そこに彼がいるはずもない。ただ、枯れ葉が風に流されてきただけだった。
由井くんがわたしの前から姿を消して、そろそろ二ヶ月が経つ。
それなのに、未だに背後で空気が揺れる気配に敏感に反応してしまう自分に、苦笑いがこぼれてしまう。
由井くんの本体が入院していた病室からいなくなり、ユーレイ状態だった由井くんも消えてしまった翌日。
わたしは学校帰りに由井原総合病院を訪れた。
だけど、受付で面会を断られてしまって……。仕方なく帰宅した。
次の日も、その次の日も病院に行ったけど、由井くんには会えなかった。
由井くんが姿を消して二週間が過ぎた頃、いつものように病院に行って面会の希望を伝えると、「由井さんは転院されました」と受付の人に言われた。
ここは由井くんのお父さんが経営する病院なのに。そこから転院するなんて、なにがあったんだろう……。
不安に駆られて、アキちゃん経由で大野くんに連絡をとってもらったけど、由井くんに関する情報はなにも得られなかった。
高校の最寄り駅で青南学院の制服を着た男子生徒見かけるたび、もしかしたら……、と振り返るけど、それが由井くんであったことは一度もない。
ユーレイ状態の由井くんはなにも覚えていなかったし、もちろんスマホなんて持っていなかったから、連絡先もわからない。
由井くんは、今どこにいるんだろう。
ユーレイ状態だった由井くんの身体は、元に戻れただろうか。
無事に目を覚ましているだろうか。
目を覚ましているといたら、どうして二ヶ月も音沙汰がないんだろう。
元の身体に戻れたら、水族館デートしようって約束したのに……。
約束も、わたしのことも、もう忘れちゃったのかな……。
吐いたため息が、真っ白な細い線になって風に流れる。
マフラーに顔を埋めながら目線だけあげる。駅は、もうすぐそこだ。
カバンからIC定期を取り出すと、改札を抜けて駅のホームに入る。
下駄箱で靴に履き替えて外に出ると、肌に痛いくらいの冷たい風が正面から吹きつけてきた。
マフラーでは完全に覆いきれない顔と、スカートからのぞく膝が寒い。
校庭では、運動部員たちが活動を終えて後片付けを始めている。そのなかにはアキちゃんの姿もある。
里桜先輩といっしょにボールを片付けているアキちゃんは、楽しそうに笑っている。その様子を見ても、最近のわたしの心はチクリとも痛まない。
むしろ、仲良さそうなふたりの姿を微笑ましく思いながら、わたしはひとり、駅へと急いだ。
今日は委員会があって、いつもより帰りが遅くなってしまった。
買い物に寄っていたらごはんの準備が遅くなりそう。
念のため、妹の咲奈にラインを入れておく。
下を向いてスマホを触っていると、ふと、後ろでなにか気配がする。
「由井くん……?」
ビクッとして振り向いたけど、そこに彼がいるはずもない。ただ、枯れ葉が風に流されてきただけだった。
由井くんがわたしの前から姿を消して、そろそろ二ヶ月が経つ。
それなのに、未だに背後で空気が揺れる気配に敏感に反応してしまう自分に、苦笑いがこぼれてしまう。
由井くんの本体が入院していた病室からいなくなり、ユーレイ状態だった由井くんも消えてしまった翌日。
わたしは学校帰りに由井原総合病院を訪れた。
だけど、受付で面会を断られてしまって……。仕方なく帰宅した。
次の日も、その次の日も病院に行ったけど、由井くんには会えなかった。
由井くんが姿を消して二週間が過ぎた頃、いつものように病院に行って面会の希望を伝えると、「由井さんは転院されました」と受付の人に言われた。
ここは由井くんのお父さんが経営する病院なのに。そこから転院するなんて、なにがあったんだろう……。
不安に駆られて、アキちゃん経由で大野くんに連絡をとってもらったけど、由井くんに関する情報はなにも得られなかった。
高校の最寄り駅で青南学院の制服を着た男子生徒見かけるたび、もしかしたら……、と振り返るけど、それが由井くんであったことは一度もない。
ユーレイ状態の由井くんはなにも覚えていなかったし、もちろんスマホなんて持っていなかったから、連絡先もわからない。
由井くんは、今どこにいるんだろう。
ユーレイ状態だった由井くんの身体は、元に戻れただろうか。
無事に目を覚ましているだろうか。
目を覚ましているといたら、どうして二ヶ月も音沙汰がないんだろう。
元の身体に戻れたら、水族館デートしようって約束したのに……。
約束も、わたしのことも、もう忘れちゃったのかな……。
吐いたため息が、真っ白な細い線になって風に流れる。
マフラーに顔を埋めながら目線だけあげる。駅は、もうすぐそこだ。
カバンからIC定期を取り出すと、改札を抜けて駅のホームに入る。
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