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第2章 猫目の怪異
第14話 御前、坂を上る
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「住職様、慎ノ丞殿をしばし、お借りいたします」
小田原の御前はうやうやしく頭を下げ、住職は「うむ」とだけ答え、二人を見送った後、付き添う若い僧たちの前でつぶやいた。
「さてさて、慎ノ丞はうまいこと、やれるじゃろうかのぉ」
若い僧たちは、住職が浮かべた笑みの意味と発した言葉の意味とを鑑みて、何も答えることはなかった。
小田原の御前は慎ノ丞に行きたい場所を告げ、谷中で都電に乗ることにした。
谷中には多くの寺院がある。
この地は江戸城の鬼門にあたり、鬼門封じに適していたこともあるが、立地てきにも高台であり、江戸の密集地から程よく離れた静かな場所でもあったことも、寺が集まった要因である。
上野公園で乗り継ぎ、上野広小路、万世橋を超えて須田町に向かう。
朝8時過ぎ――都電の停留所は列をなし、その流れに逆らえないほどに人の波にあって、慎ノ丞は御前を気遣いながら混み合う電車に乗り込んだ。
「人の力というものは、すごい物ですね」
震災後に補修された万世橋駅や新しく建造されたコンクリートやレンガの建物を眺めながら小田原の御前がつぶやく。
「あの震災から7年。この辺りの様子も、当時とは比べ物にならないくらいモダンな造りになっております。万世橋駅は震災で亡くなられた方のご遺体を一時的に収容していた場所です」
慎ノ丞は目を伏せ、短く、小さな声で経を上げた。
「そのとき、貴方は?」
小田原の御前も経を上げてから慎ノ丞に尋ねた。
「父と妹を亡くしました。母は助かりましたが、その後病に伏せて半年後に亡くなりました。縁あってご住職様にお仕えするようになったのは、翌年、15の時でございます」
御前は小さく二回頷き、もう一度経を上げた。その姿は慈愛に満ち、慎ノ丞を感嘆させた。
「お導きというものがあるかどうか、わかりませんが、縁というものは確かにあるようです。こうして私と貴方が出会うことに意味はあるのだと私は考えるようにしております。時々無粋なことを尋ねたり、不快な思いをさせたりすることがあるかもしれませぬが、気を悪くなさらないで下さいまし」
御前の言葉は慎ノ丞にはもったいないほどにありがたいものであったが、同時に得も言われぬ不安に駆りたてられる危うさを感じた。
あってはならないことだが、自分は仏に仕える身でありながら、それを差し置いて目の前の女性に身を焦がし、心を揺さぶられている。もしこの女(ひと)に死ねと言われれば、きっと喜んで身を差し出すに違いないという欲動と無縁ではいられない衝動を脊髄に感じ、それをかろうじて脳髄で抑えているような背徳感――不意に電車が揺れ、バランスを崩したスーツ姿の男の方が当たり、御前がよろめく。
とっさに御前の背中を左手で支えた慎ノ丞であったが、手に伝わる柔らかい感触と今朝がた見た御前の美しい裸体が脳内で重なり、それがはっきりした衝動となって慎ノ丞の身体を駆け巡った。
「助かります。慎ノ丞殿」
「いえ、申し訳ありません。おおせ付けて頂ければ、車を手配いたしましたのに」
「いいのです。私はこの目で見たかったのですから。東京がどのように変わり、どこに向かおうとしているのかを」
慎ノ丞は添えた手をそっとはがし、窓の外を見ながら御前にそろそろ須田町に着くことを告げた。
「そういえば……ご住職様は、この辺りには美味しい蕎麦を出す店があるとおっしゃられていましたね。慎ノ丞殿はご存じですか?」
「はい、まつやという蕎麦屋に、住職様はよく立寄られます」
「慎ノ丞殿も行かれたことはあるのですか?」
「はい、大変おいしゅうございます」
二人は須田町の停留所で市電を降り、神田川沿い並走する線路の脇道を歩きはじめた。
「まつやはこの少し先にあります。このあたりは江戸ころから営業をしている老舗がたくさんありましたが、震災で焼けて落ちてしまった店も少なくありません。あんこう鍋のいせ源も最近ようやく営業を再開いたしました」
慎ノ丞は歩きながら、震災の傷跡と復興の様子について御前に案内をした。
「こちらの昌平橋は、この辺りでは最初にコンクリートでできた橋で、完成した半年後に震災にあいましたが、びくともしませんでした。それでこの橋に接するこの辺りに新たに幹線道路が作られることになったことを考えると、これから木造からコンクリートの時代なのかもしれませんが――この郵便局は石造りの立派な建物でしたが、震災で焼け落ちてしまいました。壁は残ったのですが、どんなにその建物が丈夫でも、周りに火の手が上がれば、どうすることもできません。本当に恐ろしい地震でした」
慎ノ丞は、自分の記憶と現在の風景のギャップを改めて感じ、時間軸の揺らぎの中で正気を保つことに勤めていた。
「そしてこの通りの向こう側に見えるのが、目的の場所です」
幽霊坂と呼ばれるその坂は、そのおどろおどろしい異名とは裏腹にひっそりとしてはいるものの、もののけの気配などまるで感じられないなんの変哲もない緩やかな坂道である。ただ、一か所無理にカープしており、見通しが悪い。昼間は気にならないが、夜ともなればそのあたりが不気味に思えるのかもしれない。
慎ノ丞は、幽霊坂と呼ばれるこの坂にまつわる所説を御前に伝えたうえで、実際にここで誰かが幽霊に会ったなどと言う話は聞いたことがないこと、しかしここ最近、急にそんな噂が流れたこと、それにあいまって道路が多少整備され、生えるに任せていた雑草や古木を整理してそのような悪い噂が広がらないように、近接する町内会が有志で動いたことを説明した。
「江戸の頃、このあたりにゴミ捨て場があり、そこを視界から隠すためにこのような急な角度で坂がカーブさせたそうで、それを面白がって幽霊坂と呼んだのでしょう。幽霊が出そうなくらい見通しが悪いという話が、いつの間にか本当に幽霊がでたということになるのは、人の流れが増え、時が過ぎれば当然のように思えます」
二人は坂を上りながら注意深く周りを見渡した。
「そうですね。おおよそ慎ノ丞殿の言う通りなのだと思います。ただ、それはまっすぐに道を観た場合の答えでしかありません」
御前はやさしく丁寧な口調で異を唱えた。
「と、おっしゃいますと、やはり何か秘め事があるのでございましょうか」
御前は笑みを浮かべながら首を振り、空を見上げた。
「秘め事というほどのことではございませんね。どんなに見通しの悪い坂でも天から見れば、すべて見通せます。つまりこれは秘め事などという薄暗いものではないのでしょう。それに私は幽霊が見たくてここに来たのではありません」
「では何を?」
「猫です。慎ノ丞殿」
御前は立ち止まり、坂道の見通しの悪い曲がりの先に視線を向けた。
そこには一匹の白い野良猫が地面にお尻を付きながら、四足でこちらの様子をうかがっていた。
「猫……でございますか?」
「人に化ける猫なのか、猫に化ける人なのか、いずれにしても人を化かした何者かを見つけるのが、私の今回のお勤めになりますね。なんとも奇妙な話ですが、ことはこの地の守り神に関係するかもしれない問題です」
御前は面喰った慎ノ丞を置き去りに歩きはじめ、慎ノ丞は遅れて御前を追いかけた。
猫は坂を上ってくる二人を警戒しながら、顔を洗っていたが、距離が5メートルになるとそのしぐさを止めて注視し、さらに近づくと身体を路面に一度転がして四足で立ち上がり、背伸びをして二人を睨みつけた。
「どうやらこの辺りに住み着いている野良猫のようですね。彼に話がきければいいのですが」
御前がそのような冗談を言う人なのかどうか、慎ノ丞には計り知れなかったが、まさか本気でそんなことを言っているとは思わない。しかし、御前が1メートルよりも少し手前で立ち止まり、深く頭を下げたとき、慎ノ丞もそれに合わせるほかなかった。
「今日はご挨拶だけで、また近いうちにお目にかかります。どうかその時はいろいろと話を聞かせて下さいまし」
御前は頭を上げると、向きを変え、坂を上り始めた。慎ノ丞はこちらを見上げている白い野良猫と御前の後姿を交互に見た後、猫に頭を軽く下げ、御前の後を追った。
慎ノ丞の背後から猫の鳴き声が聞こえる。
にゃーお
オスであろうか。低く、しっかりとした声である。それは”あいわかった”と言う意味だったのかもしれないと、慎ノ丞はのちに、振り返ることがあろうとは、その時は思っても見なかった。
小田原の御前はうやうやしく頭を下げ、住職は「うむ」とだけ答え、二人を見送った後、付き添う若い僧たちの前でつぶやいた。
「さてさて、慎ノ丞はうまいこと、やれるじゃろうかのぉ」
若い僧たちは、住職が浮かべた笑みの意味と発した言葉の意味とを鑑みて、何も答えることはなかった。
小田原の御前は慎ノ丞に行きたい場所を告げ、谷中で都電に乗ることにした。
谷中には多くの寺院がある。
この地は江戸城の鬼門にあたり、鬼門封じに適していたこともあるが、立地てきにも高台であり、江戸の密集地から程よく離れた静かな場所でもあったことも、寺が集まった要因である。
上野公園で乗り継ぎ、上野広小路、万世橋を超えて須田町に向かう。
朝8時過ぎ――都電の停留所は列をなし、その流れに逆らえないほどに人の波にあって、慎ノ丞は御前を気遣いながら混み合う電車に乗り込んだ。
「人の力というものは、すごい物ですね」
震災後に補修された万世橋駅や新しく建造されたコンクリートやレンガの建物を眺めながら小田原の御前がつぶやく。
「あの震災から7年。この辺りの様子も、当時とは比べ物にならないくらいモダンな造りになっております。万世橋駅は震災で亡くなられた方のご遺体を一時的に収容していた場所です」
慎ノ丞は目を伏せ、短く、小さな声で経を上げた。
「そのとき、貴方は?」
小田原の御前も経を上げてから慎ノ丞に尋ねた。
「父と妹を亡くしました。母は助かりましたが、その後病に伏せて半年後に亡くなりました。縁あってご住職様にお仕えするようになったのは、翌年、15の時でございます」
御前は小さく二回頷き、もう一度経を上げた。その姿は慈愛に満ち、慎ノ丞を感嘆させた。
「お導きというものがあるかどうか、わかりませんが、縁というものは確かにあるようです。こうして私と貴方が出会うことに意味はあるのだと私は考えるようにしております。時々無粋なことを尋ねたり、不快な思いをさせたりすることがあるかもしれませぬが、気を悪くなさらないで下さいまし」
御前の言葉は慎ノ丞にはもったいないほどにありがたいものであったが、同時に得も言われぬ不安に駆りたてられる危うさを感じた。
あってはならないことだが、自分は仏に仕える身でありながら、それを差し置いて目の前の女性に身を焦がし、心を揺さぶられている。もしこの女(ひと)に死ねと言われれば、きっと喜んで身を差し出すに違いないという欲動と無縁ではいられない衝動を脊髄に感じ、それをかろうじて脳髄で抑えているような背徳感――不意に電車が揺れ、バランスを崩したスーツ姿の男の方が当たり、御前がよろめく。
とっさに御前の背中を左手で支えた慎ノ丞であったが、手に伝わる柔らかい感触と今朝がた見た御前の美しい裸体が脳内で重なり、それがはっきりした衝動となって慎ノ丞の身体を駆け巡った。
「助かります。慎ノ丞殿」
「いえ、申し訳ありません。おおせ付けて頂ければ、車を手配いたしましたのに」
「いいのです。私はこの目で見たかったのですから。東京がどのように変わり、どこに向かおうとしているのかを」
慎ノ丞は添えた手をそっとはがし、窓の外を見ながら御前にそろそろ須田町に着くことを告げた。
「そういえば……ご住職様は、この辺りには美味しい蕎麦を出す店があるとおっしゃられていましたね。慎ノ丞殿はご存じですか?」
「はい、まつやという蕎麦屋に、住職様はよく立寄られます」
「慎ノ丞殿も行かれたことはあるのですか?」
「はい、大変おいしゅうございます」
二人は須田町の停留所で市電を降り、神田川沿い並走する線路の脇道を歩きはじめた。
「まつやはこの少し先にあります。このあたりは江戸ころから営業をしている老舗がたくさんありましたが、震災で焼けて落ちてしまった店も少なくありません。あんこう鍋のいせ源も最近ようやく営業を再開いたしました」
慎ノ丞は歩きながら、震災の傷跡と復興の様子について御前に案内をした。
「こちらの昌平橋は、この辺りでは最初にコンクリートでできた橋で、完成した半年後に震災にあいましたが、びくともしませんでした。それでこの橋に接するこの辺りに新たに幹線道路が作られることになったことを考えると、これから木造からコンクリートの時代なのかもしれませんが――この郵便局は石造りの立派な建物でしたが、震災で焼け落ちてしまいました。壁は残ったのですが、どんなにその建物が丈夫でも、周りに火の手が上がれば、どうすることもできません。本当に恐ろしい地震でした」
慎ノ丞は、自分の記憶と現在の風景のギャップを改めて感じ、時間軸の揺らぎの中で正気を保つことに勤めていた。
「そしてこの通りの向こう側に見えるのが、目的の場所です」
幽霊坂と呼ばれるその坂は、そのおどろおどろしい異名とは裏腹にひっそりとしてはいるものの、もののけの気配などまるで感じられないなんの変哲もない緩やかな坂道である。ただ、一か所無理にカープしており、見通しが悪い。昼間は気にならないが、夜ともなればそのあたりが不気味に思えるのかもしれない。
慎ノ丞は、幽霊坂と呼ばれるこの坂にまつわる所説を御前に伝えたうえで、実際にここで誰かが幽霊に会ったなどと言う話は聞いたことがないこと、しかしここ最近、急にそんな噂が流れたこと、それにあいまって道路が多少整備され、生えるに任せていた雑草や古木を整理してそのような悪い噂が広がらないように、近接する町内会が有志で動いたことを説明した。
「江戸の頃、このあたりにゴミ捨て場があり、そこを視界から隠すためにこのような急な角度で坂がカーブさせたそうで、それを面白がって幽霊坂と呼んだのでしょう。幽霊が出そうなくらい見通しが悪いという話が、いつの間にか本当に幽霊がでたということになるのは、人の流れが増え、時が過ぎれば当然のように思えます」
二人は坂を上りながら注意深く周りを見渡した。
「そうですね。おおよそ慎ノ丞殿の言う通りなのだと思います。ただ、それはまっすぐに道を観た場合の答えでしかありません」
御前はやさしく丁寧な口調で異を唱えた。
「と、おっしゃいますと、やはり何か秘め事があるのでございましょうか」
御前は笑みを浮かべながら首を振り、空を見上げた。
「秘め事というほどのことではございませんね。どんなに見通しの悪い坂でも天から見れば、すべて見通せます。つまりこれは秘め事などという薄暗いものではないのでしょう。それに私は幽霊が見たくてここに来たのではありません」
「では何を?」
「猫です。慎ノ丞殿」
御前は立ち止まり、坂道の見通しの悪い曲がりの先に視線を向けた。
そこには一匹の白い野良猫が地面にお尻を付きながら、四足でこちらの様子をうかがっていた。
「猫……でございますか?」
「人に化ける猫なのか、猫に化ける人なのか、いずれにしても人を化かした何者かを見つけるのが、私の今回のお勤めになりますね。なんとも奇妙な話ですが、ことはこの地の守り神に関係するかもしれない問題です」
御前は面喰った慎ノ丞を置き去りに歩きはじめ、慎ノ丞は遅れて御前を追いかけた。
猫は坂を上ってくる二人を警戒しながら、顔を洗っていたが、距離が5メートルになるとそのしぐさを止めて注視し、さらに近づくと身体を路面に一度転がして四足で立ち上がり、背伸びをして二人を睨みつけた。
「どうやらこの辺りに住み着いている野良猫のようですね。彼に話がきければいいのですが」
御前がそのような冗談を言う人なのかどうか、慎ノ丞には計り知れなかったが、まさか本気でそんなことを言っているとは思わない。しかし、御前が1メートルよりも少し手前で立ち止まり、深く頭を下げたとき、慎ノ丞もそれに合わせるほかなかった。
「今日はご挨拶だけで、また近いうちにお目にかかります。どうかその時はいろいろと話を聞かせて下さいまし」
御前は頭を上げると、向きを変え、坂を上り始めた。慎ノ丞はこちらを見上げている白い野良猫と御前の後姿を交互に見た後、猫に頭を軽く下げ、御前の後を追った。
慎ノ丞の背後から猫の鳴き声が聞こえる。
にゃーお
オスであろうか。低く、しっかりとした声である。それは”あいわかった”と言う意味だったのかもしれないと、慎ノ丞はのちに、振り返ることがあろうとは、その時は思っても見なかった。
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