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紡
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思い返す内に晴は段々と紡を引き取る方向で気持ちが固まって来ていた。
紡の気持ちを確認して、、といつも通り手順を確認し、段取りを考える。
ふと晴は大事な事に気付いた。
紡の気持ちってどうやって確認したらいいかなぁ??
そう、晴は人付き合い方が大の苦手だった。
段取りとか効率を求めるのは得意だし、自分の意見を発信するのも別になんとも思わない方だ。
だけど、忖度とか配慮とかはものすごく苦手である。
空気なんてどこを何を読んでいいのかすらわからないのに。
紡は今も路子と共にいる。
どうやら、紡は不登校気味になっているらしい。
今の子供の話題とか勉強していた方がいいよね。
最近の流行りって何だったっけ?
明日までに勉強しとかないと!
そう、明日、晴は紡に会いに行くのだ。
葬儀でも一緒だったはずだが、晴は喪主。
やることが多すぎて、紡は路子や舞さんの実家の方にずっといた。
随分と無口な子だなという印象しかない。
明日、ちょっと緊張するなぁ。
そう思いながら、晴は眠った。
翌日ーーー。
路子が晴の家に紡を連れて来た。
「晴ちゃん。お疲れ様。
大丈夫?」
路子は心配そうに晴を見つめる。
「ちょっと疲れてるかな。
でも、まだ全然実感がなくて。
離れて暮らして結構経ってるからかな。」
晴は正直に答えた。
路子が必要以上に心配しても、気に病んでもいけない。
晴は話題を逸らす事にした。
「そういえば、こないだ知り合いからバームクーヘンもらったんだ。
結構有名な所のらしいから、美味しいと思うよ。
用意するから、待っててよ。」
路子と紡に席に座るよう勧めると晴はすぐさま、バームクーヘンの準備にかかった。
と言っても、バームクーヘンはそれらしく切ってバニラアイスを添えるだけ。
バームクーヘンは少しだけ温めているけど、調理って程でもない。
晴は路子と自分にコーヒーを、紡にはホットミルクを用意した。
「はい、どうぞ。
紡くんのお口に合うかな。」
晴は努めてにこやかにした。
表情が出にくい質だから、怖がらせてはいけない。
「どうも」
紡はボソボソと小さな声で会釈すると、フォーク片手にバームクーヘンを食べはじめた。
路子は困った顔で紡を見ていたが、
晴に向き直ると
「晴ちゃん、ありがとうね。
これ、とっても美味しいわ。」
と晴に気を遣ってくれた。
食べ終えると、3人でこれからの話をした。
と言っても紡は相変わらず、ほとんど喋らない。
喋っても一言ボソッと言うだけ。
色々と話を聞くと、どうやら両親のいる頃から不登校ではあったらしい。
無口な紡はなんとなく父親の雄一を思い出させる。
晴自身も感情表現が苦手で集団行動は大の苦手だ。
紡も同じような所でつまづいているように見える。
どうやら、向井の人間はそういう人が多いみたいだ。
遺伝とは恐ろしいものである。
「このまま、ここで紡と一緒に暮らそう思っているけど、大丈夫?」
そう聴くと、紡はコクリと頷いた。
「なら、今日はベッドとか必要なもの一緒に用意しようか。」
紡は黙ったままでいる。
「どうかした?
もっと後がいいの?」
晴はもう一度紡にたずねる。
「あ、あの、家にあるパソコン、持って来れますか?」
晴にたずねる姿は必死だ。
「パソコン?別にいいよ。
業者さん手配しないとね。
必要なもの、一緒に確認してくれるかな?」
晴がそう答えると、紡の顔がパァッと明るくなった。
どうやら、パソコンをとても大事にしているらしい。
晴は紡とこれからの暮らしに必要なものの確認を始めた。
路子はホッとした面持ちでいる。
紡はそのまま、路子の家には帰らず
晴の家で暮らす事になった。
それにしても、8歳がパソコンを何に使うんだろう??
晴はふと疑問に思ったものの、必要なのだろうと思い直した。
今は情報機器を使いこなせないといけない時代だ。
学校だってオンラインで授業とかするらしいし、、、。
紡の話を聴きながら、必要なものをリストにまとめ、晴は段取りを決め、業者の手配と買い出しを順調にすすめた。
そして、この日から紡と晴の暮らしが始まったのである。
紡の気持ちを確認して、、といつも通り手順を確認し、段取りを考える。
ふと晴は大事な事に気付いた。
紡の気持ちってどうやって確認したらいいかなぁ??
そう、晴は人付き合い方が大の苦手だった。
段取りとか効率を求めるのは得意だし、自分の意見を発信するのも別になんとも思わない方だ。
だけど、忖度とか配慮とかはものすごく苦手である。
空気なんてどこを何を読んでいいのかすらわからないのに。
紡は今も路子と共にいる。
どうやら、紡は不登校気味になっているらしい。
今の子供の話題とか勉強していた方がいいよね。
最近の流行りって何だったっけ?
明日までに勉強しとかないと!
そう、明日、晴は紡に会いに行くのだ。
葬儀でも一緒だったはずだが、晴は喪主。
やることが多すぎて、紡は路子や舞さんの実家の方にずっといた。
随分と無口な子だなという印象しかない。
明日、ちょっと緊張するなぁ。
そう思いながら、晴は眠った。
翌日ーーー。
路子が晴の家に紡を連れて来た。
「晴ちゃん。お疲れ様。
大丈夫?」
路子は心配そうに晴を見つめる。
「ちょっと疲れてるかな。
でも、まだ全然実感がなくて。
離れて暮らして結構経ってるからかな。」
晴は正直に答えた。
路子が必要以上に心配しても、気に病んでもいけない。
晴は話題を逸らす事にした。
「そういえば、こないだ知り合いからバームクーヘンもらったんだ。
結構有名な所のらしいから、美味しいと思うよ。
用意するから、待っててよ。」
路子と紡に席に座るよう勧めると晴はすぐさま、バームクーヘンの準備にかかった。
と言っても、バームクーヘンはそれらしく切ってバニラアイスを添えるだけ。
バームクーヘンは少しだけ温めているけど、調理って程でもない。
晴は路子と自分にコーヒーを、紡にはホットミルクを用意した。
「はい、どうぞ。
紡くんのお口に合うかな。」
晴は努めてにこやかにした。
表情が出にくい質だから、怖がらせてはいけない。
「どうも」
紡はボソボソと小さな声で会釈すると、フォーク片手にバームクーヘンを食べはじめた。
路子は困った顔で紡を見ていたが、
晴に向き直ると
「晴ちゃん、ありがとうね。
これ、とっても美味しいわ。」
と晴に気を遣ってくれた。
食べ終えると、3人でこれからの話をした。
と言っても紡は相変わらず、ほとんど喋らない。
喋っても一言ボソッと言うだけ。
色々と話を聞くと、どうやら両親のいる頃から不登校ではあったらしい。
無口な紡はなんとなく父親の雄一を思い出させる。
晴自身も感情表現が苦手で集団行動は大の苦手だ。
紡も同じような所でつまづいているように見える。
どうやら、向井の人間はそういう人が多いみたいだ。
遺伝とは恐ろしいものである。
「このまま、ここで紡と一緒に暮らそう思っているけど、大丈夫?」
そう聴くと、紡はコクリと頷いた。
「なら、今日はベッドとか必要なもの一緒に用意しようか。」
紡は黙ったままでいる。
「どうかした?
もっと後がいいの?」
晴はもう一度紡にたずねる。
「あ、あの、家にあるパソコン、持って来れますか?」
晴にたずねる姿は必死だ。
「パソコン?別にいいよ。
業者さん手配しないとね。
必要なもの、一緒に確認してくれるかな?」
晴がそう答えると、紡の顔がパァッと明るくなった。
どうやら、パソコンをとても大事にしているらしい。
晴は紡とこれからの暮らしに必要なものの確認を始めた。
路子はホッとした面持ちでいる。
紡はそのまま、路子の家には帰らず
晴の家で暮らす事になった。
それにしても、8歳がパソコンを何に使うんだろう??
晴はふと疑問に思ったものの、必要なのだろうと思い直した。
今は情報機器を使いこなせないといけない時代だ。
学校だってオンラインで授業とかするらしいし、、、。
紡の話を聴きながら、必要なものをリストにまとめ、晴は段取りを決め、業者の手配と買い出しを順調にすすめた。
そして、この日から紡と晴の暮らしが始まったのである。
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