半世紀生きて、やっと小説完成しました

さんかく ひかる

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ますますしつこく、初めて投稿した長編の宣伝

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 小説投稿万年初心者のエッセイを始めます。
 今回は、前回に引き続き、初めて投稿した小説『君を待つ宇宙 アラサー乙女、年下理系男子に溺れる』の宣伝です。繰り返しますが、十八禁恋愛小説です。

 その前に。
 似たようなタイトルの本を見つけました。
 宇宙飛行士の若田光一さんが書かれた『宇宙がきみを待っている』という児童書です。
 宇宙飛行士を目指したくなる素晴らしい本なんだろうなあ。十八禁恋愛小説とは真逆の、健全な本に決まってるよね。
 せっかくなので、今、注文しました。

 思いっきりタイトルが被っています。私は、小説を投稿してから若田さんの本に気がついたのですが、小説のタイトルは変えたくなかったので、そのままにしました。
 小説のヒーローはガチの宇宙オタクですが、若田さんのような宇宙飛行士ではありません。
 このタイトルの意味は、終盤で明かされます。三十二万字の長編なのでそこまでたどり着くのは大変だと思いますが、興味のある方、ぜひ、お立ち寄りください。

 こういうタイトルの小説なので、それなりに宇宙トークが出てきます。
 しかし、この小説を思いついた時は、メインタイトル『君を待つ宇宙』はなく、サブタイトル『アラサー乙女、年下理系男子に溺れる』だけでした。
 もともと、年下理系男子とのイチャイチャを書きたかっただけで、ヒーローの専門分野は、理系ならなんでもよかったんです。
 第一稿はこんなストーリーでした。


 ヒロインは、田舎の不動産会社のアラサー社員。閑職部署で暇を持て余す日々。
 暇つぶしに、会社が管理する廃園寸前の遊園地を見てまわる。
 そこでは少年が、リモコンなしでドローンを動かしていた。彼は、脳波で動かすドローンを、近くの研究所で研究をしているらしい。

 実はヒロイン、前の社長の娘だ。
 彼女の父が社長だったとき会社は経営破綻し、大手不動産会社に買収された。買収後まもなく、父は亡くなった。母はもっと前に亡くなっている。ヒロインが配属された部署に、まともな社員はいない。
 崖っぷちヒロインは、父との思い出のある遊園地を復活させようと決意した。
 少年との出会いをきっかけに、彼の研究所と組んで遊園地復活に向けて動き出す……。


 うん、いい話だ。しかし三万字ほど書いたところで挫折します。
 諦めた理由の一つは、ヒーローの研究です。脳波で動かすドローンという設定が、作者の知識を超えていました。
 もう一つは、廃園寸前の遊園地を復活させる技を思いつかなかったことです。研究所と組んだ遊園地再生というとカッコいいのですが、具体案が浮かびません。企業再生ドキュメンタリーが参考になりそうですが、怠け者の作者はギブアップました。

 諦めましたが、当初のストーリーのように、地域の問題を二人の愛で解決する、という展開には憧れます。
 日本の各地域には、シャッター商店街、高齢化したニュータウン、少子化による廃校など、様々な問題が山積みです。ヒロインとヒーローが力を合わせ問題に取り組み、時には対立しつつ、完全解決に至らなくても一筋の光が差し、愛を深める……。恋愛小説の王道パターンですね。
 いつか書きたいなあ。それには、自分の怠け癖を直さないとなあ……道は遠いなあ……。


 今アップしている小説は大分変わりましたが、大手不動産会社の買収、ヒロインが前社長の娘、寂れた遊園地といった設定は残っています。また「脳波で動かすドローン」は、次に書いた近未来SF長編に引き継がれます。
 久しぶりに小説の第一稿を読み直したので、ここに晒します。ヒロインとヒーローは、寂れた遊園地で出会います。理系男子風の会話にしようぜ! と力を入れました。
 晒しますが、読み飛ばしてください。


******

 少年は、さびた手すりを指さした。

「ほら、すっかり酸化した鉄! 何かねえこういうの見るとわくわくするんです」

 おもむろに少年は手を振り回し、演説を始めた。ゆずこは嫌な予感がした。機嫌が直ったのはよかったが、何か起爆スイッチを入れてしまったようだ。

「酸素に紫外線! どれもなくては生きていけないが、同時に僕らの敵なんだ。鉄は酸素に触れることで酸化鉄となる。だから人間はこまめに塗料を塗って酸化という自然の流れに抵抗するんだよね」

「そうですね。酸素って必要だけど、酸素で細胞が痛めつけられ、老化するんですものね」

 適当な相槌が連鎖反応を呼び起こす。

「そもそも酸素って最強の毒ガス! そして人は酸素が必要だ二酸化炭素が悪いといって、錆止めを塗って、永遠の美を求めるんだ」

「動物であること自体が二酸化炭素を排出するのにね」

 少年は眩しいほどの笑顔を見せた。ああ、確かにその笑顔は可愛らしい。が、初対面の人間に酸素と二酸化炭素の功罪を訴えなくても、とゆずこは混乱する。

「だよね。だからこういう遊園地で、はげたペンキとか見ると、何か、人類と偉大な自然との戦いを魅せられてるようで、心が震えるんだ」

「そうね。私たちの脳が肥大してそれ以外の身体能力が退化したから、虚しい戦いをせざるえないのかしらね」

 きっと、この少年との会話はかみ合ってない。だから、適当に頷くのが無難と思いつつ、ゆずこは虚しい戦いに身を投じていた。

******


 当時はこれがベストと思って書いたのですが、今読むと、会話も描写もまどろっこしい~、細かく全部書こうとしている、もっとストーリーさくさく進めようよ、恋愛物なのに胸キュン会話がほとんどないぞ~、と、突っ込みポイント満載です。

 アップしている小説も、今はベストと思っていますが、一年後には欠点が見えてくるんだろうな、そういう自分になれたらいいな。
 おお、珍しく前向き宣言しちゃったよ。


 次回は、二つ目の長編を宣伝させていただきます。こちらは四回ほどを予定しています。またお付き合いくださると嬉しいです。
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