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日本の最後を描いた小説
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万年投稿小説初心者のエッセイを始めます。
しばらく長編小説の宣伝をさせていただきます。
今年(2022年)八月に、二つめの長編『「日本人」最後の花嫁』を完結させました。
もともとこの小説は、日本のクリスマスをテーマとした連作短編を発展させたものです。
前回のエッセイで、日本最初のクリスマスについて書こうとして諦めたことを、話しました。
そこで、日本最後のクリスマス話に挑戦します。
しかし、最後のクリスマスを書き始めたら、リアルのクリスマスが終わってしまいました。発表時期を逃しているうちに、頭の中で短編が長編に成長します。
途中まで書いた短編は3500文字です。話は、今の長編でいうと四章のはじまり、15万字ぐらいでしょうか。ざっと40倍に膨れ上がってしまいました。
長編も、連載直前に仕上げた第一稿は15万字だったのに、連載を始めたら更に膨張し、最終的に24万字となりました。
なんでお話って放置すると、脳内で膨れ上がるんですかね?
これを防ぐには脳内で膨れる前にとっとと書くしかないんですが……先延ばし癖が身についた自分には、めっちゃくっちゃハードル高いです。
話を「日本最後のクリスマス」に戻しましょう。
このキーワードが浮かんだ時、そもそも日本の最後を書いた小説ってあったっけ? と、空っぽ脳内データベースを検索します。
私は、投稿小説を趣味にしているくせに、それほど本を読んでいません。
なので、日本の最後を描いた小説というと、これしか思い浮かびません。
『日本沈没』小松左京
小説の刊行は1973年と50年近く前ですが、今世紀でも映画やドラマになっています。
私の『日本沈没』初体験は、映画のテレビ放映……だったと思います。幼稚園児の自分は、フィクションとノンフィクションの境界が曖昧だったのでしょう。赤いドロドロの溶岩の中に沈みゆく日本の映像は……トラウマでした。夜、寝られませんでした。
大人になり、当時の映画をDVDで見直し、小説を読んだところ、怖さはさほど感じませんでしたが、リアリティに感動しました。
私たち日本人は東日本大震災を経験したこともあり、活断層やプレートといった単語は、多くの人が知っています。
が、小説刊行時の1973年「プレートテクトニクス」なんて、一部の人しか知らなかったでしょう。
Wikipediaによると「プレートテクトニクス」理論が完成したのが1968年だそうです。
高校の地学の教科書に登場したのも『日本沈没』刊行と同じ年ですが、当時の日本ではまだ主流の理論ではなく、他の説と一緒に掲載されていたそうです。
私が「プレートテクトニクス」をちゃんと知ったのは大学の地学の授業で、1980年代の後半です。
『日本沈没』が刊行されて50年近く立ちますが、現在でも映画化やドラマ化されるのも、納得です。
もう一つ、日本の最後を描いた小説を思い出しました。
『チグリスとユーフラテス』新井素子
1999年に刊行され、その年の日本SF大賞を受賞しています。
今さら私ごときが説明するのも恥ずかしいのですが、移民惑星の始まりから終わりまでを描いた、壮大なSFです。
この小説を日本の終わりとするのは無理があるでしょうが、惑星の住民は日系人です。
この小説の何がすごいかって?
この本、上下巻二冊と結構なボリュームがあります。
大昔、自分がアラサーのフリーターだった頃、何となく図書館で借りて、何となく読み始めたのですが……徹夜して一気に二冊読み、翌朝……バイトをサボりました。
え? そんなの、小説のすごさは語ってないだろ? お前のだらしなさを語ってるだけだって?
言い訳します。バイトをサボったのは後にも先にも一回だけです。一応「具合悪いんで」と、もっともらしく連絡しました。
いやらしいことに「今日のシフトは余裕あるから、私一人休んでも大丈夫だろう」と姑息な計算をして……はい、もう二度としません。ごめんなさい。
真面目な私にバイトをサボらせるほどの力を持つこの小説、アラサー以上の女性には、グサグサくると思います。若干ネタバレすると、子供が出来なくて悩んでいる女性にはキツイかもしれません。
一方当時の私は、引きこもりを拗らせたのち、バイトを始めたところです。異性と用事以外で会話するなんて、不可能な状態でした。結婚するより、異世界で勇者になる方がずーっと現実味がありました。
なので、そこまでグサグサくることはなかった……いや、グサグサ来たから、徹夜して一気読みしてバイトサボったんです。
『チグリスとユーフラテス』が日本SF大賞を受賞したということで、今までの受賞作一覧を見たのですが……思った以上に幅が広いんですね。感動しました
それほど小説を読んでないので、受賞作のほとんどを知らないのですが、私は、てっきりSF小説が対象と思っていました。
受賞作品には、映画や漫画もあります。よしながふみ『大奥』が受賞したとは驚き! めっちゃ好きな漫画です。物語だけでなく評論などのノンフィクションも受賞しているようです。
SFって何だろう? ……近々、エッセイのテーマに取り上げてみます。
以上、最後の日本から思い起こされる小説を上げてみました。
次回も自分の小説の宣伝をするつもりですが……あれ? 今回も宣伝になってないや。まあいいか。
しばらく長編小説の宣伝をさせていただきます。
今年(2022年)八月に、二つめの長編『「日本人」最後の花嫁』を完結させました。
もともとこの小説は、日本のクリスマスをテーマとした連作短編を発展させたものです。
前回のエッセイで、日本最初のクリスマスについて書こうとして諦めたことを、話しました。
そこで、日本最後のクリスマス話に挑戦します。
しかし、最後のクリスマスを書き始めたら、リアルのクリスマスが終わってしまいました。発表時期を逃しているうちに、頭の中で短編が長編に成長します。
途中まで書いた短編は3500文字です。話は、今の長編でいうと四章のはじまり、15万字ぐらいでしょうか。ざっと40倍に膨れ上がってしまいました。
長編も、連載直前に仕上げた第一稿は15万字だったのに、連載を始めたら更に膨張し、最終的に24万字となりました。
なんでお話って放置すると、脳内で膨れ上がるんですかね?
これを防ぐには脳内で膨れる前にとっとと書くしかないんですが……先延ばし癖が身についた自分には、めっちゃくっちゃハードル高いです。
話を「日本最後のクリスマス」に戻しましょう。
このキーワードが浮かんだ時、そもそも日本の最後を書いた小説ってあったっけ? と、空っぽ脳内データベースを検索します。
私は、投稿小説を趣味にしているくせに、それほど本を読んでいません。
なので、日本の最後を描いた小説というと、これしか思い浮かびません。
『日本沈没』小松左京
小説の刊行は1973年と50年近く前ですが、今世紀でも映画やドラマになっています。
私の『日本沈没』初体験は、映画のテレビ放映……だったと思います。幼稚園児の自分は、フィクションとノンフィクションの境界が曖昧だったのでしょう。赤いドロドロの溶岩の中に沈みゆく日本の映像は……トラウマでした。夜、寝られませんでした。
大人になり、当時の映画をDVDで見直し、小説を読んだところ、怖さはさほど感じませんでしたが、リアリティに感動しました。
私たち日本人は東日本大震災を経験したこともあり、活断層やプレートといった単語は、多くの人が知っています。
が、小説刊行時の1973年「プレートテクトニクス」なんて、一部の人しか知らなかったでしょう。
Wikipediaによると「プレートテクトニクス」理論が完成したのが1968年だそうです。
高校の地学の教科書に登場したのも『日本沈没』刊行と同じ年ですが、当時の日本ではまだ主流の理論ではなく、他の説と一緒に掲載されていたそうです。
私が「プレートテクトニクス」をちゃんと知ったのは大学の地学の授業で、1980年代の後半です。
『日本沈没』が刊行されて50年近く立ちますが、現在でも映画化やドラマ化されるのも、納得です。
もう一つ、日本の最後を描いた小説を思い出しました。
『チグリスとユーフラテス』新井素子
1999年に刊行され、その年の日本SF大賞を受賞しています。
今さら私ごときが説明するのも恥ずかしいのですが、移民惑星の始まりから終わりまでを描いた、壮大なSFです。
この小説を日本の終わりとするのは無理があるでしょうが、惑星の住民は日系人です。
この小説の何がすごいかって?
この本、上下巻二冊と結構なボリュームがあります。
大昔、自分がアラサーのフリーターだった頃、何となく図書館で借りて、何となく読み始めたのですが……徹夜して一気に二冊読み、翌朝……バイトをサボりました。
え? そんなの、小説のすごさは語ってないだろ? お前のだらしなさを語ってるだけだって?
言い訳します。バイトをサボったのは後にも先にも一回だけです。一応「具合悪いんで」と、もっともらしく連絡しました。
いやらしいことに「今日のシフトは余裕あるから、私一人休んでも大丈夫だろう」と姑息な計算をして……はい、もう二度としません。ごめんなさい。
真面目な私にバイトをサボらせるほどの力を持つこの小説、アラサー以上の女性には、グサグサくると思います。若干ネタバレすると、子供が出来なくて悩んでいる女性にはキツイかもしれません。
一方当時の私は、引きこもりを拗らせたのち、バイトを始めたところです。異性と用事以外で会話するなんて、不可能な状態でした。結婚するより、異世界で勇者になる方がずーっと現実味がありました。
なので、そこまでグサグサくることはなかった……いや、グサグサ来たから、徹夜して一気読みしてバイトサボったんです。
『チグリスとユーフラテス』が日本SF大賞を受賞したということで、今までの受賞作一覧を見たのですが……思った以上に幅が広いんですね。感動しました
それほど小説を読んでないので、受賞作のほとんどを知らないのですが、私は、てっきりSF小説が対象と思っていました。
受賞作品には、映画や漫画もあります。よしながふみ『大奥』が受賞したとは驚き! めっちゃ好きな漫画です。物語だけでなく評論などのノンフィクションも受賞しているようです。
SFって何だろう? ……近々、エッセイのテーマに取り上げてみます。
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