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第1章 水属性の聖女は、鈴木氷雨なのでござる!

過去編~鈴木氷雨のヤンキー幼馴染~第2話

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「佐藤君、幼稚園にこんな格好で着ていていいの?」

「何を言っているでござるか。

自分でいいと思えば、いいのでござるよ」

「それ、かっこよくないから」

 あたしは、さりげなく毒を吐いた。

「氷雨は、もっと自分らしく生きていいと思うでござるよ」

「自分らしく、か・・・。

自分らしくなんて、言われてもわかんないんだ。

あたしは、物心がついた頃から、親の言いなりで、親のために生きてきたから」

 あたしは、悲しそうに話した。

 自分らしくなんて、生きれるわけがない。
 あんな親から生まれてしまったのだから、わけもわからない状態で、従うしかないのだ。

「なら、ふざければいいでござるよ。

なぜなら、おふざけは、生きがいだからでござる」

「言っている意味が、わからないよ」

 いつだって、そう。
 佐藤君は、わけもわかないことを語りだす。

 誰が、どこから見てもわかるように、佐藤君という人は、極度な不思議ちゃんだ。

 幼稚園から始まっても、親からの解放はされず、いやいや私立の小学校の入学のために勉強をする日々だった。
 あたしが、何のために生きているのかわからない。

 本当は、髪を伸ばしたい気持ちもあったけど、あたしは諦めていた。
 あたしは、親という存在がなくなるまで、男の子のように短い髪の状態で過ごすんだと思っているから。

 しかも、学習塾にも行かせられるようにもなり、忙しいせいか、佐藤君との時間も次第に減ってきた。
 
 佐藤君は、気が付けば有名な、最恐な幼稚園ヤンキーとしても、恐れられるようになり、近所の人も避けていき、あたしの両親も、佐藤君から引きはがすようになっていった。

 でも、あたしは佐藤君が気になってしょうがなかった。
 だって、あたしは佐藤君のことが、恋愛対象として好きだから。

 そして、数年の月日が流れて、あたしは幼稚園の年長になった。
 佐藤君は、大人でも勝てない鮫のパーカーを着た最恐のヤンキーとなっていた。

 そして、人を殺すようにもなっていた。
 両親から、そんな話を聞いて、いてもたってもいられなくなり、あたしは家を飛び出して、佐藤君を捜しに行っていった。
 どうして、このような行動をとっていたのか自分でも、わからない。
 ただ、あたしが見つけてあげなきゃいけない気がしたから。

 ごめんね、佐藤君。
 あたしは、佐藤君にかまってあげられる時間が、本当になかった。

 あたしは、鮫のパーカーに血がついている佐藤君を見つけた。

「佐藤君・・・・?」

「氷雨でござるか?」

「佐藤君、何をしているの?

殺人を犯したって、話は本当なの?」

「そんなものは、このパーカーについたものを、見ればわかるはずでござるよ」
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