上 下
227 / 393
番外編 天罰を受けた者たち

第5話

しおりを挟む
  ユウヅキは末っ子にいじめられる。
「お前ばっかり可愛がられて‥‥」
「お願い、やめて」
 ユウヅキより背も高いし、弟にいじめられる兄なんているだろうか?だけどユウヅキは弱いから体も小さいし、華奢だし、色白で
、丈夫じゃないから、戦ってもきっと負けちゃうんだろうな。それに比べて弟は太っているし、褐色肌だし、体も大きい。
「弱虫!出来損ない」
 弟がユウヅキの髪を引っ張る。
「痛い、痛いてっば」
 ユウヅキは必死に抵抗しても、やっぱり強い。
  弟の名前は、キシキ。
「キシキ‥‥何でもするから許して?」
 ユウヅキの目からは涙が溢れた。キシキ‥‥ごめんね?キシキは末っ子だからみんなから可愛がられたいはずなのに、ユウヅキがとってしまったから。
「許さない」
「なら、ユウヅキここから出る。家族と絶縁する。キシキが望むならそうするよ」
 キシキは驚いて立ち止まっていた。
「ユウヅキはキシキのイライラしてるところなんか見たくない。キシキが幸せになるならどんなことでもしたい」 
 キシキが不幸になるなんていや。ユウヅキは家族みんながしあわせでいてほしい。
「本気かよ?」
「本気だよ」
 ユウヅキに迷いはなかった。ユウヅキは誰かのためなら強くなるし、なりたいの。
「なら、出ていけ。そしてオレがナンバーワンになってやる」
「わかった。それがキシキの意志なら」
 ユウヅキは迷うことなく後ろを振り返らずその場を離れた。
 いつまでも誰かに依存したくない。
 自分で立たなきゃ。
 だけどやっぱり一人はさびしかった。
 来て‥‥誰かユウヅキを助けて‥‥あればユウヅキの強がりだったよ。
 だけど帰りたくない。
 なら、どこにでも行ってやる。
しおりを挟む

処理中です...