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番外編 光の影武者と闇の影武者

第1話

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 僕は雷雲《らいうん》りと。
 僕には光を与えられた。
 持って生まれたものなんかじゃなくて、今から10年前に与えれたもの。

 その時の僕の年齢?
 そんなの想像に任せるよ、今は言うことないもんね。

 僕はそんな能力いらないし、世界を救うつもりも滅ぼすつもりもなかった。
 僕のせいじゃないもん。
与えれた方に文句言うんだね。
 僕はめちゃくちゃ光の神王に気に入られたみたいだけどお断りだ。
「好きだよ‥‥」
今になってから幼い容姿のまま、成長しない神王に言われるけど、言われたくないよ。
「言われたくない」
 僕は受け入れたくない。神王は確か男のはず、この人はホモの気質でもあるのかな?
「だけど、神王はずっとりとが好き」
「嬉しくない」
「りとに好きになってもらえるよう頑張るよ」
「頑張らなくていい」
 だけど、神王は僕に抱きついて「りと‥‥好きだよ‥‥」と言うものだから、僕は何も言うことができなくなったし、抵抗する気力も失せてしまった。

 やりたいならやらせておこう。
 抱きたいなら好きなだけ抱かしてやろう。
 言いたいなら言わせておこう。

 どうせ、それだけのことしかしてこないんだ。
 相手にしなければいつかあきれて、光に選ばれた僕のことなんか解放するしかなくなるだろう。
 と思っていた矢先、僕は神王にキスをされた。
 口に舌が入って、これってディープ?
 突然のことに頭がついていかなくなった。
 僕は「離れろ」って言いたいのに喉の奥から出る声はうめき声だけだった。
 何で体が動かないんだ?こんな状況どうでもなるはずなのに。
 唇が離れる頃には、僕はプシューと顔がほっていて、頭はぼーとしていた。
「やっぱり、りとは神王が好きなんだね。どんなりとも愛してるよ」 
 神王はそれだけ言うと去っていた。
 僕の心臓はバクバクしていた。

 ずるいよ、神王は。
 僕を惑わす天才だね。
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