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番外編 空賊に愛されて

第3話

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 俺が街に入れば、炎化は、青い髪の小柄な女の子にいろいろ話をしては、「用があるから」と言って俺の前から去ってしまった。



「はじめまして。

炎《えん》かって言うの。よろしくね」

 炎かに、笑顔で自己紹介されたので、

「俺は、だいら」

「うん、さっき炎化ちゃんから聞いたよ」

 

 炎かは、身長141センチという小学生なみの身長の上に、空賊専門退治屋の中では一番小柄らしい。

 俺よりも20センチ近くも低い女子なんて珍しい。



 聞く話によると、山賊専門退治屋をしている従姉妹がいるらしい。

 従姉妹が長女の娘で、炎かが二女の娘らしい。



「だいら君、どうして空賊なんかにさらわれていたの?」

「わからない」

「大体、空賊なら、お金とか宝石目当てとか強盗はするけど、誘拐は初めて聞いたね。

何か物は盗まれてない?」

「何も‥‥」

「何か目的がある?目的が見えないよね?」



「大変だー、空賊が空から来たぞー」

 空から、空賊船が見えた。



「なら、戦うしかないよ」

「どうやって?」

 炎かは、どこからか銃を取り出しては、空賊船を何発も撃った。

 そしたら、空賊船が落ちて‥‥。

「人殺しになるよ?」

「大丈夫。

空賊たちは、落ちるってことを経験してるから、それなりの対策は考えてあるんじゃないかな?」



 しばらくして、タンパニーが現れた。

「タンパニー、無事だったのか」

「そんな再会を喜ぶために来てないって」



「だいら、生きていたか。

痛い目にあってないか?

迎えに来たぞ」

「タンパニー」

「もう、逃がさない」

「空賊専門退治屋がいるぞ!」

 タンパニーがライフルを、炎かが銃をかまえた。

「だいら、君の協力が必要だ」

 小柄な炎かが、俺をお姫様抱っこした。

「撃てないよね?」

「愚かか、貴様は。

これでは銃を撃てぬぞ?」

「銃だけで戦うと思ってる?」

 炎かの足が突然燃えたので、俺は思わず炎かに抱きついた。

 炎かは気にすることなく、高くジャンプをして、燃えた足でタンパニーを蹴った。

「熱いい」

 タンパニーは、顔を火傷した。

 本来なら炎かを撃つかもしれないが、俺をお姫様抱っこしているために撃てないのだろう。

「覚えていろ‥‥」

 タンパニーは、逃げ出した。

 

 炎かは、俺をおろしてくれた。

「やっぱり、君を攻撃しないってことは何かあるよね?」

「何かって‥‥?」

「ここまで来ると、空賊たちに聞いてみるしかないかも」

「炎かにもわからないの?」



「逆に知っているなんて思わないでほしい。



空賊については知らないことが沢山。



空賊たちしか知らないこともあるから、空賊専門退治屋の一人や二人が情報調査に向かうの」



 俺は、異世界に来てから本当に一人ではどうすることもできなくなった。

 常に誰かの助けを必要とする。

 異世界のことが何もわからないし、異世界の人たちができるようなことができない。

 帰るにしても、帰る家が今更あるかどうか。

 

 こうして、異世界生活が始まった。
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