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番外編 愛が欲しくて

第2話

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 父と息子の近親恋愛なんてあると思う?
ところがあった。

おれは、二階堂ふみお。
父、母、おれの三人暮らし。
 おれは親父からこわいくらいに愛されている。
「愛してる」は日常茶飯事。
キス、おれを抱いて寝る、おれと一緒に風呂に入る。
これらの行為をおふくろはしないのに、親父はするとかあり得なかった。

「今日も可愛いよ‥‥ふみお」
 「おふくろに言えよ」
「おふくろは太ったから、可愛くない」
  事実だけどさ‥‥
「おれも太ればいい?」
「太っててもあなたは可愛い」
 どんな理屈だ?
そうだ、そろそろ本当のこと言わないと‥‥
「おふくろと親父、離婚するんだよね?」
「ああ」
「おれの親権はおふくろにいったってさ」
「何だって?いつから?」
「ずっと前から」

どうやって親父が知らないなんてことにいきついたかわからないけど、親権はおふくろになった。
親父とは絶縁。
親子にもどんな形であれ別れはあるさ。
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