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読み切り

第5話

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 あたしは、本当のママちゃまと本当のパパちゃまに会いたいのです。
 離婚を繰り返しているうちに、本当の両親がどこにいるのか、わからなくなっていったのです。
 ずっと一緒にいたかったのです。
 離婚なんかしないで、ずっと仲良くしてほしかったのです。

 サクラ様の両親も、高校卒業後に結婚して、あたし達のメンバーではなくなってしまうのです。
 サクラ様はみなちゃまから、可愛がられて嫉妬することもあったけれど、サクラちゃまはあたしにも、懐いてくれたのです。

 さくらさんの弟子である、さくら二号からも指摘されることがあったのです。
「さくら先生は優しいから言わないかもしれないしれないですにゃ。
にゃが、言わせてもらいますにゃ。
あまりにも、自己中心的な行動をとると、メンバーから外してもらいますにゃ」
「何故ですか?」
「桜は自己中で、わがままで、自分のことばかり見てもらおうとするところがありますにゃ。
メンバーのみんなは、優しいから合わせてくれるけれど、これじゃあチームワークとは言わないですにゃ。
ただ、みんなを振り回しているだけですにゃ」

 弟子のくせに、生意気なって思っていたけれど、
 さくらさんの弟子であって、あたしの弟子ではなかったのです。
 だから、あまり強いことは言えなかったのです。

 あたしに、親友もいないのです。
 長続きする恋人もいなくて、そのうち誰にも相手にしてもらえなくなったのです。

 あたしは、この世界が嫌いなのです。
 この世界が悪いのです。
 あたしの本当のママちゃまは魔法の世界にいると聞いたけれど、いないし、見つからないのです。
 あたしの、他人の魔法を奪い能力で奪っても、人を探せる能力者がいなければ、それは叶いそうにないのです。

 あたしは、復讐するのです。
 自分を理解してくれない、世の中を。

 大人になれば、何でも好きなことはできるのですか?
 ふとそうゆう考えが頭をよぎったのです。
 こうして、あたしは、大人になったのです。
 背は伸び、大人の体形になり、女性になったのです。
 そして、あたしはツインテールになったのです。
 服は、黒のキャミソールワンピースの上に、ピンクのレースの透けるジャケットを着ていたのです。
 そして、素足に黒のハイヒールを履いていたのです。

「新世界の始まりよ」
 あたくしは、一人称を「あたくし」に変え、なのです口調から、女性口調に変わったわ。
「さあ、ヒカリちゃん、おいで」
 黒い影から出てきた時は、何故かヤミーがいなかったけれど、そんなこと知ったこっちゃないわ。
 ヒカリちゃんは、あたくしのもの。
「さあ、ヒカリちゃん、おとなしくあたくしの物になりましょう」
「はい」
「そう、いい子ね」
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