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番外編 ミステリーカフェ

第5話

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 皆ちゃんは、ピンク以外を着こなすことができて、羨ましかったけど、
 皆ちゃんにはライバルがいて、
 1歳年下の妹は、ピンクが似合っていて、
 何でもピンクで揃えているらしい。
 ピンクのハイヒール、ピンクのワンピース、ピンクの鞄。

「新藤さんも、港区女子になれるんじゃない?
まだ若いんだし」
「私には、向いてないような気が」

 私と皆ちゃんは、カフェでお話をしていた。

 私と皆ちゃんは、学年は同じだ。
 私が早生まれなので、皆ちゃんが一歳年上となる。
 話し方からしてみれば、どちらが上か、下か、わからなくなる。

「さて、店長、今日はどんな事件を解いた話を聞かせてくれるの?」
「うちの探偵が活躍する事件なんて、優秀な探偵程ないよ。
せめて、不倫現場の証拠集めとか、ストーカー行為の証拠集めぐらいだよ」
「難事件とかないの?」
「何度も言っている通り、そのくらいだ」
「いつもいつも、似たような話ばかりされてつまんない」
「そんな漫画みたく、頻繁に起こらない。
そしたら、日本の人工どうなる?」
「毎日毎日退屈よ。
今、仕事ほとんどしてないし、夜勤で、週1のパートしかしてなくって」
「週1のパート?
正社員で、働いたって聞いたけど」
「彼氏とは、結婚前提だから、大丈夫よ。
正社員辞めて、パートになったの。
正社員でもそんなに稼げないけど、パートなら時給制だから、働いた分稼げるわ」
「彼氏との結婚なんて、口約束じゃかいの?」
「ノンノン。親公認なのよ」
「親公認でも、口約束に変わりはないのでは?」
「とにかく、専業主婦は暇なのよ。
やりたいこともないし、やることが買い物しかないのよ。
なら、カフェで、時間潰そうってわけ」
「家事とかは?」
「いらないわよ。家事代行サービスを雇えばいいんだし、それくらいのお金は、彼氏が出してくれるわ」
「子供ができたら?」
「あれは、ベビーシッターに任せるわ」

 いつか、捨てられそう。
 結婚までいきつくのかな?
 同棲の段階でそうなら。
 専業主婦でいたいなら、家事くらいはしようよ。

 いくら友達であっても、親友ではない。
 表面上だけの付き合いなら、軽く受け流す形となってくる。

「探偵は一人でやっているから、できることが限られてくる。
そもそも、カフェに探偵なんて普通はいない」

 皆ちゃんは、社交的で、明るくてポジティブだけど、いつも無謀で、自己中心的で、プライドや理想が高い。

「後は彼氏と結婚するだけなのにな~。
彼氏も忙しいから、今は入籍できないとか言われちゃうし」
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