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番外編 ホワイトレディの物語

第3話

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 あたくちは、呪いを、魔法と名乗ることにしましたわ。
 呪いと、魔法、どんな違いがあるのかわからないですが。

 そこで、あたくちはジャックの居場所を、さくらと一緒に突き止めることにしましたにゃ。

「さくら、ジャックはどこにいると思われますか?」
「これはあたちの予想にゃんだが、黒猫を魔女の手下とか、悪魔の手下ととるくらいなら、どこかの宗教団体としか考えられないのにゃ」
「宗教団体ですか?」
「中世ヨーロッパのような古臭い考えを持っている人達の集まりにゃ。
その名も、天使の教団。
昔のような古い考えを捨てない人達で、科学を否定して、女性は専業主婦でなくてはならないとか、子供はたくさん産まなくてはならないとか、黒人に自由はないとか、それを突き通す白人の団体にゃ」
「なぜ、今でもそのような考え方を?」
「生前から、人間世界で生きてきた時から、そのような考え方を持っていて、死んでからも、その考え方を持っていて、いつまでも、それをずるずる引きづって、今もここで、かつての人間世界の考え方を押し付けるような人たちを集めているのかもにゃ」
「だけど、死んだ人はいつまでも、その世界にいるわけではないですよね?」
「それは、それぞれだにゃ。人間界で死んですぐにあの世に行く人もいれば、この世界で成仏する間まで霊体で過ごす人もいれば、死んでると生きているの境目にいる人もいれば、未練たらたらでいつめでもこの世界に残る人もいれば、この世界に肉体を持って、転生する人もいるにゃ」
「転生って、記憶なくですか?」
「状況によるにゃ。執念深い人は記憶を持っているにゃろうし、そのまま異世界の住人になるためなら、記憶とかないんにゃないか。あの世のことなんて、あたちもよくわからないにゃ。
死んだら行くと言われているけれど、本当に行くかどうかなんてわからないにゃ」
「あたくちはこの世界で産まれて、この世界で育ちましたわ。
ですが、ジャックは元々人間世界の飼い猫だったそうで」
「ホワイトレディは元からこの世界の住人にゃ。転生しても、してなくても、人間世界の記憶がないなら、この世界の住人にゃ。
にゃが、ジャックは異世界転移してしまったとすると、いつか人間世界に帰らなくてはならなくなるにゃ」
「ジャックが?」
「転移で来たなら、いつかは元の世界に帰るにゃ。
なら、ジャックもそろそろだにゃ」
「そんな・・・。ジャックといつまでも、一緒にいたいですわ」
「それは、あたちにもどうすることもできないにゃ」
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