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番外編 ホワイトレディの物語

第4話

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 あたくちとさくらは、天使の教団の、人間には入れないけど、猫には入れるような隠れ穴に入った。

 さくらの予想通り、ジャックは天使の教団のところにいた。
 だけど、ジャックの姿は消えかかていた。
「何だ、この光は・・・・」
「やっぱりにゃ」とさくら。
「そろそろ、死刑が決まっていたのに」

「そうは、させないにゃ。あたちが相手だにゃ」
「貴様はだれだ?」
「そこにだれかいるのかにゃ?」
「お前に聞いてるんだ」
「あたち?あたちです」
「名前を名乗れつってるんだよ」
「にゃ?この黒猫のことかにゃ?」
「ちげえよ。お前だ。三毛猫である」
「やっと、話が理解できたにゃ。
あたちは、さくらだにゃ。あたちです」

 さくらは時々、天然が入っていて、おかしなことを言うところがありますわ。

「さくらか。天使の教団にどうやって入ったかは知らないけど、逃げられると思うな。
教団には見張りがいる」
「教団の中なら、走り回れるにゃ」
「ちげえよ。 教団から出られねえって意味だ」
「トイレはどこかにゃ?」
「トイレなんか用意しねえよ」
「じゃあ、そこらへんでしていいってことかにゃ」
「何を言っているんだ、この猫?」
「今からトイレを始めるにゃ」
「やめろって。 トイレするくらいなら、帰れよ」
「あたち、帰っていいのにゃ?」
「そうゆう意味でもない」
「お腹痛いにゃ」

 そこで、さくらは姿をどこかに消した。

「あの猫、どこ行った?」

「団長、臭い臭いがします」
「ほう。 瞬間移動とやらで、か。この猫を捕まえよ」
「待ってください。 僕も、トイレで」
「なら、早くすませて来い」
「すませたんですよ。 ただ・・・」
「ただ?」
「僕も猫と一緒に廊下でトイレ失敗してしまって、あまりにも臭くて、取返しつかないんです」
「何それ!?」

 そこで、どこからか臭う、臭い臭いに教団の何人かが「臭い」と言って、気絶してしまいましたわ。
 あたくちも、ジャックのためにと、臭さに耐えて、ジャックを助けに向かいましたわ。
 ジャックは檻に閉じ込められていましたわ。

「ごめんな。お前とずっと一緒にいられない」
「なぜですか?」
「そろそろ人間世界に帰らないといけないからだ。
じゃあな。楽しかったよ」
「待ってください。ジャック。例え、あなたがどこにいようと必ず、あなたを見つけて見せますわ」
「ありがとう。その日まで君を待っているよ」
 こうして、ジャックは消えましたわ。
 あたくちは、ジャックに会える日を信じて、女を磨いて見せますわ。

 そして、あたくちは、そのまま家に帰りましたわ。
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