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番外編 これだけ愛しても

第5話

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 私は連れ子と言われるみねこちゃんも連れて帰った。

 書類をまた、書かなくてはならない。住所変更と、戸籍についてなど。
 養子にする気はなくても、なぜ、親と一緒に暮らせないか書かなくてはならない。

 私にとっては、娘がいきなり二人できたようなものだった。
 みねこちゃんには兄が一人いたけれど、原因不明の突然死だったらしい。
 みねこちゃんは最初こそはあまり話さない子だったけれど、次第に話すようになった。

 かねこちゃんは小説を読むことが好きみたいだけど、みねこちゃんは漫画を読むことが好きで、よくかねこちゃんにいは小説を、みねこちゃんには漫画を買い与えた。
 みねこちゃんは少女漫画、少年漫画、ホラー漫画でも読むけれど、さすがに青年漫画や女性漫画など、大人が読むような漫画は欲しがっても、教育上よくない気がして、買い与えなかった。
 よく小さい本屋で買い物をするので、本屋の店員さんに顔を覚えられるくらいだった。

 かねこ 歌音児
 みねこ 三子故

 何で、この漢字なのか不思議だった。
 名前の最後に子供の「子」がつくことが多いけれど、二人ともついていない。

 お金は援助してもらえるみたいなので、かねこちゃんとみねこちゃんの実家の方から、お金を仕送りしてもらっていた。
 みねこちゃんと、かねこちゃんは一緒にいるうちに仲良くなった。
 かねこちゃんの方が年上なので、みねこちゃんのことをいろいろ気にかけてくれていた。
 かねこちゃんとは、違う私立の学校に通っていたが、この家から電車で四時間弱かかるという話なので、オンラインで基本授業を受けることになった。
 みねこちゃんはまだ小学四年生なので、中学をどうするかの話を学校から出されることはなかった。だけど、私立の中学に入学させたいなら、今から勉強はしておいた方がいいと、実家にいるみねこちゃんのママから聞いた。
 みねこちゃんのママは、一人娘をいい大学に通わせたいらしいけど、ほぼ育児放棄に近い形を行っている人の希望を叶えたいとは思わなかった。

 みねこちゃんが小学四年生で、かねこちゃんが小学五年生か。
 中学進学のことはまだ先のように感じるけれど、今から考えた方がいいのかな、と頭を悩ますことが増えた。

 仕事に行けば、諦めれない片思いの犬野さんがいる。
 犬野さんは、相変われず年上女性にちやほやされている。
 しかも、女性とどこか遊びに行く約束をしているところを見てしまった。私がいなくても、幸せそうだな。
 
 私は今度、かねこちゃんとみねこちゃんと一緒に、恋愛映画を見に行く予定だった。
 その恋愛映画は漫画化もしているし、書籍化もしていて、今度映画で上映する予定らしい。
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