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番外編 三毛猫を愛する者たちへ 第2章

第6話

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「そんな‥‥まさか‥‥」

 信じられない。



 俺たちが見たものは、三毛猫たちが檻の中に閉じ込められ、苦しそうだった。

「出してあげよう」ときえ。

「きえ‥‥」

「マッケ」

 マッケと呼ばれた三毛猫が「ミッケも捕まっていますにゃ。わたちのことはいいですにゃ。今さら助けられないですにゃ」

 

 三毛猫たちが怪物に変貌していき、檻を壊していった。

「わあああああああ」

「何もかも嘘ですにゃ」



 景色が変わっていく。

 洞窟じゃなくて、空の上を浮いていたから、思わずきえに掴まってしまった。

 全然落ちない‥‥。



「三毛猫ワールドなんて最初からないですにゃ。

三毛猫どころか猫なんて人間世界しか存在しないですにゃ。

人間を騙すには幻覚もいいかにゃ、と」

「幻覚?」

「わたちたち、怪物を猫と見せかけ、憎しみを植え付けるですにゃ」

「何でそんなこと‥‥?」

「三毛猫の守護の神様は三毛猫パワーでエネルギーを保っているのですにゃ。

三毛猫を愛する心ですにゃ。

つまり、三毛猫をきっかけに憎しみを植え付ければ、守護の力もなり強くなりますにゃ」

「あなたが、黒幕?」

「黒幕に助けられているのは、わたちの方ですにゃ」



「よくわからないけど、倒すしかない」

 きえと俺は剣を抜いた。

 だけど、あの巨大な怪物に勝てるのかな?

 剣を振り回すことしかしてない俺に‥‥。



 きえと俺で戦うも、勝てそうにない。

 俺は、勝たなきゃ‥‥。

 死にたくない。

 ここで、倒れるわけにはいかない‥‥。

 倒れたら、終わりなんだよ。

 許さない、今まで人を騙して、ありもしない幻覚を見せて‥‥。

 よくわからなくても、そんなことのために猫はいない‥‥。

「三毛猫は、憎しみを植え付けるきっかけを作るものじゃない!

人を騙すための道具でもない!

人々の心を救うための癒しだ!」

 俺が叫んだ瞬間、剣から光がさした。



「これは‥‥?」

「ただの剣じゃないのかも。

重扉、正義って思う言葉を叫んでみてよ」



「俺はここにきてそんなたってないけど、

三毛猫が誘拐されてみんな落ち込んでいた。

そんなの‥‥やっちゃいけないの。



三毛猫は利用するんじゃない。

俺、怒っているから‥‥



俺は勝たなきゃいけない!

前に進むためにも!みんなのためにも!

ここは負けるためじゃない。



守りたいんだよ‥‥。この世界を!」



 その瞬間、俺の持っている剣から眩しいくらいの光がさした。

「眩しい」

  怪物たちが一斉に目を隠す。

「今だよ!」

 俺は光輝く剣で怪物たちの方へ振るった。



「ぐああああああああ」

 怪物たちが一斉に光となり、天井から「にゃーー」と次々三毛猫が落ちてきて、空から落っこちた‥‥。



「三毛猫が落ちてるよ‥‥!」

「大丈夫、本物の三毛猫たちが元の世界に帰るだけだから」

「本当か?」

「うん、大丈夫、信じて」

 いまいち、信じられない‥‥。



「よくも、部下たちをみんなやってくれたにゃ」

「ミッケ?」

「あたちは、ミッケにゃ。

それと同時に三毛猫刈り隊のボス、事件の黒幕にゃ」

「三毛猫が黒幕?」

「正式には三毛猫ではないにゃ。

正体を見せてあげるにゃ。はあああああああ」



 三毛猫のミッケが本当の姿を見せた。

「あなたは‥‥」

 きえが何故か青ざめていた。

 その姿とは‥‥。
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