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番外編 三毛猫を愛する者たちへ 第2章

第7話

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「ママ‥‥」

「ママから逃げられると思ったかしら?」

 

 三毛猫のミッケの正体は、菊ときえの母親である柊チューリップだったらしい。

 ミッケとマッケは三毛猫だけど人間の言葉を話せる。

 話せる理由は、ミッケとマッケは猫ではないから。

 マッケは怪物だったし、ミッケは人間だった。



「ママは知っていたのよ。

我が道具であるきえと菊の疾走をね。

だけど、ママがそのまま追いかけてもしょうがないから、

可愛い三毛猫のミッケに変身して、監視していたわけ」



「ママ、やめて‥‥」

「あなたたちは生まれた時からあたくしの物なんですのよ。

きえと菊は生まれた時から大切にするつもりだったわ。

菊はほうら‥‥」



 チューリップが指をパチンと鳴らすと、スモモはぼこぼこにされて、気絶しており、

 柊菊はリードのついた首輪をつけられていた。

「きえ、もうじきあなたもあたくしの物よ」

 チューリップが首輪のついたリードをきえに投げて、きえの首にはまった。

「きえ!」

「これで、あたくしの物よ。

きえ、忠誠は誓うかしら?」

「はい、ママ」

「よろしいわ。じゃあね、ぼうや」



 チューリップはきえと菊を連れて、姿を消した。

 俺はどうしていいのかわからなくなって、倒れているスモモを起こすことにした。

「スモモ!」

「重扉、ごめんね。

菊を守れなかった‥‥」

「君は何も悪くない」

「とにかく、三毛猫の守護の神様の正体もわかったんだし、

会いに行くよ」

「守護の神様って‥‥?」

「日常生活を人間世界で送っているから、人間世界にも向かい、連れていくの」

 

 とにかく、今、スモモは怪我をしている。

 怪我の完治が先だと思う。

 

 俺はスモモを引きずって、幻覚を見ている時には見えなかった、透明な階段をおりて、野呂井の家に連れていった。



「師匠、野呂井さん」

 俺は事情を話した。

「なるほどな」

「チューリップの過去を語るわね」



 野呂井から聞かされたのは、きえと菊は人間世界では行方不明扱いらしい。

 3歳と4歳の子供が行方不明になったことで、ニュースにもなったし、チューリップはママタレントでなくなった。

 きえと菊の姉はいるが、長女に関しては視界にもないらしい。

 

 スモモの姉も人間世界にいるらしい。

 スモモは女の子だけど、同じ性別の菊に恋愛感情を持っている。

 

 話を聞いた俺は

「まさか、自分の母親が黒幕なんて思わないよな」

「きずいていても、認めたくなかったかもしれん」

「ミッケは菊には急激な早さで懐いていたわ」

「スモモが目覚めたら、こやつの所に向かうのじゃ」

「どうして?」

「あの方が、三毛猫の守護だからよ。

三毛猫たちは解放されたけど、守護の神様がいなくては、菊もきえも救えない。

チューリップの手により、自身が守護の神様と言うことを忘れているのよ‥‥」

「まず、守護の神様が誰なのかわからなくては探しようもないよ」

「大丈夫よ‥‥。守護の神様の名前は‥‥」



 俺は聞いた瞬間、驚いた。

 まさか、奴が?そんなふうには見えないんだが‥‥。
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