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番外編 第2章

第1話

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 俺は夢を見た。 母さんと妹に会う夢。

「勝恋の気持ちにきずいてあげられなかった」と泣いている母さん。
 何だこれ?
 いつもの母さんと違う。
 しかも妹も大人びていて怖かった。

「お兄ちゃん、勝恋お姉ちゃんは繊細なの」

「姉貴は無表情だろ?」

「あたしも生きている時はそう思っていたの。
だけど違っていたの。
お姉ちゃんは何でも我慢しては自分の気持ちを言わない」

「きっと我慢させてしまったのね」と母さん。
「一番最初に生まれた子どもだから厳しくしてしまうの。
だけどあの子が一番弱かった。
だからいじめ殺しに殺されてしまった」

「お兄ちゃん、あたしたちは何もできないかもしれないけど」

「いじめ殺しなんかにも負けないで」

「殺人はどんな理由があっても」

 二人が声を揃えて「絶対にしては駄目よ」

「どんなに憎くてもその人を傷つけていいわけじゃない。
いじめをなくしたいならいろんな方法がある」と母さん。

「あぶきのやっていることはいじめをなくさない。
なくすどころか増やすだけ。
戦争が起こっていいわけない」

「だけど母さん、俺には止めれないよ」

「大丈夫よ。
納得しない人たちがいるし、あぶきのやることに誰も協力なんかしない。
あぶきのやることは政治命令でも何でもないし、いじめ殺しなんていつでもいるわけない。
あぶきのやり方に納得のいかないいじめ殺しが現れるはずよ」

「母さん、俺は耐えられない。
苗字は変えられてしまうし、姉貴のことはいまだにわからない。
姉貴も父さんが代わりにいなくなれば良かったんだ」

「お兄ちゃん、あたしたちのこと忘れちゃったの?
あたしたちが生きていた頃は重要なかんじではなかったよね」

「だとしても姉貴や父さんよりはまだいい。
とにかく3人で一緒に暮らしてみてわかったんだ。
姉貴と父さんにはもう会いたくない、顔も見たくない」

「いつかまた会えるわ」

「どうやって会うんだよ?」

「いじめ殺しのいない世界に戻れたらいいわよね。
そして離婚する時に勝恋だけに親権を譲れば良かったわね。
離婚するときに親権で揉めてそれで子ども3人引き取ったのよ」

「過去に戻りたい。 戻れるならそうしたい」

 陸野とは高校に入学してから出会った。
 それよりも先の過去に戻りたい。
 いじめ殺しなんてもう嫌だ。
 こんな悲劇二度と味わいたくない。

 頼む、夢から覚めないでくれ。
 覚めたとしても過去に戻った上で目覚めたい。

「この能力を、使うでない」
 一人の男の声がどこからかした。
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