71 / 173
5章 洗礼
70話 *夢
しおりを挟む
♦
あれからどれだけ時間が立ったのだろうか。晴柊はもはやされるがまま、言われるがままに言うことを聞いていた。反抗するほどの気力もなかった。若狭は後ろから晴柊を犯していた。バックは犯してる感があって興奮する、と、若狭は晴柊の細い腰を強くつかみ、思いのまま腰を振っていた。晴柊の泣きじゃくった顔が見れないのだけが残念である。
「ねぇ~。俺のものになる決心ついた?薊のこと捨てるって約束して?」
「お˝っ…ぁ˝んっ…あ、っ…」
若狭の言葉は聞こえていた。でも、晴柊は答えられなかった。それだけは、簡単に「うん」とは言えなかった。もしかしたら、琳太郎も誰も、自分のことを見つけ出してはくれないかもしれない。見つけてくれても、こんな姿を見られたら、幻滅されるかもしれない。それだとしても、自分の心だけは、琳太郎の傍にいたかった。脳が溶け切った状態でも、自分が一番欲しい言葉をくれない晴柊に、若狭は痺れを切らしたようにもう一本注射を取り出し、晴柊の首元に刺した。
「ひっ…!?…ぁ、…う、そ……やめっ…」
「答えない晴柊が悪いんじゃん。ねえ、そうでしょ?言えるまで一生薬漬けだからね。」
晴柊は先ほど打たれた薬の効果が切れていない短いスパンでの薬物注入に、身体が痛い程感じ始めているのがわかった。痛みすら快感に変換されるほど、神経がバカになっている。僅かに肌に指先が、シーツが、触れるだけで声が漏れる。目の前に火花が散った。だんだんと視界が歪み始める。ここが現実なのか、夢の中なのか、まるで間にいるような感覚に晴柊はボーっとし始めた。
「ありゃ、やりすぎちゃったかな。晴柊ちゃ~ん。ああ、トリップしてんね。でも、ケツマンコ締まって気持ちい~。」
若狭は後ろから付きながら、晴柊の顎を掴み顔を上に向けさせた。上から覗き込むようにして晴柊の目を見ると、失神寸前、目の焦点が合っていない。綺麗な顔を涙と涎でぐちゃぐちゃにし、犬の様に舌を出しっぱなしにしている晴柊を見て、若狭はナカのモノを大きく反応させた。
「ほら、晴柊。「景光さんのものにしてください。」って言って?はい、せーの。」
若狭がわざと最奥に一度、大きく突く。晴柊の声が漏れ、身体がしなった。足の甲がピンと張り、ぴくぴくと震えていた。
俺は、なんでここにいるんだっけ。今、自分とセックスしている人は誰だっけ。かげみつ?えっと…。
晴柊の目が虚ろになる。思考回路が完全に停止した、というよりは、考えればより辛くなる琳太郎の存在を意図的に消そうとしているようだった。
「……ぁ、んっ……あ゙ぁ……――に、シてェ……ぁ゙っんん…!」
晴柊は掠れた声で僅かに答えた。しかし、声が小さくてハッキリ聞こえない。晴柊は完全に意識を飛ばす寸前であった。もう一回、と促すようにぺちぺちと頬を叩き試しに腰を揺さぶってみるが、喘ぎ声が漏れ出るだけでそれ以上反応はなかった。晴柊はただ、涙を流し続け、口からはだらしなく涎を垂らしていた。
このまま薬物依存状態にして、自分から嫌でも離れられなくしてしまおう。薊琳太郎のことなんて忘れさせて、自分がいないと生きられない身体にしてやる。そうしたころに、そんな晴柊の様子を撮影でもして琳太郎に見せびらかしてやろう。若狭はそんなことを考えながら、晴柊を犯し続けていた。晴柊の精液は最早色もなく透明だった。射精しなくても尻でイき続ける晴柊の様子は、男とは思えなかった。
若狭は、錠剤タイプのクスリを3,4錠口に含み、飲み込んだ。愛用している薬物であった。若狭の思考回路が溶けていく。目の前の晴柊が余計に可愛く見えて仕方がなかった。壊さないように、殺さないように。必死で抑えながらも、お酒で酔っぱらう何倍も気持ちい身体の浮遊感に心を躍らせていた。晴柊の甘い声が音楽の様に若狭の頭に響いていく。自分が幾度となく出したものが、ピストンする度にアナから漏れ出るのを見て、若狭は笑い声を漏らすと、もう一度、ナカに射精してやろうと晴柊に圧し掛かったときだった。
カチャリ。
金属音が若狭の後頭部に鳴った。この空間には若狭と晴柊、2人しかいない「はず」。若狭は自分が出した音ではないと気付くと、薬物が回った頭でもすぐに現状を理解した。振り返ろうと身体を動かそうとしたとき、後ろから放たれる男の声がそれを制止した。
「勝手に動くな。この脳天に一発くれてやるぞ。……ああ、でも、今すぐにその汚くて仕方ねえもん抜いてくれるか。じゃないと、俺は今すぐお前をここで殺してしまいそうだ。それは困るんだよ。お前にはこの世で考えられる最高で最悪な死に方してもらわねえと、気が済まねえからな。わかったら早くその汚物を抜いて壁に向かって座れ。」
晴柊の僅かに残る意識の奥で、背後から琳太郎の声が聞こえた気がした。何を話ているかもわからないし、この声の主が琳太郎なのかもはっきりとはわからない。晴柊のナカからずるりとモノがなくなる感覚があり、先ほどまで腰を掴まれていた力も無くなったことで、支えるものが何もなくなった晴柊の身体は倒れこむようにして横になった。
晴柊の身体に、暖かい何かが被せられる。タバコと香水の匂い。ああ、琳太郎の匂いだ。これもまた夢なのだろう。なんて幸せな夢なんだ、と、晴柊は涙を一筋流しながら目を閉じた。
あれからどれだけ時間が立ったのだろうか。晴柊はもはやされるがまま、言われるがままに言うことを聞いていた。反抗するほどの気力もなかった。若狭は後ろから晴柊を犯していた。バックは犯してる感があって興奮する、と、若狭は晴柊の細い腰を強くつかみ、思いのまま腰を振っていた。晴柊の泣きじゃくった顔が見れないのだけが残念である。
「ねぇ~。俺のものになる決心ついた?薊のこと捨てるって約束して?」
「お˝っ…ぁ˝んっ…あ、っ…」
若狭の言葉は聞こえていた。でも、晴柊は答えられなかった。それだけは、簡単に「うん」とは言えなかった。もしかしたら、琳太郎も誰も、自分のことを見つけ出してはくれないかもしれない。見つけてくれても、こんな姿を見られたら、幻滅されるかもしれない。それだとしても、自分の心だけは、琳太郎の傍にいたかった。脳が溶け切った状態でも、自分が一番欲しい言葉をくれない晴柊に、若狭は痺れを切らしたようにもう一本注射を取り出し、晴柊の首元に刺した。
「ひっ…!?…ぁ、…う、そ……やめっ…」
「答えない晴柊が悪いんじゃん。ねえ、そうでしょ?言えるまで一生薬漬けだからね。」
晴柊は先ほど打たれた薬の効果が切れていない短いスパンでの薬物注入に、身体が痛い程感じ始めているのがわかった。痛みすら快感に変換されるほど、神経がバカになっている。僅かに肌に指先が、シーツが、触れるだけで声が漏れる。目の前に火花が散った。だんだんと視界が歪み始める。ここが現実なのか、夢の中なのか、まるで間にいるような感覚に晴柊はボーっとし始めた。
「ありゃ、やりすぎちゃったかな。晴柊ちゃ~ん。ああ、トリップしてんね。でも、ケツマンコ締まって気持ちい~。」
若狭は後ろから付きながら、晴柊の顎を掴み顔を上に向けさせた。上から覗き込むようにして晴柊の目を見ると、失神寸前、目の焦点が合っていない。綺麗な顔を涙と涎でぐちゃぐちゃにし、犬の様に舌を出しっぱなしにしている晴柊を見て、若狭はナカのモノを大きく反応させた。
「ほら、晴柊。「景光さんのものにしてください。」って言って?はい、せーの。」
若狭がわざと最奥に一度、大きく突く。晴柊の声が漏れ、身体がしなった。足の甲がピンと張り、ぴくぴくと震えていた。
俺は、なんでここにいるんだっけ。今、自分とセックスしている人は誰だっけ。かげみつ?えっと…。
晴柊の目が虚ろになる。思考回路が完全に停止した、というよりは、考えればより辛くなる琳太郎の存在を意図的に消そうとしているようだった。
「……ぁ、んっ……あ゙ぁ……――に、シてェ……ぁ゙っんん…!」
晴柊は掠れた声で僅かに答えた。しかし、声が小さくてハッキリ聞こえない。晴柊は完全に意識を飛ばす寸前であった。もう一回、と促すようにぺちぺちと頬を叩き試しに腰を揺さぶってみるが、喘ぎ声が漏れ出るだけでそれ以上反応はなかった。晴柊はただ、涙を流し続け、口からはだらしなく涎を垂らしていた。
このまま薬物依存状態にして、自分から嫌でも離れられなくしてしまおう。薊琳太郎のことなんて忘れさせて、自分がいないと生きられない身体にしてやる。そうしたころに、そんな晴柊の様子を撮影でもして琳太郎に見せびらかしてやろう。若狭はそんなことを考えながら、晴柊を犯し続けていた。晴柊の精液は最早色もなく透明だった。射精しなくても尻でイき続ける晴柊の様子は、男とは思えなかった。
若狭は、錠剤タイプのクスリを3,4錠口に含み、飲み込んだ。愛用している薬物であった。若狭の思考回路が溶けていく。目の前の晴柊が余計に可愛く見えて仕方がなかった。壊さないように、殺さないように。必死で抑えながらも、お酒で酔っぱらう何倍も気持ちい身体の浮遊感に心を躍らせていた。晴柊の甘い声が音楽の様に若狭の頭に響いていく。自分が幾度となく出したものが、ピストンする度にアナから漏れ出るのを見て、若狭は笑い声を漏らすと、もう一度、ナカに射精してやろうと晴柊に圧し掛かったときだった。
カチャリ。
金属音が若狭の後頭部に鳴った。この空間には若狭と晴柊、2人しかいない「はず」。若狭は自分が出した音ではないと気付くと、薬物が回った頭でもすぐに現状を理解した。振り返ろうと身体を動かそうとしたとき、後ろから放たれる男の声がそれを制止した。
「勝手に動くな。この脳天に一発くれてやるぞ。……ああ、でも、今すぐにその汚くて仕方ねえもん抜いてくれるか。じゃないと、俺は今すぐお前をここで殺してしまいそうだ。それは困るんだよ。お前にはこの世で考えられる最高で最悪な死に方してもらわねえと、気が済まねえからな。わかったら早くその汚物を抜いて壁に向かって座れ。」
晴柊の僅かに残る意識の奥で、背後から琳太郎の声が聞こえた気がした。何を話ているかもわからないし、この声の主が琳太郎なのかもはっきりとはわからない。晴柊のナカからずるりとモノがなくなる感覚があり、先ほどまで腰を掴まれていた力も無くなったことで、支えるものが何もなくなった晴柊の身体は倒れこむようにして横になった。
晴柊の身体に、暖かい何かが被せられる。タバコと香水の匂い。ああ、琳太郎の匂いだ。これもまた夢なのだろう。なんて幸せな夢なんだ、と、晴柊は涙を一筋流しながら目を閉じた。
応援ありがとうございます!
10
お気に入りに追加
1,666
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる