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序章
睡眠、それは思考停止の手段
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周りの学友が自分の道を決めていく中、まるで自分だけが取り残される様に、何も決められないでいた。
ある者は専門学校に行きパティシエを、料理人を目指すと言う。
またある者は大学へ行き、文学の世界を、ITの世界を学び、その分野を修めると言う。
では自分はどうか。
何かやりたいことは無いのかと考えた時、ゲームを作りたいなんて考えた。けれど、その道の専門学校へ通うも、結局は全く関係の無い仕事に就いたという親戚の話を聞いた時、自分にも無理だ、きっと同じ道を辿ると決め付け、専門学校を諦めた。
では大学はどうかと考えると、学びたい事が無いという事に気がついた。ゲームを作りたいと考えたのだから、情報系の大学に進めば良いではないかと安易に考えてはいけないらしい。SEやSIer等の職種には向いているかもしれないが、ゲーム業界への就職は困難を極めると言う。そもそも、SEにはなりたくない。
では文系の大学へと進むかと問われると、自分は理系である以上文系には進まないと答える。
ここでまた自分のやりたいことを考え始めると、再び同じ思考を辿る。結果、答えが出せなくなってしまう。それに本気でゲームが作りたいかと言うと、別段そんな風にも思わない。勿論興味はあるのだが、それだけだ。
「……だるい」
自室のベッドに横たわりながら、誰にともなく呟いてみる。言葉にしてみると不思議なもので、体調不良というわけでもないはずなのに、本当に身体がだるく、重たく感じる様に思えてくる。
将来について考える事程、今の自分には苦しいものは無いのではないのか。何故将来なんてあるんだ、なんで自分は生きているんだ、なんで自分は生まれてきたんだ、なんで自分はこんなにも無気力なんだ。
考えれば考えるほど悪い事ばかり考える自分に嫌気がさすが、だからと言って今直ぐに明るいことを考えるのもまた、自分には無理な話だった。
こうしてまた一日一日を無意味に過ごす春休み、本来ならばある程度進路の方向性は決めておかなければならない故、焦りが自信を苛む。
そんな時、現実から目をそらす様にある事を考える様になったのは、この春休みに入ってからのことだった。
『異世界』
科学が異様なほど発展したSFや、剣や魔法が蔓延るファンタジー等、とにかく現実世界では在り得ない物が当たり前のように存在する異世界に行くことが出来たなら。
きっと受験戦争なんてものもない、就職活動なんてものもない、社会という鎖に雁字搦めにされて動けなくなることもない、本当の自由が待っているのではないのか。
そんな都合の良いことばかりを考える。
当然異世界なんてもの存在する筈もなく、もし仮に存在しても、行くことなんて出来やしない。もし神様が存在して願いを叶えてもらい異世界に行こうとも、本当に自由の中を生きていくことなんて出来るはずがないのだ。異世界にだって、その場に暮らす人々の生活がある。その中で生きていくのなら、向こうの人達に合わせるしか無い。
「バカバカしい、か」
そもそも異世界なんて存在しないのだから、こんなことを真面目に考えた所で意味が無い。
けれど、異世界が実在し、そこに行くことが叶ったのならば、今の自分からほんの少しでも変わることが出来るのだろうか。
そんな「もしも」を考えては否定し、そしてまた考える。
一度考え始めると進路の事も忘れ、異世界ばかりが思考を支配する。
進路のことを考えるはずが、異世界の事を考える。これでは駄目だとわかっているが、思考は元に戻らない。そういう時は寝るに限る。
一度眠って思考を停止させれば、また進路について考える始める事が出来る。
何もしていないはずなのに疲れた。
今日この時が、地球で過ごす最後の時となるのだが、当然ながら今の俺――筧亮には知る由もない。
もしもこの時の自分に言葉を残せるのなら、異世界なんて、やはり妄想だけに留めておくべきだと残しただろう。
まさか、待っているのが現実以上の苦痛だなんて、知らなくて済むのだから。
ある者は専門学校に行きパティシエを、料理人を目指すと言う。
またある者は大学へ行き、文学の世界を、ITの世界を学び、その分野を修めると言う。
では自分はどうか。
何かやりたいことは無いのかと考えた時、ゲームを作りたいなんて考えた。けれど、その道の専門学校へ通うも、結局は全く関係の無い仕事に就いたという親戚の話を聞いた時、自分にも無理だ、きっと同じ道を辿ると決め付け、専門学校を諦めた。
では大学はどうかと考えると、学びたい事が無いという事に気がついた。ゲームを作りたいと考えたのだから、情報系の大学に進めば良いではないかと安易に考えてはいけないらしい。SEやSIer等の職種には向いているかもしれないが、ゲーム業界への就職は困難を極めると言う。そもそも、SEにはなりたくない。
では文系の大学へと進むかと問われると、自分は理系である以上文系には進まないと答える。
ここでまた自分のやりたいことを考え始めると、再び同じ思考を辿る。結果、答えが出せなくなってしまう。それに本気でゲームが作りたいかと言うと、別段そんな風にも思わない。勿論興味はあるのだが、それだけだ。
「……だるい」
自室のベッドに横たわりながら、誰にともなく呟いてみる。言葉にしてみると不思議なもので、体調不良というわけでもないはずなのに、本当に身体がだるく、重たく感じる様に思えてくる。
将来について考える事程、今の自分には苦しいものは無いのではないのか。何故将来なんてあるんだ、なんで自分は生きているんだ、なんで自分は生まれてきたんだ、なんで自分はこんなにも無気力なんだ。
考えれば考えるほど悪い事ばかり考える自分に嫌気がさすが、だからと言って今直ぐに明るいことを考えるのもまた、自分には無理な話だった。
こうしてまた一日一日を無意味に過ごす春休み、本来ならばある程度進路の方向性は決めておかなければならない故、焦りが自信を苛む。
そんな時、現実から目をそらす様にある事を考える様になったのは、この春休みに入ってからのことだった。
『異世界』
科学が異様なほど発展したSFや、剣や魔法が蔓延るファンタジー等、とにかく現実世界では在り得ない物が当たり前のように存在する異世界に行くことが出来たなら。
きっと受験戦争なんてものもない、就職活動なんてものもない、社会という鎖に雁字搦めにされて動けなくなることもない、本当の自由が待っているのではないのか。
そんな都合の良いことばかりを考える。
当然異世界なんてもの存在する筈もなく、もし仮に存在しても、行くことなんて出来やしない。もし神様が存在して願いを叶えてもらい異世界に行こうとも、本当に自由の中を生きていくことなんて出来るはずがないのだ。異世界にだって、その場に暮らす人々の生活がある。その中で生きていくのなら、向こうの人達に合わせるしか無い。
「バカバカしい、か」
そもそも異世界なんて存在しないのだから、こんなことを真面目に考えた所で意味が無い。
けれど、異世界が実在し、そこに行くことが叶ったのならば、今の自分からほんの少しでも変わることが出来るのだろうか。
そんな「もしも」を考えては否定し、そしてまた考える。
一度考え始めると進路の事も忘れ、異世界ばかりが思考を支配する。
進路のことを考えるはずが、異世界の事を考える。これでは駄目だとわかっているが、思考は元に戻らない。そういう時は寝るに限る。
一度眠って思考を停止させれば、また進路について考える始める事が出来る。
何もしていないはずなのに疲れた。
今日この時が、地球で過ごす最後の時となるのだが、当然ながら今の俺――筧亮には知る由もない。
もしもこの時の自分に言葉を残せるのなら、異世界なんて、やはり妄想だけに留めておくべきだと残しただろう。
まさか、待っているのが現実以上の苦痛だなんて、知らなくて済むのだから。
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