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しおりを挟む「クリスティーナ様…の……父?」
つい、声に出してしまった。
それを聞いた男が眉を顰める。
「お前…あいつクリスティーナの知り合いなのか。まぁ、あいつは元から変わったものが好きだからなぁ…」
最悪な可能性が確定してしまった。私の胸が痛む。きっと、変わったものとはウメのことだろう。
その男は、私の顔を見てニヤっと笑った。
「まぁ……俺の娘が王子の心を掴んでいればこんな事はしなかったがな」
「何も知らないで…!」
「ああ、何も知らないさ!!私にとって、あいつは妻がくれたただの駒であり、私の妻を殺した復讐相手むすめだからな!!」
男の声が部屋中に響く。
狂ってる、こいつは根本から狂っているんだ。そう、思うしかない。
「お前を殺したら、アイツは苦しむか?」
そう言う男の声は、狂気に満ちていた。
「は?」
「私の大事な妻を殺したんだ。アイツの大事なものを殺してもいいだろう?最も大事なにしているものは、王家に見られていてどうにも出来ないからなぁ…!」
そう言う侯爵の目に光は無かった。きっと、駄目な所を突いてしまったのだろう。
漏れ出て止まらない狂気は大層グロいものだ。逆に、ここまでストップされていた事に関心する。
男が感情のままに動こうとしたその時、後ろで「ぐえっ」と叫び声が聞こえた。
叫び声の方を見ると、先輩達が私を連れてきた男を倒していた。
「リン…!大丈夫か!?」
そう言って二人とも駆けてきてくれる。
「大丈夫です。まだ何もされてません」
先輩達が来ていなかったら危なかったかもしれないが。
「こいつが、俺達の上の野郎…!」
「私の友人の父でした」
「「は?嘘だろ?」」
「嘘であってほしいものですけどね」
本当にそうであってほしい。きっと、この事が世間に出るとクリスティーナの地位は無くなる。
あんなに…頑張っていたクリスティーナの。
「とりあえず、引くぞ…!リン」
「そうだ、ここに居るとリンちゃんが危ない。黒幕が分かったことだし、逃げよう」
そう言った先輩が手を引いてくれたその時
「え…」
目の前が暗転した。
◇
意識が戻った私がいたのは、質素でまあまあ綺麗な部屋だった。
軽く身動きをしてみるが、手に錠がついているようであまり上手く身動きが取れない。
「あ、起きたか」
声のする方を向くと、リュカ先輩とレイジ先輩がいた。
「先輩……」
「あまり動くなよ。今動くと体に響やすいからな」
「いやー、でも見事に失敗したなぁ、リュカ」
「本当にそうだ。リンに先輩としての面を立てられねぇよ。」
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