9 / 27
Heaven's Gate
哀の勾玉(上) ~Since 2014~
しおりを挟む
美しい、勾玉だった。
そして、大きな勾玉だった。
「これは……?」
持ち込んだ人物──関西にある考古学博物館の学芸員だと名乗ったその男に問いかける従弟──十河と、この家の主の息子である豪流の隣で、雷月はそっと、その勾玉に左手を伸ばす。
とたん、室内にもかかわらず、周囲に突風が巻き起こった。
飾られていた調度品が倒れ、吹き飛び、嫌な音が至る所で響き渡る。
「ライッ!」
「すまんッ! トーガ」
尻餅をつきながら非難の声を上げる十河に口だけで謝罪をしつつ、雷月は伸ばした手を握り、そして、掴んだ。
「え……」
ぎょっと空中を見つめる十河と豪流と学芸員。
視線の先──否、雷月の握った左手の先に、一人のうら若い、女性の姿があった。
ふわりと揺らめく衣装は古風であり──また、彼女自身も半分透けて向こうが見えることから、彼女がこの世のものではないことは、明らかだった。
ジッと雷月の黒い左目が、彼女を捉える。
警戒する雷月の左目の虹彩が、じんわりと金色を帯びて、瞳孔が縦に伸び──。
『きゃああああああああああああッ! 化物ッ!』
つんざくような悲鳴で女性が叫んだとたん、再度、突風が周囲を襲った。
雷月は吹き飛ばされ、背後の障子戸もろとも、庭に投げ出される。
「っ痛ぅ……」
くらくらと揺れる視界。
しかし、つとめて冷静に、雷月は室内にいるであろう二人に向かって叫んだ。
「タケル! トーガッ! 勾玉は?」
「え……あーッ!」
十河の答えを最後まで聞かなくとも、事態を察して雷月は舌打ちする。
「スマン、ライ! 逃げられた!」
雷月は目を細め、小さくため息を吐いた。
目の前は、雲一つない青空で──。
「バケモノ……か……」
若い頃……約十年前に切断し肘上までしか残されていない右腕をも使いつつ、ゆっくりと時間をかけて起き上がりながら、忌々しげに雷月は呟く。
左手で苛々と、頭をぐしゃぐしゃと掻いた。
「自分だって、人間じゃないクセに……」
◆◇◆
「さて、どうしよう」
勾玉を遺失物として警察に届け出た後、喫茶店に入った雷月と十河は、お互い向かい合いコーヒーカップを片手に小さくため息を吐いた。
ぐちゃぐちゃになった応接間の片づけは、申し訳ないと思いつつも留守番の豪流に丸投げして来た。
顔に大きな傷のある、片腕の無い男──と、悪目立ちする雷月の見た目のせいで、客の少ない時間帯とはいえ視線が痛い。
「まぁ、修司のおっちゃんには、まず間違いなく、怒られるな」
もう笑うしかない。とばかりの態度で、十河は両手を上げた。
部屋の惨状を思い出し、雷月も左手で顔を覆って、頭を抱える。
幼い頃から──それこそ、記憶にないほど昔からああいったモノと相対していたらしい雷月からしてみれば、本当に、近年稀に見る盛大な失敗だと、猛省するしかない。
「まぁ、起きたことは仕方ない。おっちゃんが帰ってくるまでに、なんとかしたいところだが……」
コホン、と、十河が小声で問う。
「ところであの勾玉、一体何なんだ?」
「……知らずに同席してたのか」
能天気に笑って誤魔化す従弟に、雷月は呆れてがっくりと項垂れた。
「親父殿が、主を失って、行き場を失った式神たちに、次の主の斡旋の協力をしているのは、知っているだろう?」
うんうん、と、十河がうなずく。
親父殿、と、雷月が呼んでいるのは、豪流の父親であり、西塔修司という名の、神社の宮司だ。
雷月や十河の父親と懇意の仲で、彼らが亡くなってからは、二人にとって、父親代わりをしてくれていた。また、幼なじみの神薙安曇にとっては、養父に当たる。
前述の通り表向きは、極めて温厚そうな神社の宮司だが、西塔流古武術の師範であり、また、最近は引退気味とはいえ、若い頃から名をはせた、腕の良い陰陽師でもあった。
秘密結社『天国の門』。そこに所属する二十二人の異能の戦士。その一人、コードネーム『悪魔』の名を、始めて冠した男として、そのテの裏の世界では、有名人である。
そんな彼の元に持ち込まれたあの勾玉は、大阪府と奈良県の県境にある、二上山周辺で出土したと、雷月は聞いていた。
鶏の卵くらいの大きさの、平べったい、翡翠の勾玉。
出土してからというもの、保管してある棚が突然揺れる、保管ケースのガラスが割れる等の怪異が続き、不気味である──ということは勿論なのだが、同じ場所に保管してある別の出土した貴重な品々が危険である──ということで相談を受け、怪異の原因の調査のため修司の元へ持ち込まれることとなった。
もっとも、先方との約束のその前日、修司当人は至急の用件で泊まり込みで出かけてしまい、代理で雷月が応対することになったのだが。
「っつーことは、なんだ。アレは、勾玉の付喪神か?」
「いや、親父殿はその可能性が高いと踏んでいたようだが……」
言葉を濁す雷月に、「違うのか?」と、十河は問う。
「うん、違う。アレは、魂の欠片……確かに幽霊に近いモノだが、厳密には、幽霊と呼べるほど、はっきりとした目的意思を持たない、太古の人間の、残留思念の塊だ」
長い黒髪を結い、ひらひらとした色鮮やかな衣装は、まるで、高松塚古墳に描かれた壁画の女性か、さながら、物語の天女のようで。
「………………」
女性の悲鳴と、「化物!」という言葉を思い出して、思わず雷月は黙り込んだ。
自分で思っていた以上に、精神的にダメージが入っていたらしい。
「残留思念なら、そのうち力尽きて消えるんじゃねーの? 相当、古い時代の人間っぽいし」
「まぁ、そうだろうが……」
眉間にしわを寄せる雷月に、「まだ何かあるのか?」と、従弟は飲みきった自分と雷月のカップを一つのトレイにまとめ、食器を返却する準備を始めた。
「ああ。気になることがあってな……」
雷月が目を細める。
黒く長い前髪の間からのぞく黒い瞳は、ほんのりと金色がかっていた。
◆◇◆
『はあ……困りました……』
女の深い吐息は、少し涼しくなりかけた秋風に溶けて消えた。
気がつくと目の前にいた、ヒトの姿をした恐ろしい化物から慌てて逃げ出して、方向も場所もわからぬことに、ふと気がついて、いまここに。
周囲には見たことが無いほど高い──それこそ、自分が派遣された神殿が、とても小さく思えるほど巨大な建築物に囲まれ、その下を、せわしなく人が歩いている。
声をかけるも、自分の存在に、気がつく者はいない。
『ここは、いったい、どこなのでしょう?』
ぼんやりと立ち尽くしたまま、途方に暮れた。
私は、ただ……。
『私はただ一目、弟の姿を見たいだけですのに……』
◆◇◆
「大昔の女の……」
「幽霊……ですか?」
片や高そうなスーツをだらしなく着こなし、片やシンプルなスーツをきっちりと着こなす、正反対の印象を受ける二人。
「そ。見かけてない? お前ら」
常人なら、一瞬耳を疑い、返答に困るような十河の質問を、二人は特に気にした様子も無く、首を横に振って答えた。
「正確には、残留思念……なのだが」
雷月の訂正に、思わず小柄で真面目な方がぼそりと呟く。
「すみません兄さん……その違いが、オレたちにはちょっと判断できません……」
「っていうかさー、そのテの話ならさー、オレらより、もっと適任者がいると思うんだけど」
それはそうだが……と、十河はため息を吐いた。
小早川青春と白秋兄弟。二人とも警視庁所属の刑事であり、十河にとって、雷月が父方の従兄なら、この二人は母方の従弟にあたる。
喫茶店を出たところで、二人にばったりと遭遇し、事の顛末を話したところであった。
「確かに、安曇の方が適任といえば適任なんだが……」
「諸々の事情はあるけど、一番はアイツ呼び出すと、もれなくウチの母がついてきそうな予感がするから、今回はパス!」
ぶるりと、十河が肩を震わせた。
十河の母、三剣慧羅警部は、安曇の直属の上司にあたり、あと一年ほどで定年を迎える、捜査一課のベテランである。
現在は何とか司法試験に合格し、弁護士として働いている十河だが、過去に浪人と留年を何度も繰り返したため、大変肩身が狭く、今でも頭があがらない相手であった。
もっとも、修復不可能なほど仲が悪いというわけでは、決してないのだが。
「まぁ、遺失物として登録してすぐ、そうそう簡単に見つかるモノではないかと……」
「だよなぁ……」
生真面目な青春の言葉に、十河はため息を吐いた。
後片付けをしながら、家で待っているであろう豪流に、早く吉報をもたらせてやりたかったが──。
「なかなかうまくいかないモノだな……」
左手で頭をガシガシとかきながら、雷月も肩を落とした。
そして、大きな勾玉だった。
「これは……?」
持ち込んだ人物──関西にある考古学博物館の学芸員だと名乗ったその男に問いかける従弟──十河と、この家の主の息子である豪流の隣で、雷月はそっと、その勾玉に左手を伸ばす。
とたん、室内にもかかわらず、周囲に突風が巻き起こった。
飾られていた調度品が倒れ、吹き飛び、嫌な音が至る所で響き渡る。
「ライッ!」
「すまんッ! トーガ」
尻餅をつきながら非難の声を上げる十河に口だけで謝罪をしつつ、雷月は伸ばした手を握り、そして、掴んだ。
「え……」
ぎょっと空中を見つめる十河と豪流と学芸員。
視線の先──否、雷月の握った左手の先に、一人のうら若い、女性の姿があった。
ふわりと揺らめく衣装は古風であり──また、彼女自身も半分透けて向こうが見えることから、彼女がこの世のものではないことは、明らかだった。
ジッと雷月の黒い左目が、彼女を捉える。
警戒する雷月の左目の虹彩が、じんわりと金色を帯びて、瞳孔が縦に伸び──。
『きゃああああああああああああッ! 化物ッ!』
つんざくような悲鳴で女性が叫んだとたん、再度、突風が周囲を襲った。
雷月は吹き飛ばされ、背後の障子戸もろとも、庭に投げ出される。
「っ痛ぅ……」
くらくらと揺れる視界。
しかし、つとめて冷静に、雷月は室内にいるであろう二人に向かって叫んだ。
「タケル! トーガッ! 勾玉は?」
「え……あーッ!」
十河の答えを最後まで聞かなくとも、事態を察して雷月は舌打ちする。
「スマン、ライ! 逃げられた!」
雷月は目を細め、小さくため息を吐いた。
目の前は、雲一つない青空で──。
「バケモノ……か……」
若い頃……約十年前に切断し肘上までしか残されていない右腕をも使いつつ、ゆっくりと時間をかけて起き上がりながら、忌々しげに雷月は呟く。
左手で苛々と、頭をぐしゃぐしゃと掻いた。
「自分だって、人間じゃないクセに……」
◆◇◆
「さて、どうしよう」
勾玉を遺失物として警察に届け出た後、喫茶店に入った雷月と十河は、お互い向かい合いコーヒーカップを片手に小さくため息を吐いた。
ぐちゃぐちゃになった応接間の片づけは、申し訳ないと思いつつも留守番の豪流に丸投げして来た。
顔に大きな傷のある、片腕の無い男──と、悪目立ちする雷月の見た目のせいで、客の少ない時間帯とはいえ視線が痛い。
「まぁ、修司のおっちゃんには、まず間違いなく、怒られるな」
もう笑うしかない。とばかりの態度で、十河は両手を上げた。
部屋の惨状を思い出し、雷月も左手で顔を覆って、頭を抱える。
幼い頃から──それこそ、記憶にないほど昔からああいったモノと相対していたらしい雷月からしてみれば、本当に、近年稀に見る盛大な失敗だと、猛省するしかない。
「まぁ、起きたことは仕方ない。おっちゃんが帰ってくるまでに、なんとかしたいところだが……」
コホン、と、十河が小声で問う。
「ところであの勾玉、一体何なんだ?」
「……知らずに同席してたのか」
能天気に笑って誤魔化す従弟に、雷月は呆れてがっくりと項垂れた。
「親父殿が、主を失って、行き場を失った式神たちに、次の主の斡旋の協力をしているのは、知っているだろう?」
うんうん、と、十河がうなずく。
親父殿、と、雷月が呼んでいるのは、豪流の父親であり、西塔修司という名の、神社の宮司だ。
雷月や十河の父親と懇意の仲で、彼らが亡くなってからは、二人にとって、父親代わりをしてくれていた。また、幼なじみの神薙安曇にとっては、養父に当たる。
前述の通り表向きは、極めて温厚そうな神社の宮司だが、西塔流古武術の師範であり、また、最近は引退気味とはいえ、若い頃から名をはせた、腕の良い陰陽師でもあった。
秘密結社『天国の門』。そこに所属する二十二人の異能の戦士。その一人、コードネーム『悪魔』の名を、始めて冠した男として、そのテの裏の世界では、有名人である。
そんな彼の元に持ち込まれたあの勾玉は、大阪府と奈良県の県境にある、二上山周辺で出土したと、雷月は聞いていた。
鶏の卵くらいの大きさの、平べったい、翡翠の勾玉。
出土してからというもの、保管してある棚が突然揺れる、保管ケースのガラスが割れる等の怪異が続き、不気味である──ということは勿論なのだが、同じ場所に保管してある別の出土した貴重な品々が危険である──ということで相談を受け、怪異の原因の調査のため修司の元へ持ち込まれることとなった。
もっとも、先方との約束のその前日、修司当人は至急の用件で泊まり込みで出かけてしまい、代理で雷月が応対することになったのだが。
「っつーことは、なんだ。アレは、勾玉の付喪神か?」
「いや、親父殿はその可能性が高いと踏んでいたようだが……」
言葉を濁す雷月に、「違うのか?」と、十河は問う。
「うん、違う。アレは、魂の欠片……確かに幽霊に近いモノだが、厳密には、幽霊と呼べるほど、はっきりとした目的意思を持たない、太古の人間の、残留思念の塊だ」
長い黒髪を結い、ひらひらとした色鮮やかな衣装は、まるで、高松塚古墳に描かれた壁画の女性か、さながら、物語の天女のようで。
「………………」
女性の悲鳴と、「化物!」という言葉を思い出して、思わず雷月は黙り込んだ。
自分で思っていた以上に、精神的にダメージが入っていたらしい。
「残留思念なら、そのうち力尽きて消えるんじゃねーの? 相当、古い時代の人間っぽいし」
「まぁ、そうだろうが……」
眉間にしわを寄せる雷月に、「まだ何かあるのか?」と、従弟は飲みきった自分と雷月のカップを一つのトレイにまとめ、食器を返却する準備を始めた。
「ああ。気になることがあってな……」
雷月が目を細める。
黒く長い前髪の間からのぞく黒い瞳は、ほんのりと金色がかっていた。
◆◇◆
『はあ……困りました……』
女の深い吐息は、少し涼しくなりかけた秋風に溶けて消えた。
気がつくと目の前にいた、ヒトの姿をした恐ろしい化物から慌てて逃げ出して、方向も場所もわからぬことに、ふと気がついて、いまここに。
周囲には見たことが無いほど高い──それこそ、自分が派遣された神殿が、とても小さく思えるほど巨大な建築物に囲まれ、その下を、せわしなく人が歩いている。
声をかけるも、自分の存在に、気がつく者はいない。
『ここは、いったい、どこなのでしょう?』
ぼんやりと立ち尽くしたまま、途方に暮れた。
私は、ただ……。
『私はただ一目、弟の姿を見たいだけですのに……』
◆◇◆
「大昔の女の……」
「幽霊……ですか?」
片や高そうなスーツをだらしなく着こなし、片やシンプルなスーツをきっちりと着こなす、正反対の印象を受ける二人。
「そ。見かけてない? お前ら」
常人なら、一瞬耳を疑い、返答に困るような十河の質問を、二人は特に気にした様子も無く、首を横に振って答えた。
「正確には、残留思念……なのだが」
雷月の訂正に、思わず小柄で真面目な方がぼそりと呟く。
「すみません兄さん……その違いが、オレたちにはちょっと判断できません……」
「っていうかさー、そのテの話ならさー、オレらより、もっと適任者がいると思うんだけど」
それはそうだが……と、十河はため息を吐いた。
小早川青春と白秋兄弟。二人とも警視庁所属の刑事であり、十河にとって、雷月が父方の従兄なら、この二人は母方の従弟にあたる。
喫茶店を出たところで、二人にばったりと遭遇し、事の顛末を話したところであった。
「確かに、安曇の方が適任といえば適任なんだが……」
「諸々の事情はあるけど、一番はアイツ呼び出すと、もれなくウチの母がついてきそうな予感がするから、今回はパス!」
ぶるりと、十河が肩を震わせた。
十河の母、三剣慧羅警部は、安曇の直属の上司にあたり、あと一年ほどで定年を迎える、捜査一課のベテランである。
現在は何とか司法試験に合格し、弁護士として働いている十河だが、過去に浪人と留年を何度も繰り返したため、大変肩身が狭く、今でも頭があがらない相手であった。
もっとも、修復不可能なほど仲が悪いというわけでは、決してないのだが。
「まぁ、遺失物として登録してすぐ、そうそう簡単に見つかるモノではないかと……」
「だよなぁ……」
生真面目な青春の言葉に、十河はため息を吐いた。
後片付けをしながら、家で待っているであろう豪流に、早く吉報をもたらせてやりたかったが──。
「なかなかうまくいかないモノだな……」
左手で頭をガシガシとかきながら、雷月も肩を落とした。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる