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20. 三ヶ月ぶりの夜 ※
ぷるんとまろび出た白い膨らみが、外気に触れる。
まだ触れてすらいないのに、先端はすでにぷっくりと勃ち上がっていた。
アイゼルは手で下から乳房を掬い上げると、胸元に顔を寄せ、その桃色の尖りを遠慮なく口に含み始めた。
「あっ……んんぅ……」
敏感な部分への愛撫によって、この三ヶ月の間感じることのなかった甘い刺激に身体が大きく反応する。
下半身が疼いてきて、リースベットは無意識に太ももを擦り合わせていた。
……アイゼル様はこのまま最後までするつもりなの……?
それは困る、とリースベットは即座に思った。
だから蕩けそうになる理性を奮い立たせ、再びアイゼルの胸を軽く叩いた。
「ア、アイゼル、さま……ダメです……やめて、ください」
「………三ヶ月ぶりなのに拒むのか?」
「それでも……ダメ、です……」
「なぜだ? そんなに嫌か?」
拒否の言葉は聞きたくないとばかりに、眉根を寄せたアイゼルはリースベットの乳首を責め立てる。
思わず快楽に流されそうになりつつも、リースベットはどうしても譲れないと、懇願するようにアイゼルを涙目で見上げた。
「その……入浴も、してなくて……あ、汗もいっぱいかいていて……き、汚くて臭い、から……」
だから嫌だ、恥ずかしい、とリースベットは首を横に振る。
「……なんだ、そんなことか」
するとアイゼルはあからさまに声に安堵を滲ませ、リースベットをギュッと抱きしめると、いきなり無防備な首筋に顔を埋めた。
そしてまるでクリスタのように鼻をくんくんとし始める。
「ひゃっ!?」
「大丈夫だ。汚くも臭くもない。むしろいい匂いがする」
ダンスを踊るなど身体を動かした後なのだから、絶対にそんなわけがない。
なのにアイゼルに嘘をついてる様子はなく、ごく真面目な顔である。
なんだかその姿が、「鍛錬後のハロルト様は物凄くいい匂いがする」とうっとり語るクリスタを思い起こさせた。
……でもあれは好きな人の匂いだから、クリスタは好ましく感じているはず、よね?
そんな余計な思考にリースベットが気を取られているうちに、アイゼルはというと、「だから問題ないだろ」と結論を下して行為を先に進めていく。
そのまま舌を首筋に這わせ、片手で胸を弄り、さらにもう片方の手でドレスの裾をたくし上げて内ももを怪しい手つきで撫で回し始めた。
「えっ……アイゼル、さま……!?」
「悪いが今日はゆっくり楽しむ余裕はなさそうだ。早くリースベットの中に挿れたい」
その宣言通り、アイゼルは秘所への愛撫もそこそこに、トラウザーズから己の滾りに滾った剛直を取り出す。
そして、リースベットの片脚を持ち上げると、すでに受け入れ態勢の整った濡れそぼる蜜口にあてがった。
「ああっ、んんっ……!」
アイゼルのモノが自身を埋めていく感覚に、リースベットは身体を震わせ、一際甘い声を漏らした。
抜き挿しされる度に、久しく感じていなかった甘美な痺れに全身を支配される。
足ががくがくしてきて、バランスを崩しそうになったリースベットは目の前の逞しい身体にギュッとしがみついた。
それにより密着度が増し、ますます奥深くを突かれる。
「ああっ……ダメ、おかしくなっちゃう……」
さらなる悦楽が押し寄せてきて、リースベットは生理的に溢れ出してくる涙で瞳を濡らした。
二人が繋がる結合部からは、耳を犯すようなグチョングチョンと淫靡な音も聞こえてきて、リースベットの羞恥心を激しく刺激してくる。
「……先程までは儚げで清楚な淑女だったのに、信じられないくらい淫らな顔をしてるな」
「いや……み、見ないで……」
「きっと王宮で君を見ていた者たちは驚くに違いない」
「アイゼル、さま……ぁんっ……」
「……もっともっと狂えばいい。君のその姿を見られるのは俺だけだ」
情欲に染まる瞳に見据えられ、ドキリとする。
それに、恥ずかしいことを言われて耳を塞ぎたい衝動に駆られているのに、その一方で自分でもなぜか分からないが、リースベットの心は喜びを感じていた。
胸が高鳴り、アイゼルを激しく求めるかのように、膣内がキュウッと締まる。
「………くっ」
苦しそうな表情で眉根を寄せたアイゼルは、リースベットの身体をきつく抱きしめて抽送を速める。
さらに呼吸すら奪うように口づけた。
「んっ、んっ、んぅ、んんっ……」
感じやすいところを集中的に突き上げられたリースベットは息も絶え絶えに、抑え切れない悦びの喘ぎを唇の隙間から漏らす。
アイゼルに必死にしがみついているうちに、次第に身体の奥底からはジワジワと熱いうねりが膨らんできた。
そしてズンと最奥を突かれた瞬間……
「……んんんっ!」
「……く……出るッ」
その膨らみきった快感が弾けて、リースベットはアイゼルの吐精と同時に絶頂を迎えた。
熱を逃すようにはぁはぁと肩で息をするリースベットは、この日いつもと違って高みに登り果てた後も意識を保っていた。
寝台の上ではなく、扉横の壁に立って寄りかかった状態であったため、そのまま寝落ちるのはマズイと理性が強く働いたのだろう。
徐々に正気に戻ってきた頭でそろりと自分の身体を見下ろせば、なんとも破廉恥な姿であり、カッと顔が熱くなる。
優美なドレスは目の当てようもないほどはだけ、胸元と脚は素肌を露出している。
しかもリースベットの秘所はアイゼルのモノをまだ呑み込んだままだ。
そこからぬるりとした愛液が滴り溢れ、白く滑らかな太ももをツゥと伝っている。
……恥ずかしい! 結局入浴もせずに行為に及んでしまったし……。こんな状態でアイゼル様に触れるなんて。
温かなアイゼルの腕の中はとても心地良く、いつまでも包まれていたい気持ちになるが、これ以上このままは耐えがたい。
「あ、あの、アイゼル様……?」
リースベットはアイゼルの様子を窺うように声を掛け、小さく身じろぎする。
しかし思いの外強くアイゼルに抱きしめられていて、まったく身動きがとれない。
今の自分は先程以上にさらに汗ばんでいて匂いも気になる。
……一刻も早く身を清めたいわ。
アイゼルから距離を取ろうと、リースベットは片手では乱れた胸元のドレスを直しながら、もう片方の手でアイゼルの胸を押した。
「……なぜ逃げようとしてるんだ?」
ところがその行動は逆効果だったらしい。
さらに強く抱きすくめられたかと思うやいなや、ひょいと身体ごとアイゼルに持ち上げられてしまった。
「きゃっ!?」
突然の浮遊感に反射的にアイゼルの首に腕を回してしがみついてしまう。
しかもリースベットは気づいてしまった。
一度果てたはずのアイゼルのモノが膣内で再び硬く大きくなっていることに。
……えっ? あの、これって……?
リースベットの動揺など知る由もないアイゼルは、まるで荷物を運ぶかのようにリースベットを抱き上げたまま寝室内を歩き出した。
そしてドサリと寝台の上に仰向けに寝かせると、挿入したままであった剛棒を一度引き抜く。
「……孕ませるにはまだ足りないな」
「えっ……?」
肉食獣を思わせる獰猛な眼差しと共に告げられたアイゼルの言葉に問い返した刹那、リースベットの身体は熱い硬直に一気に貫かれた。
「あぁぁ……ッ!」
先程達したばかりの火照った身体は再び与えられた甘美な刺激に実に正直だった。
すぐに快感を拾い始め、もはや身を清めたいという思いなど頭からすっかり抜け落ちる。
頬を上気させ、蕩けた顔をしたリースベットは、アイゼルにされるがまま、初めて経験する連続した情事に寝台の上で淫らに乱れた。
言うまでもなく、王宮舞踏会という緊張を強いられる一日を過ごした身体は疲労困憊だ。
二回目の行為が終わった時、当然のことながら、リースベットは眠気に抗うことができなかった。
そのまま気絶するように眠ってしまい……
……あら? 寝台? 私、さっきまで王宮にいたはずなのだけど……?
いつものように深夜に一度意識を浮上させる。
寝起きのぼんやりとした頭では状況が把握できず、記憶が錯誤していたが、次第に今夜の出来事が脳裏に蘇ってくる。
……そうだわ。王宮から公爵邸に戻ってくるなり、アイゼル様に寝室に連れられて。そして……。
はっきりと寝室で繰り広げられた情交を思い出し、リースベットは思わず顔を赤くした。
ドレスを着たまま立った状態で交わるなど、なんてはしたないことかと今更ながらに恥ずかしくなってくる。
しかもあのドレスは今夜の王宮舞踏会のためにわざわざ新調したオートクチュールだ。
伯爵家では手も出せないだろうお値段の高級品を、汚してしまっていないだろうかと不安が募る。
掛布を捲って今の状態を確認すれば、驚いたことにリースベットは一糸まとわぬ姿だった。
「えっ……」
記憶を遡ってみても、脱いだ覚えなどない。
ということは、リースベットが眠り落ちた後、この状態ではドレスが皺になるとでも思ってアイゼルが脱がしてくれたのだろう。
……だって寝台の上での行為の時も、私はドレスを着たままだったはずだものね……?
そこでリースベットはハッと息を呑む。
常ならぬ出来事が今夜起こった事実に意識が向いたからだ。
……初めてアイゼル様から二回目を求められたわ。
それは結婚してから初めてのことだった。
これまでのアイゼルは、子づくりのためにリースベットを義務的に一度抱くだけで、その後に満足できない鬱憤を晴らすよう自身を慰めていた。
それが今夜は二度も求められたのだから、少しはリースベットに好意を抱いてくれたのか、満足してくれたのか、と普通ならそう思いたくなることだろう。
しかしリースベットは冷静だった。
確かに結婚当初に比べれば、最近は目を合わせてくれるようになったし、ダブルデートにも付き合ってくれた。
アイゼルはリースベットに夫として歩み寄ろうとしてくれているのは間違いない。
ただ、だからといって楽観的な考えを抱くリースベットではなかった。
……きっと王宮舞踏会が終わったからだわ。当主の責務を果たすために子づくり再開ということね。
実際、アイゼルは二度目の行為に及ぶ時に「孕ませる」と口にしていた。
一刻も早く子を成すため、いつもより念入りにリースベットを抱いたのだろう。
……だから二回だったのよ。それよりも今日のアイゼル様はなんだか少し様子が違ったように思えたのだけれど、気のせいかしら……?
義務を果たすことをよほど急いでいるのか、実に性急で、獰猛で、激しかった。
いつも閨では、多少意地悪なところはあるが紳士的で優しいのに。
……たぶん三ヶ月ぶりで気が急いてらしたのね。王宮舞踏会でどなたかに後継者は早急に必要だと説かれたのかもしれないわ。
結局リースベットは、アイゼルの様子に対する違和感をそう結論づけた。
なにしろ二回目があったことを除けば、すべてはいつも通りなのだから。
リースベットは誰もいない寝台の隣に目を向けた。
寝室に隣接する浴室の扉の隙間からは、今宵もうっすらと中の灯りが漏れていたのだった。
まだ触れてすらいないのに、先端はすでにぷっくりと勃ち上がっていた。
アイゼルは手で下から乳房を掬い上げると、胸元に顔を寄せ、その桃色の尖りを遠慮なく口に含み始めた。
「あっ……んんぅ……」
敏感な部分への愛撫によって、この三ヶ月の間感じることのなかった甘い刺激に身体が大きく反応する。
下半身が疼いてきて、リースベットは無意識に太ももを擦り合わせていた。
……アイゼル様はこのまま最後までするつもりなの……?
それは困る、とリースベットは即座に思った。
だから蕩けそうになる理性を奮い立たせ、再びアイゼルの胸を軽く叩いた。
「ア、アイゼル、さま……ダメです……やめて、ください」
「………三ヶ月ぶりなのに拒むのか?」
「それでも……ダメ、です……」
「なぜだ? そんなに嫌か?」
拒否の言葉は聞きたくないとばかりに、眉根を寄せたアイゼルはリースベットの乳首を責め立てる。
思わず快楽に流されそうになりつつも、リースベットはどうしても譲れないと、懇願するようにアイゼルを涙目で見上げた。
「その……入浴も、してなくて……あ、汗もいっぱいかいていて……き、汚くて臭い、から……」
だから嫌だ、恥ずかしい、とリースベットは首を横に振る。
「……なんだ、そんなことか」
するとアイゼルはあからさまに声に安堵を滲ませ、リースベットをギュッと抱きしめると、いきなり無防備な首筋に顔を埋めた。
そしてまるでクリスタのように鼻をくんくんとし始める。
「ひゃっ!?」
「大丈夫だ。汚くも臭くもない。むしろいい匂いがする」
ダンスを踊るなど身体を動かした後なのだから、絶対にそんなわけがない。
なのにアイゼルに嘘をついてる様子はなく、ごく真面目な顔である。
なんだかその姿が、「鍛錬後のハロルト様は物凄くいい匂いがする」とうっとり語るクリスタを思い起こさせた。
……でもあれは好きな人の匂いだから、クリスタは好ましく感じているはず、よね?
そんな余計な思考にリースベットが気を取られているうちに、アイゼルはというと、「だから問題ないだろ」と結論を下して行為を先に進めていく。
そのまま舌を首筋に這わせ、片手で胸を弄り、さらにもう片方の手でドレスの裾をたくし上げて内ももを怪しい手つきで撫で回し始めた。
「えっ……アイゼル、さま……!?」
「悪いが今日はゆっくり楽しむ余裕はなさそうだ。早くリースベットの中に挿れたい」
その宣言通り、アイゼルは秘所への愛撫もそこそこに、トラウザーズから己の滾りに滾った剛直を取り出す。
そして、リースベットの片脚を持ち上げると、すでに受け入れ態勢の整った濡れそぼる蜜口にあてがった。
「ああっ、んんっ……!」
アイゼルのモノが自身を埋めていく感覚に、リースベットは身体を震わせ、一際甘い声を漏らした。
抜き挿しされる度に、久しく感じていなかった甘美な痺れに全身を支配される。
足ががくがくしてきて、バランスを崩しそうになったリースベットは目の前の逞しい身体にギュッとしがみついた。
それにより密着度が増し、ますます奥深くを突かれる。
「ああっ……ダメ、おかしくなっちゃう……」
さらなる悦楽が押し寄せてきて、リースベットは生理的に溢れ出してくる涙で瞳を濡らした。
二人が繋がる結合部からは、耳を犯すようなグチョングチョンと淫靡な音も聞こえてきて、リースベットの羞恥心を激しく刺激してくる。
「……先程までは儚げで清楚な淑女だったのに、信じられないくらい淫らな顔をしてるな」
「いや……み、見ないで……」
「きっと王宮で君を見ていた者たちは驚くに違いない」
「アイゼル、さま……ぁんっ……」
「……もっともっと狂えばいい。君のその姿を見られるのは俺だけだ」
情欲に染まる瞳に見据えられ、ドキリとする。
それに、恥ずかしいことを言われて耳を塞ぎたい衝動に駆られているのに、その一方で自分でもなぜか分からないが、リースベットの心は喜びを感じていた。
胸が高鳴り、アイゼルを激しく求めるかのように、膣内がキュウッと締まる。
「………くっ」
苦しそうな表情で眉根を寄せたアイゼルは、リースベットの身体をきつく抱きしめて抽送を速める。
さらに呼吸すら奪うように口づけた。
「んっ、んっ、んぅ、んんっ……」
感じやすいところを集中的に突き上げられたリースベットは息も絶え絶えに、抑え切れない悦びの喘ぎを唇の隙間から漏らす。
アイゼルに必死にしがみついているうちに、次第に身体の奥底からはジワジワと熱いうねりが膨らんできた。
そしてズンと最奥を突かれた瞬間……
「……んんんっ!」
「……く……出るッ」
その膨らみきった快感が弾けて、リースベットはアイゼルの吐精と同時に絶頂を迎えた。
熱を逃すようにはぁはぁと肩で息をするリースベットは、この日いつもと違って高みに登り果てた後も意識を保っていた。
寝台の上ではなく、扉横の壁に立って寄りかかった状態であったため、そのまま寝落ちるのはマズイと理性が強く働いたのだろう。
徐々に正気に戻ってきた頭でそろりと自分の身体を見下ろせば、なんとも破廉恥な姿であり、カッと顔が熱くなる。
優美なドレスは目の当てようもないほどはだけ、胸元と脚は素肌を露出している。
しかもリースベットの秘所はアイゼルのモノをまだ呑み込んだままだ。
そこからぬるりとした愛液が滴り溢れ、白く滑らかな太ももをツゥと伝っている。
……恥ずかしい! 結局入浴もせずに行為に及んでしまったし……。こんな状態でアイゼル様に触れるなんて。
温かなアイゼルの腕の中はとても心地良く、いつまでも包まれていたい気持ちになるが、これ以上このままは耐えがたい。
「あ、あの、アイゼル様……?」
リースベットはアイゼルの様子を窺うように声を掛け、小さく身じろぎする。
しかし思いの外強くアイゼルに抱きしめられていて、まったく身動きがとれない。
今の自分は先程以上にさらに汗ばんでいて匂いも気になる。
……一刻も早く身を清めたいわ。
アイゼルから距離を取ろうと、リースベットは片手では乱れた胸元のドレスを直しながら、もう片方の手でアイゼルの胸を押した。
「……なぜ逃げようとしてるんだ?」
ところがその行動は逆効果だったらしい。
さらに強く抱きすくめられたかと思うやいなや、ひょいと身体ごとアイゼルに持ち上げられてしまった。
「きゃっ!?」
突然の浮遊感に反射的にアイゼルの首に腕を回してしがみついてしまう。
しかもリースベットは気づいてしまった。
一度果てたはずのアイゼルのモノが膣内で再び硬く大きくなっていることに。
……えっ? あの、これって……?
リースベットの動揺など知る由もないアイゼルは、まるで荷物を運ぶかのようにリースベットを抱き上げたまま寝室内を歩き出した。
そしてドサリと寝台の上に仰向けに寝かせると、挿入したままであった剛棒を一度引き抜く。
「……孕ませるにはまだ足りないな」
「えっ……?」
肉食獣を思わせる獰猛な眼差しと共に告げられたアイゼルの言葉に問い返した刹那、リースベットの身体は熱い硬直に一気に貫かれた。
「あぁぁ……ッ!」
先程達したばかりの火照った身体は再び与えられた甘美な刺激に実に正直だった。
すぐに快感を拾い始め、もはや身を清めたいという思いなど頭からすっかり抜け落ちる。
頬を上気させ、蕩けた顔をしたリースベットは、アイゼルにされるがまま、初めて経験する連続した情事に寝台の上で淫らに乱れた。
言うまでもなく、王宮舞踏会という緊張を強いられる一日を過ごした身体は疲労困憊だ。
二回目の行為が終わった時、当然のことながら、リースベットは眠気に抗うことができなかった。
そのまま気絶するように眠ってしまい……
……あら? 寝台? 私、さっきまで王宮にいたはずなのだけど……?
いつものように深夜に一度意識を浮上させる。
寝起きのぼんやりとした頭では状況が把握できず、記憶が錯誤していたが、次第に今夜の出来事が脳裏に蘇ってくる。
……そうだわ。王宮から公爵邸に戻ってくるなり、アイゼル様に寝室に連れられて。そして……。
はっきりと寝室で繰り広げられた情交を思い出し、リースベットは思わず顔を赤くした。
ドレスを着たまま立った状態で交わるなど、なんてはしたないことかと今更ながらに恥ずかしくなってくる。
しかもあのドレスは今夜の王宮舞踏会のためにわざわざ新調したオートクチュールだ。
伯爵家では手も出せないだろうお値段の高級品を、汚してしまっていないだろうかと不安が募る。
掛布を捲って今の状態を確認すれば、驚いたことにリースベットは一糸まとわぬ姿だった。
「えっ……」
記憶を遡ってみても、脱いだ覚えなどない。
ということは、リースベットが眠り落ちた後、この状態ではドレスが皺になるとでも思ってアイゼルが脱がしてくれたのだろう。
……だって寝台の上での行為の時も、私はドレスを着たままだったはずだものね……?
そこでリースベットはハッと息を呑む。
常ならぬ出来事が今夜起こった事実に意識が向いたからだ。
……初めてアイゼル様から二回目を求められたわ。
それは結婚してから初めてのことだった。
これまでのアイゼルは、子づくりのためにリースベットを義務的に一度抱くだけで、その後に満足できない鬱憤を晴らすよう自身を慰めていた。
それが今夜は二度も求められたのだから、少しはリースベットに好意を抱いてくれたのか、満足してくれたのか、と普通ならそう思いたくなることだろう。
しかしリースベットは冷静だった。
確かに結婚当初に比べれば、最近は目を合わせてくれるようになったし、ダブルデートにも付き合ってくれた。
アイゼルはリースベットに夫として歩み寄ろうとしてくれているのは間違いない。
ただ、だからといって楽観的な考えを抱くリースベットではなかった。
……きっと王宮舞踏会が終わったからだわ。当主の責務を果たすために子づくり再開ということね。
実際、アイゼルは二度目の行為に及ぶ時に「孕ませる」と口にしていた。
一刻も早く子を成すため、いつもより念入りにリースベットを抱いたのだろう。
……だから二回だったのよ。それよりも今日のアイゼル様はなんだか少し様子が違ったように思えたのだけれど、気のせいかしら……?
義務を果たすことをよほど急いでいるのか、実に性急で、獰猛で、激しかった。
いつも閨では、多少意地悪なところはあるが紳士的で優しいのに。
……たぶん三ヶ月ぶりで気が急いてらしたのね。王宮舞踏会でどなたかに後継者は早急に必要だと説かれたのかもしれないわ。
結局リースベットは、アイゼルの様子に対する違和感をそう結論づけた。
なにしろ二回目があったことを除けば、すべてはいつも通りなのだから。
リースベットは誰もいない寝台の隣に目を向けた。
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